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プロフィール
コメント数 617
性別 男性
自己紹介  「監督の数だけ映画が有るのではなく、観客の数だけ映画が有る」という考えでアレコレ書いています。
 洋画に関しては、なるべく字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くというスタンスです。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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1.  25年目のキス 《ネタバレ》 
 この手の「年齢を偽り学校に潜入する」ネタ、好きですね。  もう一度学生時代に戻ってみたい、青春の日々を味わいたいって願いを叶えてくれる形になっており、観ていて心地良い気分に浸れました。   本作は「恋のからさわぎ」(1999年)「O」(2001年)「アメリカン・ピーチパイ」(2006年)など、2000年前後に流行った「シェイクスピアを現代の学園物に置き換えた品々」の一種であり、1999年公開という事を考えれば、先駆的な作品と評価する事も出来そうなんですが……  とかくラブコメの「王道」「お約束」を重視した作りでもある為、あんまり「斬新な内容」とは感じられないのが、ちょっと勿体無い。  最後も観客の期待通りのハッピーエンドを迎えるんだけど、それも「ラブコメの終わり方といえば、ハッピーエンドに決まってるから」という予定調和に頼った感じで、なんか完成度が低いんですよね。  起承転結の「転」までは丁寧に作ってあるんだけど、肝心の「結」が締まらない感じであり (……で、どうして国語教師のサムは彼女を許し、キスしてくれたの?)  って思えちゃって、スッキリしないんです。  ここをもっと綺麗に仕上げてくれていたら、胸を張って傑作と呼べたかも。   そんな具合にラストで失速した感はありますが、全体的には楽しめたし、好きな映画でしたね。  この手の映画の場合「主人公は皆に馬鹿にされる負け犬」であり、ともすれば極端な「負け犬賛歌」に終始してしまいがちなのですが、そこから一歩踏み込んで「学園の人気者達」も肯定する内容になっているのは、文句無しで長所だと思います。  これは主人公が「最初は冴えない子達と仲良くなるけど、取材の為に人気者グループに接近するのを強要される」という展開だからこそ生み出せた流れだと思うし、ちゃんと「取材の為に潜入した」って設定を活かす形にもなってますからね。  「負け犬を差別してはいけない、彼らだって素晴らしい人間だ」というのであれば、この手の学園物で悪役にされがちな「人気者」にだって、当然その言葉は当てはまる訳で、ラブコメ映画において不遇極まる彼らに救いの手を差し伸べた事には、素直に拍手を送りたいです。   「ミセス・ロビンソン」って単語が「未成年に手を出す大人の女性」の代名詞になってるとか、主人公の弟のロブが「卒業白書」(1983年)のコスプレをしたりとか、映画好きなら嬉しくなっちゃう小ネタが散りばめられてる辺りも、良いですね。  本作は主演のドリュー・バリモアが製作総指揮を務めた作品であり「完成度は高くないけど、何だか愛嬌がある」って辺りは「美人じゃないけど可愛い」っていう彼女らしさが反映されているようにも思えました。   数ある主演作の中でも、非常にドリュー・バルモアらしい映画の一つとして……  そして何より、可愛い映画の一つとして、記憶に残る事になりそうです。
[DVD(吹替)] 6点(2022-03-23 22:31:59)(良:1票)
2.  2番目に幸せなこと 《ネタバレ》 
 「ヒロインにはゲイの男友達がいる」というのはラブコメ映画のお約束ですが、本作はそんな「男友達」にスポットを当てて主人公として描いたという、とても珍しい映画。   前半は如何にも軽いノリのラブコメという作風であり、後半のシリアスな親権争いとのギャップが大きくて、その辺りが本作を「評価の分かれる映画」にしてしまった気がしますね。  主人公とヒロインだけでなく、血縁上の父親であるケヴィンまで乱入し、三つ巴の争いになった挙句に明確な結論を出さないまま終わってしまうというのは、とても褒められた事ではないと思います。  「完成度が低い映画」「作りが散漫な映画」という非難の声が上がるのも、至極もっともかと。   それでもなお、自分はこの映画が好きというか……もう本当に「良い映画じゃないか」って、しみじみ思えるくらいに感動しちゃったんですよね。  