1. オーロラの彼方へ
《ネタバレ》 何か「バタフライ・エフェクト」が中途半端で、どうにも腑に落ちないまま終わってしまった。父親が助かることの波及が、「連続殺人の被害者が3人から10人になる」程度で済むのか? もしかしたらこのお陰で、どこかで起こらない筈の紛争が起こり、数万人規模の死者が出てるかもしれない。しかもその後も、殺される筈の被害者を救い、母親を救い、更に肺癌で死ぬ筈の父親をまたも生かす。これはとんでもない歴史の改変。普通だったら無事で済んでないと思いますよ。また、主人公だけに改変前と後の記憶があるのに、周りの人は改変後の記憶しかないとか、突っ込み所も多すぎる。こういうことが気になって、一家族だけの幸せを見せられても素直に感動できませんでした。そういったことで、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-02-03 00:00:54)(良:1票) |
2. オープン・シーズン
年末の対抗馬「ライアンを探せ!」よりは、ずっと楽しい作品に仕上がってます。キャラクターもカートゥーン風デザインを巧く3Dで再現しながら(「マダガスカル」と「ライアン~」の中間位のデフォルメ)、熊の毛並み等はホントにリアルな仕上がり。そして、とことん虐げられる脱力した兎達は助演賞モノの活躍(?)。ドリームワークスとディズニーに対抗してか、ソニー・ピクチャーズ製のこちらはオーソドックスな自然回帰の物語になってますけど、逆にこの方が最後まで素直に楽しめるでしょう。また、今回は吹替版での鑑賞だったんですが、CHEMISTRYのオリジナル曲もあって、まるで日本製みたいに自然な仕上がり(カヴァーではなく「日本語のオリジナル曲」の力を感じました)。本作の吹替版はお薦めです。ということで、6点献上。 [試写会(吹替)] 6点(2006-12-08 00:05:07) |
3. お父さんのバックドロップ
プロレスラーの父と小学生の息子の葛藤と和解を描く、ベッタベタの浪花の人情物語。ストーリーやキャラクター設定がホントに直球勝負なので、これだと、ある程度プロレスに思い入れのある人か、親子の人情モノが特別大好きな人でないと楽しめないと思います。しかし出演者達の演技と、クライマックスの試合会場をちゃんとエキストラで埋めたことにより、映画は一段上質に仕上がってました。神木隆之介君は相変わらずの達者振りですけど、宇梶剛士がこんなに上手かったとは知りませんでした。同じプロレス映画でも、「MASK DE 41」より遥かにマトモな映画です、5点献上。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2006-08-21 00:02:25) |
4. ALWAYS 三丁目の夕日
(ちょい長め) 確かにエピソードがバラけてしまいオムニバス風になってしまってますけど、春夏秋冬それぞれに泣き所が用意してあって、これは見た目以上に巧みな構成だったと思います(これこそ「泣きのエンターテインメント」)。そして何よりも圧倒的なヴィジュアルの力。良く見れば意外と安っぽいCGなんですけど(これは多分DVD鑑賞の為。劇場ではそれほど目立たなかった筈)、映画である以上、見せないよりは見せてくれた方が絶対良いに決まってる。また、小雪や堀北真希さえも、ちゃんと昭和33年の人間に見える所こそ、最近の邦画としてはCGより凄い点かもしれない。デジタル技術を駆使して再現された当時の東京は、リアルでもファンタジーでもなく「記憶の中にある東京」。だからこそ多くの人が共感できたのでしょう(それに、現在の「ニーズ」にピタリと合致した)。そして私は、ハリウッド大作に影響されて「娯楽」と「特撮」にアレルギーを持つことなく育った日本の映画監督が、ようやく日本独自の「大作」を撮り始める時代になったことが感慨深いです。誰も見向きもしない様な作品を「芸術」と称して持て囃し、娯楽映画の作り手を育成してこなかったことによって誰も見向きもしなくなった「産業」が、いよいよ本格的に盛り返してきそうな予感を本作は抱かせてくれました、7点献上。 [DVD(邦画)] 7点(2006-06-28 00:04:26)(良:5票) |
5. オーバードライヴ(2004)
