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1.  ひろしま(1953) 《ネタバレ》 
原子爆弾によって罹災した広島の惨状を描く大作。原爆が投下された日の惨劇を群像劇で描くのみならず、原爆症や差別、戦災孤児、風化など様々な問題を盛り込んでいる。三十分続く原爆投下直後の被災地の様子や人々の惨状の映像は文句なく素晴らしい。あの日を再現したいという情熱が伝わってくる。熱風で全身火傷を負い、蓬髪弊衣で逃避場所を求めてさまよい歩く異様な人々の群れ。焼け跡に立ち、泣いて母を呼ぶ幼児。建物の下敷きとなり、最後の声を出して助けを求める生徒。下敷きの人を助け出そうとしても果たせず、生きながら炎に焼かれる人。川に逃避したものの、力尽きて流れに呑み込まれる先生と女学生。重傷者でごった返し、うめき声と嬌声の入り乱れる臨時病院の様子。累々と横たわる死体と焼かれる死体。ありとあらゆる阿鼻叫喚の地獄絵が再現されている。場所、建物も、広島城、学校、川、橋、銀行、電車、防火水槽、埠頭、似島とひと通り押えてある。時代を考慮して特撮の拙さには目をつぶろう。子供たちの生硬な台詞回しも置くとして、彼等の体当たりの演技は評価できる。特に、延数万人を動員したという群集場面は圧巻である。ただ有名な、腕の皮膚が剥がれて布のように垂れ下がった様子や体に多数の硝子片の刺さった負傷者の描写が無いのが残念だ。被爆者は差別され、嫌われるので隠れるように暮らしているのはその通りと思うが、戦後八年にして既に記憶の風化が著しいとは思わなかった。「広島の恐ろしさとあの非人道的なことを先ず、広島の人に知ってもらいたい」と生徒が訴えている。1952年までのGHQ統治下では原爆の報道規制が敷かれていたことと、急激な人口流入が原因だろう。問題なのは、製作者側の政治、思想が混入していることだ。原爆を投下した爆撃機の添乗員の手記と、日本人が有色人種だから原爆を落とされたというドイツ人の手記を紹介し、警察予備隊が創設されたからまた戦争が始まるとの危惧を伝え、朝鮮戦争の特需で砲弾を造った軍事産業への批判、戦争遂行を優先して被災者を棄民扱いしたとして軍部批判を行っている。それで大手映画会社の配給を受けられず、幻の映画となってしまった。余計な事は排して、惨事を描くことに特化すれば良かったのだ。何も語らずとも、惨劇は雄弁に語るものだ。最終場面で大勢の死者が起上がり、訴えかけてくる。演出手法としては斬新だが、演技と演出が洗練されていない。
[DVD(字幕)] 8点(2014-12-11 21:30:44)(良:2票)
2.  ひめゆりの塔(1953) 《ネタバレ》 
原作「ひめゆりの塔」の他、数多の資料を渉猟し、体験者の聞き取り調査も行っているので、描写が細部にまで行き届いている。綿密な脚本が成功の要因だろう。予算の関係か、米軍の描写がほとんどないので、沖縄地上戦の肉弾戦の凄惨さや臨場感は伝わってこない。機銃照射が当っても血が出ない。が、それでも戦争映画の最上部類に入る。何より、洞窟を利用しただけの不衛生な野戦病院で、医薬品も水も食糧も水も乏しい中、懸命に声をかけながら負傷兵を看護してまわる乙女等の純真な姿が胸を打つ。この場面だけでも観る価値がある。他に感銘を受けたのは、「戦争の犠牲になって散った乙女達」という暗鬱な主題であるのにも関わらず、青春の真っ盛りである彼女達の無邪気さ、天真爛漫さ、そして肉感的なまでの生命の躍動感というものをみずみずしく描ききっているいることだ。歌を唄いながら行進する場面、友達のもの真似をしてはしゃぐ場面、沖縄民謡を舞う場面、川で水浴びをする場面、髪を解かす場面、久しぶりの朝日を浴びて 欣喜雀躍する場面、キャベツを投げあって遊ぶ場面、死を決意して敢えて制服に着替える場面など、結末がわかっているのでそれらの場面が一々胸に迫ってくる。