1. ピアノ・レッスン
ホリー・ハンターが自分のすべてを捧げて演じきった感じがとにかくたまりません。彼女は、この作品以前と、以後で別人です。言葉をしゃべれない演技というのは、役者の力量がはっきりと出てしまうものです。まさに目の演技とも言える鬼気迫るものを感じます。監督の映像センスもすばらしく、特に浜辺で箱から出せないままのピアノを弾くシーンはどうしてこんなに、心が揺れるんだというくらい美しい。ストーリーの下敷き自体は、正直どこかで見たことのあるものですが、ラスト近くの衝撃は、そんなどこか批評家的な見方を吹き飛ばします。10年ほど前に見ましたが、久しぶりにコピーしたテープが出てきて、鑑賞。今見てもまったく色あせることがない。まさに名作です。 [ビデオ(字幕)] 10点(2006-10-04 18:05:53) |
2. HERO(2002)
もともとチャン・イーモウって話が単純なんだけど、この話は更にシンプル。ある種、寓話のような内容は、最後にけっこうズシンと来ます。構造は黒澤の羅生門のごとく、これをワダエミの衣装が見事に刻んでるんだよねえ。あーこの手があったかと思わせられるよねえ。正直言って、前回までの子役3部作の方が好きですが、本来この人は様式美の人なんだろうなあと思いました。 7点(2004-05-27 21:13:26) |
3. ピースメーカー
《ネタバレ》 この映画は主人公がいやなやつだ。街中でスナイパーが関係ない人を巻き込んでしまいそうなため、撃つのに躊躇するシーンで、「さっさと撃て!」と指示するクルーニーにいやーな気持ちになった。戦争を憎む犯人に対してクルーニーが「俺たちの戦争じゃない」と軍人の癖に平気な顔して言うのがいやだった。あれだけの人が死んだりしたのに、金持ちキッドマンが誰もいない大きなプールで1人で優雅に泳いでいたり、あんだけ人殺しといて平気でキッドマンを口説きにかかるというラストシーンはまったく好感がもてなかった。こんなシーンをラストに持ってきて何が言いたいのかさっぱりわからない。犯人があんまりかわいそうだ。この映画を通して、アメリカがますます嫌いになった。唯一サントラだけがよかったので1点。 1点(2004-05-26 14:48:59) |
4. ひみつの花園
矢口監督作品の最高傑作B級コメディ。個人的には数あるコメディ映画の中でも3本の指に入れたい。 とにかく矢口映画といえばこの「次から次へと『わらしべ』っていく」ストーリー展開なくしては本来語れない。もちろん同じ手法をいつまでも使うわけにはいかないので、前作「裸足のピクニック」でやったこの連鎖的ストーリー展開もこれが最後だった。しかし、最近の2本を見ていると、原点に戻ってきてくれ~と願わずにはいられない。 10点(2003-10-28 16:24:55) |
5. ピンポン
まあ、最近のスポーツ映画の中では、まあまあかな。ウオーターボーイズよりはマシかな。原作知っているけど、イメージはそんなに壊していないのでは。とにかく試合のシーンでのCGは圧巻。不自然さがまるでない。まあCGだというのはわかっちゃうんだけど、これ見よがしのCGじゃない分、気がつくと忘れている。画格も編集も見事。とても新人とは思えない。まあCG監督なんで、ストーリーはしょうがないでしょう。これは宮藤さんの責任にでもしときますか。 6点(2003-10-28 16:08:54) |
6. 日蔭のふたり
私も↓のシーンでまいった口です。テスと同じ原作者らしいですがよくもまあこんな暗い話ばっかり考え付くものだと驚きます。貧しさが人不幸にするという絶望的な話はもう心を鷲づかみにして、とめどなく涙が流れました。理想だけでは生きられないのよね。 9点(2003-10-06 19:21:13) |