21. オブローモフの生涯より
《ネタバレ》 私はアイ・ヴィー・シーから発売されるロシア映画が大好きな人間である。 「のんびりと優雅に過すぐうたら人生」。このジャケ裏の言葉に惹かれ早速観ることにした。 今の無気力方向の人生を歩む私自身に少なからず影響を与えるに違いないと期待した。 冒頭、美しい草原を走る5歳くらいの美少年が「ママー!」と帰宅する母親を喜びながら迎える。 その美少年が突然中年のデブオヤジに変貌し、映画の現実は過去の少年時代ではなく、その中年オヤジに焦点が定まっていく展開に暗い影を落としていく。 信頼できるのは事業に成功した幼馴染一人、恋患えど打ち明けることが出来ない美しい女性が一人。 ちょっと待てよ。今の私とはやっぱり違う。でも私もオブローモフ同様、食うに困ってはいないし、何しろパソコンだって持っている。 何が違うのだろう。 オブローモフには薄っぺらであろうともプライドがあり、実らせることが出来なかった恋愛を違う形で人生を修復させ人生を全うしている。 映画を最後まで観賞して、ほじくり返すようにして、それらを発見した。 前半のんびりスタートで、後半尻つぼみのようにナレーションで終わらせてしまう作り方は残念だったがリマスターされた当時のソ連の田園風景は絶品である。 7点だと忘れてしまいそうだから一応8点。 [DVD(字幕)] 8点(2011-08-22 05:33:12) |
22. 狼は天使の匂い
フィルム・ノワールというものが好きな方には絶賛されているようですが、ストーリーに無理がありすぎます。 アクションに関していろいろなアイデアを沢山織り込んだのはいいのですが、ラブストーリーや人間関係の部分は矛盾があり、薄っぺらなので私には納得がいきませんでした。 何かしらの形で追われている主人公が別のギャング一家に巻き込まれて、その方棒を担うというお話し。 当時日本で流行ったヤクザ映画を参考にしているようにも覚え、主人公とギャングのボスが親密な関係になっていく過程にも無理がありすぎます。 伏線や小道具もたいしたアイデアではありませんがテンポが速いので、人間ドラマなんかどうでもいい、タランティーノみたいなアクション映画を求めている人には満足できる作品ではないでしょうか。 因みに上映時間は135分でした。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2010-07-24 06:45:53) |
23. オズの魔法使
子供にも通用する普遍的テーマを描いた映画こそ私にとって最高の映画です。 誰でも一度は観たことがある。そう言われて今頃になって本作を知った自分が恥ずかしくなりました。 モノクロとカラーのコントラストから、家ごと吹き飛ばされるドロシーの抽象的表現を、どれだけ大人は理解できているのでしょうか? きっと本作を教科書に様々なクリエイターがオリジナルストーリーを作っていったのではないかと勝手に解釈しています。 物心ついた頃に観ておけば、私もこんなにひねくれた性格にはならなかっただろうに……。 無駄なシーンが一つもない。ドロシーと善良な魔女がとても可愛かったです。 死ぬまでに何度か観賞したくなる一本となりました。 [DVD(字幕)] 10点(2009-09-21 06:01:59) |
24. 俺たちに明日はないッス
時代のテロップが出ないのですが、「17才」が流れているから、舞台は昭和でしょうね。あの時代は「ビーバップ」とか「パンツの穴」とか本作のような映画が流行ってました。 でも、同じような映画を観る度に、この世代の子供たち全てがセックスのことしか考えていないみたいなことを普遍的テーマのように描くのは間違っていると思うんです。 ネットが普及した現在、今の高校生が本作に興味を抱くとも思えません。 本作を例えて言うならば、夜の歌舞伎町を歩いていて、たまに酔っ払ったヤンキーが殴りあっているのを見かけたりします。ちょっと興味があるから立ち止まって見物します。どっちが勝つかなんてヤジ馬の私達は興味はありません。そして一言、「馬鹿だね~」と言って立ち去ります。 この映画のテーマは、その程度のものにしか見えません。 役者はそのへんにいそうな子を選んだみたいで、リアルなセリフも面白かったので、75分間は退屈しませんでしたが、正直何も残らない映画でした。 この監督が好きなので残念でなりません。 [DVD(邦画)] 4点(2009-09-10 13:20:52) |
