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 > すかあふえいす さん
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プロフィール
コメント数 1047
性別 男性
年齢 30歳
自己紹介 とにかくアクションものが一番

感想はその時の気分で一行~何十行もダラダラと書いてしまいます

備忘録としての利用なのでどんなに嫌いな作品でも8点以下にはしません
10点…大傑作・特に好き
9点…好き・傑作
8点…あまり好きじゃないものの言いたいことがあるので書く

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1.  ニセものバズがやって来た 《ネタバレ》 
「トイストーリー3」系列の短編。 ポテト、おもちゃ、ハッピーセット?汚いバズ、綺麗なザーグ。 脚を縛るものを引っこ抜いてまで子供に遊んでもらいたいという想い、ハリボテの扉から外の世界へ! 溶岩の海、引き連り込むもの、取り換え後、なり替わり、侵入者。 バズの脱出劇、捨てられしものたちの集い、肉片は人型の化身となって来客を出迎える。 人生のボールプール、自己紹介、生々しすぎる叫び、やっつける(飛びつく)、思わぬ脱出のキッカケ、戻るのは仲間の下へ再び帰るために! おまえもオモチャだったのか!!
[DVD(字幕)] 8点(2016-09-09 16:19:31)
2.  二十四時間の情事 《ネタバレ》 
「ヒロシマ・モナムール(広島、我が愛)」。  「君は何も見ていない」という言葉は、アラン・レネ自身の自問自答がこの映画に刻まれているのではないだろうか。 「夜と霧」がそうであったように、人が殺された“跡”とそれを記録したフィルムを通して見たにすぎない。直接あの惨状を見てはいないのだ、と。 レネが冒頭で原爆の惨状を伝えるフィルムとして関川秀雄の「ひろしま」を選らんだのも、あの日を経験した・あの日に家族や友人を失った者が大勢参加したフィルムだったからだろうか。岡田英次も「ひろしま」に出ていたのだから。  原爆資料館、被爆者を治療する映像、それを再現した映画が重なり、2人の男女が情事にふけながら広島の話をするのである。いや、話すのは広島にとって外部の人間であるエマニュエル・リヴァ。岡田英次はそれを黙って聞くように彼女の体を抱き続ける。人の死が刻まれた映像と共に二人は新しい生命が生まれる勢いで性交を続けるのである。 「夜と霧」が「死」だけの描かれたドキュメンタリーとして終わったならば、この映画は「死」の次にある「生」を交えながら描こうとしたのだろうか。 さすがにあれだけズッコンバッコンされると平手打ちどころじゃないけど。岡田英次もちょっと殴りたくなったわ。  2人の男女は心の中に戦争の傷跡、見えない傷が刻まれている。家族を失った男、最愛の恋人を失った女。2人は共通の痛みで接近するし、また完全な理解者にはなれないだろうという心の距離も置いている。自分の故郷にいる岡田英次は尚更だ。それは英次にとってもリヴァの過去を知らないという問題が出てくる。  リヴァもまた自分の愛した軍人と、軍人として生きていた英次の境遇を重ねているだけ。同情?興味本位?疑問が浮かぶ関係の二人は心の底から愛し合っていない。冒頭で二人の肌を覆う灰?のような粉が消えていくのは表面上の事に過ぎない。  広島のデモ行進で呼び起される彼女の記憶・「手」に刻まれた忘れることのできない記憶。冒頭シーンからして手、手、手が映される。 広島が変わりゆく街並みの中で「あの日の惨劇を絶対に忘れるものか」といたるところで叫ぶように(デモのプラカード、写真や絵まで混ざる遺影の生々しさ、被爆した人間のようなメイクを施して祭りを見物する人々、メイクで背中の火傷を再現する描写など)、女も英次に恋人の面影を狂ったように求め始める。  リヴァが悩んだ次は英次が悩む。英次はリヴァの記憶を直接見ることは出来ないのだから。リヴァが思い浮かべる故郷ヌヴェールの姿も英次は恐らく知らない。この瞬間に2人の男女の間に決定的な心の壁が生まれる。 英次がストーカーまがいの行為までして彼女を追うのも、それが悔しくてしょうがなかったのだろうか。自分も彼女も何も知る事が出来ないという点じゃ一緒だ、と。  その見えない壁は、ラストでそれぞれの故郷の名で異性を呼び合う瞬間まで存在していたのではないだろうか。何て事を思ってしまう。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-19 13:06:26)
