1. ナポレオン・ダイナマイト
クライマックスは良いんだが、少し眠かった。 [DVD(字幕)] 5点(2012-08-05 23:39:41) |
2. 南極日誌
《ネタバレ》 ソン・ガンホの熱演以外には観るべきところが無かったなー。南極の閉鎖空間が人間の心に魔物を産み落としたってことなのか?わざわざ6人の名前や担当などをメモしながら観ていたけれど、結果的にそこまでする価値は無かったのでちょっと残念。思わせぶりな演出ばかりで眠くなったし、結局クライマックスもなんだか微妙だった。で?と思ったところで終わる映画ってのはやっぱり苦手だ。 [DVD(字幕)] 3点(2011-12-11 18:56:52) |
3. 楢山節考(1958)
《ネタバレ》 原作既読。姥捨ての習慣が残る極貧の寒村を舞台にいのちの尊さを真正面から描いた傑作だ。淡々とした筆致ながら、深い感動が残った。この映画は歌舞伎仕立てで、その世界観を汲み取ろうとする。ナレーションは全て長唄である上、セットはセットらしく、舞台をイメージした演出は徹底しておりユニークだ。 ただ残念なのは、どうしても人情が全てに先行してしまったところだ。非情とも呼べるほどの原作のスタンスがこの趣向によって綺麗に崩されてしまっているのは惜しい。原作と映画は全くの別物という立場に立てば許容できるはずなのだが、どうしても手放しでは褒められないと感じてしまう。また、原作で印象的だった美しく残酷な自然というテーマが舞台では生きてこないのもつらい。母性の神々しさが際立つつくりは悪くないが、この作品のメッセージは、前述のとおり、他にもある。その取捨選択は手堅いが、捨てられたものの大きさを考えると残念としか言いようがない。 [DVD(邦画)] 7点(2011-09-13 22:44:03) |
4. 南極料理人
《ネタバレ》 良質なコメディ。途中がちょっとドタバタしすぎるのが僕の趣味に合わないが、全般的にクスリと笑えるシーンが多く、日本のコメディの中では出色の出来と感じた。125分とコメディにしては少し長い尺だが、許容できる長さだ。 物語の舞台は南極の昭和基地からさらに内陸に1,000kmも離れた極限の地にあるドームふじ観測拠点。学者や医者も含めて総勢男8名。料理人として働く西村さんを中心に彼らの人間模様を描く。 1年にも及ぶ缶詰生活は、彼らにかなりの精神的負担を強いる。家族や恋人を日本の残してきている人がほとんどなのだ。そして、この究極の僻地で楽しみなのは何と言っても三度三度のご飯なのである。毎日同じ人たちと顔を突き合わせ、同じ仕事を繰り返していたら、精神的におかしくなってしまうこともあるだろう。そこで食事の出番になるのだ。 食事とはただ栄養を摂るためだけのものではない。この映画を観て最も感じたのは「食卓」ひいては「家族」のありがたさだった。彼らはそれぞれの家族と離れ離れに暮らしながら、彼ら自身で擬似的な家族を構成し、コミュニケーションを取っている。そして、その中央には西村さんが作る美味しい料理がある。1年間という長い期間ではメンバーそれぞれに色々なドラマがある。料理を通じて、彼らの体のみならず心も癒す西村さんの仕事ぶりには感心した。終盤のシーンでも感じられるが、半分メンバー達のお母さん化している。そしてメンバー間のコミュニケーションを促進する「食卓」の心地よさ、意義深さを感じた。家族で食卓を囲む。そのことの素晴らしさを逆説的に感じることができた映画だった。 [DVD(邦画)] 7点(2011-07-24 20:56:48) |
5. ナチス、偽りの楽園 ハリウッドに行かなかった天才
《ネタバレ》 第2次世界大戦頃のヨーロッパでの話。クルト・ゲロンという才能に溢れたユダヤ人俳優(兼監督)はドイツのナイトクラブで喝采を浴びていた。彼の愛嬌たっぷりな表情とでっぷりと肥えた体格、そして過剰なほどのコミカルな演技は観客の心を掴んで離さなかった。しかし、時は1930年代。まもなくナチス親衛隊の規則正しい足音がベルリンの町に響くようになる。 容貌魁偉なクルト・ゲロンという映画界の鬼才が主人公に据えてあるが、この映画の主題は当時のドイツの情勢やそこに生きた映画界の人々(特にユダヤ人)の心情や行動だ。彼らのナチスに対する反応は実に様々で、クルト・ゲロンのようにその危険性を十分に認識できなかった者もいれば、さっさとヨーロッパから脱出を図った者もいた。時流を読む目の大切さを感じた。また、現在まで生き延びている生存者のインタビューも興味深い。当時のドイツの「芸能人」の生き様を知る資料として一級であるといえよう。収容所(テレージエンシュタット)内でのナチスの彼らに対する扱いも興味深い。 しかしながら、映画としては退屈な部分もある。インタビューが中心とならざるを得ないためだ。特に中盤については、もう少し尺を短くすることも可能だっただろう。 [映画館(字幕)] 6点(2011-07-21 22:00:33) |
