1. ぼくのエリ 200歳の少女
《ネタバレ》 エリに尽くし続けた男は、エリを守るため、 自らの額に酸をかけた。あの男も、少年と同じように、 人付き合いの下手な弱気な男の子だったのかもしれない。 あの男の昔がもしかすると少年で、少年の行く末がもしかするとあの男で、それが何年も何十年も繰り返され、それさえもエリの中では計算されているのかも知れない。 などと、いくらでも深読みはできるし、観客に勝手気ままに想像させるために意図的な説明少なな内容にしているようにも捉えれる。 透き通るような白く透明なエリの立ち姿が血に染まった時の、 背筋が凍るような恐怖は、あまりにも新鮮で、 ある意味、どんなバイオレンスなシーンよりも衝撃的に見えた。 唯一、自分の本心に気付いてくれたのがたまたまエリなだけだった。 唯一、自分の身を真剣に心配してくれたのがたまたまバンパイアなだけだった。 唯一、エリの存在を知ったのが彼なだけだった。 小さな恋のメロディのように否応なく、惹かれてしまった無垢な心が引き寄せた愛情。 殺戮と捉えたのは人間。 猫がネズミを襲い、ネズミが虫を襲い、虫が植物を食らう、 その連鎖の人間の先にいたのがバンパイアなだけ。 思い込みの枷が外れた瞬間の人間は、きっとエリのために人を殺す。 悲しみに満ちた彼の未来を想うと心が痛い。 ただ、説明がほとんどないのは素敵だが、 最後があまりにも伏線なしで、唐突に思えた。 両親はどうした?二人だけで生きて行くの?プールでの殺戮はスルーできたの?様々なもやもやが残りながらのあのラストシーンの、モールス信号でのやりとりは素敵だけど、やりたいだけだでは全てを圧倒するほどの説得力満たしていなかったように想う。でも、クオリティーはすごく高い。日本こそ、こういったローバジェットで制作できそうな脚本勝負の作品にトライすべきだとすごく思った。 [DVD(吹替)] 8点(2011-10-04 23:41:34) |
2. 星守る犬
《ネタバレ》 この作品の最大の欠点は、 ハッピーの感情がまるで 上手く描かれていない点にあると思う。 死を目前に控えた西田敏行さんを 傍に常にいるハッピーが どう思っているかが、 観客の最大のカタルシスに つながる筈なのに、 ハッピーの気持ちが常に ただそこにいるだけ としか描かれていないため何も感じられない。 悪く言えば、ただ西田敏行さんに 連れ回されている犬としか 見えてこない。 動物映画の難しさはわかる。 どんなに調教された犬でも、 集中力は短いし、 感情を持っているかのような 芝居というのはなかなかできない。 でも、ハッピーの感情がわからないのは、 監督の無精としか残念ながら言いようがない。 そう見えるように努力した様が まるで見えてこない。 たとえば、泣かせの一回目である 西田敏行さんがハッピーと 別れようとした時の鎖に繋がれた ハッピーが西田敏行さんの元に 向かおうとする姿は、カットを割り過ぎで、 監督の「こうすればこう思っているように見えるでしょ?」という 掌が見えた気がして馬鹿にされてる気がした。 さらに、西田敏行さんが死を目前にしているシーンで ハッピーが西田敏行さんの手をなめる。 わかりにくい! 心配の表現にすら見えない。 さすがに鈍感すぎるだろう。 死を目前にしていることくらい 本能的に気づけよ! 馬鹿犬に見えてしまっているぞ! なめるより、低く唸るような寂しそうな 鳴き声にするとかして欲しい。 説明的にならないようにしているのかもしれないが、 相手は犬なのだから、もっともっと わかりやすく表現しないと 抽象的過ぎてよくわからん! 終盤はもはや誰目線? この世を去ったハッピーの回想? そこだけ説明的! 終始ハッピーの感情がわからない故に、 この手の作品に重要な 別れの予感による重圧的な悲しみ、 緊張感が一切ない。 そしてその大打撃に加え、 玉山鉄二と川島海荷も感情がわけわからない。 西田敏行さんの死を目前にしながら、 最愛のハッピーと共に死に場所を探す、 その芝居が豊かなだけに、 二人の行動の動機が弱いので、 勝手にやってろ、な気分を終始 抱かされた。 この監督は台本に沿って人物、 ハッピーを動かしているだけで、 そこに感情の豊かさが微塵もない。 この監督は人間にも動物にも興味がない ことだけがぼくには伝わった。 [映画館(邦画)] 3点(2011-07-03 18:30:21) |
3. ぼくの大切なともだち
やろうとしている事がとても興味深くて、そそられて足を運びましたが、やはりお国柄というのでしょうか?フランスの人々は綺麗で格好いいんですが、上手く理解できないことが多々ありました。あの人たちの性格に対し、「へぇ、そうんだ」というふうに知識的には刺激がありましたが、あの登場人物達の言動含めた動機や感情全てをすんなり「はい、そうですか」と受け入れることができませんでした。やっている事自体は面白いと思ったんですが、根本的な部分は同じでもやはり国によって違ってくる感覚、思想的な部分でつまづいてしまいました。 [試写会(字幕)] 6点(2008-06-27 00:42:38) |
