1. 僕の大事なコレクション
《ネタバレ》 最初はとっつきにくかったです。イライジャがいかにも内向的なキャラなので、ちょっとヒイてしまって。だけど盲目のはずなのに運転をする変なおじいさんといかにも頭の悪そうな犬、孫であるチャラチャラした若者、犬嫌いのイライジャが、今にもこわれそうな小さなポンコツ車でイライジャのおじいさんのルーツ探しに出発するあたりから、俄然興味深くなりました。で、そんなふうに軽く見せておいて、実は・・というテイストは、とても現代的。それだけでなく、この映画では色んな場面で「裏と表」をそこはかとなく感じさせる作りになっています。「その昔はもっと美しかった」という美しい田園風景の裏にユダヤ人虐殺の悲惨な事実があった、その悲しみを強調する表現でありつつ、人間の複雑さを表そうとしているのかな。その延長上におじいさんの死もあるので、ストーリーをよく知らずに見始めたのですが、唐突な死、とは思いませんでした。イライジャ以外は見たことのない役者ばかりでしたが、みんなすごくいい表情をするシーンがあり、そこも魅力的でした。英語を理解しないおじいさん、現地語のわからないイライジャのために孫がかなりアヤシイ通訳をするシナリオの面白さもさることながら、そのためアメリカ人の嫌う字幕がたくさん出てくるあたりも、旧来のアメリカ映画とは正反対の雰囲気。見終わってから「さてどんな監督さん?」とプロフィールを見て、「スクリーム」シリーズに出続けていた俳優だとわかって、「?」。写真を検索してみて「!」。彼が脚本も書いたんですね。原作もあるそうですが、かなり複雑な構成らしい。厳密に言うと脚本ではなく脚色ということなんでしょうけど、それにしても、ウマイ。お見事! [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-09-19 11:26:30) |
2. ボルベール/帰郷
アルモドバル作品を見た中では唯一気に入った作品。世間の評価もおおむねベスト1ですよね、これ。以前CSで途中から見たので、今回はDVDで最初から見直しました。やっぱりいいな、心地よいなと思いつつ、なぜかなあと考えてみると、不幸のかたまりみたいな話が後から後から出てくるにもかかわらず、女たちの関係性がどれも温かいから。逆に男にとってこの映画は「男はいらない」と言われてるような居心地の悪さに通じるんではないかなあ、とも思ってしまいますけど。アルモドバルは男なのに女の関係性を描くのがうまい、というところも、何か不思議ですが。そうそう、何を表そうとしているのか今一つ真意がよくわかりませんが、大きな何機もの風車のシーンが何度か出てきます。本作は2006年作品とのことですが、風力発電への取り組みで知られるスペインでは今年2011年、風力発電が国内の電力供給方法の第一位になったのだそうです。この映画で故郷という設定になっているラ・マンチャが特に風車の多い地帯なのか、風車が多いからラ・マンチャを舞台にしたのか、はたまた映画のコンセプトを象徴しようとしているのかよくわかりませんが、好きなシーンの一つです。 <追記>読み返していたら、あ、ラ・マンチャだから風車なのか~と気付きました。出てくる女性たちにドン・キホーテの趣があるわけではありませんが、大きなくくりでとらえると、根っこのところにあるといえばあるのかも。よくわかりませんが、スペイン人のアイデンティティーにやはりドン・キホーテというのはかなりかかわっているってことなんでしょうか。それともアルモドバルが特にこだわってるんでしょうかね。誰かに教えていただきたいものです。 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-31 14:15:59) |
3. ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!
