21. 母なる証明
《ネタバレ》 ポン・ジュノの才能が遺憾なく発揮されている快作です。まるで「藪の中」のようなミステリーの形をとりながら、我々に人間社会の理不尽さや人間の抱える原罪のようなものを指し示しています。 過ちを抱えながらも、何事もなかったかのように踊る母親の姿こそが、まさに人間という生き物そのものであるように感じました。 [DVD(吹替)] 8点(2010-06-09 01:10:59) |
22. パーマネント・ブルー 真夏の恋
《ネタバレ》 とにかく切ない青春映画でしたね。取り返しのつかない罪を犯した「大人」の女性と、目の前しか見えない「子供」の少年のアンバランスな恋愛が、四国の美しい風景と共にほろ苦く描かれています。 秋吉久美子と佐藤祐介のコンビが良かったのはもちろんのこと、父親役の岡田英次の存在感も印象的でした。 [映画館(邦画)] 8点(2010-02-14 21:52:29) |
23. バーダー・マインホフ 理想の果てに
《ネタバレ》 60年代から70年代にかけてのドイツ赤軍の動向がドキュメンタリータッチで淡々と描かれていて非常に興味深く観ることができました。正直、現在の感覚で観ると、疑問や嫌悪を感じる部分も多かったです(ただこの「現在の感覚」というのはこういった事実を消化した上に成り立っているのですが・・・・・)。 序盤のテロ活動のシーンなんかは妙に格好よくて、こういった集団に憧れる若者が出てくるのも無理はないなと思いましたね。それ故に、その理念よりも「格好よさ」に惹かれた第2・第3世代が暴走していくのが本当に良く理解できましたし、必要以上に神格化された第1世代の戸惑いや脆さが上手く映し出されていたと思います。 [映画館(字幕)] 8点(2009-08-24 18:47:32) |
24. 博士の愛した数式
《ネタバレ》 数学の哲学的、文学的な奥深さについての講義を受けているような感覚で鑑賞しました。文系人間でもその魅力は十分感じ取ることができました(吉岡秀隆の講義部分が非常にわかりやすくて良かったです)。 出演者たちの自然な演技や美しい風景も素晴らしく、心が癒される作品でした。 [地上波(邦画)] 8点(2008-08-05 18:15:01) |
25. パンズ・ラビリンス
《ネタバレ》 ファンタジックだけれども暗く、グロテスクなのは、不安や恐怖が入り混じっているからなんでしょうね・・・・・。非常に哀しい「大人のための童話」という印象を受けました。 第二次世界大戦の真っ只中で、内戦は終結したものの政情不安定であった当時のスペインの雰囲気が上手くこのダークファンタジーとマッチしていて非常に印象深い映画でした。 ラストについては、個人的には決してバッドエンドでは無いと思います。オフェリアは自ら選択し試練を乗り越え、その結果王国に戻れたことを確認できたわけですから・・・・。 [DVD(吹替)] 8点(2008-05-21 18:59:13) |
26. パルプ・フィクション
《ネタバレ》 出演者、音楽、ストーリーの構成・展開、台詞等々全てが「イカして」いる超A級の「B級映画」ですね。本当に「巧い!」の一言です。ただ、ちょっと長いかな・・・・・。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-01-19 20:57:04) |
27. バーディ
《ネタバレ》 もう、「やられた!」という一言だけですね・・・・・。何と素晴らしいラストシーンなんでしょうか。本当にアラン・パーカー監督のセンスには脱帽です(音楽の使い方も抜群に良かったです。) 正直、バーディの鳥フェチぶりにちょっと引いてしまっていましたし、戦争のトラウマというテーマも非常に重くて、やや観ているのが苦痛だったんですけどね・・・・。 観終わった後、ちょっと前向きになれる作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2007-10-08 21:34:07) |
28. バッシング
《ネタバレ》 非常に安っぽい作りの映画でしたが、自分たちの常識の許容範囲を外れた行動、人間に対して徹底的に叩いて自分の理解できるところまで戻そうとする、もしくは排除しようとする日本社会の姿を描いていてとても興味深い作品でした。(おそらく海外で評価されたのはこの部分だと思います。) まあ、日本の社会では「普通」でないと良くても悪くても生き辛いですからね、この作品の主人公のように海外へ行く、主人公の父親のように自ら人生を終わらせるという選択をしてしまうのも理解できないことではありません。(日本人に自殺が多い理由もこういう社会風土が影響しているような気がします。) いろいろと考えさせられる作品でした。 [DVD(邦画)] 8点(2007-05-19 13:23:43) |
