1. 日本沈没(2006)
《ネタバレ》 <原作・オリジナル版未見。今作のみの評価> こりゃヒドい。内容はまさに「ドラゴンヘッド」+「アルマゲドン」。オリジナル未見なので先入観を持たずに見たつもりだが、それ以前の問題。とにかく人間描写から演出全般、登場人物のエピソード、セリフ回しに至るまで、全てが陳腐でセンスが無い。「ヒナを助けようとしてあなたまで落ちちゃって」とか、「命より大事なものがあるの。人を好きだっていう気持ち」とか、「オモチャを取り上げられた子供みたいね」とか、「溶岩でもんじゃを焼いて食っちまえばいいんだよ」とか、「君に会えて良かった」とか、どうしようもないセリフのオンパレード。 感動演出も露骨で押し付けがましい。自分の弱さを吐露する玲子の口をキスで塞いだり(このシーンはマジで寒気が走った)、死ぬ決意を持って別れたのに、ヘリに乗り込むところでまた玲子と会わせてダラダラと抱擁シーンを見せつけたりと、今どき少女漫画でもやらないような寒々しい三文メロドラマにウンザリ。クドくなってるだけだって、何で分かんないの?監督さん。「草彅と柴咲のラブシーンを増やしましょうよ!」っていう芸能事務所からの圧力?感動させたいなら、ヘリのシーンは間に合っちゃダメだし、間に合わせたいなら前日のテントでのシーンは不必要。 まあ、無関係な美咲を助けて自分の着ていたジャケットをかけてあげるという押し付けがましく記号的な偽善的導入シーンから、その後、惹かれ合う理由も無いのに恋愛ドラマが展開されるシーンに至るまで、だいたい予想はついたが、ここまで演出全般にセンスが無いとは思わなかった。 草彅剛を始め、メイン登場人物の演技もヒドいけど、これに監督の演技指導やセリフの陳腐さが拍車を掛けている(豊川悦司がパソコンのモニターを「ふざけんな~!」と殴るシーンには大爆笑)。 おまけに日本は沈没しないというオチ。リメイクに当たって解釈を変えるのは良いとしても、コレはどう見ても、製作サイドの「アルマゲドンみたいにしたらウケるよね。大作っぽいし」というアホで自己満足的変更に過ぎないだろう。 本当は0点だけど、CGや特撮担当のガンバリに敬意を表して、せめて1点献上。 [DVD(邦画)] 1点(2007-05-30 23:38:10)(良:1票) |
2. NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE
《ネタバレ》 予想していたよりはずっとマシ。比べるのも失礼だけど、同じ実写作品でも「デビルマン」などとは比較にならないほど良心的な作り。さすがにキャラには違和感があるし、特撮、アクション、その他もチープではあるけど、これはこれとして別物と見れば、それなりに見れるものにはなっている。 「キューティハニー」もそうだったけど、実写化が難しい作品でありながら、あえてそれを選び、割り切るところは割り切って、娯楽映画として楽しめるように作ってある点には好感が持てる。 ただ、さすがにこれを劇場に1800円を出して見に行っていたとしたら、もう少し評価は下がったと思うけど(w。 [地上波(字幕)] 5点(2006-01-08 18:13:39) |
3. 二重誘拐
《ネタバレ》 まず邦題が悪い。この内容のどこが「二重誘拐」なのか?てっきり、最初の誘拐は伏線で、真の目的として別の誘拐事件が進行しているという作品かと勘違いしたじゃないか。 実際は謎解きどころか、サスペンス要素すらほとんど無い、ただのオヤジふたりの愚痴愚痴ハイキング(w。誘拐と言う設定は、オヤジふたりの対照的な人生を語らせるための舞台装置でしかない。 その語られる内容も、「リストラ」とか「家庭不和」とか「人生は不平等」とか、誰でも共感できる話ではあるものの、それによって観客に訴えかけるべき「テーマ」や「新しい視点」に特化しているとは到底言えない非常にありきたりなもの。おまけにこれと言ったオチも無し。あえて外しているのかも知れないが…。 まあ、リアリズムに拘るのもいいけど、映画として面白くなければ無意味。金を取る商品である以上、まずは「観客ありき」の映画作りを目指してもらいたい。 [ビデオ(字幕)] 2点(2005-04-17 11:34:38)(良:1票) |
4. 21グラム
《ネタバレ》 現実にもありそうな悲劇で、出てくる人物すべてに感情移入が出来るものの、映画として見ると、中途半端にリアルな分、ドラマとしてもサスペンスとしても弱くなっている。 時系列をバラバラにして謎めかしてあるのも、その脚本の弱さを目立たせなくするための「手段」でしかなく、ストーリー構成上の「必然性」がほとんど見られない。そういう観点でなら、まだ「メメント」の方が、パズルに徹していた分、意味のある脚本構成だった。 ラストもどんでん返しがあれば良いという訳ではないが、ここまで思わせぶりな展開で引っ張っておいて、最後はいまいち意味不明な自殺で尻つぼみ気味に終了されては、色々な意味ですっきりしない。解釈を見ている人にまかせているような終わり方も、単にどう収拾をつければベストなのか分からなくなった監督の苦肉の策という印象。 「悲劇により齎された命を永らえること無く、自ら命を断つことで、新たな悲劇の循環を未然に防ぐ」という物語であろう事は理解できるものの、結果的には、誰一人救われていない訳で、その「悲劇性」をやたらと強調した、バッドエンドを狙いすぎている展開が鼻につく。 [ビデオ(字幕)] 5点(2004-12-28 13:06:08) |
5. ニューオーリンズ・トライアル
陪審員制度の問題点や、銃社会に対する警鐘という側面に関してはあえて触れません。 そうした問題提起の価値以上に感心させられたことは、監督が社会派サスペンスを撮りながらも、映画に対してエンターティメントの意識を強く持っている点です。 二時間以上ある作品にも関わらず、まったく飽きさせず最後まで見ることが出来るのも、それだけ観客の立場に立った作品作りが成されている証拠でしょう。それゆえに多少のご都合主義や無理のある部分もあまり気にせず、作品に没頭して楽しむことが出来ます。 8点(2004-11-27 11:50:30) |
6. 28日後...
