1. 別離(2011)
《ネタバレ》 少し退屈かな、と思いながら観ていたら、途中から完全に心を掴まれてしまった。 父の介護だけで済んでいた二人の溝が、夫の裁判でより明確になってゆく…んだけども、そもそもが離婚を決意するような決裂には思えなかった。だから、夫の裁判が決定的な理由ってことになるのかな。 自らの名誉を重んじる夫と、娘の安全を最優先する妻。 ラスト数分のガラスを隔てた二人の距離が、この夫婦がもう元に戻れないことをよく暗示していて、上手い。 そしてこの映画でこの夫婦以上の熱演を見せたのは、娘。 身勝手に思える母親と、保身のために嘘をつく父親だが、娘にとってはかけがえのない両親。 だが、その両親も夫婦として二人揃っていなければ、彼女にとってはダメなところだけ目につく大人なのかもしれない。 父親と暮らすか、母親と暮らすのか、彼女の選択は気になる所だけど、そこは描かず。 セリフのない長めのラストで、観るものを裏切りつつ考えさせる見事な演出。 イラク映画は多分初めてだけど、見応えのある2時間だった。良作。 [インターネット(字幕)] 8点(2021-05-16 22:38:43) |
2. ヘンゼル&グレーテル
大人向け娯楽大作。 あんまり深く考えずに、ひたすらアクションとロマンスを楽しむにはもってこいの映画。 なにせキレキレのアクションでスカッとすること間違いなし。 しかもファムケ・ヤンセン様御出演。久しぶりに見たけど、こういう役やらせたら無双だね。意外に?ストーリーもしっかりしてて、面白かった。続編が観たい。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-08-18 07:44:05) |
3. ヘレディタリー 継承
《ネタバレ》 一番の山場は、やはり交通事故の後処理。 そのまま帰宅して朝を迎え、母親の絶叫を聞くあのシーンは、ホラー映画史上に残るやり切れないシーンだと思う。 悪魔を降臨させるに至るさまざまな伏線がはられ、それを一つ一つ拾っていく作りは緻密にして丁寧で、徐々に恐怖を増幅させる効果抜群。 ただ、ラスト近くの母親が人間離れし過ぎていて、滑稽な印象を与えるのはもったいない。 重力を無視して天井に張り付いたり、空中を浮遊したりするのを観て、それまでせっかく積み上げてきた緊張感が崩れてしまった。 悪魔の下僕たちも、寄せ集め感が強くてパッとせず。 トニー・コレットの演技力にただただ圧倒され、ガブリエル・バーンの突き出たお腹に哀愁を覚える映画。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-08-23 22:33:56) |
4. ベイビー・ドライバー
《ネタバレ》 配役が絶妙。 主役は二枚目のまさにベイビーフェイス。 ボスが貫禄の出すぎたケビン・スペイシー。 悪党にこれ以上ないジェイミー・フォックス。 そしてヒロインには最高にキュートなリリー・ジェイムズ。 ただ、期待のカーチェイスはほぼ冒頭のみで、最後なんてドライバーの腕なんてそっちのけのゴリゴリのパワー合戦。 最後まで圧倒的なドライビングテクニックを見せつけて欲しかったかな。 ドンパチは結構激しいが、爽やかな気分で観終われる映画。 [インターネット(字幕)] 7点(2020-04-25 10:06:37) |
5. ペット・セメタリー(2019)
《ネタバレ》 オリジナルを観てから二十数年。 若い頃に観た映画がリメイクされるって、年取ったってことの証だね。 最近こういうケースが増えてきて少し複雑。 で、リメイク版。 オリジナルと比べるつもりはないのだが、前作は喪失感という悲しみが主軸だったのに対して、リメイク版は、死者の怒りが物語の原動力になっている。隣の爺さんの妻が然り、主人公の妻の姉も然り。 生前とは別のモノになって生き返るっていうのは、実は穏やかな死の静寂を乱された怒りだったのかもしれないと、本作を観て考えるようになった。 残念だったのは、娘を失ったことを受け入れられない父親の苦悩が観ている側に伝わらず、映画の筋を成り立たせるためにペットセメタリーを使ったようにしか感じられなかったことかな。 そこが希薄なので、生き返った娘が猟奇的になっている恐怖感ばかりが強くなって、どうしようもないやり切れなさが描かれてない歯痒さを勝手に感じてしまった。 ラストでおぞましい屍鬼と化した親子3人が、まだ幼い息子を迎えに来るシーンはちょっと引いてしまうくらい醜悪。 ホラー映画としてはいい出来なのかも。 もう少し細部にこだわった作りが欲しかったかなあ。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-10-16 20:34:40) |
6. ペイ・ザ・ゴースト ハロウィンの生贄
《ネタバレ》 ニューヨークがまだ集落だった頃から続く謎の失踪。 ケルトの女性とその子供たちを火炙りにした直後なら、見当がついて住民たちが何か手を打ってそうな気もするんだけど、現代まで完全に放置されてたみたい。 話は歴史として見れば結構壮大なストーリーなんだけど、ニコラス・ケイジ一家だけでほぼ対処するコスパの良さが光る。 霊媒師の女性もこっぴどくやられちゃうんだけど、もう少し禍々しい悪霊の設定を観たかったかな。 一番怖かったのは連れ去られた数えきれない子供達が地下に閉じ込められているシーン。 130年前から誘拐が始まったと考えても、一年に3人だからざっと400人。 でも、アメリカで失踪する子供達って、もっと多いんだろうな、なんてことが頭をよぎる作品。 とにかくチャーリー役の男の子がかわいくて、そこは高評価したい。 [インターネット(字幕)] 6点(2021-10-09 20:45:08) |