1. 大いなる遺産(1998)
《ネタバレ》 あまり期待せずに観たところ、意外に面白かった。なるほどね。こうなってたわけだと最後まで飽きずに見ることが出来ました。 その後、よく調べてみたらイギリスの文豪チャールズ・ディケンズの長編小説を映画化したものだとわかり、それもその作家の半自叙伝的な小説と知り、原作を読んでみたいと思いました。これまでに7度も映画化やテレビドラマ化されていたようですが、全然知りませんでした。 イーサンはこういう心の奥底にコンプレックスを抱えている役を演じるのがうまい。「ガタカ」のヴィンセントなんかもそう。 この作品でも孤児で家庭の温かさや経済的にも恵まれないフィン。でも絵の才能だけは神様から与えられた。その神様から与えられた才能も世間に見せる場がないと天才とは認められないわけで。そのためには世間様に見せる手段つまりお金が必要。いつの時代もこういう天才芸術家とパトロンの関係があり、現実でも有名になった画家とかデザイナーなんかも似たりよったりの境遇なんだろうな思いました。 フィンの描く絵はぱっと見たところ「ヘタウマ」みたいな画風だったけどすごく印象的で、映画全体の色使いもあいまって綺麗でした。監督はメキシコ人のアルフォンソ・キュアロンで「バンズ・ラビリンス」、「パリ・ジュテーム」や「トゥモロー・ワールド」も手がけた人。確かにに独特の色使いだった印象があります。 最初はエステラの叔母ディンズムア夫人が、自分の過去の復讐のために(復讐のターゲットは男なら誰でもよかったのかな)エステラを使ってフィンの人生を操るのかと思っていたら、本当のパトロンの存在にかなり衝撃でした。ディンズムア夫人と囚人(ロバートデニーロ)の関係がはっきりしなくて、グルなのか全く無関係なのかその辺が未だにはっきりしません。大いなる遺産とは結局エステラとの愛だったということなんでしょうか。最後のシーンはうまく作品をまとめており、良い落としどころだったように思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-07-09 10:34:29) |