その彼女達が次々と命を落としていくのだから、感情移入しないわけがない。被弾場面では、他のどの映画よりも至近距離で爆発しているように見える。体当たりの演技に脱帽する。監督も俳優も心血を注いだ作品だ。他にも印象的な場面が多い。最初の方で、ある母が娘に同行を頼む場面で、少女が「生徒は学校と行動を共にしなければならないの。私を卑怯者にしたくないでしょ」とさりげなく、当時の彼女等の置かれた立場を明らかにしている。軍医が少女らに「夜でも見えるようになる」と飴玉をあげる場面、これは覚醒剤入りだ。乙女達が自殺用青酸カリを欲しがる場面、持っている友人を羨みもする。死を願う程追い詰められた心理状態が伝わってくる。誰かが母親のことを言いだしたら、みんな泣きだす場面。強がっていても所詮はうら若き乙女に過ぎず、まだまだ母の懐に甘えたい年頃だ。洞窟に付いてきた孤児を乾パンを上げたのだからと突き放す婦長。幼子にとっても容赦ないのが戦争だ。優しかった軍医が洞窟を出て行こうとする乙女を射殺する。衝撃的だが、その後手榴弾が投げられ、壕内大爆発し、衝撃に拍車がかかる。奈良岡朋子に似た生徒が出ているのが気になった。
[DVD(字幕)] 9点(2014-09-03 23:12:18)
3.  陽のあたる場所 《ネタバレ》 
ジョージは貧しい母子家庭で育った。教育もろくに受けておらず、職を転々とする典型的な労働者階級。ところが親戚に上流階級の実業家がいて、工場での職を紹介してくれた。成功への階段の一歩である。職場で知り合ったアリスは貧しい農家出身。職場での恋は禁止だったが、偶然映画館で出会ってみると、境遇が似ているためたちまち意気投合し、恋に落ちる。ところが、彼が上流階級の美女アンジェラと出会うことで運命が大きく動く。二人は共に一目惚れ、まさに運命の人である。男の心はアリスから離れる。蛇足だが、もし、アンジェラとアリスの身分が逆であっても躊躇なくアンジェラを選ぶだろう。当時「世界一の美貌」が銀幕に輝いています。アリスは妊娠しており、結婚を迫る。このときのジョージは誠意が足りない。別の恋人が出来、心が完全に離れていることを言わないのだ。言えば道が開けたかもしれないのに。男のどっちつかずの態度に業を煮やすアリス。新聞でアンジェラとの交際を知ると、逆上。近くまで押しかけ、会わないと全てをぶちまけて自殺すると脅迫。この女として最低の行動が身を滅ぼすことに。どうして医者の勧告に従い両親に相談しなかったのだろう。そのころ、ジョージは昇進し、アンジェラの両親に認めてもらい、婚約にまでこぎつけていた。恋と成功と上流者階級への仲間入りの一歩手間の状況。長い日陰暮らしから「陽のあたる場所」へようやく移れるのだ。だが、その後の展開は悲劇へまっしぐら。映画ではぼかしているが、ジョージの殺意は明らか。原作でも殺意あり。目撃者や状況証拠もジョージに不利。アリスの妊娠が判明した時点で実質死刑決定である。同情の余地はない。裁判では自分に不利なことも誠意をもって語っているが、手遅れである。裁判ではテクニックが重要であり、誠意はなじまない。どこまでも世間知らずだ。彼は牧師にいわれ、自分に殺意があったことに気づき、神に助けを求め、心のやすらぎを得る。死刑直前アンジェラが面会に訪れ、今でも愛していると告げる。二人の愛情がそこまで深いわけでもなく、空虚さを感じる。ジョージの行動は行き当たりばったりで、アンジェラの人間像には深みがない。裁判でアリスの家族が一切登場しないのはアンフェアだ。被害者はアリスではなく、ジョージのように描かれているのはどうしたことか。アリスへの心からの贖罪が無い限り、本当の魂の救済はない。ふと思った。
[DVD(吹替)] 7点(2009-09-24 14:54:28)
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