25. 女相続人
《ネタバレ》 知られざるクラシックムーヴィーの名作だと思います。 世間知らず、純粋無垢に育った娘キャサリン、その婚期を焦るキャサリンに無一文のハンサムボーイが求婚を迫る話です。 財産と愛、その区別がつかないキャサリンは途中騙されたことを知り、男の魂胆を知っていた父までも失い、人間として成長していく過程が微妙なタッチで描かれていくのです。 世間を知っていく女の変貌は本当に冷たさを感じて恐ろしい。 男性の皆さん、純粋に生きる女性を傷つけると罰が当たりますよ。 現代でも同じような恋愛模様が続いている以上、本作に普遍的なものを感じ取ることが出来ます。 人間の素直な感情がリアルに表現された映画です。超お勧め! [DVD(字幕)] 8点(2009-08-27 04:56:33)(良:1票) |
26. 男はつらいよ フーテンの寅
《ネタバレ》 監督が山田さんではない本作は、やはり説得力に欠けている印象が残る。 断言できるのは冒頭からラストまでの伏線が一つもないことだ。 副題通り「フーテンの寅」の物語ではあるが、さくらさんの出番はほとんどないし(スケジュールの関係か?)、マドンナの役割も「恋」という段階までは決して運ばれていない。 しかし、この時期の作品は、まさかシリーズとして40作以上も続くとは到底考えられなかったのだろう。 今では放送に引っかかる「馬鹿」という言葉が頻繁に使われている。 現在のメディアと違い、規制緩和の緩い時代の中で自由に模索されて作られた作品の一つであることは間違いはない。 [DVD(邦画)] 6点(2009-08-24 05:48:10) |
27. 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
《ネタバレ》 今回の脚本は相当苦労されたのではないでしょうか? ほとんどのギャグが滑ってるし、無駄なシーンが多いです。 それに、観ている側には既に読めてしまうのに、なかなか進まない展開に、もどかしい気分にもなります。 宇野重吉さん演じる日本画家と寅さんのやりとりは面白いのですが、マドンナ役の大地さんの登場が、あまりに遅いのです。大地さんが登場する度に三味線が鳴るのもハッキリ言ってクドイです。 寅さんの「俺と所帯持つか」という台詞は、リリーさんに言った時とは意味合いが違うように思います。プロポーズとは言えないでしょう。 なんだか2つの違うエピソードを最後、下手に計算して繋ぎ合わせたようで、段取りっぽく感じます。 芸術と金の価値に対して日本画家がどういう決断をするのか、どんでん返しのラストシーンだけは「お見事!」と言いたくなりました。 [DVD(邦画)] 7点(2009-08-19 04:27:00) |
28. 男はつらいよ 葛飾立志篇
《ネタバレ》 「あなたは何のために勉強してる?」 この台詞で、子供の頃宿題をやりながらテレビで観た記憶が蘇りました。 小学生の私も「ふ~ん、なるほどねぇ」と思いました。 しかし、今、もう一度観賞して気付いたことは、未だに「己」が何であるのか自分自身わかっていないことです。(苦笑) 樫山文枝さん、桜田淳子さん、ホント綺麗ですね。今は皆同じヘアースタイル、同じメイクばかり……。飾り気がなく素朴な美人っていなくなっちゃいましたね。 作品自体は他と似たような内容だけど毎度毎度本当に面白い。 「なんだ、また同じような話か…」と言う人、真似してもいいから、これだけ泣けて笑えて、うなずける話を考えられますか? それを自分に問いかけると山田監督がいかに凄い作家なのかと痛感します。 またコメディ作ってくれないかな。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-15 10:29:09) |
29. 男はつらいよ 寅次郎子守唄
