1. ニューローズホテル
ウォーケンとデフォーを対決させて、こんなわけの分からない作品だとは・・・。ショットはひたすらアップばかりだし、出てくるのはひたすら台詞だけ。登場人物の各行動もほとんど趣旨不明。何か前衛的なことがしたかったのかもしれませんが、それを探る気力も起きません。 [DVD(字幕)] 2点(2024-06-29 01:50:54)《新規》 |
2. 22年目の記憶
《ネタバレ》 1972年に、南北首脳会談に備えて、韓国大統領の事前リハのため、ある役者が金日成を演じる特訓をさせられる。しかし、彼は自分自身を金日成だと思い込むようになり・・・という、何とも興味引かれる出だし。その特訓の過程を描く前半は、焦点を絞った演出がびしびし決まっていて、この突飛な設定にも納得させられる。一転して後半は、成長した息子視点になり、若干コメディチックな方向にも振れているが、それはそれで良い。「なぜか息子をサブキャラの美女が慕って追いかけている」とか、「なぜか最後にあのラスボスが登場する」とか、韓国映画らしい無理矢理さもあったりするのだが(大体、あのアルツ状態の主人公を、そういう重要な国家機密プロジェクトに使うか?とかいうツッコミはなしで)、その辺も何となく映画全体の中で収まっているのが、作品としての芯の強さを物語っている。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-06-22 20:14:03) |
3. ニューヨーク、アイラブユー
《ネタバレ》 各短編は上品にまとまってはいるし、切れ味を感じさせる作品もある。しかし、技巧に優れてはいても、「えっそれだけ?」で終わってしまうものがほとんどなので、後には残らない。ところどころでシーンの順番をシャッフルしたり登場人物を絡ませたりしているのも、単調さを避けようとしたんだろうけど、それほど効果的に機能しているわけではない。最後のウォラック&リーチマンは、一言の中に背景と意味を込められる演出と演技が展開されていて、ここで初めてドラマを感じました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-14 02:07:28) |
4. 2/2
《ネタバレ》 芸術家っぽい男と編集者っぽい女が出会うんだけど、ある日女はベトナムへと去り、男は女を捜し続ける。という枠組なのですが、女の回りには悪夢みたいな怪奇現象が頻発して、むしろホラー作品のような描写です。心理的な影響を言いたいんだったら、映像そのものでびっくりさせたり怖がらせたりするんじゃなくて、日常生活の中にさりげなく現れる不可解さの角度から行かないと、逆に怖くないんだけどな・・・。また、肝心の男女の関係も、男が追いかけるという設定ありきで進んでいますし、女の幼少時のエピソード云々の部分も、現在と上手く絡んでいるわけではありません。というわけで、作品に入れたものすべてがばらばらなままに終わってしまいました。 [DVD(邦画)] 3点(2024-04-08 21:54:44) |
5. 二重心臓
《ネタバレ》 夢野久作原作の映画化に挑むとはまた難易度の高いことを、と思いつつ、その心意気は買おうと思っていた。しかし、まったくそれ以前の問題でした。最初、刑事らしきオッサンが過去のある事件を延々と説明する。説明台詞ではなくて「説明」する。その後も、各場面で、登場人物はただストーリーを喋っているだけ。最後は延々と舞台をそのまま映して、はい終わり。輪をかけて、照明やカメラは、テレビドラマレベルどころか、ワイドショーの再現ドラマレベル。これは映画ではありません。 [DVD(邦画)] 1点(2024-03-18 22:07:07) |
6. 日本の仁義
《ネタバレ》 タイトルとキャスティングだけで十分期待は高まるのですが、それほどでもありませんでした。各シーンはどれも細切れで、何かが完結する前にサクサク次に進んでいきます。1つの組の崩壊みたいなのがテーマっぽいのですが、それも予定調和的にしか見えません。原因は何かと考えたのですが、やはり、根本的なところで、大阪弁を使いこなせていないのではないかな(広島弁ではあれほどみんな輝いていたのに・・・。というかここでの方言って、アクセントなんかも妙に上品で、むしろ京都弁とかに近くない?)。●出演者の中では、フランキー堺がなかなか異色の存在で、しかも重要な役を割り振られているのですが、やはり無理がありました。というかこの人って、どんなシビアなミッションを課されているときでも、すぐにサボってどこかに遊びに行きそうに見えるぞ(←褒め言葉)。ほかの皆様も何か消化不良気味で、唯一光っていたのがヤクザ役ではない林隆三の怪演、というのが皮肉でした。 [DVD(邦画)] 5点(2023-11-26 00:12:27) |
7. 2046
もしかしてこれ、「81/2」的なものがやりたかったんでしょうか?であるにしても、すべてが中途半端で表層的で、ただの思いつき映像の羅列にしかなっていませんが。トニー・レオンは、どう見ても誠実そうで、そういう刹那的な生活を送っているようには見えない。女優陣は豪華メンバー勢揃いのはずなのに、全然使いこなされていない。この監督の作品にはもともと自己満足的傾向がありましたが、それが思いっきり加速しています。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2023-09-26 01:03:15) |
8. 日曜日が待ち遠しい!