3.  ニーベルンゲン 第I部 ジークフリート 《ネタバレ》 
ラングによるファンタジー映画の大作。第一部「ジークフリート」、第二部「クリームヒルトの復讐」。 同じ大作でも「ドクトル・マブゼ」は謎解きと犯罪活劇の面白さがそこかしこに満ちていたが、この映画はそれほど緊張がみなぎる作品だろうか。 そりゃあ細部にいたるドイツ美術の見事さには目を見張るし、ジークがドラゴン退治をするシーンは中々迫力があって面白かったが、それまでの20分はちょっと退屈だった。  この2時間30分の第一部は、大いなる序章に過ぎない。 むしろ第二部の2時間10分、特にラスト50分の凄絶な復讐劇こそこの映画の真骨頂!なので、思い切って第二部から見て見るのも面白いかもしれない。   さて話を一部に戻そう。 おどるおどろしいドイツ語の文字がかもしだす雰囲気、虹のかかる山、林と住民、剣を叩き鍛える青年、それを見守る老人。 老人に完成した剣を見せ、空を舞い落ちてきたワタが切れる。このセリフの無い導入部の5分間、完璧だ。  日の光を背に立つ城、黒い影をまとい移動する兵士たち。  上記でも述べた竜退治の迫力!一見すると巨大なトカゲがのそのそやっているようで拍子抜けする(眼は可愛らしすぎるし)が、造形や動き・演出が凝ってる。噂を聞いただけで、劇中では実質何もしないまま殺されるドラゴン。オマケに眼も可愛気で何処か哀しい表情。これじゃジークがただのDQNじゃないか(え?原作も大体そんな感じ?)。 滝が落ち、木の影から剣を抜いて様子をうかがう。剣を振り上げ火を噴くドラゴンの眼をえぐる!喉をついて血が流れ落ちる。剣にベットリついた血の跡。鳥だけがその一部始終を見ていた。 滝のように溢れる竜の血を、水につかるように浴びる。この間わずか3分。  ジークの旅は続く。霧がたちこめ、木がうねった不気味な森の雰囲気、変な網で透明になり変装もできる魔法のアイテム、月夜が差し込む渓谷、奇妙な洞窟、映像を映す光の玉、石になる人々・・・。  影のようにうねる砂絵の迫力!鳥、光と闇。  一色触発の事態を止める真の主人公とも言うべきクリームヒルトの登場。どうでもいいけどマユ太い。殺し合いそうになった男たちが手を取り合い、そして再び殺し合う運命。  男勝りなブリュンヒルデとの対決。炎で埋められた大地、そこにそびえる城。 中性的な顔立ちのブリュンヒルデ。石投げ競争、投擲による一騎打ち。使い込まれた盾を砕く一撃。戦士から“女”の顔になってしまう。 腕輪、ドロドロになっていく関係、ジークとクリームヒルトの淡い結婚生活、萌える木々が枯れていく残酷さ、森の中での競争、眼と影で表現される“暗殺”。異様な影で表現される“下手人”。
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 21:04:04)
4.  ニーベルンゲン 第II部 クリームヒルトの復讐 《ネタバレ》 
二部から先に見て欲しいくらい。というか、二部の方が面白い。 亡き者の墓の前で建てられる誓い、フン族の王たちの蛮勇を利用する計画、黒衣は復讐の決意。普段は傷を負った兵士たちを励ますが、瞳の奥には復讐の炎を燃えたぎらせる。  従者が見てしまった真実、クリームヒルトもそれを見届ける。雪の下の土に眠る“愛した人”を布に包む。遠景で一行が去っていくショット、娘の決意を黙って見送るしかなかった人々の辛さ、楽器を城壁に打ち付けて憤りを表す。  出撃して突っ走る軍隊の疾走感。木の上から飛び降り、馬に乗り換えて迎う伝令のスピード。木の周りを裸で踊る子供たち、彼等に金を振る舞う兵士たちの気前の良さ。 蛮族の前で堂々と屹立するクリームヒルトの存在感!それを迎える蛮族のダンス。  ラスト50分、修羅場と化す酒宴。 密かに渡される武器、合図と共に切りかかる!弓矢の一撃、斧の投擲、二重三重の悲劇。 死者を弔いながら行進する人々、凄惨な殺し合いはエスカレートしていく。何度も押し寄せる群衆スペクタクル、死者を弔う暇もない、焼き討ち、パニックになり当たった矢を1本1本抜く姿。既に火はまわっているのに。 階段を駆け下り、崩れ落ちる瓦礫にまきこまれ重傷を負う者、燃えた瓦礫の中に消えていく戦士たち。滅びを見届ける演奏者。死者へのレクイエムは、阿鼻叫喚の地獄の中でどれほどの人間に届いたのだろう。サイレント映画だからこそ、その想像を掻き立てられる。 門の前で“待伏せて”いた男の一撃、“首”が無言で語る絶望・・・!
