1. 日本のいちばん長い日(1967)
2年後に大戦勝を扱った日本海大海戦で東郷と乃木という陸海の2大偉人を演じる三船と笠が、敗戦映画で阿南陸相と鈴木貫太郎首相を演じているのが皮肉に思えた。史実を扱った歴史物で高い構成力と迫真の映像で理解するだけではなく楽しめ、それもハリウッドにはないタイプのエンターテイメント大作と評価できるが、ただ唯一鼻につく点が、まるで反乱軍の連中を気が狂った狂乱者のように描いていることだ。彼らが罪を犯したのはもっと作戦行為に基づくものであったと思えるのだ。そもそも彼らは軍人であり、しかも洗脳的と言ってしまっていい教育を受けていたのだから、狂信と狂乱は違うことを区別しなければならない。まるで彼らが(気狂いかのような)異常なテンションで、逝ってしまっている目をしていたように描くのはやりすぎである。確かに陸軍の考えは今思えば完全な暴走であるが、彼らは本気で勝つつもりいたのだ。彼らを異常者だと非難するのは筋違いで、そもそもそのメンタリティが無ければ日清戦争にも日露戦争にも負けていただろう。 [DVD(邦画)] 7点(2009-07-03 18:33:05)(良:3票) |
2. 日本海大海戦 海ゆかば
1969年のモノと同じく東郷は三船。しかし日露戦争を政治がらみのアウトラインから読める「歴史映画」である1969年版と比べてなんとも拍子抜けする内容。何で綺麗事でまとめようとするかな。どのような敵とどう戦って何故勝てたのかすら描けてない内容ゼロの戦闘部分も含めただのお涙頂戴モノ。しかも意味もなく気の強い三原や主役の沖田など、程度の低い学園アイドル映画に成り下がっている。80年代の平和ボケの極みに生みだされてしまったクズだろう。戦争は幼稚園のお遊戯大会じゃないんですよ。今作の廃れた特撮を見ていると円谷の特撮がどれだけ偉大だったかがよくわかる。 [DVD(邦画)] 1点(2007-08-05 04:42:33) |
3. 摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に
コメディアンとしては最高の部類に入るマイケル・J・フォックスですが、決して肉体的に優れていないマイケルにこういうヒロインを引っ張らせるラブロマンスやらせたらダメなのでは。かつてトム・クルーズとニコール・キッドマンのカップルを見たときに似たある種の滑稽さが感じられました。SITCOMのレベルのオフィスラブコメディドラマにして欲しかった。彼の才能はそこでこそ生きますから。 [DVD(字幕)] 6点(2006-08-06 04:43:06) |
4. ニュースの天才
捏造といえばかつての湾岸戦争の「油にまみれた水鳥」、日本でも朝日の「サンゴ捏造事件」や毎日の「百人切り報道」なんてのもあるが、特定の思想に乗っ取った組織ぐるみの捏造事件である感があるこれらの事件とは違い、取り立てて重大事件ではなくゲンダイの記事が日経に載っていたというレベルの話で、さらに個人の過失に過ぎないこの事件が殊更に取り上げられる必要性はあったのか疑問である。他人に責任を押し付たり、その反省の無さ、往生際の悪さといいはっきり言って救いようのない人間だが、暇だと夕刊フジや日刊ゲンダイを読みながらにんまりしてしまう私のような人間にはこのような記者の存在は否定できない。これらの新聞の記事が捏造多数かどうかは別として面白い記事というのはやはり読ませる一つの才能である。考古学会をひっくり返した石器捏造事件、今話題の黄禹錫ソウル大教授ES細胞論文偽造などにも繋がる話で、一度名声を獲得し期待を受けた人間の快感と重圧というものは計り知れないものがあるんでしょうなあ。 [DVD(字幕)] 6点(2005-12-25 20:01:08) |
5. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
映画が民衆にとって娯楽の王様だった時代から、次第にテレビ他に移り変わっていく時代の流れを、昔ながらの親父のような近所のおじさんと悪ガキの人間ドラマを交えて描く。過去の大作やスターが所々に登場するのは映画ファンにはうれしい。長すぎて完成度がイマイチだったが、こち亀風味(実際かつての映画館に纏わる似たような話は取り上げている)の良いノスタルジックムービーだった。涙を誘うための演出やストーリーも練りに練られ、涙する映画が好きな人には最高傑作になりうると言ってよい。なのだが完全版はあまりにも冗長でストーリーに集中できない。ノーカット完全版が必ずしも良いとは限らないと実感させてくれた映画。これから見る人はノーマルバージョンを見たほうが良いでしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2005-08-29 09:06:40) |
6. 日本海大海戦
明治時代の日露戦争で、東郷平八郎率いる日本艦隊がほぼ無傷のまま当時世界最強と言われたロシアのバルチック艦隊を壊滅させ世界に衝撃を与えたという有名な日本海海戦を描いた映画。203高地の戦いも含めた日露戦争の経緯、当時の政府の考え方まで補足した興味深いストーリーももちろんだが、やはり最大のポイントは円谷の特撮につきる。元来単調になりがちな艦対艦の戦闘を、当時の技術でここまで迫力のあるものに仕上げた特撮には感服するばかりである。今でこそCGなどで差が出ない特撮分野だがこの頃の日本(特に円谷)映画の特撮は極めて優れていると思う。また三船の東郷はかなりのはまり役で、タイトルも内容も知らず、たまたまチャンネル変えた瞬間に映った顔を見て、「あ、東郷の映画かな」と思ったほど容姿から何から何までイメージ通りであった。 [DVD(邦画)] 10点(2005-08-05 13:22:08) |
7. 2001年宇宙の旅
とにかく冗長。纏めようとすれば1時間の作品にできたのでは。映像を「理解」したあとも延々と同じ画面を見ることを強いられる。真っ黒の画面を二時間見させられるのと大して変わりませんよこれは(いや、真っ黒の画面を二時間眺めることのほうがまだ創造的かもしれない)。じゃあ当時としては技術が凄いのかつってもそんなことはない。そりゃ某宇宙人形劇とかと比べたら数段優れてますが、猿の惑星と同じ年の映画でしょこれ。確かに映像は綺麗で芸術性は認められる。ただ「哲学」の部分が回りくどすぎる。環境ソフトかと思えるほどエンターテイメント要素は皆無。これを見させられるのは退屈というレベルではなく、もはや苦痛というレベルで二度と見たくない映画を一つ挙げろと言われれば間違いなくこれを挙げるだろう。1点ではなく0点というのは監督の冒険に対する敬意であるが、俺にとっては映画は別に特別でなくてもいい。普通であれば良いのだ。 [DVD(字幕)] 0点(2005-07-31 18:38:53) |