《ネタバレ》 山田監督は、世間から一見馬鹿にされるような人間に魅力を感じるとインタビューで答えていたのを覚えています。 「生まれた子には何の罪もないんだ」 寅さんが言ったセリフを、後のシーンで御前様にも言わせる山田監督の計算高さ。頭が下がります。 本作は、赤ん坊を取り巻く寅さんたちの騒ぎっぷりが最高。 さくらさんの「私、おかあちゃんじゃありませんから!」 もう窒息しそうなくらい笑えました。 挙句の果て、源ちゃんが赤ん坊をおんぶしてるんだから! 最近観賞した寅さんシリーズでは、最高に笑えた逸品です。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-15 06:11:39)(良:1票) |
30. 男はつらいよ 純情篇
《ネタバレ》 最近図書館で借りた「男はつらいよ」の研究本を頼りに、このシリーズを見続けているのですが、ある程度パターンがあっても時代に勢いが感じられますね。 今観ても笑えるし、凄く面白い。 若尾文子さんが演じるマドンナは、監督の意向かイメージを崩さない守りに入った役作りですね。池内淳子さんとキャラが被っているように思います。 意外なのは、宮本信子さんと森繁久彌さん親子。これだけのエピソードで終わるのは、とってももったいない。 宮本さんは個人的に好きな女優さんですが、マドンナとしての花がないのが残念。 でも、DVDについた予告編を見ると、本編にはない寅さんと宮本さんのドラマがあったりするんです。そこんとこ、もっと観たかったなぁ…… 話は変わりますが、倍賞千恵子さんは茶髪が似合います。 [ビデオ(邦画)] 7点(2009-08-14 12:36:59)(良:1票) |
31. 男はつらいよ 寅次郎恋歌
子供の頃読んだ赤塚不二夫の漫画で、ピストルのおまわりさんの尋問が未だに記憶から離れないんです。「その女はそんなに美人だったのか? 池内淳子ぐらいの美女だったのか?」 私の脳みそに「美人」の代名詞を植え付けられている池内淳子さんは、その存在だけで、寅さんを一目惚れさせる女優さんでありました。 今回、寅さんは結構冒険してます。上映時間も少し長いです。 山田監督の脂の乗っている時代の作品です。 [DVD(邦画)] 8点(2009-08-11 02:26:53) |
32. 男はつらいよ 奮闘篇
《ネタバレ》 順番通り観てる訳じゃないけど、この頃の寅さんって結婚願望があるんですね。 今回のヒロインは花子に加えて、さくらさんも特別な役回りをしているような気がします。 花子をあきらめて、一人、寂しそうな寅さんのワンシーンがありますが、一転して明るいエンディングに、人間は一人きりでは生きていけないんだと痛感しました。 寅さんは自分の幸せより相手の幸せを喜んだのですね。…まぁ、いつもと同じですけど(笑) [DVD(邦画)] 8点(2009-08-10 01:24:56)(良:1票) |
33. おもいでの夏
《ネタバレ》 1971年製作とは思えない清涼感ある映画です。セックスに興味を覚えた青年たちの「スタンド・バイ・ミー」といったところでしょうか? 年上の女性の脚線美には魅力を感じさせるものの、下品なヌードなど一切ないので、全編詩的情緒に溢れています。 雑貨屋にコンドームを買いにいくスリルは、どの時代の少年たちにとっても皆同じです。 ジェニファー・オニールはキャリアはあまりパッとしませんが、10代をとりこにする魅力的な女優だと思います。 私も一目惚れしました。 しかし、女性とセックスすることが、特に主人公にとって、この年頃の目的でしょうか? 私もこの時代の頃、年上の人に恋をしましたが、セックス願望よりも、この人の為に人生を歩みたいと思う気持ちの方が強かったような気がします。 戦死した夫の通報を知った青年は彼女を抱きしめて涙を流します。 彼は彼女に心底同情したのでしょう。 彼女は同情してくれた青年に唇を重ねて感謝の気持ちを伝えます。 しかし、彼の性的欲望まで満たそうとするでしょうか? 夫の戦死した通報が届いたその晩にですよ?! これは、当時、初体験をテーマにした映画が頻繁に制作された影響もあるかと思います。 キス止まりでエンドマークを打ったら、不満を漏らす観客は沢山いただろうと思います。 個人的には「マレーナ」とは違う、プラトニックな映画の仕上がりを期待しました。 でも、テンポがあって青年の純粋な心を描いた素晴らしい映画です。 時間も短いし、お勧めです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-07 03:48:48) |
