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 > ザ・チャンバラ さん
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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  エリザベス:ゴールデン・エイジ
英国史に馴染みのない人にとってはハードルの高かった前作からは一転して、本作はアルマダ海戦という大きな山場に向かって一直線に走る内容だったので、かなり見やすい作品となっています。物語は徹底的にシンプルにまとめられており、エリザベス女王の苦悩を描き出すことのみに専念。さらには、王族出身者ならではの苦悩という特殊事情は控えめとし、仕事をバリバリこなしているもののプライベートでは孤独を抱える女性という切り口に徹して現代の観客にも共感可能なドラマを目指しており、観客にかなり配慮して作られた作品だということが伝わってきました。 しかし映画とは難しいもので、こうした配慮が概ね裏目に出ており、かえってドラマ性が薄まっています。イングランドを王族同士の婚姻を通じて飲み込もうと迫ってくる周辺諸国と、「結婚する気はございません」の一点張りでのらりくらりとかわすエリザベス。彼女が背負っていたものは現代のキャリアウーマンのそれとはまるで異なるため、これを大衆的な価値観で理解しようとすることにはそもそも無理があったのです。ここは定石通りに当時の国際情勢や、彼女の母・アン・ブーリンが辿った末路といった切り口から彼女の心情に迫る方が分かりやすかったはずなのに、おかしな形で一般化しようとしたためにかえって感情移入が難しくなっています。 また、ウォルター・ローリー卿と侍女・ベスとの三角関係にも、特に感じるものがありませんでした。自由に恋愛ができないエリザベスは、侍女の恋愛話を聞くことで自分自身の欲求をごまかしていたのですが、その侍女の一人がよりにもよって意中のローリー卿に手を出した。彼女からすればやってられない状況なのですが、前述した通り「なぜエリザベスは恋愛をしないのか」という政治的な背景が描かれていないために、パブリックな立場とプライベートな感情の間で板挟みになった彼女の苦しみがピンとこないのです。 当時の国際情勢が描かれていないため、山場となるアルマダ海戦にもさほどの興奮が宿っていません。弱小国だったイングランドが、世界最強のスペインから仕掛けられた喧嘩に受けて立って大勝利したというドラマチックな戦だったはずなのに、当時のスペインがいかに強かったかという煽りや、イングランド側が戦いを受けて立とうと決意するまでの過程、絶望的な戦力差の中でいかにしてアルマダを破ったのかという戦略面での説明などがことごとく抜け落ちているのです。これは勿体ないと思いました。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2016-12-26 19:08:31)
2.  エリート・スクワッド(2007) 《ネタバレ》 
最近、テレビドラマの『ナルコス』にハマってしまい、ジョゼ・パジーリャ監督作品を後追いして本作に辿り着きました。ベルリン映画祭金熊賞受賞作品にして、本国ブラジルでは子供たちがBOPEごっこをするほどの国民映画となったという評価はダテではなく、社会性と娯楽性が高いレベルでブレンドされた名作として仕上がっています。 手のつけようのないほど凶悪なギャング、私腹を肥やすことのみに精を出して公僕としての機能を失った警察、違法行為に手を染める市民と、各自が好き放題をしてメチャクチャな状態となっているリオデジャネイロにおいて、唯一、高い規律と目的意識を持って行動しているのが特殊警察作戦大隊BOPEです。BOPEは「ボッピ」と読むらしく、えらい可愛らしい名前の特殊部隊があるもんだと思ったのですが、その実態はわが目を疑うほどの壮絶さです。『フルメタル・ジャケット』や『GIジェーン』をも超えるしごきで入隊の儀式を済ませると、治安組織というよりもむしろクライムファイターのような振る舞いで街の悪人たちを成敗して回ります。女子供だろうが容赦なく拷問して必要な情報を聞き出し、犯罪者を見かければとりあえず射殺。生け捕りにした犯罪者には容赦のない暴行を加え、仲間を殺った悪人はその場で処刑と、「逮捕→裁判→投獄」という一般的な司法制度をまったく意に介さないリアル・ジャッジドレッドな集団なのですが、これが実在する部隊であり、本作の脚本には元BOPE隊員が参加しているという点で二度驚かされます。 こうして振る舞いのみを書き出すとBOPEは悪者であるかのような印象を受けるのですが、本作は前半にてリオの現状がいかに腐っているかを描きだすため、そのカウンターとしてBOPEほどの極端な暴力装置が必要であることを観客に納得させてしまいます。