1. 母なる証明
《ネタバレ》 この鬱陶しさ、盲目さ。 まさに母親そのものが描き出されている映画でした。 それも母親の嫌な面、見たくない面を まざまざと突きつけられたような不快さが見終えて しばらく経っても心の奥にわだかまっているようです。 例え殺人を犯してでも、我が子を守る。 母親故の狂気とでもいうか。 ただし、ポン・ジュノは上手い。上手すぎる。 あまりに理路整然とした物語構成のせいで、ご都合主義的な タイミングで新情報がポンポンと出てくるので、随所に作為を 感じてしまうのが残念な部分。 とはいえ、韓国映画の泥臭さ、脂臭さが ギトギトと漂う名作です。 結末や真相は視聴者の想像に委ねる、などという甘さはこの映画に 存在しないので、体調が良く、体力が充実している時に見るのがお勧めです。 [インターネット(字幕)] 7点(2018-03-17 23:01:37) |
2. 花とアリス〈劇場版〉
《ネタバレ》 同じ脚本、出演者、スタッフを使っても、岩井俊二でなければこの映画は撮れないと思います。 こういうのがオンリーワンの才能というのでしょう。 ただただ脱帽でございます。 [DVD(邦画)] 10点(2017-05-31 00:11:00) |
3. 花とアリス殺人事件
《ネタバレ》 日常系というのでしょうか、ふわふわとしたシャボン玉の中を覗いているような、不思議な浮遊感のある映画でした。 猪突猛進タイプのアリス。ひねくれていながらも純真な花。キラキラと輝く彼女たちを取り巻く軽やかな日常の表現が見事。 サブエピソードも愛おしいものばかり。 特に平泉成演じるおじさんとアリスのやりとり。 「40年、短かったなぁ」 「長いよ」 「そうか。そうだなぁ」 この2人の感覚の違い、どちらも解るだけに妙にもの悲しく、微笑ましい。 いつまでもこの世界に浸っていたいと思えるほど、素敵な空気に満ちた映画です。 [DVD(邦画)] 8点(2017-01-19 14:56:49) |
4. バットマン vs スーパーマン/ジャスティスの誕生
《ネタバレ》 話の枠組みはスーパーマン VS レックス・ルーサーであるのに、バットマン(とワンダーウーマン)を絡ませることでしっちゃかめっちゃかになってしまった残念な映画でした。バットマンが主体でウダウダウジウジと話が進んでいく(特に映画開始からの90分間)ので割を食ったのが本来メインであるはずのスーパーマン側。描写が薄く、完全に脇になってしまった影の薄いスーパーマンと、何がしたいのかさっぱり解らないレックス・ルーサー(メタ・ヒューマン-異能力者を目の敵にしているのは解りますが、周辺事情が描かれていないので良く解らないキャラクターになってしまいました)。一応伏線はあっても、無理に詰め込んだ感が否めないワンダーウーマン。90分を過ぎて、話の本来の枠組みであるスーパーマンVSレックス・ルーサーに話が戻っても、それまでのスーパーマン側の描写が薄すぎるので今更感が否めませんでした。この話の流れであれば、メタ・ヒューマンを敵視するレックス・ルーサーを主軸に据えて話を展開していった方が良かったような。もう少し筋がまとまっていればまだ見れたかもしれません。 [映画館(字幕)] 4点(2016-04-06 18:30:31) |
5. バケモノの子
《ネタバレ》 観ている最中、赤川次郎のコメントを思い出していました。赤川の小説作法は、大まかな流れのみを最初に考えておいて、犯人や動機などを決めずに書き始める。中盤に差しかかったところで改めて最初から見返して、犯人になり得る人間を見つけ出し、終盤は動機付けなどに費やす。読者に先読みをさせない工夫だといっていましたが、お察しの通り行き当たりばったりで説明的、無理のある薄っぺらい話が量産される所以でしょう。この映画も同様で、終盤の唐突な一郎彦の暴走からの下りはまさにとってつけたよう、一郎彦の掘り下げがまったく足りていないので唐突に暴走されても白けるばかり。友達A程度の扱いだった人物が突然ボス化されてもねぇ。他にも多々雑でとってつけた展開が見受けられたのが残念でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2016-03-03 10:51:43) |
6. パピヨン(1973)
《ネタバレ》 マックイーンのタフさに尽きる映画です。精神的にもタフなら、肉体的にもタフ。やせ衰え歯も抜け落ちたヨボヨボの爺になっても失わない眼光の鋭さは精神的なタフさに裏打ちされたもの。実際のパピヨンは集団脱走を手伝ったご褒美でついでに脱走に加えてもらうような、末端の末端が良く似合う人物だったようです。そういう脇役的な人物だからこそ、実際に会い、見聞きしたタフな囚人の話をミックスして理想のパピヨン像を作り上げたんでしょうね。年月を経ても色あせない名画です。 [DVD(字幕)] 8点(2015-02-09 19:12:50) |
7. ハイランダー/悪魔の戦士