《ネタバレ》 ロメロ「ゾンビ」三部作に対するオマージュ作品。と言うと聞こえは良いけど、ちょっと厳しい言い方をすればパクリ(笑)。「ゾンビ」+「アウトブレイク(バイオハザード系)」の劣化コピー。と言うか、もうほとんど「ゾンビ」。これではいくら何でもオリジナリティが無さすぎる。 「何かの原因で人類がほぼ死滅」→「生き残った人間が出会う」→「色々と彷徨う」→「落ち着き先が見つかる」→「人間の欲望やら対立のせいで破綻」→「それでも生きて行こう」→エンド。やはりこの手のサバイバルホラーの展開としてあまりにもありがちで意外性が無い。もう少し独自の解釈や演出が見たかった。 また、前半の無人の廃墟と化した都心の雰囲気はよく出ているが、単に「人がいない」ってだけで、凄惨な殺し合いや暴動のパニックがあったであろう形跡がほとんど無く、むしろ綺麗過ぎることに違和感を感じる。 ウィルスに感染した人間も、別に日光に弱いわけでもないのに、普段ほとんど目につかないというのも疑問。あと、これも他の方の指摘にもあるように、血液感染(しかも粘膜や傷口についた時のみ)しかしないウィルスが、わずか28日でイギリス全土に蔓延するなんて、ちょっと考えられない(空気感染したら映画にならないからだろうが、こういう基本設定に説得力が無い)。 それと今回は、後半、それまで普通の(むしろ弱い)主人公の青年が、突然、軍人も顔負けの戦闘力を発揮するシーンにもかなり違和感があった。途中過程の人間ドラマにも特筆する部分も無し。せめてラストにかけて意外性のある展開を見せてくれていれば多少は評価も出来たんだけど…。はっきり言って「ゾンビ」という優れた作品ありきの劣化コピー品。 PS.この映画を面白いと思った人も思わなかった人も、もし未見なら、ぜひロメロ「ゾンビ」三部作を見ることをお奨めします。 [DVD(字幕)] 4点(2004-08-25 04:04:46) |
7. 2001年宇宙の旅
《ネタバレ》 時代を考えれば、「人間と進化」という哲学的な命題に取り組んだ事や、宇宙船などのデザインセンスは群を抜いていると思うし、後のSF映画に多大な影響を与えたというのも頷ける。 ただ、さすがに今見ると、この手のテーマ自体が既に陳腐化していているし、また、こうした「答えの無い」深遠で難解なテーマを、神の視座からそれっぽい「雰囲気」で味付けしているだけの映画にしか見えない。はっきり言ってイメージ表現が抽象的すぎて分かりにくいし、「人類は道具を持った事で進化したが、それによって殺し合いを始めた」という、監督の人間に対する考察も薄っぺらい。 全体的にスローテンポで、無駄に思われるシーンがダラダラと続くというのも頂けない。この作品の先進性には敬意を払うけど、個人的な評価はこの辺りが限度。 [ビデオ(字幕)] 4点(2004-01-04 08:35:27) |
8. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
《ネタバレ》 <完全版のみの評価> 一般的には名作との誉れ高い今作も、感動させる事が目的で作られたようなあからさまな脚本には個人的にどうしても馴染めなかった。 時の流れの無常さ、その中で生きる人々の成長や挫折、男女の恋愛と別れ、郷愁と哀感etc.etc...。どれも映画や小説などでよく使われる普遍的なドラマの羅列でしかなく、その「泣かせるためにお膳立てされた感動の押し売り」がどうしても鼻につく(心の拠りどころである映画館が火事になったり、わざわざアルフレードを失明させたり…。こういう「人の不幸=乗り越えるべき試練=感動」、というような三段論法が押しつけがましく感じてしまう)。恋愛ドラマも、トトの一目惚れというだけで、ろくに心通わすイベントも無いのでは、後々の感動にも説得力が足りない。 少年時代、青年時代、そして、映画監督として成功を収めたサルヴァトーレの壮年時代という三部構成のせいでストーリー展開に統一感が無く、あまり必要があるとは思われないシーンがダラダラと続いて退屈。 [ビデオ(字幕)] 3点(2003-11-16 16:19:54) |
9. 肉片の恋
み、短い…。いかにもシュヴァンクマイエルらしい作品。もう少し長くして欲しいな~。でも、短いからこそ、あっと言う間に食われてしまう肉片の運命に人間の無常観を重ね合わせることが出来るのでしょう。 7点(2003-10-25 00:57:20) |