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プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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21.  プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
『ブルーバレンタイン』の監督によるクライムドラマですが、丁寧な映画作りは相変わらずです。本作で提示されるのは、人間とは善と悪の間を行ったり来たりしながら生きているのだというひとつの真理。第1部の主人公・ルークは、自分が感知せぬ場所で生まれた息子を見捨てることができず、現在の生活のすべてを捨てて元カノと息子の元に向かうのですが、当の元カノはとっくに新しい恋人を作り、義父を含めた親子3人で仲良く暮らしていました。その後、ルークは悪質なストーカーと化すのですが、それでも観客はルークに感情移入し、彼の心理や行動を肯定したい気持ちにさせられます。やっていることは最低だが、当初の目的は美しく崇高だったではないかと。このあたりの感情の持っていき方のうまさには感心させられました。もしくは、第2部の主人公・エイヴリー。身内の不正に我慢できず行動を起こした正義の人だったが、この一件を自身のキャリアアップに利用しようと画策した瞬間から、狡猾な悪魔になってしまう。善とも悪とも割り切れない人間の業の深さが、見事にドラマ化されています。。。 豪華キャストの中でも、ルークを演じるライアン・ゴズリングのカリスマ性には目を奪われました。本作の登場人物の中で、もっともダメな人間はルークなのですが(ストーカーになる→復縁のための金が欲しくて強盗する→犯罪のスリルに飲まれて自滅する)、彼こそが作品中もっとも光っているという点に、ゴズリングの威光を感じさせられました。 
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-04-08 00:12:55)
22.  ブリッツ
ジェイソン・ステイサムが刑事を演じるということで、またいつものB級アクションかと思っていたのですが、内容は事前の予想とかなり異なっていました。彼の母国イギリスが舞台ということで刑事も犯罪者も銃を常備しておらず、刃物や棒っきれが主な武器となるという何とも地味なアクション映画となっています。と言うか、アクション映画と呼ぶことすら不適切ではないかと思うほどに見せ場がなく、『トランスポーター』や『メカニック』のような内容を期待するとかなり失望させられます。。。 本作には原作があって、それは映画版でステイサムが演じたブラント刑事と、ホモでインテリのロバーツ警部がコンビを組むというシリーズだったとか。その原作は読んだことがないのですが、恐らくは、男性的すぎる暴力刑事と、中性的なエリート警部が、お互いにないものを補い合いながら難事件に立ち向かうという内容なのであろうと推測されます。一方でこの映画版ですが、そうしたバディものとしての面白さはまったく追求されていません。狂犬・ブラント刑事が抜群の存在感を示す一方で、ロバーツ警部が空気同然の存在感。演じている役者さんは悪くないのですが、ステイサムというカリスマ的な俳優と並べられると、完全に見劣りしてしまっています。彼の存在を際立たせるためのサブプロットでも挿入しておけば良かったのですが、脚本にそうした工夫が一切なされていないために、ステイサム一人で事件を解決したかのような印象を観客に抱かせるに至っています。。。 敵も敵で、かなり小粒。警官を狙うシリアルキラーということでどんな知能犯かと思いきや、過去に自分を逮捕した警官に復讐しているだけという、何ともスケールの小さな男というのがその実体でした。犯人の正体は早々に暴かれ、マスコミを巻き込んだ劇場型犯罪へと発展するという展開は『ダーティハリー』を想起させるのですが、スコルピオと比較しようもないほどチンケな犯人では完全に役不足でした。ステイサムに勝てないことは一目瞭然であり、こんな弱々しい敵が相手では何も盛り上がらないのです。。。 主要登場人物が無闇に殺されていないという点や、本筋と関係ないのにやたら顔を出すキャラクターが何人かいたという点から察するに、本作はシリーズ化の構想があったものと考えられるのですが、第1作がこの出来では、2作目以降の製作は難しいのではないかと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2014-02-24 00:43:09)(良:1票)