34. 男はつらいよ 寅次郎紅の花
《ネタバレ》 浅丘ルリ子出演の第4弾。そして「男はつらいよ」最終作。 最後の作品として最高かもしれないが、これ以上のものを作れと言われて作れる訳がない。全作品と比べるのは間違いである。 そもそも「寅さん」と現実社会問題の接点は全くなかった中で、「阪神大震災」の映像は、寅さんがリアルワールドに入ってきた最初で最後の作品ではないだろうか? 後藤久美子は寅さん映画のマドンナ役で最多出演と言われているが、寅さんの恋愛対象として演じたわけではないので、マドンナ役とは呼べないと思う。 私は吉岡秀隆が登場した頃から、「男はつらいよ」には興味を持てなくなった。 今回、浅丘ルリ子演じる「リリー」の4作品を連続して鑑賞したが、渥美さんは本当に若い! 皮肉にも、賠償さんをはじめ、トラ屋の人たちの老け込み様が際立って見えた。 手紙を読むことでストーリーを転がしているので、寅さんもリリーさんも凄く遠い存在に感じた。 歳を取ると恋愛は出来ないのだろうか? 渥美さんの体調が悪いのが原因だというのはわかってはいるが、満男のラブストーリーが主軸になるほど、年寄りは隅で生きなさいと言われているように思ってしまう。 しかし、この作品は最後の最後で感動的なラストを迎える。 それは他の作品を複数鑑賞した者だけが得られる感動なのだ。 [DVD(邦画)] 7点(2009-07-08 01:43:22) |
35. 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花<特別篇>
浅丘ルリ子第3弾、と思ってレンタルしてみたら、ディスクに「特別編」と書かれていて、なんだろうって思ったが、「オリジナル」の前後に吉岡秀隆演じる満男の、寅さんへのモノローグが入っているだけの作品で、「特別編」を観るよりは、普通バージョンを鑑賞したほうがいいと思います。映画自体は、いい作品ですよ。 でも、どうして本作が山田監督にとって最高傑作なのでしょうか? 私も他のレビュアーと同じく全く理解できません。 「男はつらいよ」を知らない人が、本作を鑑賞したら、寅さんのキャラクター像は伝わらないだろうと思います。 確かに笑えるシーンもあります。でも全編センチメンタルになりすぎていて、本作が夏休みに上映されたのか、正月に上映されたのか、私は知りませんが、決して観客が満足して劇場を後にしたとは思えません。 それと渥美さんと浅丘さんは相変わらずですが、他の寅屋の家族たちの演技が、段取り芝居になりすぎて、不自然さを感じます。 注意しておきますが、決して「寅さん」入門編ではありません!初めに本作を鑑賞してしまうと、浅丘ルリ子が出演した前2作の価値が半減してしまいます。 [DVD(邦画)] 5点(2009-07-08 01:15:56) |
36. 男はつらいよ 寅次郎相合い傘
《ネタバレ》 浅丘ルリ子第2弾。これもいい。船越英治が二人の間に入り、それが邪魔になったり、引き寄せる要素になったりと、観ているこちらが楽しくなってくる。 やはりメロンのシーンは有名ですね。どうして、これほど他愛のないネタに魅力を感じるのでしょうか? やはり、浅丘演じる「リリー」の存在に他ならないからだと思います。 本作の前に必ず「寅次郎忘れな草(マドンナ役、浅丘ルリ子)」を鑑賞して下さい。 [DVD(邦画)] 8点(2009-07-08 01:01:32) |
37. 男はつらいよ 寅次郎忘れな草
浅丘ルリ子「リリー」第1弾。 マドンナの設定を寅さんと同じような性格にした山田監督のセンスは凄いと思う。 単純な展開かもしれないが、当時、娯楽映画を期待して映画館へ足を運ぶ人たちにとっては、この作品は充分満足できたのではないだろうか? 今回、浅岡ルリ子がマドンナ役を演じた作品を4作品連続して鑑賞したが、私にとっては本作が一番であった。 二人は似ているようで、生い立ちは全く違う。 そこに胸を詰まらせるセンチメンタリズムを感じずにいられなかった。 90分程度で、これほどの映画を作ってしまう山田洋次監督、一番油が乗っていた時期である。 [DVD(邦画)] 8点(2009-07-08 00:52:15) |