この辺りの構成は実に見事だと思いました。BOPEが全力でギャングを潰しにかかる終盤の爽快感はなかなかのものであり、本作はエンターテイメントとしても非常に優れているのです。 唯一不満だったのは、「遊び人」と呼ばれる大学生がしれっと生き延びたこと。この人物は、表面上は慈善活動を目的とする左翼系サークルを主催しているのですが、同じく表面上は貧困層の支援を目的とするNGOを介してスラムを仕切るギャングとのコネクションを持ち、キャンパス内に麻薬を持ち込んで利益を得ているクズ野郎です。ギャング達にはギャングにならざるを得なかった不幸な生い立ちがあるのですが、一方でこいつは恵まれた環境でぬくぬくと育ちながら、ロクな覚悟もなく軽い気持ちで悪事に手を染めるという、一番同情できないタイプの悪人。こいつのせいでネトは死んだのですが、マチアスが真剣に尋問してもヘラヘラと受け答えをするような腐った性根を持っており、ギャングの世界がいかに怖いかを思い知ってからエライ殺され方をして欲しいところでした。
[インターネット(字幕)] 8点(2016-05-23 17:34:05)
3.  エレファント 《ネタバレ》 
目隠しをして象の皮膚を触らせたところ、誰もそれが象だとは分からなかったという昔話がタイトルの由来だとか。本作はコロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフにしつつも、あの事件の原因や影響等の分析をすることには意味がないという姿勢をとっており、ただ漠然と続くだろうと思っていた人生がある日突然終了した高校生達のドラマを描くことに注力しています。その基本姿勢ゆえ、映画に明らかな結末を求める客層にはあまりオススメできない仕上がりとなっています。私自身、本作を興味深く見ることができませんでした。80分程度の上映時間ながら、途中で何度も寝落ちしそうになったし。。。 とはいえ、ガス・ヴァン・サントによる演出には非凡なものを感じさせられました。シナリオらしいシナリオは書かず、映画の大枠だけを決めて撮影に入り、その撮影も素人のアドリブを中心に撮っているため雑然とした影響を受けるのですが、同じ場面がアングルを変えて何度も何度も繰り返された辺りから、今まで写っていた登場人物達はこれからの銃撃に巻き込まれる被害者達なのだと気付かされて、急に怖くなります。全体としては雑然と作っているように見せかけて、必要な部分では高度なストーリーテリングの技術を駆使して観客を誘導していくという隠し味の効かせ方のうまさ。これには感心させられました。
[DVD(字幕)] 6点(2014-09-17 00:31:52)(良:1票)
4.  エミリー・ローズ
難病の治療を医学ではなく宗教に頼ろうとし、結果として人を殺してしまった事件として、我が国においては1999年のライフスペース事件が思い出されますが、教祖の異様なキャラクターとオリジナルすぎる主張から当然の如く有罪判決が下された当該事件と比較すると、本作品の元となったアンネリーゼ・ミシェル事件には、当時の社会を揺るがすほどのインパクトがあったようです。その悪魔祓いは現地の司教からの承認を受け、形式的にもパウル5世の儀礼書に則った正式なものであり、それは伝統的な信仰と近代法制度が真正面からぶつかり合うという、いつかは起こるだろうと危惧されていた事件だったからです。さらには、信仰や宗教とは主観の世界ですが、その過失を裁判という合理性・客観性の場でどうやって証明するのかという命題をも孕んでいました。これは信仰の問題であると同時に、法の限界までが試される事件だったのです。。。 そんな美味しすぎる題材を扱いながら、本作は観客の知的好奇心に訴えるべき部分をまったく描こうとしません。監督・脚本を務めたのは『ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノ』のスコット・デリクソンですが、この監督の関心は専ら悪魔憑きを克明に描写するという点にあり、社会問題を扱おうという意図は薄かったようです。ホラー監督としての性か、悪魔憑きの場面では『エクソシスト』のようなショック場面が連続するのですが、その演出は本作の趣旨からは完全に逸脱しています。また、唯物論者の弁護士が超常現象を体験したり、彼女の目の前で証言者が不可解な死に方をするといった脚色部分も余計でした。本作は、「あなたならどう考えますか?」と観客に対して問いを投げかけるべき作品だったにも関わらず、これら一連の演出において、監督自身が主題に答えを出してしまっているのですから。。。 また、法廷パートの演出もいただけませんでした。描かれるのは検察官と弁護士の舌戦のみであり、彼らを取り巻くオーディエンスが空気同然の存在感となっています。しかし、本作で重要なのは、社会がこの事件をどう受け止めたのか、そして弁護士と神父が世論をどう変えていったのかという点であり、オーディエンスの存在こそが重要だったはず。さらには、オーディエンス不在のために弁護士と検察のどちらが優勢に立っているのかすらよく分からず、法定ものに必要な緊張感すら生まれていません。