29. パラダイス・ナウ
《ネタバレ》 パレスチナ問題をパレスチナ人側から描いている作品ということで、正直観る前は、パレスチナ人やイスラムの考え方がどこまで理解できるだろうかと思っていました。けれども、実際観てみるとまったく違和感なく映画の世界に入ることができましたね。ドキュメントとしても、ドラマとしても良い作品だと思いました。逆に「ミュンヘン」のようなイスラエル側の作品よりも、登場人物の思いがわかるような気がしましたね(どっちの肩をもつとかいう話ではないです)。 しかし、上映する場所が非常に少ないのが残念です。もっとたくさんの人に見てもらいたい作品ですね。日本のマスコミ報道なんか、「アラブ人=狂信的なテロリスト集団」みたいな扱いですからね・・・・・。 [映画館(字幕)] 8点(2007-04-25 16:56:41) |
30. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
《ネタバレ》 とにかく最初から最後までブラックジョーク満載の作品でしたね。特にラストは悪趣味極まりないんですが、その禁忌的な美しさに心を動かされたのも事実です。 ピーター・セラーズが1人で3役を演じているんですが、その中でもストレンジラブ博士のマッドサイエンティスト振りが強く印象に残る作品でした。大統領を総統と呼んだり、自然にナチス式敬礼をしようとする右手を押さえこんだりと、ナチス崇拝の過去が出てきてしまうところに、結局のところユダヤ人を敵視して根絶やしにしようとしたナチスも、共産主義を敵視してソ連に核攻撃をしかけようとするアメリカも大きな違いは無い(もちろんソ連も)という皮肉が感じられました。 しかし、コンピューター社会の今の方が、この映画のような事が現実に起こりそうでちょっと怖いですね・・・・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2007-04-23 19:04:52)(良:1票) |
31. 橋のない川 第一部
《ネタバレ》 子供ならともかく、大人が部落だからといって火事をそのまま放置したり、「ここはお前らの来るところではない」と面前で言い放つ人たちの神経が今の感覚で見ると正直理解できません。しかし、この作品で描かれているような事が普通に起こっていた時代がそれ程遠くない昔に存在していたことは良くわかりました。 しかし、全体的にはシリアスな作品なんですが、関西が舞台だけあって、伊藤雄之助と北林谷栄のやり取り等どことなくユーモアを感じさせるシーンもところどころあって、思ったよりも観やすい作品でした。 [DVD(邦画)] 8点(2007-03-26 12:56:38) |
32. バブルへGO!! タイムマシンはドラム式
《ネタバレ》 予想以上に楽しめる作品でした。当時の華やかさに懐かしさを感じましたが、今見るとちょっと恥ずかしいですね ただ、面白かったんだけど何か惜しい気がしますね。タイムマシーンで過去に戻りバブル崩壊の引き金となった大蔵省のいわゆる「総量規制」通達阻止という発想が凄くすばらしいと思うので、そこらへんの駆け引きの部分をもう少し突っ込んでほしかったですね・・・・まあコメディなんで仕方ないんでしょうけど。しかしまあ、総量規制通達については実際は映画の中のような話ではなかったんでしょうけど、まさに国賊と呼びたくなるような話でしたね(コメディにしておかないと実はヤバかったりして・・・・・) 逆にバブル期の世相についても思ったほど触れてなかったので、ホイチョイプロの莫大なデータを駆使してもう少し当時の浮かれぶりを描いて欲しかったですね。 [映画館(邦画)] 8点(2007-02-12 19:06:19) |
33. 八月のクリスマス(1998)
すごくはかない気分にさせてくれる作品です。でも、見終わった後「がんばらなきゃ」と思わせてくれる作品です。 しかしまあ、この頃の韓国映画は良いですね。今はあの「韓流ブーム」のお蔭で、何かミーハーなイメージがついてしまいましたが・・・・。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-15 16:58:32) |
34. 拝啓天皇陛下様