23.  プレイ-獲物- 《ネタバレ》 
刑務所からはじまるこの映画、冒頭30分のウルトラバイオレンスには身を乗り出しました。派手さや爽快さではなく、ひたすら痛いバイオレンスの連続。フランスで北野武がやたら支持されていることにも、何となく納得がいきました。しかもその間にてきぱきと話をまとめていき、本編への筋道もきっちり作るという手際の良さ。うだうだと設定をまとめきれない映画も多い中、息をもつかせぬ暴力描写とともにたった30分で下準備をすべて終えてしまった本作の冒頭は、アクション映画の鑑のような出来だったと言えます。そして、本編の内容もかなり興味深いもので、主人公は娘をさらった殺人鬼カップルを追うこととなるのですが、彼もまた、警察やマフィアから追われる身。さらには殺人鬼カップルの罠によって連続殺人犯にまで仕立て上げられ、彼を仕留めるために警察は最高の捜査チームを送り込んできます。果たして彼は、娘を取り戻すことができるのか?どうです、面白そうな話でしょ。。。 しかししかし、本編に入ると映画のテンションはガクっと下がります。理由は簡単で、冒頭のバイオレンスが、本編ではただのアクションになってしまうのです。武装した3人のチンピラから不意を突かれても素手で返り討ちに遭わせていた人間凶器が、街に放たれた途端にただの逃亡者に成り下がります。ただ逃げるだけ、警察に追い込まれても反撃は必要最小限に留め、不可抗力以外の理由で他人を傷つけることは皆無という穏健ぶり。冒頭での期待は一気に崩れました。ビルからのダイブやカーアクションなど派手な見せ場も準備されてはいるものの、私が期待したのは冒頭で繰り広げられたリアルな暴力描写、人間凶器が一心不乱に暴れ回る姿であって、ぎこちないジェイソン・ボーンを見せられるくらいならハリウッド映画をチョイスしますよ。オードブルは高価な珍味だったのに、メインディッシュはファミレスのハンバーグプレートになったかのようなガッカリ感でした。さらにガッカリだったのが、主人公を演じるオヤジの走り方がめちゃくちゃカッコ悪いということ。アメトーークの「運動神経悪い芸人」に匹敵するレベルの走り方であり、冒頭でこのオヤジに心酔した私のハートは一気に冷めました。
[DVD(字幕)] 4点(2013-02-06 18:34:38)
24.  BLACK & WHITE/ブラック&ホワイト(2012)
『T4』に続く、McGによるジェームズ・キャメロンへのストーカー大作第2弾。今回は90年代のキャメロンを支えた撮影監督ラッセル・カーペンターまでを召喚して21世紀版『トゥルーライズ』を製作しているのですが、これが恐ろしく時代遅れなアクションコメディに仕上がっています。オフィスや自宅、果ては行きつけのレンタルビデオ屋までがおしゃれでピカピカという現実感ゼロの街を舞台に、CIAエージェントが顔バレを一切気にせずバカな騒動を起こすという何ともカックンなお話。80年代や90年代ならばこんな作風でも受け入れられたのですが、ジェイソン・ボーンが汚い路地裏を走り回り、ジェームズ・ボンドまでがリアル路線を選ばざるをえなくなった21世紀においてこのテンションはかなり厳しいと感じました。その上、主演2人も役不足です。この手のアクションコメディを演じるべきはトム・クルーズやピアース・ブロスナンのようなアクションヒーローを演じてきた俳優であって、アクションにおける代表作を持たない若手では様にならないのです。そして、さらに問題なのがヒロイン役のリース・ウィザースプーン。キャリアのピークを過ぎてしまったウィザースプーンでは、伸び盛りのクリス・パインとトム・ハーディに見劣りしています。彼女は相変わらず美人ではあるのですが、それでも二人の戦士を魅了するだけのオーラは放っていません。そして、主人公二人が抱く恋心に説得力がなければ、観客は物語に魅力を感じないのです。
[DVD(吹替)] 4点(2012-10-21 22:47:20)(良:2票)
25.  ブレーキ(2012) 《ネタバレ》 
