1. パラサイト 半地下の家族
《ネタバレ》 パラサイト-寄生。なんかこの言葉から連想する厭らしい「したたかさ」や「ジメっとした感覚」そんなちょっとした「怖いもの見たさ」を満足させてくれる映画を期待していった訳ですよ。「庇を貸して母屋を取られる」的なジワジワした怖さをね… でもごめんなさい、全然違っていましたね。 前半の金持ち一家への侵入は、多分コメディーパートなのでしょうか、正直あまり面白くなかったです。金持ち一家に入り込んで寄生する過程がもっと綿密で絶妙なものを期待していたのに、胸をすくような詐欺手口とは全く別物。あの社長一家はみんなしてチョロすぎでしょう。家庭教師はともかく、自分の命を預ける運転手や食事を任せる家政婦の選定にこの杜撰さはちょっと…。そんな有り得無さがのほうが気になってしまい、ほとんど笑えませんでした。 でも後半の計画が破綻し始めるあたりから怒涛のスプラッターな展開、こうなってようやく持ち直してきた感はありました。「匂い」の使い方なんかはとても印象的で良かった。でも前半のがっかり感を挽回できるような、うならせる展開には残念ながら至らなかったようです。 全体をとおして思い返してみれば、格差社会批判としても詐欺モノとしてもコメディーとしても微妙な感じの仕上がりだと思うのですが、なぜこんなに話題作とされているのか…2019年は映画不作の年だったってことですか? ひょっとしたら、「初のアジア発作品賞」とか「定説を覆した四冠達成」っていう話題性を作り上げないといけないほど、アカデミー賞自体が行き詰まっているってことなのかもしれませんね…… [映画館(字幕)] 4点(2020-02-12 12:10:01)(良:1票) |
2. 箱入り息子の恋
《ネタバレ》 終盤の赤裸々な(?)シーン、そこに批判的なご意見も多いみたいですね。でも、ワタシ的にはそこにそこの映画のミソがあるんじゃないかと思うのです。 だってそれ以外は、 「無気力なオタクの青年が初めての恋により、自分の内なる壁を乗り越えて成長する」とか、 「お相手は視覚に障害のあるはかなげな美女」とか、 「彼女の父親は金持ちで見栄っ張りで分からず屋」とかとか、 みーんなある意味手垢のついたような設定じゃないですか。 「美男美女でない者たちの不器用な恋愛」は確かに数々の映画でポピュラーなテーマとして取り上げられています。 しかしそれらは、あくまで清純な恋愛の枠を出ていなかったのではないでしょうか。「ピュアでプラトニックで爽やかに」と一本調子で描かれる恋愛です。 そこにはとどまらない「大人の男女なら当然持つであろうパッション」を非モテ系の不器用な恋愛にも大胆に持ち込んだところ。それこそがこの映画がほかの類似映画に埋もれさせない要因なのです。観た人の心にざらついた違和感としてひっかかるのです。 正直、そういうとこまで見たい人がいるのか?という疑念もないわけではありません。実際不快感を表す人もいらっしゃるみたいですし…でも私には少なくとも不快ではなかったなぁ。鑑賞後時間を置くにつれてむしろこのざらつきが心地よくすら感じられてきました。 そういう意味では観る人を選ぶ映画なのかもしれません。でも凡作ではないことは確かです。 というわけで、よかったらお試しあれ… [CS・衛星(邦画)] 7点(2016-12-15 18:08:25) |
3. 阪急電車 片道15分の奇跡
《ネタバレ》 ぜんぜんなってないというか…ダメでしたね。最初の宮本信子さん扮するおばあさんのちょっと気取ったセリフ回しに拒絶感を感じた時点で私にはこの映画「アウト」でした。 そもそも、こういう「日常ほっこり系」映画を製作側の皆さんは安易に作りすぎなんじゃないですか?本当の意味でこの手の作品を秀作として世に送り出すには、気の利いたセリフやその間の取り合いなどに練りに練られた完成度がないと…「微かだけとじんわりくる感動」って思っているよりもずっとハードル高いモンなんですよ。 その覚悟も無く、話題の本と売れてる役者使って無難に稼ごうとしただけの情けない作品。こういうモノ作るんだったら、「不治の病」とか「出生の秘密」などでもっとB級テイストな分かりやすいストーリーでやってくれたほうが何ぼかマシです。 というわけでDVD100円レンタルですら不快感のみが残る鑑賞になりましたが、唯一役名の無い少女の「聞いてないのに教えてくれて」というセリフに3点献上。(予告で知ってた「生」以外に「おっ」と思わせてくれたのはコレだけだったので。) [DVD(邦画)] 3点(2012-02-22 18:25:01)(良:3票) |