《ネタバレ》 俺たちスーパーポリスメン!という副題は日本の配給会社がポリスアカデミーなんかを連想させたくてつけたのかもしれないが、まったくこの作品にふさわしいとは思えず、ポリスアカデミーだってそれなりに面白いと思ってる私でも、この副題じゃ、このサイトでの検索に引っ掛かってこなかったら、たぶん一生見なかっただろうと思うと、いつものことながら配給会社のバカっぷりが心底頭にくる。見どころがあまりにありすぎて一言二言に集約できないが、特筆すべきはこの映画に集まったスタッフ、キャストの多彩さ。製作総指揮は女性で、何と「リトル・ダンサー」を製作した人だそうな。キャストも何かで見たなーという人が多いのだけど名優揃いなのでにわかにはわからず、DVDの特典映像とこのサイトでの改めての検索で「なーるほど」となった次第。ケイト・ブランシェットのカメオ出演(というにはかなり長くしゃべってるし映ってる!)も楽しいし、主人公を演じたサイモン・ペグは脚本も参加してるというんだから、すごいや。ちなみにこの人や署長役のジム・ブロードベント(「アイリス」のご主人役でアカデミー賞とった人ね)をIMDbで検索してたら、本作の後も、面白そうな映画に出演してるのに、日本では公開になってる様子がない。ほかのレビュワーさんのコメントを読んでると本作についても上映運動が起きて初めて公開になったかとうかがえますが、もっとイギリス映画を日本で公開しろー!!と叫びたくなります。 [DVD(字幕)] 9点(2011-07-31 10:10:46) |
4. 抱擁のかけら
アルモドバル監督を称賛する人は多いから、何度もチャレンジしてみるんだけど、どうも私は好きになれないんですね、作風というか、女性の描き方が。自分のフェロモンを武器にパトロンに金を出させて、それを資金に色男に自分の映画を撮らせ、その色男とのセックスに耽溺するような女の「悲劇」には、何の感情も湧きません。色男をとりまくもう一人の女、色恋沙汰が終わり母親役に転じる元恋人っていうのも、また一つも共感できない。色彩とか多重構造的な時系列の描き方は面白いから、そこにだけ5点献上。 [映画館(字幕)] 5点(2011-02-22 10:18:25) |
5. ほえる犬は噛まない
いやはや、なかなかのものでした。どんな映画、と説明するのは難しいんですが。トボケた味わいで、ストーリーを追うことはあまり意味がないタイプの作品。仏映画「猫が行方不明」をちょっと思わすものもあって、こういう「日常」を背景にしたオトボケ映画、私は好き。朝鮮半島では当たり前の文化である「犬を食べる」ことをモチーフに、言ってみれば社会風刺作品、ブラックユーモアなんですが、肩に力が入りすぎてなくて、不思議となごんじゃう。自国への批判、愛がほどよくミックスされていて、押しつけがましくない。このポン・ジュノという監督サン、なかなかの才能です。たとえるならルコントと周防サンをブレンドして、さらに素朴にした感じかな。DVDのおまけで入っていた絵コンテの上手さ、的確さにはビックリ。絵コンテってちょっと興味があるので幾つか見たことありますが、あんなにチャーミングな絵コンテは、初めてだったかも。 8点(2004-08-22 02:42:04)(良:1票) |
6. 星に想いを
お茶目で、肩の力が抜けてて、いいじゃないですか。ティム・ロビンスって私はこの頃のほうが好きだなあ。マッソーのアインシュタイン、かなり似ていて笑えたし、メグも白い襟のきちんとしたおじょうが妙にはまっていて、私は好きでしたよ、これ。いつだったか深夜のTV放映でボーッと見てたら、「アリーmyラブ」のリチャード・フィッシュ(役名だよ)も出ていたんで、ほーと思ったりしたなあ。 6点(2004-06-16 22:17:12) |
7. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
とにかくむちゃくちゃ面白かった、コーフンした、ということしか覚えてないので、もう一度見てからレビューしようと思っていたのですが、いまだかなわず。 だけど「タイタニック」が高得点を重ねていくのがもういよいよ我慢できませぬ。あれが名作だという人、こっちを見てから判断しなされや。 これこそがハリウッドらしい豪華客船難破の悲劇のドラマにして優れたエンタティメントでありんすよ。 (細部忘れているのに、エラソーに言うて、ごめんなさい。あー近いうちに見直したいものです) 8点(2004-05-31 23:59:17) |
8. ボーン・アイデンティティー