4. 僕は妹に恋をする
《ネタバレ》 二人が始めて感情を表に出すシーンは、完全なるワンシーンワンカット。撮影、照明の凄さを感じます。また、あのシーンではワンカットであるがゆえに“間”が素晴らしい。流行の無駄なカッティングがない分、そこにある二人の感情が画からヒシヒシと伝わってきます。それはそこに音楽がないからであり、あるのは時を刻む時計の小さな音と、二人の息遣い。ワンカットで撮るからこそ産まれる静けさの素晴らしさ。二人の感情が緊張感となって痛いほど伝わってきました。音楽が極めて少ないけれど、随所で感情の大きなゆれが表現される時に使われている。これもまた凄い。“間”と“静”が生み出す感情の流れを監督は完璧に描いていた。監督のおかげで僕は二人にしっかりと感情移入することが出来、二人が胸に抱える喜びと悲しみをしっかりと感じることが出来た。しかし、それらは今の現代では受け入れられないかもしれない。昔は当たり前だった長回しも、今ではほとんど観られることはなくなった。地上波のドラマでは意味のないところでカットがコロコロと割られ、まるでインタビューの時間削減をしているかのようにぽんぽんと変わる。そんな時代に“間”は受け入れられられないかもしれない。でも、そんな時代に真っ向から映画の本質をぶつけるが如く、信念を貫く安藤尋監督を僕は心から尊敬し誇りに思う。時代に流されない日本映画の持つ力強さをこの先も貫き続けて欲しい。期待と感謝を踏まえて満点に限りなく近い9点を点けさせていただきます。 [映画館(邦画)] 9点(2007-02-06 22:55:32) |
5. 星になった少年 Shining Boy and Little Randy
人間の不器用さが全面に溢れている作品でした。主人公も主人公の母親も、みんな不器用で、思っていることを素直に口に出そうとはしません。それはこの映画の中だけの話ではなく、今を生きる人々は大概不器用なものです。だから、遠回しな行動で思っていることを時間をかけて伝えようとしていたのが、この映画の主人公でした。やはり時間がかかりましたね。心が痛いです。純粋に動物を愛し、その愛情もストレートに動物たちにそそいでいた。だけど、人間(母親)には上手く愛情を表現できなかったのでしょう。切なさが胸一杯に広がりました。時間の儚さと、素直に想いを伝えることの大切さや必要性を学びました。 [映画館(字幕)] 7点(2005-10-08 18:29:54) |
6. 亡国のイージス
単刀直入に書くと、ぼくは邦画のアクションで面白かったという記憶がないので、僕は今回もほんの少しの期待も抱かずに鑑賞しました。観終った今の率直な感想は、“面白かった”ただそれだけです。ストーリーもCGもまだまだ海外の作品には及ばないものの、それでも僕はこの作品以上の邦画のアクションは観た記憶がない。断言します。ただ一歩一歩着実に邦画もすごい作品を作れるようになってきてるんだ、という感動もはっきりと感じています。劇場にわざわざ足を運び、邦画のアクションを観た自分の行動力にも驚いていますが、それより何より面白かったという事実が大きく、突っ込み所はいくつもあったのに、それらさえも“無”にしてしまう満足感がこの映画には十分備わっていました。映画館へ行って良かったと思える映画でした。 [映画館(字幕)] 7点(2005-08-10 20:42:48) |
7. 星に想いを
最近思うのですが、ラブコメの女王は誰が何と言おうとメグ・ライアンですよね?でも彼女はもう45歳・・・日本人だったらもう完全な『おばちゃん』です。時が経つのが悲しいと感じる瞬間がまさにこれです。最近のラブコメに魅力や楽しさを感じないのは、やはりメグ女王がいないからでしょう。あんなに美しく、その美しさの中に愛くるしい表情や仕草があったり、それは美しいとは違う美しさで、あえて言うなら“CUTE”な雰囲気で、それは笑える演技もシリアスな演技も切ない演技も全て柔軟に演じれる要因だと思います。そんな彼女の黄金時代の数あるラブコメの一つがこれ。やはりメグ女王は美しく、彼女を観ているだけで楽しくて幸せになれる、そんな感じの気持ち良さをこの作品からも感じる事が出来ました。そしてメグ女王のようなラブコメ女優が現れる事は無いんだろうなぁ、と思いながらテープを巻き戻ししました。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-14 18:15:39) |