《ネタバレ》 ストーリーとしては、軍国主義の時代に翻弄された人々を描いているのですが、その中で主人公は天皇陛下を敬愛し軍隊を天国だと言い切る異色ぶりで、彼の生涯を通して軍国主義というものを皮肉っています。(非常に粗暴だけど純粋なキャラクターで、渥美清の演技が光ります。) ただ、まだまだ日本も今のような豊かな国ではなく、子供の身売りなんかもあった時代ですから、主人公が、「軍隊は天国だ」と言うのも理解できないことはなく、一面的にこの作品を捕らえることはできないです・・・・・。(まあ、主人公も最後は結婚相手も見つかったし決して不幸な人生では無かったと思いますが。) 渥美清以外の役者さんも非常に良く楽しい作品でした、 [CS・衛星(邦画)] 8点(2006-07-26 15:09:46) |
35. ハーヴェイ
《ネタバレ》 ジェームス・スチュワートと言えば、「素晴らしき哉、人生!」で町中の皆から愛される役を演じていましたが、この作品では一転して、アル中気味で周りには見えない巨大ウサギ(ハーヴェイ)といつも行動しているちょっと変わった中年男を演じています。 まあ、ハーヴェイの姿は我々にも見えてないのでジェームス・スチュワートの演技は非常にアヤしいです。そりゃ、42まで独身で酒場に入り浸り、しまいにウサギと会話をしていたら身内も精神病院につれて行こうと思いますよね(まあ、姉の方が逆に病室に入れられてしまうところは笑えましたが・・・・・)。でも、最後は、姉が弟を思う気持ちがとても伝わってきました。 ただ、ハーヴェイは幻想では無く、奇人変人には見える妖精なんだなと思いました。だから、チャムリーには姿が見えてましたし(ただ酔っ払ってただけかもしれませんが)や姉と姪のハーヴェイに対する見方も微妙に違っていたように思えました。姪は完全に幻想だと思っているのに対し姉の方は姿は見えていて、存在は認識しているものの巨大ウサギがいつも家の中にいることに嫌悪感を抱いている感じがしました。(ウィルソンにも辞書の文字を通して挨拶してましたし。) ちなみにハーヴェイの姿は、途中で出てくる肖像画でしか出てきません。 [DVD(字幕)] 8点(2006-06-03 20:39:39) |
36. ハンナとその姉妹
《ネタバレ》 とてもグチャグチャな人間関係ではありますが、それをさらっとコメディ仕立てで描けているのはさすがです。マイケル・ケイン演ずるエリオットの身勝手で優柔不断な心の動きはもう男の哀しい性としか言いようがないですね。 ウディ・アレン演じるミッキーが「人生とは・・・神とは・・・」と試行錯誤している様はユーモラスではあるけれど、いろいろ考えさせられました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-05-21 20:18:37) |
37. 花とアリス〈劇場版〉
《ネタバレ》 2時間15分の間、鈴木杏と蒼井優が紡ぎ出すキラキラとした世界に浸ることが出来ました。 とにかく、非常にリラックスして見る事の出来る作品でした。 あとは、いろいろな方がカメオ出演しているので楽しかったです。(ルー大柴の映画見てみたい・・・・) 巨大アトムは、この映画のためにわざわざ用意したんですかね・・・・・ [DVD(邦画)] 8点(2006-05-20 19:34:52) |
38. 白蛇抄
人間の奥底に潜む情念の深さを上手く描いていると思います [DVD(邦画)] 7点(2015-11-11 21:17:13) |
39. バタフライ・キス
《ネタバレ》 神を畏れるが故に、神に触れようと挑発を続けるユーと彼女を愛し、救おうとするミー。ユーを救おうとしたが故に、ミーはユーにとっての神(の代理)となり、ユーを裁くことになってしまう。ユーは神に触れた幸福の中でこの世を去ったが、残されたミーには愛の記憶と罪だけが残った・・・・。 愛の不条理を感じさせる作品でした。 [ビデオ(字幕)] 7点(2014-12-30 14:47:48) |
40. 阪急電車 片道15分の奇跡
《ネタバレ》 いろいろな人間関係の「問題」を取上げ、一つ一つ上手く解決していく様は見ていて心地良かったです。 今津線という阪急の中でも「メイン」ではない路線を取上げているのも良かったと思います。 ただ、電車内で騒ぐオバちゃん達の演技がちょっとオーバー過ぎるような気がしましたね(まあ、ああいう人たちもいないわけではないでしょうが・・・・) [地上波(邦画)] 7点(2014-11-16 10:09:33) |