[DVD(吹替)] 4点(2014-03-27 01:13:49)(良:1票)
5.  88ミニッツ
以前にロバート・デ・ニーロ主演の「15ミニッツ」という微妙なサスペンス映画がありましたが、本作もそれに負けず劣らずの微妙な仕上がりでした。とにかく脚本がボロボロ。気の利いたトリックを準備するのではなく、膨大な情報量で観客を翻弄して推理する暇を与えないという最低の方法をとっています。劇中には多くの容疑者が登場するものの、ラストに明かされる犯人は多くの観客が最初に疑った人物というのはあんまりです。真犯人の目的はあまりにバカバカしすぎるし、高名な犯罪心理学者という主人公の設定はまるで活かされていません。専門性を活かした高い交渉力や推理力を披露することは一切なく、抜け道だらけの犯罪計画にどっぷりハマってあたふたするだけ(素人考えの捜査などやめて、早く警察に駆け込めよと思ったのは私だけではないはず)。一般の中年より頭悪いです。。。 さらに問題なのは、アル・パチーノが役にまったくハマっていないこと。高級マンションに住んでスポーツカーを乗り回す独身貴族という役回りはリチャード・ギア辺りが演じるべきであり、アル・パチーノではシリアスすぎました。遊び人に見えて、実は心に深い傷を負っているというキャラ付けにしても、どう見ても過去に何かあったようにしか見えないアル・パチーノが演じたのではサプライズになっていません。
[DVD(吹替)] 4点(2012-05-29 01:04:41)(良:1票)
6.  es[エス](2001) 《ネタバレ》 
この監督さんはやっぱりうまい、物凄く面白かったです。抑圧シーンのイヤ~な空気や、逆襲に転じる場面のカタルシスなど観客の心を揺さぶることにはことごとく成功していて、かなり見応えのある作品でした。ワキガをバカにされたことから地味で陰気な男ベルスの心にスイッチが入り、最初は穏やかだった他の看守役達もそれにつられて暴力的になっていくという過程には妙に説得力があって、人間心理の一端をうまく映像化できていると思いました。本作の前半部分はスタンフォード監獄実験において観察された結果をうまく拾ってきているようで、囚人役に消火剤を浴びせたり、素手でトイレ掃除をさせるといった行為は現実に発生したようです。さらには、辞退を申し出た被験者の離脱を許可しなかったり、禁止事項であるはずの暴力行為が発生するに至っても被験者の安全より研究対象への関心を優先して実験を中止しなかったなど、教授側のマッドな行為も事実に基づくようです。看守役の被験者もさることながら、実験場という閉鎖空間において神の如き権力を持つ教授もまた、その疑似的な権力によって公正な判断力を失ってしまったようです。後半に入ると映画独自の展開を辿りはじめるのですが、ここから本作の評価は難しくなります。状況がより逼迫することで映画としては俄然面白さを増すのですが、これが実際の実験によるものではなくフィクションの物語であることから、「人間はここまで怖くなるんですよ」という恐怖感に歯止めをかける結果となっています。
[DVD(吹替)] 7点(2011-05-17 21:24:00)
7.  英雄の条件 《ネタバレ》 
公開当時「史上最悪の人種差別映画」と言われただけのことはあって、この映画のアラブ人差別は凄まじいものがあります。100人近くのアラブ人を殺した海兵隊長が無罪になるという物語なのですが、「アラブ人は殺されて当然の野蛮人です」という描写のオンパレード。なぜ彼らが反米なのかという複雑な中東情勢を微塵も匂わせることなく、大使館に押し寄せるアラブ人が当然の如く悪人扱いされており、小学校にもあがっていないような女の子が銃をガンガン撃ちまくるという常軌を逸した描写までがあります。どこの馬の骨かもわからないインディーズスタジオならともかく、パラマウントという大企業が突如こういう映画を作ってしまうという辺り、アメリカ人というのは油断ならん連中だなとあらためて気付かされます。。。と大きな問題を抱えた内容ではあるのですが、映画としてはなかなか面白く仕上がっています。腐ってもオスカー監督、こういう硬派な題材を扱わせるとフリードキンは良い仕事をします。前半の戦闘シーンの圧倒的なテンション、後半の法廷シーンにおける言葉の応酬戦など、見るべきものは少なからずあります。事件を都合よくコントロールするため政治家が証拠を葬ってしまうという展開も、現在の日本では非常にタイムリーで興味深く見ることが出来ました。欲を言えば、命の恩人を刑務所に入れようとすることに良心の呵責を覚える大使とその奥さんをキーパーソンに据えれば法廷ものとしてさらに面白くなったと思うのですが(せっかくベン・キングスレイに演じさせたのに、彼を有効活用しなかったのは勿体ない限り)、それでも本作は十分に良い出来だと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2010-11-27 22:17:12)