狭い箱に閉じ込められた主人公をひたすら映しているだけという内容であり、ハリウッドお得意の”ソリッド・シチュエーション”もここまで来たかと恐れ入りました。画面に映っているのは身動きの取れないスティーブン・ドーフのみ、金と人材を切り詰めた果てに登場した作品ではあるのですが、その代わりに監督と脚本家は徹底的に頭を使っており、アクション映画もかくやという勢いで物語は進行します。ここ10年ほどはネタギレを指摘されているハリウッドですが、本作のようにまだまだ意表を突いた映画を生み出す奥深さには侮れないものがあります。。。 と、決して出来の悪い作品ではないのですが、明らかな問題点もあります。なぜ犯人はこんなにもめんどくさい手段をとったのかという点に納得感がなく、観ている途中からバカバカしくなってしまうのです。ラスト2段のドンデン返しなんて『シベ超』並みの強引さであり、一気に脱力してしまいました。また、妻の危機にあたって生き方を反省する主人公の姿にも感動はなく、このことが、観客に対して”『フォーンブース』になり損ねた映画”という印象を与えています。
[DVD(吹替)] 5点(2012-09-25 00:48:18)(良:1票)
26.  プロメテウス 《ネタバレ》 
IMAX3Dにて鑑賞。初挑戦ながらリドリー・スコットは見事に3D技術を使いこなしており、3D料金を払う価値のある映像に仕上がっています。この辺りの柔軟性、技術に対する積極性は、さすが巨匠といったところです。。。 本編もまた、良くも悪くもリドリー・スコットの映画でした。とにかく映像美は完璧で、VFXの使い方も完璧。『アベンジャーズ』でコテコテのCGを観た直後だっただけに(あれはあれで楽しいのですが)、ロケーションとVFXが違和感なく融合し、あたかもそこに存在するかのような映像のリアリティには驚かされました。『ブレードランナー』以来30年ぶりのSF映画ですが、この監督のセンスはまったく衰えていません。その一方で、脚本はかなり適当。『エイリアン』の登場人物が7人だったのに対して本作の登場人物は17人に増やされているのですが、不要な人間が何人もいます。特に要らないのが科学者グループで、専門性を発揮することもなくただワァワァ騒いでいるだけ。肝心の研究・調査は同行したロボットがたった一人で進めているという有様であり、これならば科学者グループを丸ごと切ってしまい、代わりにプロメテウス号の操縦クルーを主人公にしてしまった方が映画全体のまとまりが良かったように思います。創造主に会えば寿命を延ばしてもらえると思ったウェイランド社長や、せっかく育てた人類文明を滅ぼそうと考えたエンジニアの行動原理は理解不能であり、これらについてはより突っ込んだ説明が必要だったように思います。製作スケジュールに余裕がなかったためか、スコットは映像表現に全精力を注いで物語は二の次・三の次としているようです。ジェームズ・キャメロンのような完璧主義者とは違い、ある程度のところで割り切ってしまう適当さがスコットらしいと言えます。。。 人類の起源とエイリアンを結び付けようとするそもそものアプローチが、個人的には好きではありません。「出会ってはならない二つの種族が出会ってしまったことによる悲劇」というオリジナルシリーズのアプローチの方がしっくりきます。
[映画館(字幕)] 7点(2012-08-26 01:28:24)(良:2票)
27.  4デイズ 《ネタバレ》 
ポール・ハギスの「スリー・デイズ」にレニー・ハーリンの「5デイズ」と紛らわしくて仕方がない”デイズもの”の一本ですが、これがなかなかよくできています。ワンシチュエーションもののサスペンスとしては年に一本出会えるかどうかというレベル。設定に無理はあれど90分ならば勢いで乗り切れる。これは思わぬ拾いものでした。 【注意!ここから壮絶にネタバレします】 とにかく凄いのが脚本で、観客の先読みを巧みに利用する形で物語をぐいぐいと進めていきます。「実は核爆弾などなかったことがラストで明かされ、拷問の無意味さを説いて映画は終わる」、私はこんな結末を予想しながら観ていました。私以外の多くの観客も同じようなことを考えたのではないでしょうか。しかしそんな浅はかな先読みなど脚本家は百も承知であり、この”狂言説”はまんまと中盤のトリックに利用されます。「どうせ”狂言でした”がオチだろう」と思っている観客の目の前で53人の市民を爆殺してみせ、この犯人はホンモノであることを強く印象付けるのです。