あまり期待してなかったからかな、すごく面白かった。キャスティングが大変よろしゅうございました。マット・ディモンがあんなにキレのいいアクションするとは、聞いてはいたもののすごい驚き!(マットちゃん、相変わらずときどきジミー大西に見えなくもないが、もしかしてジミーちゃんも案外イイ男?と思っちゃったりして!)監督はインディーズ出身だそうですね。だけど大衆娯楽としてのアクション映画のツボをおさえていてくれて、飽きさせない。楽しい。パリの街中を失踪するローバー・ミニ(あれってミニ・ローバーじゃなくこの名前なんですってね。ちなみに「ミニミニ大作戦」の「ミニ」こそがミニ・クーパーなんだって。知らなかったわー)がかっこよくて、あれ?これがほんとのミニミニ大作戦では?と思いましたよん。正直、あっちのカーチェイスよりもずっとよかった。困ったなあ、あっちに確か7点つけちゃったぞ・・エーイおおばんぶるまいの8点です!!まだみんながよく知らないヒーロー、ボーンなら、シリーズ化しても新鮮な感覚で見られるんではないかしら? ちょっと期待できるんではないだろうか。(追記:平均5点台に、なっとくいかなーい! ご祝儀で1点加えさせて頂きます) 9点(2004-05-17 16:10:36)(良:1票) |
9. ホーム・アローン
ドイツ映画「点子ちゃんとアントン」でこれのパロディーシーンを見たとき、ハ~やっぱり大したヒット作なんだな~と実感しました。実際にはありえないドタバタを「お約束」として見てるから、安心してバカ笑いしていられる。疲れてるときのチョコレートみたいな映画ですね。それにしちゃ、ビターか・・(笑)。マヌケな2人組をはじめ、キャスティングが抜群でした。ヒットの大きな要因でしょうね。カルキン君にしてみたらこの映画に出たことでつらいこともいっぱいあったでしょうけど、ほかの少年がこの役をやっていたらここまでヒットしなかったかも!? お母さん役のキャサリン・オハラの演技もけっこう面白かった。母親ってよくもわるくもああいう短絡的な部分を持っていますからねえ。かたや、けっこういい加減そうででもいい家に住んでるくらいだから世渡り上手?みたいなあの父親も、いかにもいそう。そういえば、今年のゴールデングローブ賞かアカデミー賞かのどっちかで、キャサリン・オハラが歌っているシーンを見かけたけど、あの人もともと歌手だったのかなあ? 7点(2004-05-05 11:20:46) |
10. ホーム・アローン2
「さあ寝よう」と思っていたのにこれの放映を発見してしまい、1人で見てしまった。おかげで寝不足(笑)。掘り出し物の作品というわけじゃないんだから「また今度」にしときゃよかったのにねえ・・。悔しいからせめてレビュー書いとこ。前に見たときもウケタが、ホテルのマネージャーの狼狽ぶりがおかしかった。まじめくさった人間のマヌケぶりがなかなかうまくデフォルメされていて、何度見てもおかしい。ひきかえ、2人組の痛められ方は前回よりハゲシクて「おいおいやりすぎだろう」と、必ずしも笑えないんだけど、「1」と同じレベルじゃ芸がない、ということになってしまうだろうから仕方ないかもね。「アローン」ということのダブルミーニングということか、前回同様、孤独に生きる行きずりの人が出てきてケビンと心を交わす。すごーくいいというわけでもないけど、まあまあ。隠れる場所が広くなった分ちょっと(作品として)パワーダウンだからこの点にするけど、シリーズ2作目にしては案外わるくなかったですね。 6点(2004-05-05 10:52:48) |
11. ボウリング・フォー・コロンバイン
ドキュメンタリーを劇映画的手法で、飽きさせることなく見せているのは見事だと思いましたが、その強引さにおいて、銃の推進派の頑固さと同等の質を感じてしまいました。 問題提起のうまさに、7点。 この監督への評価は、まだときを待ってみないと、よくわからん、という感じです。 〈追記〉最近ますますこの人は「映画・商売人」であって「映画・作家」ではないと感じるんだけど、世界的レベルで評価は高いですよねえ。 ある人にこの人のことちょっとけなしたら妙に不快感を表明されちゃって、ちょっとゲンナリ。 作品に時代的価値がないとはいわないけれど、やっぱり私はこの人に、銃の推進派と同質のファシズムのにおいを感じちゃうんだけどなあ・・。 7点(2004-02-07 17:37:33) |
12. ホテル・スプレンディッド
「シックス・センス」でトニ―・コレットっていいなあ、と思い、本作にも期待してしまったのが失敗だったかも。暗くて眠たかった。 [ビデオ(字幕)] 5点(2004-02-01 11:50:50) |
13. ぼくらの七日間戦争2
「全然期待しないで観たら、ひょっとしたらひょっとする」というところに期待をかけて、4点とします。 [ビデオ(邦画)] 4点(2004-01-15 18:50:02) |
14. ポンヌフの恋人