8.  エネミー・ライン
アメリカさえ勝てばいいという「トップガン」や「ランボー」と同様の匂いのするミリタリーアクションであり、80年代であれば大ヒットしたであろう作品だったと思います。ただし本作が公開されたのは21世紀、この手の映画は時代錯誤となっていました。多くの悲劇を生み出したユーゴ内戦、セルビア人による民族浄化を背景として単純アクションを撮ってしまう無神経さは見透かされてしまい、米国内でこそ6,000万ドル稼いだものの、北米を除く全世界では興行成績が3,000万ドル程度に留まっています。。。ユーゴ内戦の難しさ、米軍が必ずしも正義ではないことを言及するセリフは一応挿入されているのですが、これが「文句言われないようにとりあえず付け加えておきますが」程度なので、かえって製作陣の不見識が際立つ形となっています。それは、NATO軍司令官が民族紛争の複雑さ、この戦争における正義とは何なのかについて語る場面なのですが、最終的に「5年間この戦争に関わってきたが、結局俺にも分からん」という結論で終わってしまうのです。なんじゃそりゃ。画面に向かってつっこみそうになりました。本作の脚本を書いたのは「プレデター」のジム&ジョン・トーマスと、軽めのアメコミ作品を多く手掛けるザック・ペン、厄介な国際情勢を丁寧に扱おうという気はないようです。その代わりに登場するのは、コカ・コーラを飲み、アイス・キューブのTシャツを着たクロアチア人青年。アメリカの文化は紛争地域でも通用するんだぜ!わかり合えるんだぜ!という実に短絡的な発想には恐れ入りました。。。そんな本作ですが、アクション映画としては悪くありません。監督デビュー作でありながらジョン・ムーアの手腕は卓越しており、なかなか見ごたえのあるアクションが連続します。ゴチャゴチャした編集がうるさすぎる場面もありましたが、描写にはこだわりがあって他のアクション監督とは一味違う才能があるように感じます。肉食獣の如く主人公を追い詰める悪役は脚本の狙い通りにキャラが立っているし、作品全体のテンポも良好。そして本作の特徴となっているのが兵器のメカニズムの描写なのですが、地雷の起爆ギミックやF-18へのミサイルの着弾等を異様なまでに詳細に見せる映像には驚かされました。戦車やヘリが山ほど登場し、街をバンバン破壊しまくる充実ぶりながら製作費を4,000万ドル程度に抑えたこの監督の腕前は、十分に評価されるべきでしょう。
[DVD(吹替)] 5点(2010-09-11 16:26:53)
9.  X-MEN2
第一作公開時、よく出来てはいるが物足りなさの残る仕上がりへの批難は、娯楽作の経験のないブライアン・シンガーに集中しました。あんな生真面目なのじゃなく、面白い映画を撮れる人間に監督させるべきではなかったかと。しかしシンガー、第二作ではやってくれました。冒頭から見せ場の連続。第一作で技術的な経験を積んだことから映像表現を自在に操る術を学び、SFX満載、超能力を操るミュータント達の戦いを想像力の限りを尽くして描きます。火薬満載だが知性を感じさせる見せ場作りはさすがシンガー。他の監督ではここまでのものは作れなかったでしょう。また脚本レベルの完成度も高く、学園を襲撃されたウルヴァリンの反撃、暴力の限りを受けたマグニートーの脱獄と、虐げられるミュータントが、忍従を重ねた末にその特殊能力を発揮して反撃をするという構図のアクションには燃えに燃えましたとも。ストライカーという共通の敵の登場でX-MENとブラザーフッド(と言ってもマグニートーとミスティークの二人だけですが…)が手を組んで闘うというモロ少年マンガの展開にも、やはり燃えてしまいます。難を言えば、ブライアン・シンガーの悪い癖で後半のバトルが冗長になりすぎたことでしょうか。この人は非常に丁寧に作品を作る監督なのですが、やりすぎて観客の生理を無視してしまう傾向があります。後半ももっとコンパクトで畳み掛けるような展開にすれば充実したアクション大作になったと思うのですが、いかんせん長い。あと、X-MENのリーダーでありながら何の役にも立たないサイクロプスと、ミュータントの指導者でありながら敵の手に落ちて足を引っ張るプロフェッサーの扱いは、さすがにどうなんでしょう。「3」ではあんなことになってしまうし。「1」の後で売れっ子になったヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、イアン・マッケランの見せ場を増やすために、彼らの役回りが悪くなったようにも感じます。
