1. BLUE GIANT
《ネタバレ》 切実だなあ、息苦しい。何度も、涙ぐむ。なんかこう、形のないものを信じている人がいて、その気持ちが分かるというか。よかったです。どう理解したら良いのかと考えたあげく、「俺節(@土田世紀)」みたいだ、と思いました。やっぱりジャズと演歌は特別なのか。原作未読。 [DVD(邦画)] 8点(2024-01-21 14:27:57) |
2. 福田村事件
《ネタバレ》 いつかこんな映画だか小説を観た(読んだ)ことがあるような気がするんですよ。恐怖と猜疑心に駆られた善良な小心者(松浦祐也)の過剰反応から転がり出すドタバタコメディ。ドリフのいかりや長助さんが薬売りの団長(永山瑛太)の役だったり、福田村の村長(豊原功補)役がハナ肇さんだったり。ただ、本作は、ガッツリ二枚目や美人の女優さんが、史実にインスパイアされたドラマとして、ドキュメンタリーを主戦場にした監督が作ったものなワケです。もうこういう映画をコメディとして消費できるような余裕が世の中になくなってきたということではないかと危惧しています。荒唐無稽、ありえないこととして、笑い飛ばせない。最期のシーン。ふるさとに戻ってきたところで、もう以前の場所には戻れないことが分かった少年の表情。差別とか偏見とかも大きなモチーフの映画ですが、これで業の深さというか、普遍的な人間のドラマに仕上がってたような気がしています。■残念なのは、道具の使い方がイマイチのところ。鍬だったり、船の櫓だったり、軍剣だったり。 [映画館(邦画)] 8点(2023-09-11 16:50:37)(良:1票) |
3. FALL/フォール
《ネタバレ》 切実に怖かったのは、はしごが崩れ落ちて以降ではなく、はしごに取り付いて上がっていくプロセス。あんなハシゴに登ったことがないのに、ワタシにそんな経験があったがごとく気持ちがヒューってなってました。怖い。■地上600mに取り残されれば、こんなもんじゃすまないだろう(自然現象、生理現象など)とも思いましたが、でも面白かったですよ。①実は、作中途中で○○していた。②○○を捕食するなど驚かしてくれましたし、生還を求めるメッセージの発出(最期の)も、確かにそれは効果的だと思いましたし(ひどい?)。■鉄塔の航空障害灯の電球が明らかに旧式のものだったり、家庭用のアダプターで充電できたりしたのもアレって思いましたが、あれも妄想パートだったのであり、ナニソレって思わされてたんでしょうなあ。そこもウマいよ。 [DVD(字幕)] 7点(2023-06-07 16:33:48) |
4. フェイズIV/戦慄!昆虫パニック
《ネタバレ》 うーむ。何かの偶然でアリの中で発生した凶悪な遺伝子が、ストレス(黄色い薬)などを受け変異し、とうとう人間に寄生した。その状態がフェイズⅣ、これから本当のパニックが始まる。という解釈でいいんでしょうか。もう、まるで自信がない。コロナ禍を経験した現在ではシリアスな作品のような気もするが、どうしても滑稽にみえてしまう。小さな生物の活動にライフラインを止められたりすると、ヤツらは頭が良いと誤解してしまいそう。COVID-19が、感染しても発症しない人もいると知った時に、なんて巧妙な繁殖戦略、と思ったみたいに(本作のとはちょっと違うけど)。 [DVD(字幕)] 5点(2023-05-14 16:15:34) |
5. PLAN 75
《ネタバレ》 角谷ミチが生き延びたのは、物分かりが良すぎる自分に対する抵抗ではなかったか。 [インターネット(邦画)] 10点(2023-02-20 06:39:24)(良:1票) |
6. プライベート・ベンジャミン
《ネタバレ》 子供のころ、映画雑誌でよく目にしていた本作をやっと見たという感慨はあります。しかし。頼りないけど可愛らしい女性が、軍隊で酷い目に遭いつつも、望外のラッキーに恵まれて、成功を収めるみたいな話だと思ってたのですが、大金持ちとの結婚を夢見ていた女性が、自分の力で生きていくことを決めるまでの物語だったのですね。予想していたのよりもコクのある話だったと思いますが、だからといって、面白かったかと言うとそうでもないなあ。実戦演習のグダグダっぷりはなあ。当時売れっ子だったゴールディ・ホーンが、制作総指揮までやって作った彼女のプロモーションビデオだったのではないでしょうか?ワタシが軍隊に入ったら面白いんじゃね、みたいな。◆ただ、映画のポスター(DVDのジャケット)はすごく好きという厄介な映画。 [DVD(字幕)] 3点(2023-02-11 15:09:45) |
7. ブレット・トレイン