4. バティニョールおじさん
《ネタバレ》 一昨日衛星で深夜やっているのを、ついつい観てしまいました。 こういう普通の俗っぽいオジさんが成り行きで英雄的行動をとることになってしまう話が私、大好きなんです。 多分、いかにもヒーローという力強いハンサムなお兄さんなんぞがこういうことやるってのは、ツクリモノめいてシラけるとか、コミカルな味を出すにはその辺のオジさんが最適だとかいろいろ理由はあるんでしょう。でもそういう理由以上に、このオジさん俗物ぶりが私たち観客に、自分自身と重ね合わせ易くしていること、それが大きい効果を生んでいるような気がしてなりません。 「もしも私ならどうするのだろう、オジさんのように命の危険を冒しても赤の他人のユダヤ人の子供を助けることができるのだろうか?」……多分、ぎりぎだけど、出来そうな気がするって思った人結構いるんじゃないでしょうか。娘のフィアンセ殺害もあそこまでいっちゃっていたら、ああするより他ないような気がします。だってあのままゲシュタポに通報されたらオジさんだってただじゃ澄まないでしょ。もちろん本当にできるかなんていうのは、全く別の問題なんだけれど、「こういう非常時に自分も勇気ある行動とれるかも」という錯覚を抱かせる、この映画その辺のバランスが絶妙なんですよね。 地味ながら良作。ハラハラ感やその中にもクスリとさせるユーモアのセンスも良いです。ライフイズビューティフルなんかの無理無理さに較べりゃ、ずっといい作品だと思いますよ。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2008-06-26 13:17:33)(良:1票) |
5. 8人の女たち
《ネタバレ》 「シャレのわかる人向けの映画。これがわからないアナタはシャレのわからない人ってことよ・・・」と言う声が聞こえてきそうな映画。そうですね、この映画には作り手や演じ手の楽しんで作っている様子が溢れている。その様子をあたかも自分も参加しているかのように楽しめる人にはお勧めなのかもしれません。しかしそれに置いてけぼりをくった観客はどうすりゃいいんでしょう?アリバイ崩しというよりは単なる悪口雑言による暴露合戦、「なんでもあり」の痴情にまみれたこの非現実的な一家の惨劇(?)や唐突に始まるヘタな歌や踊りのどこに惹きつけられればいいというのでしょうか?私、最初は字幕原語上映で観ていましたが、耐え難くなったので途中で吹き替えに替えて鑑賞してみました。吹き替えのほうが昼メロっぽくなって丁度いいなぁと思いましたよ。まあ、私にとっちゃそういう映画でした。シャレがわからずごめんなさい・・・ [DVD(吹替)] 2点(2008-01-28 13:03:46) |
6. パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち
《ネタバレ》 昨日やっていましたね。もちろん先週末封切られたばかりの「ワールド・エンド」を意識しての放映だったんでしょうが、あらためてこのシリーズ第1作の面白さを痛感しました。既に2も3も劇場鑑賞したんですけど、ワタシとしては正直2,3とは切り離して考えたいぐらいこの1は別格に好きです。 まず、主役が人気者化される前なので、ちゃんと頭を使ってて、観る側を「なぁるほどね、やるぅ!」と唸らせてくれること。それから悪役もかっこよく、感情移入ができること(ファンもできないような悪役を使う映画はどうみても名作にはなれない)。さらにヒロインが恋するお転婆お姫様そのものとして描かれ、それ以上でも以下でもない扱い方をされていること(過剰なもてはやしは客席を冷めさせる)。その上絵的にもコスチュームものとしてサマになってるし(やっぱきれいなドレスはアコガレです)、全体的に空気が乾いてサラッとしていること(と、これは全く個人的な理由でジメジメは苦手だから)。 以上の点からもワタシにゃこの作品がシリーズ1番かな。カラッと明るく分かりやすいドンパチもののほうがやっぱ受け入れやすいよ。だってコレ痛快娯楽アクション映画なんだもん! [地上波(吹替)] 8点(2007-05-28 13:17:01) |
7. パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド
《ネタバレ》 うーん、イマイチだったです。映画って、特にこういうハラハラドキドキの冒険活劇ってのはやっぱわかりやすいのが1番だと思えるんですよね。「え?今何だったの?」とか「え?誰のこと?」とか多すぎです!(ワタシには誰がデイビージョーンズにトドメを刺したのかも瞬間的にはよくわかんなかった・・・この映画って2以降そういうのが多くありません?) それからいろいろテンコ盛りにし過ぎてそれが仇になったんでしょうか、中だるみはしちゃうし、なんだか謎とか掟とか呪いとかでお腹いっぱいって感じ。中盤はかなり退屈しちゃいましたね。っと、ここまでだと点数は4点ってとこなんだけど、でもラストのウィルとエリザベスのエンドには意標をつかれました。なかなか良かったんじゃないかと。あれが単なる普通のハッピーエンドじゃなかったのでそこに+1点の5点献上です。・・・でも個人的にはこのシリーズは素朴でストレートな冒険活劇の典型だった1が1番好きでしたね・・・ [映画館(字幕)] 5点(2007-05-25 18:03:46)(良:1票) |
8. 薔薇の名前
《ネタバレ》 すみません、観る前に期待しすぎちゃったのかな、そういう意味ではちょっとがっかりさせられた作品でした。歴史モノとしては丁寧でいい線いってるとは思いますが、ミステリーとしては残念ながら肩すかしくって気分です。謎解きも犯人の正体も動機もいまひとつインパクトに欠けてますしね。 ただ意外だったのがラブストーリーとしての側面。これは全然予想していなかったせいか新鮮に映りました。とくにあの農民の彼女、あんなきったない格好なのにどこか魅力的で・・・いやあんなきったないからこそその美しさが際立つのかしら、とにかく良かったですねぇ。あんな女性だからこそラストのモノローグもぐっと来るのかもしれません。 というわけで、ミステリーとしては5点、歴史モノとしては7点で、普通ならばその間をとっての6点のところ、ほのかなラブストーリーとしての要素を感じる「薔薇の名前」というタイトルにプラス1点した結果、この7点という献上になりました。 [DVD(吹替)] 7点(2007-03-05 14:28:16) |
9. 80日間世界一周
BSでアカデミー賞受賞作品特集やってたんで、久々に観てみました。前に観たのはほんの子供で○曜映画劇場かなんかで前後編に分けて2週連続の放映だったんですよね。ああ、そのときは子供心にもホントに楽しい映画だと思ったんですよ。こんな長いにもかかわらずにね。来週もゼッタイみるー!って心に誓ったものでした。・・・それからン十年後再鑑賞したこの映画。やはり楽しいいい映画でした。色あせてなどおりませんでした。英国風のカビが生えたようなユーモアをお約束通りのちりばめているトコなんか、たまりませんしね、やっぱり長いけど今回も退屈しなかったなぁ。でもそれ以上に昔は気がつかなかった「こういうのを楽しめたそんな古きよき昔」が身につまされまてきて・・・それだけなのかなって気もします。と言うわけで、迷いに迷った挙句、ノスタルジーに負けての7点献上です(ワタシ的には大盤振る舞いの部類)。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-02-26 15:58:45) |
10. バグダッド・カフェ
《ネタバレ》 「映画って、決して豪華でなくっても美男美女が出なくってもその上ものすごいストーリーがなくっても成立するんだ」そんなことを私に教えてくれたのがこの映画。 一言で表現するなら「面白い」でも「きれい」でも「深い」でもなく「気持ちのいい」映画。で、その気持ちの良さってのは、爽やかさじゃなくてもっとエクスタシーに近い感じ・・・ アベマリアのシーンではあまりに気持ちの良さにゾワゾワと鳥肌が立ち、その心地よさを再現したいがため何度も再生して観ちゃうほどこの快感の虜になった私でした(汗)。 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-23 13:24:51)(良:1票) |