[映画館(字幕)] 8点(2009-09-10 21:00:46)(良:3票)
10.  X-メン
09年現在まで続くアメコミ実写化ブームの最初の作品であり、本作の成功が後続の企画達の大きな原動力となったという意味で、かなりの重要作です。現在あらためて見返すと、公開時に感じた以上に脚本・ビジュアルともに緻密に作り込まれていることに驚かされます。コミックを実写化する上での最大の問題である、二次元のキャラなら特に問題ないが、いざ生身の役者にやらせるとおかしなことを、どこまで原作に忠実にやるべきなのか?本作に先駆ける「スーパーマン」は怒涛のSFXを売りにすることで、「バットマン」はティム・バートンの独特の世界観を提示することで、この難題からうまく逃げてきました。しかし本作はハリウッドではじめてこの課題に真正面から挑み、かつ成功させており、ある意味で後続作達のガイドライン的な役割を果たしています。ウルヴァリンをはじめとした奇妙奇天烈なルックスのキャラ達を驚くほど原作に忠実に再現。シリアスな世界観の中にあって、あの強烈なルックスのキャラ達を観客に受け入れられるようにまとめているのですから、ブライアン・シンガーは驚異的な仕事をしています。彼らの登場のタイミングや、その能力の表現が細かいところまでよく考えられていて、特に映画の冒頭をマグニートーの少年時代とし、ユダヤ人収容所での悲劇的な物語を頭に持ってきたことは、これはどういう映画であるかを観客にガン!と提示する意味でかなり効果的でした。さすがに擁護しがたいようなおかしな要素は笑いにしていて(変なニックネームのキャラ達を紹介されたウルヴァリンが、プロフェッサーXに向かって「で、あんたは"車イス"?」、コスチュームを渡されて「本当にこれで人前に出るのか?」)、脚本は非常に柔軟です。自由の女神の土産物屋を舞台としたラストのバトルにはさすがに物足りなさがありましたが、技術的にテスト段階にあった作品だけに、下手に大風呂敷広げて失敗するよりも出来る範囲で小さくおさめたことに、制作陣の真摯な姿勢がよく出ています。これについてはアクション大作となった「2」できっちり答えを出しており、シリーズ化のために作品を破綻させないことを重視した第一作の判断は、今となっては好意的に評価すべきでしょう。
[DVD(吹替)] 8点(2009-09-10 18:14:12)(良:3票)
11.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 《ネタバレ》 
【激しくネタバレしています】 テレビシリーズにおいては、毎回使徒を殲滅する爽快なアクションや学園ものとしての明るい面が強調されたパートに当たり、またシリーズ中最大の盛り上がりとなった最強の使徒との戦闘→初号機の覚醒もあって、かなりおいしい部分に当たるのがこの「破」です。というわけで初っ端から見せ場の連続、「序」を見てしまっているのでビジュアルへの驚きは薄くなりましたが、意表を突くような使徒のデザインや(時計の針みたいなやつまで登場)、細かいところまでこだわり抜いたアクション、音楽と渾然一体となったキレのいいカットにはやはり大興奮なのです。ハリウッド大作でもここまで見せるものは少なく、日本はやはりアニメの国なんだなぁと実感しました。本作より新劇場版はオリジナルとは異なる展開となりますが、かと言ってまったく新しいことをやるのではなく、オリジナルにあったパーツを組み替えることで意味合いを変えていくという、いかにもファンを喜ばせる遊びをやっているのはさすがです。そうして中盤まではテレビ版を踏襲した作りとしていただけに、テレビとは大きく変わったクライマックスの戦闘にはかなり驚かされました。使徒がエヴァを捕食するというテレビと逆の関係になっていたり、「覚醒」が「ビーストモード」としてエヴァのオペレーションに組み込まれていたり(しかも今回はエヴァが負ける)、極めつけは旧シリーズのクライマックスだった初号機の神格化及びサードインパクトがここで発生しており、「おいおい、もうはじまっちゃったか」とかなり意表を突かれました。さらにシンジとレイの行動原理を明確にお互いへの愛情としたため、前回の気の重くなるようなサードインパクトから一転、えらく前向きで力強い意志をもったサードインパクトとなっています。今回はシンジとレイの成長が大きな鍵となっていますが、一方でシンジをレイに持って行かれ、加持さんも心の恋人ではないアスカの冷遇ぶりはお気の毒でした。また新キャラであるマイは主要な登場人物にほとんど絡んでおらず、オリジナルに比べて微妙となったアスカ、立ち位置のはっきりしないマイ、登場のタイミングが大きく変わったカヲルが今後どのような形で話に絡んでくるのか、「Q」も見逃せない終わり方となっています。今回のように2年も空けることなく、できれば半年以内にでも見せてくれれば嬉しいんですけどね。