[DVD(字幕)] 9点(2015-06-09 20:59:04)
5.  日蝕と満月 《ネタバレ》 
ジョルジュ・メリエスが「月世界旅行」「不可能を通る旅(不可能な世界への旅行)」に関連するアイデアで撮った宇宙ものの作品の一つ。上記と比べるとSF色は薄く、ファンタジーの色合いが強い。  冒頭の授業風景、居眠りした生徒を叩き起こす様子、顔を持った太陽と月が重なり通り過ぎるまでのシークエンス、それを見つめる博士達の眼が心配(今の時代は日蝕を肉眼で見ると危険だという事がハッキリ解っているけど、当時はまだそれを知らない人間もチラホラいた事だろう)、星や流れ星、月たちに乗る人々の語らい、月に“乗船”した人々、星同士がぶつかり揺りかごのように揺れる星、流星群に夢中で落下してしまう会長(このシリーズは大抵何かが、誰かが必ず“落ちる”)。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-21 22:38:44)
6.  日本の悲劇(1953) 《ネタバレ》 
よく木下恵介の事を「お涙頂戴のクソ野郎」と言う人もいるが、「風前の灯」や「お嬢さん乾杯!」といったコメディを撮っている木下が好きな俺は褒め言葉の一つだと思っている。 ただ、今作に限ってだけは「お涙頂戴のクソッタレ野郎がっ!!!」と声を大にして同意したい。 子供の前だけで泣くのは立派に見えるかも知れないが、流石に何回もグチグチ泣き出されたら誰だって「あざとい」と思うわ。 あのクソ板前も言ってるだろうが「めそめそしないでしっかりしろよ」って。大事な涙は子供が出世した時にとっといてくれません?弟が観客の声を代弁してくれてるぜ「すぐに泣くんだ」とよ。 「二十四の瞳」は滅多に泣かなかったというに。 歌に始まり歌に終わる本作は、どんなに絶望的な状況でも情緒を忘れない木下が完全に情緒を投げ捨てる。 まずは強烈なファーストシーン。 ドラムの連打にニュースフィルムでも見るような戦後の混乱の様子。 青空教室、バラック、マッカーサー、うどんの食べたくなる情景。 そして画面を支配する重苦しさ。戦争によって全てを失い、残った子供たちを食べさせるために自ら闇に堕ちていく母親。だが皮肉にも彼女の頑張りは様々な屈折を経て失望と憎悪の対象に変わってしまう。冷めた親子関係、女の悲劇、男の悲劇、日本の悲劇。 徹底したリアルな会話がさらに拍車をかけて母親と視聴者の心を追い詰める。 母親はどんなに辛い目に遭おうと耐え続ける。そこには希望とも言うべき子供たちがいたからだ。尊厳が無くとも子供たちがいれば生きていける。ただその希望が離れてしまう時、彼女の体を支配するのは生存本能ではなく死だ。ヒロイン達に辛く当たる人々も、日々のストレスを誰かに吐かないとやりきれない。殴ったことを一応謝った板前はまだマシ。 サイレント映画のような魅せる事にこだわった描写も凄い。 男に体を辱められた様子を割れたガラスで表現する徹底ぶり。 ヒロインのストーリーと同時進行で娘の危険な恋も描いていく。 母に失望した娘、嫁に失望した夫、世の中に失望した者同士の情事。三つ巴の電話越しでのやり取り。親が親なら子も子供。飛び出した塾の外で一瞬笑みを浮かべふっと失望したかのような表情をする女の顔。 俺はこういう徹底的に暗い話は大嫌いなのだが、この恐ろしい出来栄えは評価しなければならないだろう。
[DVD(邦画)] 8点(2014-12-09 00:02:54)
7.  偽牧師 《ネタバレ》 