6. なま夏
吉田監督の原点(ダメな男の物語)を見るという意味では、とても面白い作品だったが、いかんせんラストがちょっと強引で稚拙さを感じる。最新作の「さんかく」は非常に洗練されているだけに、これから先が楽しみな監督だ。個人的に蒼井そらの起用はばっちりはまっていたと思う。 [DVD(邦画)] 5点(2010-12-25 19:24:16) |
7. ナイト&デイ
《ネタバレ》 やっぱりアクション映画はこうでなくちゃ!「細けぇこたぁいいんだよ!」という完全な開き直りで、ひたすら派手なアクションときれいな風景で観客を楽しませてくれる。それにしてもキャメロン・ディアスは老けたなあと感慨に浸る暇もなく、舞台は変わるわ敵は変わるわで大忙しだった。冒頭の飛行機の中のシーンやブルックリンそしてカリブ、アルプス列車での死闘、ザルツブルクからセビーリャまでリアリティを無視して世界を股にかける007ばりの嘘くささが痛快。 キャメロン・ディアスはコメディエンヌの面目躍如だし、意外とトム・クルーズの無敵の勘違い野郎ぶりも悪くなくて、2人の掛け合いに上映中笑いっぱなしだった。Without me! With me!とか名台詞もあるし。トム・クルーズ扮するロイ・ミラーの褒めて伸ばす指導により、ジューンがどんどん強くなっていくのも面白い。 それにしても、西部劇からサスペンス、ラブ・ストーリー、心理もの、そしてこういうアクションコメディまで作れるマンゴールド監督はなかなか多彩な才能を持つお方のようだ。敵はすごい勢いで死んでいくが、見に行って決して嫌な気持ちになることはない快作だ。2人の立場が逆転する爽快なラストも、お約束だが嫌いじゃない。劇場で観てよかった。 [映画館(字幕)] 8点(2010-10-10 20:18:43)(良:3票) |
8. ナイロビの蜂
どう感想を書けばいいか分からない。今、観終わって呆然としている。傑作だと言うことは確かなのだが。まずは、無難に映像から褒めることにしよう。アフリカが美しい。名作「シティ・オブ・ゴッド」と同様、その美しい色彩には息を呑むばかりだった。終わり。だが、これだけでは、この映画を薦められていない。ちゃんと感想を書かなければいけない。 この映画が美しいのはもちろん、色彩ばかりではない。その愛が美しいのだ。ジャスティンとテッサは、お互いの違いを認識した上での愛だった。まず、それをきちんとこの映画は描けている。テッサは非常に魅力的だ。彼女は子どもだ。大人の世界が分からない。分かろうともしない。だが、子どもの言う事は間違っていない。黒を黒と言い、白を白と言う。でも、それだけじゃあ本当に単なる「子ども」に過ぎない。彼女の死後、ジャスティンは彼女の「大人」な面を知る。彼女は理解されないことを恐れて、夫に自分の活動を黙っていたわけではない。彼女は夫を守ったのだ。命と真実がもたらす苦悩から。ジャスティンは彼女の死後、初めてその事実を知る。そこから、彼が彼女の足跡をたどり、死んだ彼女との愛を深めていく過程は非常に感動的である。愛が人を動かす様をこれほどまで悲しく、美しく描いた作品はないだろう。 エンディングが議論を醸しているが、僕には当然の、これ以外はありえない結末だった。非常に優れた「恋愛映画」だった。 [DVD(字幕)] 9点(2007-12-15 01:35:31) |
9. 眺めのいい部屋
《ネタバレ》 恋愛は自由が一番だよね!そうだよね!という極めて一面的な価値観がベースになっており、話に厚みが無い。もう少しはセシルを魅力的に描かないと不公平だよ。一方、セシルの対立軸のジュリアンも微妙。ずっとふさぎこんでいる→恋愛する→元気!いやいやいやいや、そんなに単純な人間そうはいないよ。友達にこんなのがいたら、かなり引きます。まあ、超イケメンなんですが。。。三角関係に加え、ルーシーの弟・母・従姉、ジュリアンの父、牧師やアラン姉妹なども加わり、登場人物多すぎで、とっ散らかり気味なのもマイナスポイント。ルーシーのピアノも筋にうまく絡まってないし。 とまあ、散々ダメ出ししたわけですが、ダニエル・デイ・ルイスの演技力と美しい風景に免じて5点つけます。この映画をお好きなレディーの皆様には誠に申し訳ないですが、無骨な九州男児の遠吠えと思ってお見逃しください。頓首。 [DVD(字幕)] 5点(2007-11-11 00:12:12) |