《ネタバレ》 パラレルワールドのような「奇妙なニッポン」が見たいというニーズは世間には確かにあって、実はワタシもそういうのが見たい一人です。そこを狙ってやってるんだろうし、そういった意味では最後まで面白かったとは思うんだけど、しかし。■伊坂幸太郎の殺し屋シリーズの映画化って、「漫画の映画化」と同じハードルがあるように思うのですね。小説なんだけど、読者は明確なビジュアルをイメージしてページをめくっていたのではないかと。こんなのオレの蜜柑と檸檬じゃない。東北新幹線ではなく、東海道新幹線にしたのは「奇妙なニッポン」的には正解なんだろうけど。■運も不運も捉え方次第なんて話ではなく、原作では命をどう扱うかというようなお話だったかと思っていまして。もっと原作に敬意を払えよって、ヤボを承知でちょっと思ってます。 [DVD(字幕)] 6点(2023-01-27 20:07:24) |
8. フラッド
《ネタバレ》 映画の最初から最後まで雨降りっぱなし。演者もほとんど水浸し。よくこんなの撮ったなというのが第一印象。保安官が突然悪者になってから、なんか物語が混沌というかグダグダになったなあとも思いましたが、よく最後までやりきったなあと、まあ感心しました。登場した時には、”きっと最初に死ぬ要員”だと思ったトムがヒーローだった意外性。まあ、面白かったです。しかし。終幕後につけたテレビのワイドショー。最近の全国的な我が国の大雨災害の様子。ああ。洪水って、こういう泥とかゴミとかが一緒くたに流れてくることだよなあって。もちろん彼我の国の河川の状況が全然違うんでしょうけど。なんか、急に冷めた感じになってしまいました。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-08-15 15:21:11) |
9. プラットフォーム
《ネタバレ》 階級闘争の暗喩だったのでしょうか。なんかピンとこない。■solidaridadという言葉が「連帯感」と訳されてたと思いますが、やっぱりピンとこない。しばらく前からよく聞く「絆」とかでどうでしょうか。「絆を利用している」とかのセリフだと、なんか腑に落ちそうです。「絆」って言葉、あんまり好きじゃないんで(意地悪)。■暴力シーンは当方ある程度免疫ができていますが、食べ物を汚らしく扱うシーンには耐性がなく、生理的にイヤ。やっぱりオラはこの映画好きじゃないなあ。■「子供が希望」みたいなラストシーンも、散々えげつないくせして、最後だけなんの帳尻合わせだよという気分です。 [インターネット(字幕)] 3点(2022-08-14 22:03:04) |
10. 不意打ち
《ネタバレ》 面白い。やってくる悪党が、全く魅力を感じないというか、うんざりするような奴らなのがすごい。毒親設定、いなくなったセガレの安否を明らかにしないのもすごい。非常ベルを鳴らそうと、大声で叫ぼうと無反応だった世間が、自分の交通の妨げになるような事象が発生するとワラワラ集まってくるところもすごい。エレベーターからの脱出方法が、また荒っぽいのがすごい。どんどんすごいんだけど、ホントに嫌な映画だったよ。気持ちを寄せられるような人物が一人もいない。不意打ちって邦題が不明。 [DVD(字幕)] 7点(2022-07-23 14:49:27) |
11. 文学賞殺人事件 大いなる助走
《ネタバレ》 本作のタイトルをどうするかで、ひと悶着あったのではないでしょうか?あくまで原作通りの「大いなる助走」にしたい鈴木監督と、それじゃお客をとれないから、クソダサいけど理解されやすい「文学賞殺人事件」とする配給会社の間で。作品中オープニングタイトル(大きい赤い文字で「大いなる助走」、小さく「文学賞殺人事件」)はもちろん、エンディングに何故かでるタイトルまで「大いなる助走」(のみ)推しなのに、DVDのパッケージ、映画のポスターやパンフレットは「文学賞殺人事件~」になってます。このなんかギクシャクした感じに原作者ツツイも絡んでいたら、なおさら趣深いと思うのですが、あなた、どう思われますか? そんなことは別として、本作について。ただただ面白いです。 [インターネット(邦画)] 8点(2021-02-07 08:11:56)(良:1票) |
12. Fukushima 50
《ネタバレ》 ■全国民が固唾をのんで見守った、あの日、あそこで起こっていたこと。とても知りたい気持ちはある。しかしそれは、こんな風に脚色された、センチメンタルなのではなく、硬派な事実だけを知りたいんだ。■あの事故のことを描くのであるなら、事故以前の原子力政策と、事故後の世論の日和見を描かないと、50人の壮絶な絶望は伝わらないんじゃないだろうか?■あの事故は、終わっていない。■復興五輪のためのプロパガンダとして作られた作品が、コロナ禍により早々にその役割を終えた。見ていて、悲しくなりました。 [DVD(邦画)] 2点(2020-12-04 10:46:31)(良:1票) |
13. 風雲児たち 蘭学革命(れぼりゅうし)篇<TVM>
《ネタバレ》 これは、相当好きだな。主役の二人の年齢はアラフォー(杉田玄白)、アラフィフ(前野良沢)だけれど、青春群像劇ですよ。前野良沢は、「舟を編む」の馬締をさらにナイーブにした感じ。臆病すぎる。プロデューサー杉田玄白の打ち手にムダがないのもすごい。二人だったから、解体新書を世に出せた。ぶつかり合い、ねじり合い、紆余曲折はあるのですが、ただ二人の信頼の物語だったんだと思いますよ。原作未読です。読んでみたい。 [DVD(邦画)] 9点(2020-08-11 18:46:29) |
14. ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ
《ネタバレ》 「俺はコンセプトを作った」と言われたときに、胸をつかれた気がしました。ああ、この創造性のないおっさんがのし上がっていく物語り、気に食わんわあ、と辟易していましたが、そういうことなんですね。彼は彼なりに、新しい価値を作り出しているつもりだったのですね。そうなのかもしれない。彼にとっては、マクドナルド兄弟のシステムは、単にビジネスのリソース。自由に使っていいもの。弱肉強食なんて、思ってなかったんじゃないでしょうか。単に自分の執念に基づいて、合理的に行動しただけ。「紳士協定」って言葉が出たときも、ハッとしました。レイはそのときは、可能であれば守るつもりだったのだと、ワタシは思っています。ま、ワタシ、マクドナルド嫌いですけどね。「コンセプト」って言葉を使う人、うさんくさいと思っていますけど。【追記】すきやを、吉野家はどう思っているんだろう。 [インターネット(字幕)] 9点(2019-12-07 00:48:31) |
15. ブルース・ブラザース
《ネタバレ》 ちょうど古臭いという感じです。この感じを例えていうなら、TVのバラエティーとしては、「ゲバゲバ90分」よりも「オレたちひょうきん族」の方が古臭い。刑事ドラマで言うと「太陽にほえろ(マカロニ、ジーパンのころ)」よりも「西部警察」の方が古臭いといった感じです。ワタシも、アレサ・フランクリンのシーンはカッコいいと思いましたので、きっといつかこの味わいがわかる日が来るような気もします。が、来ないような気もしています。 [インターネット(字幕)] 5点(2019-10-24 22:57:38) |
16. ブレードランナー/ファイナル・カット
《ネタバレ》 スマホもネットもない近未来は、デッカードのキャラクターも相まって、ずいぶんと浪花節な感じです。お話そのものより、そんな世界の雰囲気を楽しむ映画なのでしょう。実は、自分の解釈に自信がなく、Youtube「【すぐにわかる】ブレードランナー 手書き紙芝居【完全ネタバレ】Blade Runner Picture-story show」を同時参照しつつ、物語を追っていたのは秘密です。 [DVD(字幕)] 6点(2018-08-24 14:25:28) |
17. 富士ファミリー〈TVM〉
いいです。だから、今回は非ネタバレ的に書きたい。木皿泉的な真面目で直裁で青臭いメッセージ。おそらく好き嫌いがあるんだろう。けどオレは好きだけどね。このゴージャスな俳優陣は通常のドラマでならオゴりすぎって言いたいところですけど、正月ドラマだったことを思えばよしとしよう。基本的に弱いもの視点だから、そんなんだからマズいんじゃないかと言いたいところもあるんだけれど、でもこれでいいんだよ。みんな、ホントは弱いんだから。良作。 [インターネット(邦画)] 9点(2018-07-03 21:54:23) |
18. ブルーハーツが聴こえる
《ネタバレ》 映画のラストシーンで必ずブルーハーツの曲が流れるというシバリは何か意味があったのかな。例えば、ワンシーン、車のカーラジオから曲が流れるでもよかったのでは。曲からインスパイアされたストーリーくらいのおおらかさでよかったのではないか。ということで、一番好きなのは、5作目のわたしはヘンタイでしょうか。トリを務めた6作目。社会問題を絡めるのが好きな監督さんらしいが、父親とその他の家族の齟齬って、もっと普遍的なものでしょう。原発問題を絡めることで、メッセージがわかりにくくなっていたようです。 [DVD(邦画)] 6点(2018-05-17 21:14:33)(良:1票) |
19. ファニーゲーム
《ネタバレ》 不愉快なのは、本作の乾いたバイオレンスでも神経に触るような会話の応酬ではなく。救いがないってことで有名なあの「ファニーゲーム」とかいう映画を、近所のレンタル店ではないからって、わざわざオンラインの店から取り寄せて。どうせあんたの見たかったのはこういうのなんだろうって。20年前から監督に見透かされているような、それで後ろめたいような不快感。監督が観客に仕掛けたFunny Games。観ちゃったら、被害者。 [DVD(字幕)] 8点(2018-02-24 16:18:59) |
20. 淵に立つ
《ネタバレ》 予定調和をことごとく外してくる。少女を殺めようとしても捕まらない。その少女も死なない。殺人の際に足を押さえていても捕まらない。他の男に気持ちを奪われるのだが、一線は越えない。そして、ラストシーンも。居心地の悪さは最後まで続く。若い彼はもしかして、いろんなこと知ってて鈴岡の加工工場に来たんじゃないか。無垢な大賀が一番怖い。 [DVD(邦画)] 8点(2017-07-16 09:39:06)(良:2票) |