とにかく主人公が息子のサムを想う姿に胸を打たれて、裁判における「私は保護者なんかじゃない、父親だ」と主張する場面にも(その通りだ! 良く言った!)と拍手喝采したくなったくらい。  「本を読む時に逆さまにしたがる」「ローストビーストの日」などのキーワードを巧みに活用し、父子の絆を丁寧に描いている点も良かったです。    また、本作は今から二十年近く昔の映画なのですが、現在よりも同性愛者に対する風当たりが強かった時代である事が、分かり易く説明されている点なんかも良かったですね。  親権争いの際には「ゲイの父親の立場は弱い」と弁護士にもハッキリ言われちゃうし、葬式の際にも同性愛者は差別を受け、死者の望み通りの式にしてもらえないという場面なんかも、情感たっぷりに描いている。  そういった部分がキチンとしているからこそ、二十年後の今観ても、自然に映画の世界に入っていけたんじゃないかなって思えます。   主人公のロバートは男性的なマッチョマンなのですが、ヒロインの元カレを懲らしめる為、如何にも「オカマ」的な恰好をして彼の職場に押し掛け「彼とは男同士のカップルだった」と思わせ嫌がらせをするなど「同性愛への差別意識が今より強かった時代」だからこその際どいネタなんかもあり、そういう意味でも面白かったですね。  創作物においては、どうしても「差別は良くない」というメッセージだけに終始してしまいがちですが、本作においては「差別意識を逆手に取って復讐する」という場面が描かれている訳であり、凄く新鮮に感じられました。   悩める主人公に対し「子供を持つのは、世界一素敵な事」「だって私は、貴方を産んで本当に良かった」と言って応援してくれる母親の存在も良かったし、それまで不仲だった父親が、ロバートの為に裁判の資金援助を申し出る場面も、凄く感動的でしたね。  本作には「父子の絆に血縁なんて関係無い」という主張が込められている訳だけど、その一方で、実の親子であるロバートと両親の絆も忘れずに描いておくというのは、凄くバランスが良いというか、作中の主張が歪んだものではない、真っ当なものだと感じさせる説得力があったと思います。   自分としては大いにロバート側に感情移入しちゃった訳だけど、ヒロインであるアビーの気持ちも(まぁ、分からないではない……)と思わせてくれた辺りも、嬉しかったですね。  ロバートが「息子の父親」ではあっても「自分の夫」ではない事を悲しむ気持ちが分かり易く描かれており、彼女を一方的に悪役と断じる事も出来ないという形。  弁護士が裁判に勝つ為、何とか有利な材料を集めようと「彼女は性的に淫ら? 情緒不安定?」などと問い掛けた際に、馬鹿正直に「そんな事は無い」と否定しちゃうロバートの姿など、この二人が「良い人間」「良い友達」であった事を示す場面が随所に挟まれているのも、映画に深みを与える効果があったんじゃないかと。   上述の通り、本作は裁判の結果を明かさないまま、親権の行方も不確かなまま、尻切れトンボな結末を迎える事になります。  それでも、ラストシーンにて、嬉しそうにロバートに抱き付くサムの笑顔と「パパは一人でいい」という台詞を考えれば(サムの父親は、間違い無くロバートだ。彼は立派な父親だ)と、そう断言したい気持ちになるんですね。  色々と投げっぱなしのまま終わってしまった、不親切な映画ではあるけれど「サムの本当の父親は誰なのか?」という命題については、きちんと答えを出してみせた、真摯な映画であったと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2019-07-16 16:50:19)
3.  ニューイヤーズ・イブ 《ネタバレ》 
 前々から観たいと思っていたタイトルを、待ちに待って大晦日に観賞。   この手のオムニバス形式の映画だと、観賞後には「どのエピソードが一番好きだった?」という話題で盛り上がりたくなるものですが、自分としては「仕事を辞めた女性と、メッセンジャーの男性」の話がお気に入りでしたね。  年明けを目前として「今年の誓いリスト」を次々に達成していく様が痛快であり、ベタな表現ですが「これ一本で映画にしても良かったな」と思えたくらいです。  「ハイスクール・ミュージカル」などで、ティーンズの印象が強いザック・エフロンが、髭を生やして働く若者を演じているのも初々しくて良かったし「私、貴方の二倍の歳よ?」なんて言っちゃうミシェル・ファイファーも、実にキュート。  豪華キャストの中でも、この二人が特に光っているように感じられました。   