1. Fukushima 50
公開初日に鑑賞したのはずいぶん久しぶりです。原発事故の事は一般常識レベルで知っていたものの、この映画に関する一切の予備知識なく、観終わってからネットで情報をみました。この手の映画にありがちな「事実と違う」「総理の描き方が極端」「英雄視されている吉田所長がかつて防潮堤の高さを10mを容認していた」「家族を描くのは余計」と、感動に水を差すものばかり。正直言うとそれらは周辺の事だし、映画は完全なノンフィクションではない。ノンフィクションが見たければ、NHKスペシャルかドキュメンタリーを見ればよい。この映画は、予期せぬ混乱を前に、現場で頑張った人がいたことを描いているだけ。愛する土地、愛する家族を守る為に戦うというのはどういう事か。上位者に忖度し、ご機嫌を取る事じゃない。勿論そういう”政治”ができる人が出世をするのが世の常ですが、それでも本当に生きるという事はどういうことか、守るという事はどういう事かを観客に訴えかけてきます。事故からまだ10年に満たない現在、「まだ被災者(被害者)がいるのに時期尚早ではないか」という意見もありました。でもこんなに頑張った人がいたということをどれくらいの人が知っているんだろうか。それを知ってもらう事だけでもこの映画の作られた意味があると思います。勿論、東電や官邸、政府の不手際はありますが、それをことさら声高に非難するというのはこの映画のあるべき姿ではないと思います。また、頑張った人がいたからといって東電の罪が軽くなるものでもない。そこら辺をしっかりと踏まえて、ただ画面に映る”頑張った人たち”に涙するのは決していけないことではないのではないかと思います。 [映画館(邦画)] 8点(2020-03-08 10:45:30)(良:1票) |