1. ベルリン・天使の詩
人生皆いろいろな問題を抱えながら生きていかなければならない.そして人生は有限の時間しか許されていない.でもまた無限の時間を持つということもけっして人間で言うところの「幸せ」ではあり得ない.生まれて死んでいくまでの時間,感じることの出来るリアルな体験を積み重ねながら過ごすことは無駄ではなく,「普通に生きていくことで,いいんだよ」ということをそっと教えてくれ,背中を押してくれる作品.子供の目線では物心ついて感受性豊かなときの世界の見え方が,ブルーノ・ガンツが人間になる時の鮮烈なカラー映像は我々が当たり前のことと普段捕らえているささやかな日常のすばらしさが,図書館で詩を読む老人の孤独なつぶやきは人生を送り年をとることの切なさが,観るたびに胸に迫る.人生これでいいんだろうか,自分の生き方が実は間違っているのではなかろうかとよく考えるが,必要以上に悲観的になったり,即物的な考えに陥りそうになったりしてしまいニュートラルに考えることは意外に難しい.あたまがごちゃごちゃして,どうにもならなくなったときにこの映画を観ることにしてます.どんな才能があればこのような映画が出来るのか,とにかくすばらしい奇跡的な作品.それはそれとして,僕はナスターシャ・キンスキーよりもソルヴェイグ・ドマルタンの個性的で優しいまなざしが好きです.満点です. 10点(2003-06-11 18:15:44) |