金が無いなら無いなりに、チープ・ポップな馬鹿映画として仕上げようとした製作の方向性は間違ってなかったと思う。しかし如何せん、金が無い上にセンスも無さ過ぎて、単にチープなだけの映画になってます。売れてない元バラドルとアイラインきつめのグラビア・アイドルというヒロインが、更にチープ感を増進。「三味線虎の穴」の内部も場末のお化け屋敷レベルじゃ、馬鹿映画にもなりきれない。そもそも金が集められなかった上、こんな映画で2時間越えを許してしまうプロデューサーが一番悪いと思う。そんな出来損ない映画の中で、唯一の見所が柏原収史のバチさばき。本作がきっかけだったのか、以前から練習してたのか知りませんが、自身のプロフィールに「津軽三味線」を加えるだけのことはありますネ、4点献上。 [CS・衛星(邦画)] 4点(2006-06-28 00:03:36) |
6. O〔オー〕
シェイクスピアを現代の学園ドラマに置き換えるというのは「恋のからさわぎ」と同じですけど、それにしても何で「学園ドラマ」なんだろ? 個人的にアメリカの学園モノって、それだけで薄っぺらい印象を受けてしまうので、どうにも分が悪い。もちろん古典文学の素養の無い私は「オセロ」を知らないので、本作からだと今一ジョシュ・ハートネットの心理も伝わってこない。解説に書いてあるから彼の動機は「嫉妬」なんでしょうけど、では、何故Oに嫉妬するのかが判らない。かつてトップ・プレイヤーだったのがOに追い落とされた訳じゃなさそうだし、父からの愛情に飢えてるにしても、ジョシュからはファーザー・コンプレックスの気も余り見えてこない。従って、私も単純なサスペンス映画として観るしかありませんでした、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-06-23 00:02:11) |
7. オリバー・ツイスト(2005)
ロマン・ポランスキーがこの物語をどういう風に料理したのかに興味があったし、「これまでより強いオリバー・ツイスト像」とやらにも期待をしましたが、やっぱり楽しめませんでした。どこが「これまでより強いオリバー・ツイスト」なんだ? 例によってオリバーは流されるまま、最後まで自らの意思で行動を起こさない。全てが良いんだか悪いんだか判らない運任せ。小説ではディティールや心情を克明に描けても、映画の彼は常にオドオドし、今にも泣きそうな表情を崩さない卑屈な少年にしか見えない。入魂のオープン・セットも、余り活かされてる様には感じませんでした、4点献上。 [映画館(字幕)] 4点(2006-02-21 00:05:19) |
8. オネーギンの恋文
暮らしに不自由が無く、幸せな家庭というものを信じず、自分の感情を押し殺して生きるオネーギン。そんな生き方の所為で、珍しく得た友人と呼べる人間とも彼は決闘してしまう。若い頃はこういう生き方でも問題なく前に進んで行ける。しかしやがて、自分がこれまで失ってきた多くのものを思い知る時が来るのです。最後までニヒルを通すのも良いですけど、思いの丈をぶちまけて、更に自分の過ちを思い知るのも悪くない。とりあえず彼は、満足感は得られたんじゃないでしょうか。あと、ヘンテコなロシア訛りを聞かされなかったのは、アメリカ映画と違って良かったです、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2006-02-21 00:03:36) |
9. おろしや国酔夢譚
皆さんの書かれる様に、確かにちゃちっちゃぁちゃちなんですけど、その分、ロケーションで頑張ってたと思います。極寒のシベリアや、特にエルミタージュ宮殿は、ロシア(撮影当時はまだソ連だったのかな?)にまで行って撮影してきただけの甲斐はありました。日本の貧乏臭いセットでは、この迫力は描けなかったでしょう。そういった意味でも本作には余り悪い印象はありません。限りない望郷の念と商人の知恵、そして不屈の行動力で帰国を果たす大黒屋光太夫の露西亜漂流は、あらゆる意味で世界の狭まった現在からは考えられない程、過酷な冒険だった筈です、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-01-19 00:02:45) |
10. 鬼教師ミセス・ティングル
「スクリーム」や「ラストサマー」なんか問題にならない程、ケビン・ウィリアムソンの才気溢れる脚本が楽しめる佳作。本作では劇中で「エクソシスト」をパロってるだけでなく、ティングル先生の設定そのものが悪魔のパロディになってます。「エクソシスト」でもメリン神父がカラス神父に「悪魔に耳を貸すな」と言いますし、「コンスタンティン」も悪魔の能力は「囁くだけ」だと言いました。つまり、悪魔とは「言葉」なのです。ベッドに拘束されて無力な筈のティングル先生は、言葉一つでアホなガキ共を簡単に翻弄してしまう。言葉(=台詞)の恐ろしさを存分に発揮した、これぞ脚本の妙。舞台劇にしても充分通用する面白さです。唯、ラストは「進学した主人公の担当教授がティングル先生だった」位の逆転が欲しかったですね、7点献上。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-14 00:02:02) |
