1. オープン・ウォーター
怖ェーーッ!!! 結末の賛否はともかく、あの進退窮まった状況下で、首から下で何が起っているのか分からない恐怖、怒りの持って行き場も無く、ただ流されていくだけのナマ殺しの恐怖、もう耐えられませんでした。 ボートのスタッフに「何か気づきそうなドラマティックな役者」がキャスティングされてないのも絶望的。 途中で挿入された穏やかなリゾート地の映像との対比が、現場の悲壮感を浮き彫りにして印象的でした。 終始水中で奮闘した主演の二人に拍手。 この恐怖は尋常じゃないです。 [DVD(吹替)] 7点(2006-05-12 12:06:54) |
2. ALWAYS 三丁目の夕日
多くの美談エピソードをこれでもかと詰め込んだわりには、胸焼けさせずにスッキリとまとめた構成はとても巧い。 「美談100%の毛糸」で編みこまれた手編みセーターの肌触りで、奥行きのある街の刺繍もレトロな風合いをぐっと引き立たせた、一見誰もが手にとって着てみたくなるような暖色系ノスタルジーの一品だ。 しかし、着てみて分かる違和感もいくつかはあった。 全体的にセリフが多くてテンポは良いんだけど、そのぶん人物が浮き足立っているように見えて、ちりばめられた感動がそれほど深く感じられなかった。 クリスマスプレゼントのシーンでも、その喜びをセリフで説明してしまっていたが、子供などがホントに嬉しいようなときには、言葉にならずにただただ大喜びする方が自然だろうし、そのほうがより伝わるんじゃないかと思う。 ラストの少年の選択も心情的には分かるが、ながい目で見れば最良の選択とは言いにくいし、展開も紋切り型で雑だった。 もっとしたたかに生きる、良い意味の賢さを押し出しても良かったんじゃないかと思った。 それぞれのエピソードは涙腺のツボをキッチリと捉えているだけに、あとひと押し足りないのが残念だった。 セリフと演出がもう少し練れていれば傑作になっていたんじゃないかと思ったりしたが、この冬を乗り切れるくらいの暖かさはあるし、美談が心に届けばもはや号泣は避けられないくらいのピュアな燃料はしっかりと詰まっていた。 [映画館(字幕)] 6点(2005-12-02 18:36:13) |
3. 鬼が来た!
これは日本人が観るべき反戦映画ですね。 日本人監督では描き得ない、ある状況下での日本人特有の思考パターンをゾッとするほどくっきりと描写しています。 終盤の展開には凍りつきました。 まさに鬼です。 創業60年のそば屋の倉庫にひっそりとしまってある古びた鏡を覗いたら、血だらけの鬼が仁王立ちしてた感じです。 学校でも教えてくれなかった一番観たくない醜い姿ですが、日本人が観ておくべき必須の映画じゃないでしょうか。 恐怖による支配は憎しみ以外何も生みはしないというメッセージが深く心に突き刺さりました。 [DVD(字幕)] 8点(2005-09-16 02:30:33)(良:1票) |
4. オール・アバウト・マイ・マザー
世の中という大きな水槽からコップいっぱいの水をすくい採り、中ですいすいと泳ぐ人間達の悲喜こもごもをちょっとの間眺めて見る。 どこにでも人は生きていて、それぞれにはそれぞれの都合があり、よろけたりつまずいたりしながらも、しなやかに粘り強く生きている。 コップの中からのさりげない「あなたもそうでしょ?」という問いかけに、軽くうなずきながら観たりする。 自力で泳ぐ、大人の女性向けに作られた繊細な良作だ。 オカマのアグラードがチャーミングに作品のやりきれなさを中和する。 「みんな、がんばって」と言いたくなる様な、言われている様な、ちょっぴりほろ苦いけれど眼差しの優しい映画だと思った。 7点(2004-03-25 12:21:09) |
5. オーロラの彼方へ
前半傑作の予感がして引き込まれたが、予想外の展開に持ち込む後半がひねり過ぎてバタバタとしてしまったのはものすごく惜しかった。アイデアは良かっただけに残念。 6点(2004-03-19 02:07:30) |