38. おくりびと
《ネタバレ》 アカデミー賞なんてプロレスのチャンピオンベルトと同じです。 何の価値もありません。 近年アカデミー受賞作を知ってる人なんて、どれくらいいるのでしょうか? でもそれとは関係なく本作は素晴らしいです。 セリフと演出で納棺師の仕事を魅力的に描き、モックンが成長していく過程は感動的です。 モッくんのフンドシ姿、「シコふんじゃった」の頃と全く変わってませんね。日本を代表する役者です。 峰岸徹さんは死体役で終わっちゃうのかなと思ったのですが、あの一瞬のフラッシュバックで最高の存在に変貌します。あの瞳を開いた表情には胸が締め付けられました。 本作は最高の役者が揃いました。 広末涼子の評判が悪すぎますが、メディアが作り上げたイメージが先行してしまっているのが原因だと思います。芸能人に疎い私でさえ違和感を覚えました。この悪評を覆すには、あと10年はかかるでしょうね。 本作がアメリカで評価されても、日本映画自体は相変わらずレベル低いです。きっと近いうち、似たような葬式映画やドラマが沢山作られていくと思いますよ! [DVD(邦画)] 8点(2009-04-15 13:13:19) |
39. オセロ(1995)
最近「スルース」をきっかけにマイブームがケネス・ブラナーになり「ヘンリー五世」と続けて鑑賞したのですが、本作は私の性に合っていました。 「オセロ」「リチャード三世」のような、コンプレックス、嫉妬、妬み、裏切り、そして猜疑心を織り交ぜたドロドロしたものは私の人生経験と重なる部分が多く共感が持てます。 特にブラナー演じるイアーゴのような人物には私自身何人も出会っています。こういう裏切り者は本当に見分けるのが難しい。仕事では男の悪魔が多く、恋愛になるとやはり女の悪魔のほうが多い…これは勿論私の持論です。 シェイクスピアは劇場でも鑑賞経験がありますが俳優の実力が判断される場ではないでしょうか。裏を返せばシェイクスピアを演じられる俳優はどんな作品においても信用出来るのではということです。 本作はDVD化もなっていないようだし、これだけ優れた作品を簡単に鑑賞できないのは非常に残念なことです。 個人的に本作は、メル・ギブソン主演の「ハムレット」、アル・パチーノ主演の「ヴェニスの商人」と共に押さえておきたい3大シェイクスピアムーヴィーです。 [レーザーディスク(字幕)] 8点(2009-02-23 05:10:11) |
40. オアシス
ムン・ソリの演技ばかり注目されがちだが、ソル・ギョングもなかなかのもんだと思う。 他のレビューを読んでいると、彼が演じる青年が知的障害者だと気づかないでいる人も多いのではないかと思う。トップシーンを思い起こせば、青年の印象は、まるで亀田興毅が内藤大助に変貌するかのような、劇的な変化を遂げている。 映画は、健常者の毒を撒き散らして、愛の形を浮き彫りにして描いている。しかし、観終わって、もっと恐ろしいと感じたのは、その健常者たちを観て、自分と重ね合わせることができない人間が必ず存在していること。そういう人間が世の中の一番の毒なのではないかと考えたりもする。 健常者の私でも「愛」というものは簡単に表現できない。 もがき苦しむ二人にとても共感した。 韓国映画は当たりハズレある。特にハズレが多い。そして日本では、ある特定の人種のお陰で、ハズレばかりがヒットする。日本でも本作のような映画が製作されるようになれば少しはマシな国になるだろうにとため息が出てくる。 因みにDVDの特典映像にあるムン・ソリのインタビュー映像は必見である。彼女は私が初めて綺麗だと思った韓国人の女優だ。 私は観ていて「この話、最後どうなるんだろう…」と思わせる作品が好きだ。 限りなく10点に近い9点。 10点にしない理由は…ウ~ン、私にもわからない(笑) [DVD(字幕)] 9点(2009-01-22 02:34:52) |