11. 奥さまは魔女(2005)
ニコール・キッドマンが適役だったとも思えませんが、彼女が出てなかったら相当悲惨な映画になってたとは思う。演技力とか美貌ではなく、偏にニコールの「スターとしての存在感」だけで屋台骨を支える、かなり綱渡りな構造計算の上に本作は施工されてます。シャーリー・マクレーンやマイケル・ケインという重鎮も土台にするのではなく、屋根に乗っかってる飾り位にしか使われない。ま、これは構造計算以前に、設計(脚本)自体の問題か。オリジナルを劇中劇としたのは良かったですけど、いくら魔法の話とは言え、行き当たりばったりのストーリーでは楽しめません、4点献上。 [DVD(字幕)] 4点(2006-01-02 00:04:04) |
12. 奥サマは魔女(1997)
とにかくヴァネッサ・パラディがキュート。華奢な肢体とお馴染みの透き歯、そして鼻にかかったアニメ声(本作は英語作品なので、舌足らずな英語の発音がまた可愛い)。母親役にも関わらず、フレンチ・ロリータという呼称が頭をよぎります(彼女を愛でる行為は正に「萌え」という言葉がピッタリくる)。また、彼女の持つ独特の雰囲気には、こういった出来の悪いB級映画が良く似合います。ヒロイン力だけで言えば「奥さまは魔女」のニコール・キッドマンを遥かに凌ぎます。映画自体は皆さんのレヴュー通りですけど、ヴァネッサのお陰でそんなに悪い後味はありませんでした、4点献上。 [地上波(字幕)] 4点(2006-01-02 00:02:26) |
13. 奥様は魔女(1942)
実際のヴェロニカ・レイクの作品は初めて観ましたけど、当時のファム・ファタールを代表する方だったとか。そんなクール・ビューティが演じるのは、自分を封じ込めた男の子孫を復讐の為にたぶらかそうとする、イメージ通りのファム・ファタールな魔女。しかし男に飲ませようとした惚れ薬を自分で飲んでしまい、中盤からは一転、敵の子孫に恋してしまう可愛い魔女に変身。ルネ・クレールの狙いは、イメージとは正反対のヴェロニカの純情演技そのものにあったんだと思う。私は彼女のイメージを知らないので、この映画の真の面白さを理解できなかったかもしれませんが、ヴェロニカ・レイクは充分チャーミング。そして映画自体も、オーソドックスながら現在でも充分通用する特撮コメディだと思います。そういうことで、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2006-01-02 00:01:02) |
14. OL忠臣蔵
《ネタバレ》 頭から中盤にかけては中々楽しい仕上がり。腰掛OLが職務に目覚めていく様も、単純だけど爽やかです。もっと「OL社会」のディティールに踏み込んでOL達の生態を描いたり、バブル期と不況期のギャップをパロディにしたりすれば更に面白くなったと思います。しかし、肝心のオチは頂けない。日本的情緒と言えばそうなんでしょうが、結局は泣き落としで解決なんて陳腐すぎる。ミスで売られたと知りつつも、その株を買い占めて利益を上げるのがビジネスの実態。ここはちゃんとビジネス上の秘策で一発逆転して欲しかった。この辺に脚本段階でのリサーチ力や構成力の無さが露呈してしまってます。ハリウッドならこんな脚本はあり得ない。娯楽映画のクォリティにはまだまだ大きな開きがありますね、5点献上。 [地上波(字幕)] 5点(2005-12-28 00:01:18) |
15. 溺れる魚
シリアス描写からコメディ映画へ、馬鹿映画からマジ演技へと、全く掴み所の無いまま進んでいく。最後はおちゃらけて終わり。新旧で言えば新しい映画とも言えますが、狙い所が極端に狭いと思う。真剣に観ようとすると肩透かしを食らい、笑おうとするとツボを外され、私はとても着いてけませんでした。馬鹿映画とふざけた映画は違うとも思うし…。この堤幸彦という人、もしこんなことを続けていくのであれば特異な映像作家として、一生に1本位は知る人ぞ知るカルト作品を完成させることが出来るかもしれません。でも、映画監督としては一生メジャーになれないでしょう、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2005-12-07 00:01:03) |
16. 王子と乞食(1977)