チャールズ・チャップリン短編時代の傑作の一つ「偽牧師」。  この「偽牧師」は「黄金狂時代」の前に撮られた西部劇の要素を含んだコメディだ。  チャップリンは「移民」や「犬の生活」辺りから優しさのにじみ出る映画が増えてきたが、本作はそんなチャップリンがブラックだった頃の面影を感じさせる。  今回のチャップリンは脱獄囚。  何で捕まったのかは知らないが、お腹が空いてホットドッグでも盗んだ(「犬の生活」)か、無銭飲食(「モダン・タイムス」)か、女性関係のもつれ(私生活ノンフィクション)で豚箱に入れられたかどれかだろう。  それよか下水道から脱走しただって!? 新聞にそう書いてあった。 後の「ショーシャンクの空」である(違います)。  そんでチャップリンは牧師の服を拾って偽の牧師と化す。  しかし運の悪い事に本物の牧師と勘違いされてチャップリンは街に居座る事となる。  教会でやりたい放題自由奔放なパフォーマンスを演じるチャップリン。  聖書を見て「宣誓!」の場面は爆笑したわ(裁判についての詳細はビリー・ワイルダーの「情婦」かシドニー・ルメットの「十二人の怒れる男」辺りが解りやすいかな)。  踊って、笑って、騙してバタバタ・・・「黄金狂時代」への布石が散りばめられた44分間。  でも流石に帽子は食えなかったか。  泥棒仲間との再会でギクリ、スピーディーなスリ合い、「牧師」から「紳士」への早変わりなど見事としか言えない。  ラストが実にチャップリンらしい締めくくりだ。 ありがとう保安官。どうせなら銃撃戦の無い場所でほっぽってくれれば良いのだが・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-12-01 20:13:23)
8.  日本のいちばん長い日(1967) 《ネタバレ》 
岡本喜八の最高傑作を1つ挙げるとすれば何か。それは意見が別れると思うが、日本人として最高傑作を挙げるならやはりこの作品になるだろう。 映画は日本列島を映した地球儀、鳴り響く爆撃音と共に始まる。20分に及ぶ“プロローグ”が。ドキュメンタリー映画のような映像がしばらく続くが、短いショットと殴りつけるように放たれるセリフは一切の退屈を許してくれない。 空襲で焼かれる都市、焼け焦げた遺体の惨たらしさ。それを何度も見せられ“くどい”と感じる者もいるだろう。だが、実際にあの日を生きてきた日本人は、ああやって何度も地獄を見せられ“慣れてしまう”現実が存在していた。どんなに嫌でも、眼を背けられないような現実に耐えるしかなかった。 20分に及ぶプロローグが終わり、そこからが本番。 戦争を終わらせようと人々が動き始め、歯車が回り、映画としての面白さも動き出す。彼らが流す涙の中には、本当に懺悔している者もいるだろうし、敗北した事への悔しさ、これから日本が辿る未来を絶望視して泣いている者、様々な人間がいただろう。 「日本の国民を生かすも殺すも」ってやり取りが強烈だぜ。 本土決戦だの特攻だの頭のおかしいトチ狂った言葉を並び立て、一体コイツらは何人同じ日本人を“見殺し”にしているのか。まだ殺し足りないのか貴様ら。 この瞬間にも、母親が丹精込めて作ったであろう握り飯を美味そうに食べ、守る者のために出撃していく漢たちがいる。死を覚悟して。ああ、早く、早く降伏してくれ・・・そう思ってしまう。 様々な人々の主義主張やイデオロギーのぶつけあい、口舌の刃による斬り合い。 それが本当に刃を抜き放ち、銃を突き付けて殺し合うまでに発展してしまう。実際にこんな事があったのだから恐ろしい。 自転車をこいで行き来するシーンの何と狂気地味た事か。本当に何を言っているのか解らないわめき振り。 斬られた首はイスに隠されても、事件そのものは隠蔽しきれない。 官邸に一人残っていた女性の胆力に恐れ入る。或る意味、今回唯一クレジットのある女優・新珠美千代が一番強烈だったかも。 複数の玉音版による撹乱、放送室で軍人を睨みつける放送員の加山雄三、そして力尽き、自らに“ケジメ”を付ける軍人、軍人、軍人たちの散り様。 男たちは走った。走って、走って、走り尽くした。でも一体誰がために?何のために?そんな虚しさが、画面を包み込む。
[DVD(邦画)] 9点(2014-11-30 03:05:24)
9.  ニュールンベルグ裁判 《ネタバレ》 
