4. 長い長い殺人
原作では擬人化された財布が主観となって物語りは進む。その語り口は小説らしく読者の想像力を掻き立て、ありがちなサスペンスを意味深いものにしている。そして、各登場人物のエピソードと重なり事件の全体像へと進む過程をじっくり推察できるのが魅力なのだ。あくまで文字だけの世界だから成し得る面白さなのであり、そのまま映像化すれば=面白いことにはならない。この手の作品の映画化は非常に難しいと思うし、脚本や演出にしたって相当な技量が要ると思う。ただ、それ以上に感じたのは「観客をどう見てくれるか」という配慮がかなり欠けていた点である。 そういう意味で原作を単に映像化しただけに過ぎないのが残念で勿体無い。 [DVD(邦画)] 4点(2010-04-17 12:21:19) |