2回見たけれど、私にとってはいまだよくわからない映画の1つ。かといって6点じゃあんまりだから一応7点にしておきますが、何か点数をつけることを拒否されてるような気がする作品の1つです。私は何と評していいのかわからないのでありますが、友人(偶然同じ頃に「道」を見直し、似た感想を持っていてお互いにびっくりしたこともあるその人です)はこの映画に心酔しているのです。どのくらいのほれぶりかというと、BSはついているもののWOWWOWは未加入のためザーザーのあの画面でもこの作品は見たいとスイッチをいれ、全時間、見切った、というからすごいじゃありませんか。ザーザーの画面でも、ほとんどすべてをそらんじている彼女にはどの場面かわかって、泣けたんだって (そんなに好きならビデオを買えばいいじゃん、というツッコミはこの際なしにしてね)。ここまで書いてしまうと、個人のプライバシーの漏洩かなあ・・。でも1つの映画をそこまで愛しきれる人がいる、そこまで愛されてる映画なんだ・・と知って私は心底びっくりしたんで、やっぱりふれずにはいられなかったのです。私、愛に関してはきっとおこちゃまなので、この愛の深さがわからないのかもしれないなあ、と思う次第です(←最近の口ぐせ)。 7点(2004-01-05 17:18:57) |
15. ボーイズ・ライフ
エレン・バーキンは、ちょっとあらんだ感じの中にピュアな人間性をのぞかすことのうまい、いーい女優ですよねー。この人と、クセものデ・ニーロとのあいだで、ノビノビといい演技をしてましたっけ、ディカプリオ。やっぱりこの頃の彼がよかったですねー。デ・ニーロはまじにこわかったですよ。あんなふうに車に二人っきりになったシーンを見ても、「さほどこわくない」という感想の人は、私にはちと信じられません。ラストのさわやかさには、心底ほっとしたものでした。 7点(2003-12-05 19:08:23) |
16. ボディガード(1992)
このころの2人はセクスィ~ということでは、2人ともダントツだったわけよ。このころはね。でもって「ボディーガード」だもん、ヒットしないわけがなかったっしょ。今見るとベタベタでわらっちゃうけどね。 6点(2003-09-30 01:48:32) |
17. 冒険者たち(1967)
一言で言うのは難しいと思うけど、あえてまとめるなら、良質なセンチメンタル、かな? 初めて見たとき、ラストにショックを受けました。大人になって何十年かぶりに見たときにも色あせなかったので、ホッ・・。完璧に1つの世界が創造されているので、合わない人は合わないだろうけど、まとにかく最後までは見てちょうよ。話はそれからだわ・・。ところで、ジョアンナ・シムカス、ああいい女優だったよなー、あれやらこれやらと出演作を思い出していたら、このサイトでのこれまでの登録は何と本作だけ!? いやはや・・・。後に黒人俳優の草分け、かつ知性派俳優としても名高いシドニー・ポワチエの奥様となり、映画界から去っていったような印象があったのだけど、今はどうしていらっしゃることかしら・・・。 8点(2003-09-13 17:03:54) |
18. 僕らはみんな生きている
「陰陽師」と同じ監督とは信じられないくらい、面白い。戦闘シーンなどチャチくてわらっちゃうけれど、そのチープさも含め面白いのダ。この監督にはCGのようなハイテクよりローテクのほうが合っているんでは? このご時世で、作りたいように作れないのであれば、お気の毒。でも低予算で面白い映画ができてお客さんが入れば、つまり原価率がよけりゃそれでオッケーでしょ? がんばってね、滝田監督! 7点(2003-07-28 10:13:01) |
19. ポパイ
ふつうに面白い映画として記憶していたので、アルトマン作品だったと知って、びっくり。なーんとなく感じた、かすかな違和感は、そのあたりに原因があったのかもね。そう考えたら、逆に、もう一度見てみると面白いかも、と思ってしまった。もう少し多くの人、特に最近見た、という人のレビュー、求む。 6点(2003-06-02 14:18:30) |
20. ボクサー(1997)
「マイ・レフトフット」「父に祈りを」と同じ監督だったんですね。納得。ダニエル・デイ・ルイスも安心して仕事に集中できたのではないでしょうか。重たい名作ですが、名優二人の逢瀬のシーンは、ラブストーリーのファンにも十分に見ごたえがあるのでは? 地味とばかり言われているようですが、徹底的に役作りをするルイスのボクシングシーン、子どもの視点も絡んでくるストーリー展開、最後のクライマックスなどは、ちゃんとエンタテイメント好きにも満足行くのではないかと。冒頭、シャドウボクシングをしているシーンも、カッコいいし、その孤独な姿が次の展開を暗示していて、秀逸だと思いました。 口当たりのよい映画ばかりでなく、こういう映画も観たほうがいいですね。但し疲れすぎていないときに。 9点(2003-05-17 20:04:49) |