[映画館(邦画)] 8点(2009-07-01 22:30:10)(良:2票)
12.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
キャラも話も見せ場も大きな変更はなく、新しいものは特にないのに、舐めるほどオリジナルを見ていた人間を納得させるだけの映画にしているのですから、エヴァという素材がいかに強力であるか、また新劇場版がいかに優れた娯楽作であるかがわかります。時間的にはかなり端折られているにも関わらず話の要点は外しておらず、また駆け足感もさほど感じない要約の絶妙さ、一方でエヴァの特徴である意味深なセリフや内面描写、「謎」への振りは、劇場での鑑賞でも消化できる程度の適度な密度に抑えていたりと、ストーリーテリングのレベルは相当なものだと思います。オリジナルを製作している時点において、監督たちのエヴァに対する理解は必ずしも統一されていなかったということですが(その混乱が、見る側にいくつもの解釈の余地を与える奥深さにつながっていましたが)、エンターテイメント志向の今回は話をまとめるつもりで作っているようで、極度に混乱させるような展開はなくなって見やすい作品となっています。編集は冴えに冴えており、ヤシマ作戦においてシンジがトリガーを引く瞬間に向けてドラマやアクションがきれいに収斂されており、実写でもここまで盛り上げる編集は滅多にないなぁと感心しました。そして、やっぱり凄いのがビジュアルの強化です。おおまかな流れは変わっていないものの、気の利いた追加や修正により驚くほどかっこよくなっています。最大の変更点は、シンジ、レイ以外にも使徒と戦っている人々の描写を充実させたことで、ヤシマ作戦に向け、大破した初号機を急ピッチで修理したり、シンジに陽電子砲を撃たせるため日本中のインフラが動員される描写が入ったことで、作戦の規模や重要性がより際立ちました。14才にしてこれだけのミッションを背負わされるのですから、「乗りたくない」というシンジの気持ちも理解できます。また要塞都市たる第三新東京市の防衛システムの描写が大幅に増えており、使途vs従来兵器は怪獣映画のようなひとつの見せ場となっています。細かい点では、エヴァ出撃シーンでのオペレーションをいくつか増やしており、ロボットものの重要な見せ場である「発進」が格段にかっこよくなっています。当初は必ずしも好意的には受け止められていなかった新劇場版ですが、公開されるや多くの人を振り向かせたパワーはさすがのものです。
[映画館(邦画)] 8点(2009-07-01 20:26:54)
13.  エイリアン3/完全版
多くの監督・脚本家が関わりながらも一向に作品がまとまらず、ニュージーランド出身のヴィンセント・ウォードがようやく監督に就任するもあまりに突飛なアイデアの数々にスタジオや現場もついていけなくなって降板。巨大セットを組み、人材も集め、公開日も決定している中、監督・脚本がないという異常事態で呼ばれたのがフィンチャーだっただけに、完成した作品には製作時の混乱がよく表れています。ハゲ頭に同じような格好の囚人は誰が誰だか区別がつきませんが、あれは脚本未完成のまま撮影に突入したため、ひとりひとりの個性やエピソードが固まっていないことから必然的に生じた混乱でしょう(同一人物とは思えないほど性格がコロコロ変わるキャラクターも何人かいます)。また、見せ場の少ない本作において作品の要となるべきはクライマックスのアクションですが、薄暗い廊下を囚人が走り回っているだけという地味なもので、しかも作戦の概要や位置関係がよくわからないので、作戦が成功しているのか失敗しているのかすらよくわからないというグダグダぶり。挙句、作品の完成度に疑問を持ったスタジオによってズタズタにカットされ、さらにまとまりの悪くなった状態でエイリアン3は世に出されてしまいました。スタジオによる干渉を受ける前の形であるこの完全版は劇場版に比べて出来がかなり向上していますが、やはり前述した根本的な問題点を抱えたままなので、完成度の高い作品とは言えません。しかし、結果的に不完全な形になってしまったものの、この作品が目指した深遠なドラマは注目に値するものです。「2」を継承した娯楽大作にするのが観客受けを簡単かつ確実に狙える路線だったはずですが、そうした安直な方法に走らず、あくまでSFとしての斬新さやドラマ性を追及した製作陣の姿勢は評価に値します。また、天才監督デビッド・フィンチャーの才能が、「セブン」や「ファイト・クラブ」にはない面白い形で発揮されています。「地獄の黙示録」がそうであったように、作品が不完全であることの味が漂っているのです。寝てても面白い映画を撮れる天才監督が、極限まで追い込まれて作った作品に漂う狙っては出せない味。エイリアン3にはそれがあるので捨てがたい。なので「2」と同じ8点をつけました。
[DVD(吹替)] 8点(2008-06-23 01:43:28)