その他のエピソードとしては「新年最初の赤ちゃん」と「エレベーターに閉じ込められた男女」が印象的。  前者にて「新年最初の出産を迎えた夫婦に贈られる賞金」を巡り、争っていた二組の夫婦が、出産後には和解し、片方がもう片方に賞金を譲る形で決着を付ける辺りなんて、とても良かったです。  後者に関しても、男女のロマンスとしては、一番綺麗に纏まっていた気がしますね。  男性が女性を追い掛け「忘れ物」と言ってキスをするシーンなんて、観ていて照れ臭い気持ちになるけど、ベタで王道な魅力がある。   他にも、様々な形で複数のカップルが結ばれており、誰もが幸せになるか、あるいは「悲しみを乗り越えて、一歩前進する」という結末を迎えており、非常に後味爽やかな作りなのも、嬉しい限り。  ・年明けのカウントダウンが主題となっているのに、時間経過が分かり難い。 ・個々のエピソードの繋がりが弱く、複数の流れが一つの大きな結末に収束していく快感は得られない。 ・ラストのNG集は、無くても良かったかも?   なんて具合に、気になる点も幾つかありましたが、作品全体を包む優しい雰囲気を思えば(まぁ、良いか……)と、笑って受け流したくなりますね。  大晦日というベストな環境で観られたゆえかも知れませんが、満足度は高めの一品でした。   ……それと、自分の「2018年の誓いリスト」には「バレンタイン当日に『バレンタインデー』を観る事」と書かれている訳ですが、果たせるかどうか。  二ヶ月後を、楽しみに待ちたいと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2017-12-31 21:21:26)(良:3票)
4.  29歳からの恋とセックス 《ネタバレ》 
 劇中にて色んな男性と主人公が関係を持ち「結局、誰とくっ付くの?」と思わされるのですが、結論としては「誰ともくっ付かず、自分探しする事を選ぶ」というエンディングだった為、拍子抜けしちゃう人もいそうですね。  自分としては元々「誰と誰がくっ付くか」で引っ張るようなラブコメは好みではないという事もあってか、このエンディングは悪くなかったと思います。   他にも「私ふしだらな女だけど、悪人じゃない」との台詞が印象的で、本当に主人公のキャラクターを的確に表しているなぁ……と感心させられたりもしましたね。  正直、それほど性格が良い女性とは思えなくて、酔った勢いとはいえ万引き紛いの事もしちゃうし、男に対して他の男の悪口も言っちゃうしで、傍迷惑な存在なんだけど、妙に憎めない。  誰かのせいで自分が不幸になったんだと責任転嫁せず「私のせい」と認め、そこから前に進んでいくシーンなんかも、気持ち良かったです。   「誰かを愛するには、まず自分の愛し方を学べ」という名言を踏まえた上での「他人を愛せない内は、自分の事なんか愛せない」という台詞も良かったですね。  振り返って考えてみると、全体の内の一時間ほどは退屈だったりもしたのですが……  結末は中々秀逸な「終わり良ければ全て良し」タイプの映画でありました。
[DVD(吹替)] 5点(2017-03-15 02:48:39)
5.  二代目はクリスチャン 《ネタバレ》 
 主人公であるシスターの「相手役」となる男性が三人もいる為、やや忙しない印象を受ける本作。  そんな中、最もコミカルで情けない印象のあった神代が最後まで生き残り、オイシイところを持って行く辺りは、如何にもつかこうへいらしい作風だなと思えて、嬉しかったですね。  また、自分としては最初に画面に登場した晴彦が主役格になるだろうと予想していただけに、かなり早い段階(映画が始まって一時間ほど)で彼が死亡する展開にも吃驚でした。   ちょっと気になったのは、作中でシスターが賽の目を当てる才能を発揮する場面。  てっきり何かの伏線かなと思っていたのですが、終盤には全く出て来なかった為、何だか置いてけぼりな感じを受けたのですよね。  最初は「信仰心によって齎された超常的な力がある」と解釈していたのですが、今になって考えてみるに「父親も伝説的な侠客だった彼女には、極道の素質がある」という描写だったのでしょうか?  それならば、クライマックスにて敵対組織を壊滅させた強さにも一応納得なのですが、もう少し分かり易い形にしても良かったんじゃないかな、と。   終盤、教会を襲撃されて仲間達が次々に殺されていく展開は、迫力があり、ユーモアもあり、良かったですね。  敵がバズーカまで持ち出して、教会の中に撃ち込んだ際には、不謹慎ながらも「そこまでやるか!」と笑ってしまったくらい。  