1. ノーカントリー
《ネタバレ》 うーん、悪くはないんだろうと思う。荒涼とした埃っぽい荒野とショボい田舎町を舞台に盛り上げるような音楽もなく、むさ苦しいオッサンたちばかりが出てくる映画なのに退屈することはなかったんだもの。殺し屋のイッちゃってるキャラクターばかりが前面に出ちゃってるかとも思ったが、お金をくすねたハンターの彼もどうしてどうして頑張っている。そして何より、装飾をことごとく剥ぎ取ったかのような乾いた音や映像は、迫り来る緊迫感・恐怖感をものの見事に表現している・・・ でもさ、そんでも「ノーカントリー」っていう「不条理に満ちた世に成り下がった今を嘆く」っていうこの映画の本来(?)のコンセプトはイマイチ伝わってこなかったな。だからワタシ的にゃモスが死んだ時点でこの映画終わっちゃった。最後のほう(保安官の苦悩とか、奥さんのコイントスに命を賭けることへの抵抗とか、暗殺者の不慮の事故とか)は、含みが多すぎちゃって考えるの疲れちゃったよ、正直。 そういう社会的問題性を無視して「追うものと追われるものギリギリの攻防戦」っていう娯楽劇っぽく私が観ちゃった結果なんだろう。けど逆に言うと、社会性なんて視点で見るにしちゃこの暗殺者の彼、無駄にインパクトありすぎちゃうんだよね。 やっぱ社会性と娯楽性という二兎を追うのは難しいもんなのかもなーと思わされた映画だった。しかし、そういうこと考えると「トラフィック(2000)」なんて随分秀作だったってことなんだろうね、今になって思うとさ。 [映画館(字幕)] 6点(2008-03-28 18:36:12)(良:1票) |