1. 女の中にいる他人
《ネタバレ》 これはひとの貪欲な欲望=快楽が招くありきたりな悲劇なのだろうか? いや、きっとこれは成瀬巳喜男版『ミスティック・リバー』なのだ。 「王」とは、自分を頼る民たちのために自ら血にまみれることを辞さない者だとするなら、罪の意識から逃れられずに何処までも「王」たらんことを拒むのは、小林圭樹演じる夫。しかし、夫が王に君臨できないというならば、代わって自らが王たらんとするのは、新珠三千代演じる妻。当然のごとく行われる王交代の儀式=殺人。 そこへ至る過程の中で、成瀬は、夫の言動によって刻々と変化する妻の表情を、非情なクローズ・アップで、だがあくまで映画的に美しく、幾度となく捉えて魅せてくれる。妻と親友を失った三好達也の無念と哀しみは、ただの一言であっさり片付けてしまうというのに。だから本作は題名が示すとおり、やはり妻=女こそが主人公なのだ。 もともと成瀬作品には「残酷さ」(やましんさん言うところの「怖さ」?)が常にどこかしら顔を出しているのだが、本作でそれは特に際立っている。久しぶりに夫と二人きりの幸福な時間にはしゃぐ川辺での妻の姿。遊園地に行って家族皆で乗るティーカップの歓声。夜空に打ち上げられる花火とそれに魅入る子供たちとの切り返し。極めつけは、ラストのあまりにも美しすぎる海辺のストップモーション(プラス、林光の音楽!)。それはまるで、『ミスティック・リバー』の原作にあった最後のパレードのシーンでの、「このひと時が永遠に続いてくれれば」との願いに応えてみせたかのようだ。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-12-28 16:10:48)(良:1票) |
2. おどるポケモンひみつ基地
劇場では本編の前に上映される30分程の短編、言わば添え物なのですが、これが本編より断然面白いです! 展開は敵役のニャース達がせっかく建設しているひみつ基地をお馴染みのポケモンたちが寄っていたかってぶち壊していくという、かなりベタな展開なのですが、これがなかなか本格的なスラップスティックコメディになっていて、結構笑えます。場内では、大人も子どもも一緒になって爆笑していました。これが面白いんなら、今度うちの子ども達にもサイレント時代のコメディ映画を観せてみようかな。 [映画館(字幕)] 10点(2005-04-15 19:46:56) |
3. 鴛鴦歌合戦
♪さて、さて、さて、この映画、めちゃ、めちゃ、おもしろござりますう♪ 10点(2003-12-27 20:10:21)(笑:1票) (良:1票) |
4. 雄呂血
すてぃんぐ様ってば、"共和党が民主党を叩きのめす"って、違うでしょうがあ。全然そんな話じゃ有りませんよ。当然、イーストウッドの映画だって。「もう、あんたってひとはいい加減なんだからっ!」(オイラもよく言われるんだ、うちのカミサンに...) じゃあ、どういう映画かって、一言で言うと、もちろん、「運命は残酷」。これに尽きるっしょ!(しつこい?) 10点(2003-12-04 21:08:25)(良:2票) |
5. 男たちの挽歌
《ネタバレ》 細かいことは言うまい。なぜなら、これぞまさしく任侠映画! ゆえに、その後のアクション映画に多大な影響を及ぼしたチョウ・ユンファらによるガン・ファイトを楽しむことよりも、魂魄の演技を見せてくれたティ・ロンをはじめとする“オヤジな”男たちの哀切極まりない表情をじっくり味わうことの方が、肝心なのだ。もちろん、チョウ・ユンファも負けてはいない。ラストの港での銃撃戦において、彼がティ・ロンに銃を渡す時に見せる子供のような無邪気な笑顔を、決して見逃してはいけない! 9点(2003-09-12 20:33:33) |
6. 大人は判ってくれない
《ネタバレ》 フランソワ・トリュフォーの「映画的人生」を飾る輝かしきデビュー作である。なのに、冒頭車の中から撮られたであろうエッフェル塔のクローズ・アップに“Francois Truffaut”と監督の名がクレジットされるのを観るだけで、なんだか胸が一杯になる。そして、アントワーヌ・ドワネル少年の、家族で映画を観に行った帰りの車の中でのいつになくはしゃいでいる表情と、親に見捨てられ鑑別所送りとなる護送車の窓から生まれ育ったパリの街の灯が過ぎ去って行くのを見つめる淋しげな表情、さらには、鑑別所からもひとり脱走し疾走の果てにたどり着いた浜辺に立ち尽くす時に見せる凍て付いた表情を、私は決して忘れることができない。 10点(2003-05-13 17:44:21)(良:1票) |
7. 女と男の名誉
初めてJ・ニコルソンを格好いいと思った映画。ちょっと実の娘に肩入れしている感じはするが、当時齢80歳にならんとするJ・ヒューストンの演出は、まだまだ冴えておりましたなあ。 8点(2003-03-01 14:10:15) |
8. オレゴン大森林/わが緑の大地
《ネタバレ》 言うことなすこと確かに頑固一徹な人々の物語だが、ポール・ニューマンはきっとこういう人たちが好きなのだろう。仲間の一人が倒れてきた大木の下敷きになって、徐々に溺れ死んでいくまでの間に交わされるニューマンとの会話が滑稽で何とも切ない。 8点(2002-12-13 19:44:40) |
9. オズの魔法使
悪い魔女の魔法にかかって、お花畑で眠りこける主人公たちを救うもの、これぞ、ハリウッドの雪! 9点(2002-11-20 17:36:19) |
10. 大人の見る絵本 生れてはみたけれど
『麦秋』の鯉のぼりのカットのように、小津の作品では、一見何の変哲もない挿入カットにドキッとさせられる。ここでは、お兄ちゃんが医者を呼びに自転車を走らせるカット。しかも移動撮影。 10点(2002-11-20 16:57:07)(良:1票) |