スタンリー・クレイマーは「渚にて」や「真昼の決闘(フレッド・ジンネマン)」がダメだったけど、この映画はとても見応えがあって面白かった。  冒頭でナチスのマークを吹き飛ばすシーン!ここからもクレイマーの凸精神?を感じられる。  物語はナチスの首脳陣を裁いた後、残った法律学者やナチスと関わった複数の人間の関与する占領した側と占領された側の法廷“闘争”。連合国にとっての残党狩り、ナチスいやドイツ人にとっての最後の抵抗戦。  アーネスト・ラズロのカメラは短いショットを繋げた映像で法廷特有の緊張感を生み、退屈を感じさせない。 でも、360度パンはちょっとクドいと思った。  同じく密室劇の傑作「十二人の怒れる男」が面白いのも、ボリス・カウフマンのカメラが退屈を感じさせないショットだったからだろう。  ドイツ本来の法を捻じ曲げて国民を苦しめた罪、だがそれを防げず逆に服従を選んだドイツ国民にも罪があるという意見のぶつけ合い。 その理由となる「ホロコースト」の惨状をドイツ国民も、ナチスの人も“心”に焼き付いているからだ。 ホロコーストの映像は人間の眼、耳、そして魂に訴えかける。 それに顔の表情の細かい変化や夕食のジョッキから法廷のハンマーへと繋がる演出、終身刑を言い渡される時に銃声のように響くハンマーが印象的だった。  リチャード・ウィドマークの、マクシミリアン・シェルの、そしてバート・ランカスターの叫び、叫び、叫び。 まるでヒトラーが演説するように時にはオーバーな叫びをあげてまくしたてるシェルの様子は恐怖すら感じさせる。 あっと言う間に過ぎ去っていく時間は3時間という長さを感じなかった。傑作です。
[DVD(字幕)] 9点(2014-11-09 22:10:34)(良:2票)
10.  人情紙風船 《ネタバレ》 
山中貞雄は何を成し、何をやり残し戦場に散って行ったのか。  この「人情紙風船」にはそんな山中貞雄の死を感じさせる描写が散らばっている。  生きるか死ぬかの博打の日々を送る新三、  士官先を求めて何度も頭を下げては断られ続ける浪人の又十郎。  それを取り巻く女たち。  何度袋叩きにされようとめげない新三、何度断られようと通い続ける又十郎。  そんな二人の物語が交錯していくドラマの厚み。  二人は「共謀」を図った。  一時でも良い、死んだって良い。どうせ明日は無いんだ。一瞬でもいいから何かを成してから死んでいきたい。  金でも地位や名誉でもない。  意地が彼らに行動を取らせた。  酒屋での宴会は最後の晩餐か。  死んだことにも気づかず逝った男、死んだか生き残ったかも解らない男。  皮肉にも山中貞雄は己の死と向き合ってこの世を去っていった。  だが彼の代わりに、この作品に出演した俳優たちは息の長い活躍を続けた。  まるで亡き監督の魂を受け継いだように・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2014-01-31 11:09:17)(良:1票)
11.  2001年宇宙の旅 《ネタバレ》 
アーサー・C・クラークとタッグを組んで作り上げた超迷作。  「迷える名作」を撮らせたらアメリカ無双のキューブリック渾身の作品。  これは子供にこそ見せたい映画だね。  子供は何の抵抗もなく、取り敢えずありのままを受け入れようとする。  感受性の豊かな子供は何を思うのか。  そして大人になって再び見る・・・この映画はそれだけ難解でもあり、至極単純な映画でもある。  何者かが知識を得て何かに目覚め、それを繰り返して心理に迫る。ただそれだけ。  その過程が問題だ。  類人猿が「モノリス」に触れて知識に目覚めるファーストシーン。  動きだけで伝えるその世界観は流石。  アフリカの荒涼とした大地と類人猿を「創造」したその美術。  これ役者が演じてんだぜ?  メイクと俳優たちは人間国宝になっていいよ。  猿が放った「武器」は、近未来では宇宙を駆ける「武器」となった。   現代の宇宙時代の描写も中々。  宇宙船が音もなく飛び交う宇宙。  この頃は既に「宇宙は暗黒」って認識があっただろうけど、やっぱり絵的に見栄えが悪いよな。  