その一方で、復讐を訴える信徒が「父親殺し」の過去を告白するシーンは、非常にシリアスで、真に迫っていてと、演出の緩急が見事だったと思います。   とうとう刀を手にした主人公と、北大路欣也演じる英二との、雨の中での対話。  そして殴り込みをかけたシスターが 「悔い改めたい奴は、十字を切りやがれ!」  と啖呵を切る場面なんかも、忘れ難い味がありました。   神代が全ての罪を背負うという決着の付け方には (本当に、それで良いの?)  とも思ってしまうのですが、この辺りは「男が好きな女の為に、恰好を付けてみせる」という、つかこうへいイズム、独特の美学ゆえの結末だから、文句を付ける方が野暮なのでしょうね。   そういった諸々の価値観も含め、主人公が女性であるにも関わらず、非常に男性的な映画であったように思えました。
[DVD(邦画)] 6点(2016-09-22 16:30:30)
6.  2番目のキス 《ネタバレ》 
 これは久々に大当たりの一本。  明るく楽しいラブコメとして、観賞中は常に笑顔のまま、夢見るような時間を過ごせました。   冒頭、レッドソックスのファンを「神の作った、最も哀れな生き物」なんて評してしまう時点で、もう面白い。  チケットのドラフト会議にて、男友達連中がダンスを踊るシーンも、非常に馬鹿々々しくて良かったですし 「俺の女房とチケットを交換しない?」  と言われて、一度はジョークと思って笑ってみせるも、相手が本気と気付いて真顔になる主人公の反応なんかも絶妙な「間」で、センスの良さを感じますね。  少年野球チームの教え子に対し、恋人の愚痴を零していたら、幼い教え子から的確なアドバイスを貰ってしまうシーンも、凄く好み。   あえて気になった箇所を挙げるなら、女性陣が「どんなに好人物であっても、自分が切った爪や髪を捨てられず取っておくような男は、気持ち悪くて無理」という反応を示す場面。  そして「ヒロインにファールボールが命中して気絶しているのに、それに気付かず仲間と盛り上がってる主人公」という場面が該当しそうですが、明らかにギャグとして描かれているので、笑って受け流せる範疇でしたね。  作品全体に明るい愛嬌が漂っているので、よくよく考えるとブラックなネタなんかも、あまり気にならないというか、スムーズに受け入れられる感じです。   姉妹編である「ぼくのプレミアライフ」(1997年)に比べると、ヒロインが「相手の趣味を知らないままで好きになった」という違いがあり、これには「上手いバランスだな」と感心。  承知の上で付き合った訳ではなく、恋人同士になってから、後出しで本性を知らされた訳だから、ヒロインが彼に「野球観戦を止めて欲しい」と訴えるようになっても、身勝手な印象を受けず、自然と感情移入出来るのですよね。  また、仕事一筋なキャリアウーマンという設定でもある為「趣味に生きる男」「仕事に生きる女」という対照的なカップルになっている辺りも面白かったです。   映画の中盤「夫婦って、お互いに歩み寄るものじゃない?」と言っていたヒロインが、クライマックスにて 「私は彼の為に仕事を犠牲にしなかったのに、彼は私の為に大切なチケットを売ろうとしてる」  と気が付き、その愛の深さを知る流れなんかも、非常に丁寧で分かり易く、ありがたい。  こういった心理の流れを、あえてボカしてみせる演出も御洒落で良いとは思うのですが、やはり万人に伝わりやすい演出の方が、自分は好きみたいですね。   二人が球場でキスを交わした瞬間には、観客の皆が拍手喝采で祝福してくれたのと同じように、心から(あぁ、結ばれて良かったなぁ……)と思えました。   レッドソックス優勝の感動を、そのまま映画のクライマックスに据えて、フィクションよりも劇的な「シリングの血染めのソックス」を、さらっと紹介してみせる辺りも心憎い。  間違いなく球史に残るような大きな奇跡の中では、一組の男女が結ばれた事なんて、とてもちっぽけな事かも知れません。  けれど、主人公達にとっては「愛する人が傍にいてくれる事」が何よりも大切なのであり、優勝の喜びの方は「二番目に素敵な事」になったのだと、最後のキスから伝わってきました。    エンドロール後の、家族ぐるみでレッドソックスのファンになった姿なんかも、実に微笑ましくて良かったですね。  大きな感動と、小さな幸福を感じられる、素敵な映画でありました。
[DVD(吹替)] 9点(2016-09-05 12:33:31)(良:2票)
7.  ニルヴァーナ 《ネタバレ》 