邦題から勝手に、ルンルンでハッピーなコメディを想像してしまっていました・・・。やたら怖そうなサスペンスがずっと続くのにびっくりしましたが、しかしそうであっても、全体的に同じようなシークエンスが繰り返されているだけであって、メリハリや解決がありませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2023-07-30 00:07:17) |
9. ニューヨーク・ストーリー
それぞれの話も特段面白くないが、この3つをつなげる必然性がどこにもないので、何のために作ったのかさっぱり分からない。タイトルにニューヨークを謳うべき必要性も分からない。 [DVD(字幕)] 3点(2023-05-31 23:42:32) |
10. ニューヨーク・ドール
《ネタバレ》 70年代前半に2枚のアルバムを残してあっけなく解散したニューヨーク・ドールズなのですが、今から考えるとこれって同種の音楽ではずっと早い時期だったし、またグラム・ロックとパンクの架け橋としても重要なバンドでした。そのドールズというよりも、ベーシストのアーサー・"キラー"・ケインに一点集中したドキュメンタリーです(よって、タイトルが単数なのも多分意図的です)。解散後には30年近くにわたってまったく目立たない窮乏生活をしていたのですが、モリッシーが企画した2004年のイベントでの再結成ステージに誘われます。そこで、質に入れていたベースも取り戻し(!)、また長年冷えた関係だったデヴィッド・ヨハンセンとも和解します。その中で、最初はうらぶれたオッサンだったアーサーが、輝くステージ・ミュージシャンとして再生していく過程は、なかなか感動的です。しかも、撮ってるときは誰も思わなかったのでしょうけど、その再結成ステージの約1か月後には、アーサーは急逝してしまいます。その意味でも貴重な映像です。もっとも、再結成をきちんと意義づけるためには、まず70年代当時の映像がもっとなかったのかな、とも思いますが、活動歴が短かったバンドだから、まあ仕方ないか。それと、インタビューでイギー・ポップとかクリッシー・ハインドとかミック・ジョーンズまで出しているんだったら、あんな細切れコメントの連打ではなくもっとまとまった編集ができなかったのかと思いますが、そのスピード一直線な作り方も、それはそれでパンキッシュとは言えるのかも。 [DVD(字幕)] 6点(2023-01-30 12:38:33) |
11. 西の魔女が死んだ
最初の5分くらいで、ナレーションを含めた台詞が揃いも揃って説明台詞であるのにびっくりしたが、その後もそのまま進んでしまうのにもっとびっくりした。映像の色彩感覚でごまかそうとはしていますが、中身のなさは隠すことはできません。肝心のおばあちゃんも、とりあえずいい人っぽく撮っているだけで、わざわざ後からの回想で主人公に位置付けられるほどの際立った存在はありません。 [CS・衛星(邦画)] 2点(2023-01-24 01:27:15) |
12. ニール・ヤング/ハート・オブ・ゴールド ~孤独の旅路~
《ネタバレ》 ジョナサン・デミは、「ストップ・メイキング・センス」でも、映すのはひたすらステージ上、観客席は一切映さない、という手法でやってたけど、今回もそれは共通です。もっとも、ステージ上そのものにいろいろ演出があったヘッズと異なり、こちらは割と淡々と、しかも場所にちなんでかカントリー系の曲中心に進行するので、地味な印象は拭えないですね。ただそんな中でも、カメラはぶれずにきちんと一つ一つの対象を捉えていますし、ニールのヴォーカルの説得力は健在です。●しかししかし、そんなことよりも、私にとって最大の衝撃は、女性バックヴォーカルの1人のダイアナ・デウィットって、90年代に2枚のアルバムを残したAORポップ・デュオ、Venus & Marsのヴォーカルのあの人じゃないですか!!!!!まさかこんなところで動く彼女にお目にかかれるとは!!導入部のクレジットでそれに気づいて以降、実はステージでもずっと彼女ばかり目で追いかけていました。すみません;; [DVD(字幕)] 7点(2023-01-01 02:27:17) |
