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1.  裸の島(1960)
枯れた弧島に根深く住む家族の話であるが、しかしそこはとても人間が活きていける世界ではないのである。水も出なければ、作物も育たない。活きていくためには本土から桶で水を汲み、舟を漕いで運び、そして常に供給し続けなければならないのである。一度に供給できる量も微々たるものであるためその重労働は計り知れないものである。枯れた土に水を物惜しむように呉れ、炎天下で直ぐに枯れ干してしまう。しかし、けして諦めず、土と共に克己的に活きているのである。しかし長男の病死により農婦の心は脆くも瓦解してしまうのである。欠落した中、呻吟しながら桶の水をひっくり返し、荒涼たる行動へと出るのであるが農夫は慟哭を秘めた目で見つめるだけで、そしていつものように物惜しいように枯れた土に水を呉れるのである。台詞の無い中で見事な悲壮美を表現している。一生に何度見れるか解らない不撓不屈の精を観ることができる。倫理上でみれば滑稽な重労働は偏執的な行動にみえてしまうがこの映画は辛辣の心と茫洋な心を全ての人間が纏う労働に例え、より多くの人へ慇懃に訴求する秀作といえる。
9点(2004-11-15 08:10:53)
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