こうして予想を裏切られた観客はその後の展開がまったく見えなくなるのですが、観客が真っ白になったところで「ここからが本番だ」とばかりに二転三転の怒涛の展開を叩き込んでくる周到さには舌を巻きました。。。 この結末が読めない物語の中では、観客は己の倫理観をも問われることとなります。容疑者を痛めつけることは悪いことだということは明らかです。一方で、本気で人を殺そうとしている犯人を相手にした時には、綺麗ごとだけでは解決しないこともまた事実。では、どこまでの強硬手段ならば許されるのか?現実の戦いを知っているサミュエルは徹底的にやろうとしますが、トリニティらオーディエンス達はいつまで経っても腹を決められません。ショッピングモールを爆破された直後には殺意を持って犯人に襲いかかるものの、怒りが喉元を過ぎると再び生温いヒューマニズムが頭をもたげる。最終的には、米国人の良識によって核爆発が引き起こされるという皮肉な結末を迎えます。エグイ拷問をやっているサミュエルと犯人は、実は冷静な計算の中で動いており、良識派ぶってその拷問を眺めているオーディエンスの方が感情に流されているという構図こそが本作のミソ。「世論は本当に戦いを理解しているのか?」ということを鋭く問いかけてきます。
[DVD(吹替)] 8点(2012-05-04 02:10:24)(良:1票)
28.  5デイズ
「ドリブン」を大コケさせて以降は小規模なサスペンスアクションを細々と撮ってきたレニー・ハーリンですが、久々のアクション大作である本作では堂々たる演出力を披露しています。現役のヘリや戦車がバンバン登場するスケールの大きな見せ場のまとめ方は手慣れたものだし、アップと俯瞰の使い分け、援軍が到着するタイミングなど、アクション映画の基本となる演出力はまったく衰えていません。トニー・スコットやマイケル・ベイ同様、ある程度以上の予算規模の企画の中にあってこそ、この人は才能を発揮できるようです。アクション大作としてはとにかく満足の仕上がりでした。あくまでアクション大作としては。。。本作を鑑賞する上で頭に入れておかねばならないことが2点あります。それは、本作がグルジア軍の全面協力で撮影されていることと、レニー・ハーリンは歴史的にロシアからの被害を受け続けているフィンランド出身であること。本作は徹頭徹尾反ロシアの姿勢で作られており、国際問題を学ぶ社会派作品として鑑賞すると、大きな間違いを犯します。確かにロシアは傍若無人な国家ではあるのですが、本作の内容はあまりにグルジア寄りで、フェアな姿勢で作られてはいません。グルジアと南オセチアの関係にまったく言及していないし(グルジアは被害者であると同時に、加害者としての側面も有している)、南オセチア紛争の最初の一発はグルジアから放たれたことが国際的な認識であるにも関わらず、「ロシアの攻撃が先だった」というグルジア側の一方的な主張が採用されています。ロシア軍の残虐ぶりも低俗に誇張されており(南オセチア紛争で残虐行為を行ったのは南オセチア義勇軍なのですが、本作ではあたかもロシア軍が残虐行為を行ったと勘違いさせる描写がなされています)、80年代に香港で量産された反日映画と同じ類の作品として鑑賞するのが正しいと思います。
[DVD(吹替)] 7点(2012-04-23 11:58:46)(良:1票)
29.  フェア・ゲーム(2010)
シンディ・クロフォードのお色気バカアクションと同じタイトルなので何となく舐めた目で鑑賞をはじめたのですが、本作は驚くほど硬派で見応えがあり、その面白さには目を見張りました。国家vs個人というハリウッドお決まりのテーマを扱っているのですが、個人が権力を敵に回した時の恐ろしさというものが非常にうまく表現されており、際立った見せ場がなくとも全編に渡って緊張感が維持されています。そして、「攻撃は最大の防御」と言わんばかりに政府に対する攻撃姿勢を強める旦那と、「これ以上傷を広げたくない」と沈黙を守る妻の対立もうまく処理されていて、どちらの主張にも「わかるわかる」と納得させられました。結果、観終わった後もあれこれと考えさせる内容となっており、21世紀版「インサイダー」とでも言うべきレベルには到達していると思います。。。 薬漬けにされた上で処刑されたサダム・フセイン、特殊部隊により殺害されたことになっているビン・ラディンと、スッキリしない結末を迎えるアメリカの対テロ戦争は今後も映画化されていくと思いますが、本作は将来生まれる作品群のお手本となることでしょう。 