《ネタバレ》 思い出補正ありでこの点数です。初めて見た子供の時、そのダークな世界観に圧倒されました。それを支えるのは素晴らしい音楽であり、どこか暗い影を引きずるクリストファー・ランバートであり、師匠ラミレスであり、狂戦士クルガン。まさに映画撮影のその時の巡り合わせが作り上げた芸術だと思います。今見たらチープですが、それでも根底に流れている悲しみは普遍。ということでこの点数。 [DVD(吹替)] 6点(2015-01-25 22:17:16) |
8. バイオハザードV リトリビューション
《ネタバレ》 前作があまりに酷かったので覚悟をしてみてみたら、案外見られたという作品。とはいうものの、期待値が低かったのでがっかりも少なかったという程度です。冒頭の編集トリックで謎を見せるのは良かったのですが、その後がグダグダでいつものバイオハザード。最後の注射の場面では、あまりのグダグダさにため息が漏れました。テレビでやっていれば暇つぶし程度に見るのがちょうど良いのかと思います。 [地上波(吹替)] 4点(2014-11-03 15:18:41)(良:1票) |
9. バイオハザードIV アフターライフ
《ネタバレ》 嘘、大げさ、紛らわしい。見ている間ずっとこんなフレーズが頭を過ぎる映画です。適当な展開。大げさでしつこい演出。紛らわしい設定。やり過ぎが目立ちギャグにしか思えない場面が多々。特に展開に関してはあまりにも無理が目立ち、出演者が皆お馬鹿に見えてしまうという困った物。どうやらこのシリーズは今後も続くようで。どの辺に受けているのか知りたいところです。 [地上波(吹替)] 2点(2014-10-26 23:30:01) |
10. 初恋のきた道
《ネタバレ》 チャン・ツィイーを写すためだけに作られた映画。そういう意味ではアイドル映画です。あざといほどにチャン・ツィイーを可愛く撮っていますが、そうしたくなるのも納得の可愛さ。ストーリー的にはシンプルに、ひたすらチャン・ツィイーを可愛く見せることに腐心しています。それもまあ許せる範囲かなと。 [地上波(吹替)] 5点(2014-10-19 14:41:01) |
11. ハンニバル(2001)
《ネタバレ》 原作者までもがレクターの信奉者になってしまった罪深いシリーズ、あの原作ではこのような出来になるのも仕方がないような気がします。ただ一点、結末について。作者の思い入ればかりが先行した原作とは違い、節度ある距離を保った二人の関係で締めた点は監督の良心だと感じられました。二人の関係、性格を鑑みてみれば、最後の最後、クラリスが自分を取り戻し、レクターを突き放すことでなんとか品格を取り戻す。この終わり方以外になかったとも思えます。 [映画館(字幕)] 4点(2012-02-28 20:05:07) |
12. バスケットボール・ダイアリーズ
《ネタバレ》 俳優ディカプリオを見直しました。その容姿からアイドルとして売り出されたのは仕方ないとしても、やはり演技派ですね。顔中鼻水と涎だらけで薬を求めているシーンの迫力といったら。本当に薬の経験があるのではないかと思ってしまうほど真に迫っています。ただ映画としてはディカプリオの演技に助けられている部分が大きく感じられました。特にストーリーに関してはそれほどでも・・という感想です。薬によって放校され、仲間も失っていき、手をさしのべてくれた人を裏切り、さてどうやって立ち直ったのか。もっとも重要な部分は端折ってナレーションで済ませるといった演出にはがっかりしました。家族や仲間といった存在に関しても同様で、結末が尻切れトンボになっているので薬のもつ本当の悲惨さが描かれていません。そこまで描いてこそこの話しを映画化する意味もあると思うのですが。色々と惜しい映画でした。 [地上波(吹替)] 5点(2010-10-11 19:53:53) |
13. バンテージ・ポイント
《ネタバレ》 黒沢監督の羅生門のように一つの事件の真相を多角度から見ると言った映画ではありませんでした。事件が起こったとき、その場に居合わせた人々はどのような背景があってその場に居合わせたのか。その場でどのような行動をしたのか。どのような思惑があるのか。それらを何度も時間軸を巻き戻すことで見せるという、見せ方の工夫は感じました。ただ何本かの筋がまとまったとき、単なるカーアクションになってしまい、結末はご都合主義的な登場人物大集合、なし崩しの解決で終わるというのはちょっと。せっかくの凝った見せ方がまるで生かされていないように感じてしまいました。 奇をてらったは良いものの、本筋を置き去りにしてしまった残念な映画でした。 [地上波(吹替)] 4点(2010-09-11 21:27:45) |
14. ハンニバル・ライジング
《ネタバレ》 凡作です。レクターの過去というわりにはまるで知性を感じない。行き当たりばったりで美学もなく、単なる復讐劇に終わっています。何より残念なのは、起点にあたる妹に関するエピソードが思ったよりもありきたりだったこと。あの程度のエピソードだったらなくしてしまって、快楽殺人者としての成長をねっとりと描く方がレクターに相応しいと思うのですが。せめて復讐の幕開けとしてレディムラサキを食うくらいの狂気は欲しかったです。 [映画館(字幕)] 3点(2007-08-11 13:39:54) |