昔の名優を贅沢に配置した大味な大作という、この時期の流行を取り入れたファミリー・ムービー。やっぱり本作一番のミス・キャストが主役のマーク・レスター。子役時代(と言っても、この当時でも19歳)も美しく可愛かっただけで演技が上手かった訳じゃない。だから、ひょろひょろと中途半端に成長した本作の彼は最早見る影も無い(彼自身が既に「昔の名優」って感じか…)。底辺の暮らしと雲の上の暮らしを対比させた物語の本質も、サラッと流しただけでお終い。その分、陰の主役となって物語を引っ張ったのがオリバー・リードでした。忠義と愛情を奉ずる落武者(?)という役柄は、彼の容姿も相まって中々迫力がありカッコ良かったです。決して名作ではないですが、今でも普通には観れるんじゃないでしょうか、5点献上。 [映画館(字幕)] 5点(2005-12-02 00:00:56) |
17. 女と女と井戸の中
父親の死によって男性社会から解放されたと思った中年女性が、何をしても父権主義的世界からは逃れられないことを悟るまでを描いた女性映画(?)。第一印象は私も「青ーっ!」。主人公の住む世界(つまり女性の置かれた状況)自体が「井戸の中」という意味なんでしょうけど、ここぞというシーンだけでなく、頭から終わりまでず~っと青いまんまなので、少し気持ち悪い(知らないで観た人はテレビが壊れたと思うかも)。そして第二印象は「若ーっ!」。ミランダ・オットー、これで当時30歳ですか? 見た目は完全にティーンエージャーですよね。俳優って凄いよなぁ…、5点献上。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-10-14 00:08:44) |
18. おかえり
精神に異常を来し、徐々に常軌を逸した言動をとり始める妻との関係の中で、夫婦生活を見つめ直すことになる夫の姿を描いた、「忘れられぬ人々」の篠崎誠監督のデヴュー作。妻は映画の冒頭からおかしくなってるのに、物語が動き出すのは映画も半分近くを過ぎた辺りから。それまでは徹底して生活のディティールを追うことに費やしてる。しかし、私にはその描写に意味があったとは思えない。だから前半は退屈で退屈でしょうがなかった。多少は面白くなってくる後半も、やたら間延びした長回しの連続で、私の忍耐の限界に挑戦してくる。これは、まず普通の人には耐えられないと思う。海外等で色々な賞を受賞してるみたいですけど、残念ながらどこが良いのか、私にはさっぱり解りませんでした。そんな訳で、3点献上。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2005-09-03 00:05:22) |
19. 女はみんな生きている
21世紀の、しかもフランスの映画とはとても思えない、古臭いフェミニズムを真正面から描いた痛快サスペンス・コメディ。フェミニストの常套句「女は搾取されている」を体現するのが娼婦という職業であり、妻という立場。今更それをストレートに提示されても、話としては楽しめましたが、テーマとしては少し引いてしまう。それに男尊女卑が伝統の我が国ですら、そろそろ定年を迎える年代以上を除けば、女房がいないと何も出来ない男なんて少ないと思いますよ。中身に引っ張られた邦題も、まるで「女はみんな生かされていない」みたいでセンスが無い。これが本国でどの程度ヒットしたのかは知りませんが、アラン・サルドが商売になると思った位だから、現在のフランスに於いても充分通用する設定なのでしょう、6点献上。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-16 00:09:02) |
20. 弟切草
こりゃ酷い。元がゲームであるのをいいことに、全編堂々のハンディ・カムと監視カメラのビデオ撮り。その酷い映像に訳の判らんエフェクトをかけて誤魔化すことが「今風」だと思ってんなら、勘違いも甚だしいゾ。この手法が使えたのは、後にも先にも「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」ただ一本だけだということが解らんのかね? このトチ狂った演出も演出なら、お話の方も負けず劣らずどーしょーもない。これじゃハリウッドからブライアン・デ・パルマを連れてきたとしても、よしんばヒッチコックが蘇ってメガホンを取ったとしても、マトモな映画になろう筈もない。大体、こんなストーリーのゲームが面白いんか? 奥菜恵もホラー顔した良い素材だとは思いますけど、結婚相手同様、中々良い作品に巡り合えてない様ですネ、1点献上。 [CS・衛星(字幕)] 1点(2005-08-11 00:06:49) |