14.  A.I.
この映画は出来が良い悪いの次元ではなく、恐ろしいまでに異常で理解ができないという評価が適切ではないかと思います。クリス・ロックロボが笑いながら破壊され、とんちんかんな命乞いをするフリークロボが容赦なく溶かされるという残酷ショーのあからさまな異常性だけではありません。デビッドが家族を心を通わせるという、本来は暖かくあるべきシーンからしてすでにおかしいのです。終始無機質な笑顔を浮かべ、気がつけば音もなしに背後に立っているデビッドは文句なしに怖いですよ。あのうざい言動と言い、こいつには一秒たりとも家にいて欲しくないと思える稀有な主人公です。一方、彼と母の愛情を争うこととなる実の子のキャラクターもムチャクチャで、終始意地悪なことか卑怯なことしかしないという、どこぞの安い少女マンガよりもレベルの低い憎まれ役です。そんな彼らが見せるドラマは、かつて子役を使わせると天下一品と言われたスピルバーグのやることとは到底思えないほど稚拙であり、登場人物に感情移入させないようわざと仕向けているのではないかとすら思えます。そもそも本作は天才スピルバーグが誰よりも得意としてきたジャンルであり、普通に撮っていればそれなりにレベルの高い感動作にできたはずです。なのになぜ、あえて自分の得意技を封印してまでこのような出来にしたのか?売れ線から外れてまで一体何がしたかったのか?その見当がまったくつかない、作り手の意図が何も見えないというあたりが何とも怖いですね。キューブリックの真似事をしようとして失敗したのか?自身の残虐性をもはやコントロールできなくなっているのか?家族向けの感動大作を装いながらこれほど残酷で不気味な話を見せてくること自体が、スピルバーグにとって何かの挑戦だったのか?まぁ一から十まで理解不能な映画ですが、これを額面通り感動作と勘違いし、世界で唯一大ヒットさせた日本の観客も理解不能。なんとなくいいものを見た気にさせる見事なラストを除いて、本作に感動できる場面はないように思うのですが、にも関わらず感動作だとありがたがった日本人…。「アルマゲドン」でも思ったのですが、テレビCMで感動作だと言われれば何でも感動作だと思ってしまうほど映画を見る力がないのかなと、最後に何となく感動できれば2時間半の長丁場を耐えてしまえるのかなと、学力低下の影響はこんなところにも出ているのかなと。
[映画館(字幕)] 2点(2007-03-26 23:08:14)(笑:1票)
15.  エターナル・サンシャイン 《ネタバレ》 
極めて特殊な設定ですが、その中身は非常に単純。①感情は記憶を超えうるのか?、②ラブラブだったふたりが別れに至るまで。この映画がテーマにしているのはこの2点だけです。①については、恋愛感情とは巡り合わせで起こるものなのか(=偶然)、それともまったく違うシチュエーションで出会っても恋愛感情は起こるものなのか(=運命)という問いかけですが、本作の出した答えはYes。ジョエルとクレメンタイン、メアリーとミュージワック博士の2組のカップルが記憶消去を体験しますが、どちらも記憶消去の後にもう一度恋愛感情を抱きます。ですが恋愛が一度失敗に終わっていることを知ると、メアリーは博士との報われない恋愛を終わらせることを決め、一方ジョエルとクレメンタインはお互いの欠点を認識し、自分がそれを許容できなかった事実を受け止めつつも、また恋愛しようと決めるのです。ジョエルとクレメンタインの決断はいかにも映画的なきれいごとのような気もしますが(あんな告白テープを聞かされて付き合う気になりますか、普通)、その根拠となる②が非常に秀逸なのです。ジョエルとクレメンタインの恋愛は私たちの身の回りにも転がってるような本当に普通のもので、だからこそふたりの葛藤には誰もが身につまされる思いをさせられます。私は彼女と鑑賞したのですが、ふたりがケンカする場面になると自分まで気まずい思いがしたし、一方ラブラブの場面では妙に照れくさかった。それほど恋愛というものがよく描けているんだと思います。感情が記号のように並んでるだけの映画や、ありえない主人公の泣けるラブストーリーなんかではこんな気持ち味わえません。その描写において、時間を逆行させるという掟破りが尋常ではない効果を発揮しています。お互いの欠点がどうしてもガマンできなくてケンカを繰り返しているところからはじまり、ラブラブだった頃へと戻っていくという驚天動地の脚本。あれだけ罵ってた相手が自分にとってかけがえのない存在だったのだと再認識する過程が押し付けがましくなく本当に自然でした。さらにこの映画、幼少時代へのノスタルジーまで盛り込んでみせます。どこまで凄いんだと感心しっぱなしでした。ともすれば難解となる脚本をわかりやすく、かつ刺激的なビジュアルでまとめてみせた演出もさすがで、芸術的にも感情的にも得るものの非常に大きい作品だと思います。
[DVD(吹替)] 9点(2007-02-13 02:25:02)(良:2票)
16.  X-MEN:ファイナル ディシジョン 《ネタバレ》 
