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1.  ヒア アフター 《ネタバレ》 
【注意!!!過激ネタバレあり!!!】 イーストウッド版『ハウル』か。生死に対するある種の諦念を表現しようとしているようにも映る。が、ぶっちゃけメチャ退屈。ラストの反物語も効果に?つか、考える気力も失せる出来。   《一晩寝ながら考え、追記》  そうか、これはようするに「どうして男女は一目惚れするのか」ということを説明するための映画なんだな。物語による因果とか、あるいはシンクロニシティなんかは関係あるようなないような、フワフワしたもんなんだと。神様つーかなにか超越した力というのは、いつもそんな感じなんだと。  ラストのキスシーン幻視はまさに映画の一場面で、現実はそんな映画みたいにいかないけれども、前向きの意思さえあればこれから自分で映画みたいにすることも可能なんだと。ウソは(主人公が最後の最後で少年についたウソのように)けっして悪いことではないんだと。いやむしろ、正しい虚構こそ未来へ進化するために必要なことなんだと。んで、そのことに気づきさえすれば、神様はもう余計な口出ししなくなるもんなんだよと。うーーーーーーーーむ。  しかしそんなこと映画にする必要あんのか。なんとまあこの超越ぶり、まさに世界一の監督にしかできんことだなあ。  すげーとは思うが、もう一回見る気はせんぞ正直。 
[映画館(字幕)] 3点(2011-02-19 22:47:30)
2.  ヒックとドラゴン 《ネタバレ》 
タチの悪い映画パート2。しかしこの夏のアニメの中でいちばん面白い。 【以下バレ】  猫とコウモリが合体したようなドラゴンも可愛かったが、何よりヒックらを乗せて龍の巣へ向かう時の、並行して飛ぶ何体かの龍の姿が雲の間から浮かび上がる映像や、無数の龍が巣穴を飛び交っている場面の映像などでもう私はノックアウトである。子供の頃に永井豪の漫画を読んでうけたあの衝撃をひさしぶりに思い出した。  『インセプション』を観た時も感じたことだが、作り手はおそらく自分らが子供時代にうけた衝撃をリアルに実写化(というのも変な表現だが、ぴったりくる)することに情熱を燃やしているのである。そのようなことが出来る才能や、技術面も含めた環境を同世代人として羨ましく思うし、うまくいった場合は思想がなんであろうが映画として不純だろうが、断固として支持する。  なんでナイトフェアリーだけ一頭だけなのとか、いくらひどい仕打ちを受けていようが自分らの女王に簡単に歯向かえるはずがないとか、あのラストはいくらなんでもないだろうとか、んなこたどうでもいいのである。
[映画館(字幕)] 8点(2010-08-31 23:51:06)(良:1票)
3.  ヒーローショー 《ネタバレ》 
私は非常に好きだ。この映画。 【以下バレ】 登場する若者たちの顔がすべていい。その役柄にどんぴしゃりという顔立ちをしている。だが彼らを撮る撮り方は、なんというか徹頭徹尾イナタい。ギャグはメチャ寒いし司会の女はペチャパイだし、後藤の連れの恋人が登場して30秒で「うぃ」と言って去るのもショベルカーのパットンさんもラストのピンクレディーもなんか空虚だ。意味合いがありそうでない。リアリズムといえばその通りだが、しかしまるでギャグが空振りするような、「的を射なさ」という点で共通している。  (中略)  私の解釈はこうだ。まるで蜜のようなリンチの時間のように、濃密な時間というものはたしかにある。だが結局は、遊園地で家族と過ごすささやかな時間などと同じように流れ去るものなのである。なので一時的な、まるで自分が主人公になったような、映画的な時間のために何かをしでかしてしまえば、その後にずっと長く続く非映画的な時間に影響を及ぼすことになる。というか、辛い時間は死ぬまでずっと続く。「生き直させてくれよ」と福徳は後藤に懇願するが、それはじつは後藤の叫びでもあり、突っ走ってしまった登場人物全員の、またなにか取り返しのつかないことをしでかしてしまった者すべての叫びである。時間はいつも等しく流れるが、けっして巻き戻せない。だから若者よ、軽々しくヒーローになろうとするな、この監督はそう言いたいのだ。  たかが映画じゃないか。人生は映画的じゃない時間のほうがずっと長いのだ、気をつけろというメッセージ性。乱暴な若者言葉や、後藤によるたどたどしい恋人への独白などに見られるリアリズムの追求。ピンクレディーの曲に代表される「意味」の希薄さ。これらから見て、この映画は徹底して反映画を指向していると言っていい。しかしだからと言って、たとえばテレビや凡百の映画のようにつまらないということは絶対にない。むしろ私は、ダラダラと続く後半にこそどういうわけか映画を見ているという至福を多く感じた。かっこよさとは対局にある、イナタい事象をあくまでイナタく撮ることにこだわった監督が、ついにたどりついた結論的作品、と言ってしまっていいぐらいの出来栄えに、十分到達していると思うのである。
[映画館(邦画)] 8点(2010-06-25 11:16:17)(良:2票)
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