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1.  反撥 《ネタバレ》 
お姉さんと恋人が旅行に行くので彼女は留守番なのだが、その間にいろんなものが部屋に入ってこようとするので彼女は大忙しである。  彼女は、お姉さんの恋人が好きだったのだと考えると、下世話ながらごく普通にまとまる。お姉さんの部屋に聞き耳を立てるのも、旅行に行かないでとせがむのも、別に潔癖症だったり男性恐怖症だったりするからではない。最初のキスと自分の体は好きな人のために取っておかなければいけない。でも、適当な人とキスしてしまった。そんな自分は、適当なあらゆる男にやられてしまうべきだ。というわけでいろんなものが現れる。  でもまだ取り返しがつくかもしれない。それがいつかわからないけど、きれいなままの体を彼にあげようと思う。そしたらいいお嫁さんにならなければいけない。ちょうどお姉さんは留守なので、お嫁さんの練習をする。家賃を滞納したりジャガイモを放置したり、彼のシャツを床に投げ捨てているお姉さんよりも自分の方がいいお嫁さんになれる。シャツにアイロンをかけたり縫い物をしたり。冷蔵庫の胎児みたいなうさぎ料理は、彼と自分の子供だ。心配なので外出時は頭だけ連れていく。  だって実際彼と自分はもう結ばれてるとおもう。彼は歯を磨くとき、自分のコップ使ってるとおもう。自分も彼の残したコーヒー飲んだし。  それなのに、彼はお姉さんといっしょにいて、卑猥な形をしたピサの斜塔の絵葉書なんか送ってくるから残酷だ。  彼女は、自分の内側の論理と外側の世界が一致するようにがんばっている。しかしそのこと自体かなりアクロバティックな努力が必要だし、その上内側の論理が2種類くらいあるので余計に大変だ。とても仕事に行ったりお風呂の水を止めたりアイロンのコンセントを差し込んだりする時間がない。困ったもんだ。いいお嫁さんになることが、どんどんできなくなっていく。悪循環だ。  最後になってようやく王子様が抱き上げてくれるのだが、それではちょっと遅すぎるんだ。  そんな彼女の唯一の慰めは、彼女の内側の論理を察して、それが外側の世界と合うように、せっせと壁から手を生やしてくれたりする映画監督と出会えたことである。
[ビデオ(字幕)] 7点(2009-07-28 13:53:12)
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