これは面白かったです!ブライアン・シンガー監督がスーパーマンに乗り換えたことを受け、急遽ブレット・ラトナー(スーパーマンの監督をクビにされた人)に監督が決まった時にはイヤな予感がしたのですが、この交代が完全に良い方向へ作用していました。ブライアン・シンガーの良い点は極めて徹底した世界観の構築にあり、見せ場ひとつにもこだわりまくってマンガ映画にも知的であなどれない風格を持たせるという才能を持っていますが、その反面素直に楽しめる娯楽作を作ることには不向きなところがあります。X-MEN2やスーパーマン・リターンズなどを見るにつけても、目を見張るような素晴らしいシーンが多くある一方で、最後まで観客のテンションを維持する見せ方ができていませんでした。そこに来て、卒なく娯楽作を作れるもののこだわりのない演出しかしないという対照的な才能を持ったブレット・ラトナーという監督の当番は、「良く出来てるけどいまいち面白くない」というこのシリーズの欠点を完全に補っていました。前作まででブライアン・シンガーが世界観の構築を細かく細かくやっていたおかげで、本作はとにかく戦って戦って戦いまくってればそれで良し。細かいことにはこだわらないブレット・ラトナーの大味采配のおかげで、大決戦が次々とテンポ良く見せられていき、本当に気持ちのいい娯楽作に仕上がっていました。サイクロプスやミスティーク、果てはプロフェッサーXまで、シリーズで主役を張っていたキャラクター達を「おいおい、いいのか?」と思うぐらいアッサリと切り捨て、ぞろぞろ登場する新キャラ達の紹介も最小限にとどめ、すべてをクライマックスの大決戦へ向けてテキパキと話をまとめていくのは薄味監督ならではの巧さでした。マグニートー軍団の襲撃を受け陥落寸前のアルカトラズに「X-MEN参上!」と言わんばかりにウルバリン達が駆けつけ、それぞれが一番かっこいい顔をしてファイティングポーズを決める場面は、まさにマンガ映画の真骨頂。アメコミ映画はいろいろ作られていますが、こういうストレートにマンガ的な演出をしたのはこれがはじめてだと思います。バットマン・ビギンズのようにヒーローにもリアリティを持たせることを重視する傾向が主流となっていますが、こういうバカバカしくもかっこいいシーンを見せてこそのマンガ映画だと私は思います。
[映画館(字幕)] 9点(2006-10-22 19:09:54)(笑:1票) (良:4票)
17.  エイリアンVS. プレデター
2大スターのコラボレーションはなかなかよく出来ており、破綻なくお話を進めていく辺りは、素直に「うまいなぁ」と感心しながら見ました。前半、なかなか両雄を見せなかったのも構成的には成功で、ついにあいま見えたエイリアンとプレデターの初戦には燃えに燃えましたよ。日曜洋画劇場で見まくった両雄のバトルはまさに夢の実現で、さらにエイリアンの酸性血液やプレデターのよく切れる刃物など、両シリーズでおなじみのアイテムも次々に大活躍。こういうのを撮らせるとポール・アンダーソンは天才的にうまいですね。自身がゲームおたくであるためか、この人はSFにおいてアイテムを使いこなすことがやたらうまく、これまでも数々の映画で世界のおたく達を納得させてきたのには確かな腕前があったおかげなんだと感心します。しかし、そのためか既存の世界観を飛び抜けるような爆発的な展開を準備することはなく、それが不満にもつながるわけです。なにせこれは「エイリアンVSプレデター」ですからね。それこそ「エイリアン2」と「プレデター1」を足したようなハイテンション映画を期待するもんです。両方ともかなりしつこい映画だったわけですけど、それにひきかえ「VS」はかなりアッサリとした映画だったので、なんだかちょっとガッカリでした。大興奮の初戦が終わってしまうと、あとはかなり普通に話が進んでしまい、「もう終わり?」って感じでした。あと、プレデターがかっこよくなりすぎです。第1作をはじめて見た時のプレデターの印象って、悪趣味ごくつぶし宇宙人だったんですけど、ここでは高潔な戦士になってました。シリーズでやってたみたいにヘンなポーズや雄叫びをあげなくなったし、お得意の不意打ちをあまりやらなくなってたし、劇中では「プレデター=肉食」とは呼ばれず「ハンター=狩人」と呼ばれてたし、デザインもザクⅡからハイザックくらい変わってたし。人類文明の創生に関わってたって話も、ちょいとやりすぎなような気も。シュワルツェネッガーに「なんてブサイクなやつなんだ」と言われたあの連中が人類史の親だってのは、かなりもかなり意外すぎますよ。やっぱりプレデターは理屈抜きの体育界系バカ宇宙人であり続けて欲しかったですね。だとすると、設定は「エイリアン2」みたいな血みどろの混乱にプレデターが血の匂いを嗅ぎつけ参戦、って話にしてしまった方がよかったような気がします。
7点(2004-12-21 05:59:31)
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