実際こんなに光ってたら怖いわ。  超巨大恒星がどんだけ密集してんだってくらい。  宇宙空間における描写も、今見ると科学的交渉が食い違った部分も多いが、上下の無い宇宙空間、何処までも見渡せる広大な空間、無音の世界観の表現は今観ても凄い。  月の裏側の描写がほぼ完璧ってのが凄い。  だって公開当時は誰も月の裏側に行ってなかったんだぜ?やっぱキューブリックは宇宙人だわ。  月面のモノリスでの騒動、ちょっと長く感じた。  どうせなら「HAL」と木星星団の掘り下げに時間を割いて欲しかったなー。あるいわ上記の部分を削るか。   本作は何といっても「HAL」の反乱。  虚空の宇宙は言わば「密室」。  鬱憤が溜まるのは人間だけじゃない。  機械もいずれは「オーバーヒート」がやって来る。  まして人工知能の発達したコンピューターだ。  自分を排除する=船全体の危機と結びつけちゃうんだろうな。  プログラムに忠実だったのか、それとも本当に心が宿ったのか。  あの真っ赤なランプで、無言で語りかけるような感じが怖かった。  キューブリックは本当こういう「怖さ」を描かせたら天才。  ラストは多種多様な解釈が出来るだろう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-31 10:48:51)
12.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 
こういう映画はねえ、子供の頃に見ないと絶対ダメ。大人になって「ケッ こんなもんか」って根性捻じ曲がってから見たら損だよ。そんなワケで、良い映画って奴は子供の頃から見せた方が良いよ全国のお母さんお父さん(誰に言ってだろうか俺は) 子供の時から映画に触れて育ったトトと、映画一筋に生きてきたアルフレードの交流を描いてく部分を始めとした密度のあるドラマ。 喜びと哀しみを交えながらトトの半生を覗いていく。 劇中の人物たちは子供から大人、老若男女まで映画に対する幅広い反応を示す。 寝る奴も居れば劇場で子作りまで始める大胆な奴らもいる。さすがイタリア情熱的。 それは我々が視聴者や評論家ではなく、子供心の純粋な感受性というか、ありのままを受け入れ楽しむという心持ちを思い出させてくれる。 この時代の映画は「見る」というよりは「そこにしかないから見に行く」という感覚の方が強かったのかな。 今みたいにTVやDVD、VHSのような媒体が無いのが当たり前で、映画館に行くのはお祭りみたいなもんだったのだろう。 そこに溢れる夢や希望といった「幻想」を糧にして、辛い現状に真正面から向かっていく心の支えとしていたんだろうな。それはどんなに媒体や時代が変わっても普遍的なものだと俺は思う。 映画と絡めて成長していく主人公の女性関係も面白い。 厳しくも優し気な美しい母マリア、 一目ぼれした可憐な少女エレナとの儚い恋。 「映画」を主題にしているだけに、絵で魅せる部分もたっぷりと詰まっている。 目が見えなくなったアルフレードの記憶の中には、まだ“幼い姿”のトトがいる。手を握り「大きくなったなあ」と画面が切り替わった直後・・・成長したトトがいるんだよなあ。粋だね本当。 意味深で解釈しづらいシーンも多少あるが、「視聴者に投げかける」のではなく「視聴者に問いかける」よう。 さすがにやたらめったらキスシーンが出てくるのは教会の神父じゃないが「カットした部分でやれ」と辟易したけど。 オマケに昔の恋人とはいえ人妻と「ズキューンッ!」(完全版は個人的に蛇足な印象、あの部分だけ恐ろしく退屈だった)。 イタリア人は恐れを知らない。素晴らしい精力だ(褒めてる) 劇中に多く現れる往年の名作映画を数えるだけでも楽しみがいがあることだろう。
[DVD(字幕)] 8点(2014-01-21 23:27:17)
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