1. ベスト・キッド(2010)
《ネタバレ》 原題はカラテキッドなのに邦題がこうなっている。当時、日本人向けの邦題のはずなのになぜ分かりやすいカラテという言葉をわざわざ変えたのか謎だと思ったのだが今回はそもそもカラテじゃなくてクンフーになってるので逆に原題が謎になってる(笑)さて今回のリメイクだけど、良く出来てる。オリジナル版は84年ということで、80年代の青春映画にありがちなんだけど、”今見るとアレ”な感じが満載なんだよ。マッチオはかわいくて明るくポジティヴで女の子にもモテる男の子で、今の感覚でいうと、お前みたいな奴がいじめられる訳が無い、という謎のキャラクターに写る。いじめられる奴がクラス一のかわいこちゃんにモテる筈が無い。モテるかいじめられるかどっちかにしろ!って思うんだ。その辺、今回のリメイクも同じなのにちょっと現実味がある。ジェイデン・スミスの達者な演技による、いい感じにしょぼくれていていじめられそうな表情(父親ゆずりのハの字眉)がはまってる。さらに設定が中国に移住という事になっているので異国からきた黒人少年という輝きを持っている。なのでかわいこちゃんが興味を持つという点においてもそんなに不自然じゃない。あと、オリジナルの日本人カラテ師匠、ノリユキ・パット・モリタも良かったが、今回のジャッキー・チェンが抜群に良い。あまり表情を出さない押さえた演技がいい。パブリックイメージとしてあるコミカル演技はやらないんだ。で、前半 集団でリンチに合いそうなジェイデンを助けるときのカンフー技は彼のお家芸。ここがめちゃくちゃエキサイトするんだよなあ!ただ同じストーリーなのに上映時間がずっと長い。テンポがかなりゆっくりだ。これは修行シーンが長い(万里の長城とかいったりする)のが主な理由かな。ラストへの伏線にもなってるけど、映画的必然というよりは中国の景色をたくさん見せるためだろうなあ。全体的にただよう、”中国よいとこ一度はおいで”なムード。実に時代を反映しているじゃありませんか。80年代、自動車産業や精密機械で飛ぶ鳥を落とす勢いだった日本を題材にしたベスト・キッド、今や興味の対象は日本には無くイケイケの中国に乗り換えだ。 娯楽映画といえど、映画はその時代を映す鏡だな、とつくづく感じる一本だ。 [DVD(字幕)] 7点(2011-01-20 06:54:43)(良:3票) |