[DVD(吹替)] 8点(2012-04-21 19:31:07)
30.  復讐捜査線
メル・ギブソン8年ぶりの主演作にして、監督マーティン・キャンベル、脚本ウィリアム・モナハン、編集スチュアート・ベアード、音楽ハワード・ショアというご祝儀のような豪華メンバーが顔を揃えているだけに相当な映画なのだろうと期待して鑑賞したのですが、そんな期待を上回るバイオレンスの快作でした。デビュー作「マッドマックス」以来、家族を殺される男をひたすら演じてきたメル・ギブソンの真骨頂、怒りと悲しみに溢れるヒーローを演じさせると相変わらずこの人はよくハマります。彼に対する敵方の設定もよく考えられていて、巨大軍需企業、その軍需企業に飼われている上院議員、政府、政府の汚れ仕事を請け負う民間セキュリティ会社が同じ目的を持ちつつも別々の指令系統で動いており、そのために大きな混乱が生じているという設定は、妙に説得力があって「なるほどな」と感心しました。特に印象に残ったのがレイ・ウィンストン演じるセキュリティ会社の男で、「殺しを職業としている以上、指令が下れば個人的に恨みのない相手であっても俺はためらわずに殺す。俺にそうさせないよう、お前は絶対に一線を越えるなよ」とわざわざターゲットに警告しにくる職人気質にはグっときました。アクションは控え目なのですが、要所要所では腹にガツンとくる重厚な見せ場が用意されています。バイオレンス一筋のマーティン・キャンベルの手腕はこの手の渋い銃撃戦でこそ発揮されるようで、派手すぎないアクションのカッコよさには大興奮なのでした。
[DVD(吹替)] 8点(2011-12-19 01:00:10)(良:2票)
31.  プレデターズ(2010) 《ネタバレ》 
本作と「1」は、「エル・マリアッチ」と「デスペラード」の関係みたいなもので、リメイクと続編の中間のような感じです。さすがはロドリゲスだけあって「1」へのリスペクトが十分に感じられる脚本に仕上がっていて、随所に「1」を思わせる場面が見られます。本作の血がたぎるようなラストバトルは必見なのですが、その盛り上げ方・作品の息づかいまでが「1」に似せて作られており、そのリスペクトは相当なものです。音楽も「1」の勇猛なテーマ曲をそのまま使っており(しかし、今回はなぜかアラン・シルベストリが担当していない)、あの景気の良い音楽を最新作でも聞くことが出来て、それだけで興奮してしまいました。一方で「2」や「AVP」シリーズはなかったことにされており、この辺りのガンコさもオタク監督ならでは。物語は基本的に「1」と同じ流れで進行していくのですが、プレデターにも複数の種族があって、種族間で性格が異なるというのが本作の新機軸。今回相手となるのは我々の知っているプレデターではなく、より野蛮で凶暴そうな奴らです。こいつらの見た目の怖いこと!いつものプレデターを見るとホッとしてしまった程です。性格もより残忍であり、地球に来ていた高潔な狩人とはわけが違います。ラストでは、種族間の敵対関係を利用して我々の知っているタイプのプレデターが味方に付くという燃える展開まであって、シリーズ化に伴うバージョンアップとしては、この新機軸はなかなか良かったと思います。。。こうしたプレデターズに対する人間キャラクターもよく作り込まれています。特殊部隊員からヤクザから性犯罪者までをズラっと揃えた異色の顔触れなのですが、内輪揉めや仲間内の友情なども月並みだが自然に盛り込まれており、キャラクターで勝負させると、やはりロドリゲスは良い仕事をします。役者で特に良かったのはエイドリアン・ブロディで、彼が演じるのは「1」のシュワに相当する役柄なのですが、肉体派のイメージのなかったブロディが知性と残酷さとサバイバル能力を兼ね備えた、シュワと比較しても見劣りしない立派な戦士となっています。この化け方は全盛期のデ・ニーロ並みで、オスカー俳優の底力を見たような気がしました。一方でフィッシュバーンは作りすぎ、やりすぎで、彼の登場場面では物語が一時的に失速します。このキャラさえいなければ、より引き締まったアクション映画の佳作になったはずです。
[映画館(字幕)] 7点(2010-07-12 20:25:52)(良:2票)
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