2. 狼たちの午後
《ネタバレ》 面白い!これは傑作だろう。基本的にコメディタッチで何か可笑しく、のほほんとした雰囲気があるのだが、当然ただおかしいだけではなく、その根底には常に不穏、不安といったものが張り詰めている。その緊張感の源泉となっているのがジョンカザールの存在だ。アルパチーノが道化(ピエロ)を演じるその後ろでこのジョンカザール演じるサルの神経質そうな存在が常にあり、「いつ、こいつがブチ切れて銃を乱射しだすか分からない」という緊張感を顧客に抱かせ続ける。普通緊張と緩和というとそれらが交互にくるものだが、本作においては常に緊張感がある上で、クスクスと笑わせようとするので、こちらも笑っていていいのだろうか?という気持ちになってくる。それは、まさにこの事件をテレビで見ている視聴者、もしくは実際に銀行に囚われた人質が感じている感覚ではないだろうか。結末の怒涛の展開も素晴らしい。そこで我々はFBI捜査官の「we'll take care of Sal(サルのことは我々に任せろ)」という言葉の意味を知るのだ・・。最後今まで道化を演じていたアルパチーノが「don't shoot me」という言葉を弱々しく言うシーンにこの男の本質が描かれている気がした。今回リバイバル上映で初見ながら劇場で観れたことも良かったかもしれない。 [映画館(字幕)] 8点(2019-04-03 11:42:19) |