Menu
 > レビュワー
 > よしのぶ さん
よしのぶさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 823
性別

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
【製作年 : 1950年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1
投稿日付順1
変更日付順1
>> カレンダー表示
>> 通常表示
1.  大人は判ってくれない 《ネタバレ》 
愛情を渇望する十二歳の少年が非行に走り、両親の愛を失うという喪失の物語。 少年は一人っ子で、両親は共働き。母親は子を産みたくなかったが、産んで祖母に預けていた。父親は継父。夫婦仲は悪く、少年はしばしば二人の諍いを聞きながら眠りにつく。 書くことは他者との重要な伝達手段だが、少年はこの能力に欠けている。試験の場面から物語が始まる。少年は成績が悪い。運悪く廻って来たグラビアが先生に見つかり、立たされる。その不平を壁に書くと、文法がでたらめとなじられる。文法の宿題ができなかったので、学校をずる休みすると、それがばれて父親から大喝される。母親から作文の成績が良ければ小遣をあげると言われて気張るが、文豪の文章を剽窃してしまい、先生から批判され、これが家出の契機となる。食うためにタイプライターを盗んで少年鑑別所送りとなる。父親に酷い手紙を書いて愛想を尽かされ、遂に母親からも見捨てられる。 孤立無援となった少年は鑑別所を脱走する。少年は家庭や学校では居場所が無く存在感が薄いが、外では生き生きとしている。向った先は母なる海。そこには建物でごった返した都会と違い、自由に開かれた茫漠たる空間がある。自由にあこがれて海に辿りついた少年だが、同時に母親の愛も渇望している。「母が死んだ」という嘘は、母への愛情の裏返しだ。タイプライターを盗みに入ったのは父親の会社で、これは無意識にわざと捕まって問題を顕現化させ、両親との関係を修復しよういう心理が隠されている。 海に出たものの自由は扱いづらいく、手に余り、途方に暮れるしかない。まだまだ親の庇護を必要とする年齢だ。やがて目線は写真機の先にある観客に向けられる。観客は、少年と子供の頃の自分とが重なり、動悸が激しくなるのである。 本作での母親の愛情は「条件付き」だ。「云う事を聞けば」「成績がよければ」愛するのである。それでは本当に愛していることにはならない。少年は母親を嫌悪しているのではなく、よい子になりたいと願うし、不倫にも寛大で、性的魅力も感じている。少年が中年女の出産談を聞いて気分が悪くなるのは、自分の出生に負い目を感じているからだ。自分が生まれて母親を不幸にしたいう罪悪感がある。複雑なのだ。そんな思春期の少年の複雑な心の揺れをみずみずしい感性で描いた作品である。少年は完全に孤独ではなく、無二の親友ルネがいるのが救いだ。
[DVD(字幕)] 7点(2014-12-08 16:38:18)(良:1票)
全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS