1. 復讐するは我にあり
《ネタバレ》 昨晩見始めたきっかけは、「発泡酒を飲む間のつなぎ」だった。にもかかわらず最後まで観てしまい、350mLの発泡酒は半分ほどコップに残ったまま。それほど気持ちが入った状態での鑑賞となった▼この映画のDVDを買ったのは数年以上前だったと思う。これまで奥にしまいこんでいたディスクを、大掃除をきっかけに目のつきやすい本棚に移動。今回の視聴となった▼今、僕は43歳。この歳で、この映画を観られて本当に良かった。数年前ではここまで巌の行動を理解出来なかったはずだ▼自分勝手で攻撃的、ときに冷静で紳士的で理知的。これら、男が少しずつ持ち合わせている様々な性質。主人公の榎津巌はこれら性質を、本能のおもむくままあるいは意図的に駆使。結果、破滅へ向かっていく▼そこに理屈は感じられない。やりたいように、そしてやれるようにやる。映画内で巌の心の説明はされない。だがそれらの行為は充分に理解出来るものだし、それゆえ感情移入しながら観られた。この類型的でない主人公を見事に演じきった緒形拳は素晴らしい▼他のキャストでは、複雑な立場を細やかに演じた倍賞美津子、その迫力で緒形拳と互角に渡り合った清川虹子を評価したい。 [DVD(邦画)] 9点(2015-03-31 11:54:29) |