1. ノー・マンズ・ランド(2001)
《ネタバレ》 メインの2人はあの現場でこそ敵対していましたが,もし戦地でないところで出逢っていたらどうなっていたのか…なんて考えると,きっと映画中の会話で出てきた共通の知り合いの話やなんやで気心の知れた2人になっていたような気がします。特に恨みつらみはないけれど相手が自分を殺そうとするから相手を殺そうとする,相手に取っても同様であり,戦争の虚しさの縮図がこの2人の関係性に集約されているように思いました。平和のために活動しているはずの国連はただのマスコミの取材の標的という存在に成り下がっているし,マスコミは平和をただ口で訴えるだけで何の役にも立っていない。特に憎いわけでもないのに殺し合おうとする2国の兵士,意味のない国連や地雷撤去部隊,何も面白そうなネタがなければそそくさと帰るマスコミ,そして極めつけは全世界に取り残され動けなくなった兵士。全てがこれ以上ない強烈な風刺であり,戦争映画としてはかなりの傑作だと思います。派手なドンパチはありませんが,戦争の無価値さを訴えるのにそんなものは必要ないことを証明してくれました。 [DVD(字幕)] 9点(2007-11-25 04:06:57) |