13. 人間の証明
《ネタバレ》 まあ、突っ込みどころは一目で満載なんだけど、とりあえず、ストウハネタとか、恭子の過去とか、シュフタンの過去とか、結局の真相とか、そういうネタ割の数々を序盤から次々にあっさりと流してしまっているのは、見る側をなめていると思われても仕方ないのではないか。小山田と新見の側から見たストーリーがばっさり落とされているのも、手抜き以外の何物でもない。つまり、出来としては原作冒涜でしかないということです。映画的な見どころは、結局、最初のところでの刑事衆の揃い踏みくらいでした。あとはやっぱり、ホテルマン役で登場、昔取った杵柄の森村先生でしょうか(笑)。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-11-22 00:24:38) |
14. 女系家族
《ネタバレ》 いや、もう、何というか、これぞまさにドロドロ映画ですよ。三姉妹の存在的重量感だけでただごとではないのに、それに浪花千栄子大姐御が被さって加わってくるわけです。番頭やその妻だってろくでもないし、端役に見える山守にも見せ場ありだし、そうそう田宮二郎兄貴だってどうしようもないです。皆が皆、当たり前のように我の利益しか考えていません。この徹底ぶりはむしろ爽快です。それに対峙するのが若尾様なのですが、当然ながら無力です。しかしその、虐げられるほど滲み出てくる色気が、その他全員のむき出しの欲得と拮抗しているという、不思議なバランスを見せつけています(そしてそれがラストのカタルシスにつながることはいうまでもない)。ホネはシンプル(つまりは遺産相続という一点の枠内のみ)なのに、演技と演出でここまで面白くできる。ドラマとはこうあるべきです。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-10-04 02:25:12) |
15. NY検事局
《ネタバレ》 前半の成功一直線部分があまりにも平凡すぎて薄っぺらいので、肝心の後半が全然生きていません(それにしても、あんな誰が見ても「勝って当然」の筋の事件で勝って大喜びしてる検事局って・・・)。邦題も工夫なさすぎ。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2022-05-20 00:31:13) |
16. ニュルンベルク軍事裁判〈TVM〉
《ネタバレ》 一番びっくりしたのは、「そもそも裁判所をどこに作るか(物的な意味で)」「判事の構成はどうするか」「手続はどうするか」といった点を一から決めていたこと。まあ確かに、そういうことを決めたルールって存在しなかったのだから、そこから始めていくしかない。しかしその部分にこそこの一連の手続の根本目的が表れるわけであって、いきなり開廷とかではなく、その前置きにもきちんと着眼した点については評価したい。そしていざ開廷してからは、名前だけは聞いていたあの人この人が怒濤の登場です。その中でもゲーリングとシュペーアを対立軸のようにして進むわけですが、ごく限られた時間の描写ながら、それぞれの人物の特質に切り込んでいます。一方で、首席検事と秘書のどうのこうのとか、ゲーリングと看守のどうのこうのとかについては、エッセンス程度に入っているならまだしも、あそこまで時間はとらなくてよかったと思うけどなあ。それならば、ほかの被告人の描写にも時間を割いてほしいところでした。 [DVD(字幕)] 7点(2022-05-05 13:20:03) |
17. 女体渦巻島