「私達は水槽の金魚さ。水槽を海だと思い込まされている」 「そこも現実っていうゲームの世界じゃないの?」   などなどの台詞に痺れてしまう身としては、観賞中、とても楽しい時間を過ごせました。  現実と虚構の境界線が曖昧になってしまう作風はフィリップ・K・ディックの面影を感じさせる一方で、後代のサイバーパンク映画に与えた影響も大きいように思えますね。   モノクロ世界の中で一部だけカラーを用いて、その存在を際立たせる手法については、幾つかの映画で目にしてきましたが、この作品は、その使い方が凄く好みなんです。  特に、色が流動的に変化する口紅とドレスの演出などは、全体に漂うオリエントな猥雑さと、それに伴う色っぽさを引き立ててくれていましたね。  湯気を浴びただけで、すぐに曇って調子が悪くなってしまうカメラアイなんかも、妙に説得力があるというか「本当にそんな機械が存在しそう」というSFマインドを、大いに刺激してくれます。  主人公を手助けしてくれる仲間のジョイスティック、ヒロイン格のナイマも魅力的なキャラクターで、三人でハッキングを行うシーンには、実にワクワクさせられるものがありました。   はてさて、こんな映画を撮ったのは一体誰なんだ? と調べてみたら「ぼくは怖くない 」と同じ監督さんだと分かって、大いに納得。  あちらも素晴らしい傑作でしたからね。   上述の通り、全体的に好印象の映画なのですが、気になる点としては、もう一人の主人公とも呼ぶべき存在であろうソロが、作中であまり活躍してくれなかった事が挙げられそう。  彼は仮想世界にいる「囚われのお姫様」ポジションであるのだから、現実世界の主人公ジミーの行動原理でさえあれば良いのだ、という解釈も可能でしょう。  ただ、それにしてはラストシーンにて 「私達は勝ったのか?」 「あぁ、勝ったよ」  という小粋なやり取りを交わす件など、まるで二人が共に戦った相棒であるかのように描かれているのが、少し不自然に感じられたのですよね。  それならば、終盤にてソロも「ニルヴァーナ」の消滅に役立つような見せ場が欲しかったな、と思ってしまいます。   ソロと別れを交わした後、ジミーがドアに向かって発砲した後のシークエンスに関しては、色々と解釈の分かれるところでしょうね。  自分としては「ジミーの死後、ナイマの中に挿入された記憶チップという形で、二人は一つになれた」という一種のハッピーエンドなのだと考える次第。  その方が、勝者となった主人公には相応しい顛末かと。   劇中にて印象的に語られていた「降りながら消える雪の一片」が、スタッフロールにて描かれる終わり方なども、とても良いですね。  こういったビジュアルセンスって、凄く好き。   素敵な余韻を与えてくれる映画でした。
[DVD(吹替)] 8点(2016-04-14 12:23:01)
8.  New York 結婚狂騒曲 《ネタバレ》 
 こういったラブコメ映画において「主人公が結婚式を直前でキャンセルする」という展開が訪れると、大抵は相手方が可哀想になってしまうのですが、本作はそれを感じさせませんでしたね。  何といっても「振られる」形となる婚約者のコリン・ファースが格好良い。  このまま結婚したら君は不幸になる、という理由で潔く身を引いてみせるなど、中々出来る事ではありません。  少し女性主人公側にとって都合の良過ぎる展開ではないか、と思えない事も無いのですが、こういった場合に婚約者側を分かり易い悪役にしてしまう展開よりも、ずっと好感が持てると思います。   とはいえ、中盤において、女性側には婚約者がいるにも拘らず情熱に任せて性交渉を行る主人公カップルなど「おいおい、それで良いの?」と感じてしまう部分が多かったのも事実。  その後に主人公は直ぐに後悔する事となるのですが、ここで少し作中人物に距離を感じてしまったというか、白けた気持ちになってしまったのは残念でした。   ラストに関しては「結婚式を中止させる為の手段として火災報知機を鳴らす」→「消防士である意中の彼が駆け付けてくれて、そのまま二人は結ばれる」という形となっており、綺麗に纏まっているなぁ、と素直に感心。   上述の婚約者を筆頭として「過去に間違いを犯したからこそ、真の伴侶に出会えた」と語る父親など、脇役に魅力を感じさせるキャラクターも多く、最後は安心のハッピーエンド。  観賞中は色々とモヤモヤした気持ちに襲われた一方で、観賞後には「良かった」と感じさせてくれる、そんな一作でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2016-04-04 07:18:51)
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