《ネタバレ》 タイトルは何じゃそりゃというか、ほとんど中身と関係ないのですが、とりあえずB級感満載のギャング映画です。ちょっと影のありそうな謎めいた主人公が登場するのですが、もっともらしい難題が提示されつつ、その割には都合良くサクサク進みます。そしてあっけなく終わってしまいます。バーのカウンターでショットの中身を見破るようなキザな場面がもっと見たかったのですが、むしろああいうシーンこそがこの作品では例外なんでしょうね。 [DVD(邦画)] 4点(2022-03-28 01:46:16) |
18. 日蓮
《ネタバレ》 「当時は異宗とされて迫害も受けていた日蓮宗の始祖」ということは知っていても、それ以外のことは知らなかった日蓮の伝記もの。青年期からの一生を(回想も交えて幼少期も絡めるなどして)丁寧に追っていますが、限られた時間の中なので、例えば流罪にあった→えっもう戻ってきたの、みたいないきなり高速度な場面もいくつかあります。ただその中でも、「とにかく法華宗を全国に広める」という生涯の目標は一貫されていますし、また、歌舞伎で鍛えた錦ちゃんの力強い発声は、辻説法で人々の心を捉え、最高権力者の執権相手でも平然と対峙した主人公にぴったり合っています。難点は、序盤と終盤に顕著なナレーションがものすごく邪魔なことと、この豪華キャストの使い方が超雑なこと(そこそこ出番があって物語上の存在の意味があったのって、松坂慶子と田中邦衛くらいでは)。 [DVD(邦画)] 6点(2022-01-13 01:47:10) |
19. ニコライとアレクサンドラ
《ネタバレ》 主人公がニコライ2世であるというだけで、もう最後の悲劇は分かってしまうので、前半の壮麗な光景の数々も、そして4姉妹の無邪気な笑顔も、見ていて何とも言えない気分になってしまうのですね・・・。●前半の(映画上の)MVPは、何といっても怪僧ラスプーチンです。華麗な衣装の各キャストの中に、凶報を告げるカラスのごとくひっそりたたずむ黒マント。長身と目力、長髪と髭。この人の名前を聞いて反射的に「ラ!ラ!ラスプーチン!」とつい歌ってしまう私達にも、正確な姿と、そして歴史上の位置づけを伝えてくれます。●レーニンやスターリンも本物そっくりの役者を使っているのも唸りますが、最初にちらりと出てきたそのボルシェヴィキ連中が、中盤過ぎまで画面から姿を消していながら、政府の崩壊とともにあっという間に権力を掌握する逆転の構図。その間の転換点となっているケレンスキーの描写も的確で、既存体制に対する革新側と思っていたら、いつの間にか革新される側になっていた、という皮肉も込められています。●それと反比例して進行していく、皇帝一家への容赦ない扱い。そして最後、あらかじめ分かっていたそのシーンの手前、無音・無言の間がもたらす、絶望的な暗黒のインパクト! [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-07-14 00:06:32) |
20. ニノチカ
《ネタバレ》 いやー、これは凄い。冒頭のところでとりあえずソ連をおちょくっておいて、それをマクラにするのかと思ったら、何とそのままごりごり進んでいく。十分地ならしをしたところで、いよいよガルボ登場。これぞスターの登場です。そしてそこから怒濤のように展開されるガルボとダグラスの切り返しの数々。バリバリの共産党官僚と、脳内すべてピンク色のフランス男(そう、ソ連だけではなく、どさくさに紛れてフランスもおちょくっています)の邂逅という設定をフルに使い切っています。そして溜めに溜めた後で炸裂する、ガルボの大笑いのインパクト!笑顔がすべてを乗り越えるというシンプルにして強靱な世界観!さらに後半は一転して、国境を越えたメロドラマへと発展します("Censored"の大映しの威力も凄い)。いやいや、こんなに洗練されたロマコメが、80年以上も前にあったとは思いませんでした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2021-05-27 01:20:01)(良:1票) |