8. 香港国際警察/NEW POLICE STORY
ジャッキーの“本当の演技”を危うく忘れるところでした。レビュワーのみなさんが言う通り、観賞後、ジャッキーの側で彼に語りかえるように、また独り言のようにボソッと「お帰りなさい」と言いたくなるほど、ジャッキーの熱演が最高で素晴らしかったです。身体を張った派手なアクションの中にも、真剣かつ、切ないドラマとラブストーリーもあり、終始色々な面でとても楽しませてもらえました。観賞後はとても大きな満足感と、ずっと見つからなくて探していた大切な物が見つかったような安堵感と気持ちの良い爽快感でお腹と胸が一杯になりました。 [映画館(字幕)] 9点(2005-05-20 21:41:41) |
9. ボーン・スプレマシー
ボーンの記憶喪失という設定に新鮮さがなく、さらにアクションにスリルがなく、観賞後の爽快感はほぼゼロでした。そして僕が一番気になったのはカメラワークでした。観難いだけでなく、吐き気とめまいに襲われ、そして終始酔いっぱなしで、カーチェイスのシーンでは酔い過ぎて、まるで車酔いのようになり、直視できなくなりました。正直、勘弁してくれって感じの映画でした。 5点(2005-02-26 09:44:33) |
10. 僕の彼女を紹介します
《ネタバレ》 「泣ける映画」として宣伝されていたので、自ずと泣く準備は出来ていた。いや、正直に言えば、泣きたいが為に観にゆきました。前半のストーリーは猟奇的であり、何処か(まぁ、勿論あれです、あれ)で観た事がある内容であり、新鮮さは無いものの自然とストーリーにのめり込む事が出来た。この映画はそれだけの魅力はちゃんと存在していた。さらに、テンポの良さは観ていて気持ちが良くなるほど非常に良い。そして後半に入ると遂に僕が期待していた“泣かせ”にストーリーは切り替わった。しかし、何処かくどい。泣ける場面は別に文句は無い。だけど、泣けそうな展開はブツブツ途切れ、途切れてはまた泣かせ、泣かせては途切れて、というパターンが終盤では幾度と繰り返され、まだあるのか?などとツッコミたくなる程だった。いつしか泣く事も忘れ、苛立ちを感じている自分がいました。だから結局、僕にとってこの映画は、最後まで泣けそうで泣けない映画になってしまいました。とても残念。映画自体は好きだけど、不満に感じる事が多々ありましたので、8点です。 8点(2004-12-12 22:08:07)(良:1票) |
11. 星に願いを。
《ネタバレ》 始めて男が目にする青島奏の姿は、暗く沈み、彼女の性格や声から想像していた明るい姿とはまるっきり違い、その事で男はショックをうけた。さらに彼女の放つ悲しみのオーラは男に自分が“死んだ”という現実をここでやっと理解させ、向き合わせた。そして男はさらにショックをうけた。まさにダブルパンチ。そんな彼の心境が手に取るように理解することができた。こんな感じで男の心境は殆ど理解できた。でもラストだけは理解できなかった。青島奏に自分の本当の想いを伝える事ができた。それは良かったよ。だけど、彼女の想いを知り、彼女の願いも聞き、それなのになぜ生き続ける事にもっと執念深くならないのだろう?なぜ、そんなに簡単に彼女を一人にする事ができるのだろう?もっと生き続けたい、もっと彼女のそばにいたいという想いが僕には伝わらないし、込められているのかさえ解らないあのラストに僕には不満を感じた。さらに、最後の最後には、手を胸の前に置き「僕は君の心の中にいるよ」と言わんばかりの演出も、物足りなさを感じ、さらに無理矢理なオチのようにも感じられ、さらには男の下手な慰めにしか見えず、大分不満だった。しかし、ふと気付けば、僕自身の目から一粒の涙が零れ出ていました。涙というのは正直者です。嘘はつきません。感動してしまいました。はぁ~7点・・・ 7点(2004-11-07 09:29:46) |
12. ポケット一杯の幸福
F・キャプラ監督作品はこれが3作目。今まで観てきた2作のキャプラ作品は、両作ともハッピーエンドの終わり方で、実に後味の素晴らしい感動作でした。そして今作もそうである事を期待し、拝見いたしました結果、またも感動!登場してくる全ての人が優しさと親切さに溢れていて、まるで観ているこっちが親切にしてもらっているような変な感覚に襲われ、嬉しくなり、そして感動しました。やはり今作のハッピーエンドもとても素晴らしいものでした。観賞後はこの映画の邦題の通り、『ポケット一杯の幸福』を感じ、得る事が出来ました。この作品をきっかけに『一日だけの淑女』もいつか拝見してみたいと思います。 9点(2004-08-04 22:28:49) |
13. ポストマン・ブルース
直球が胸に突き刺さりました!感動! 9点(2004-05-05 14:34:29) |
14. ボウリング・フォー・コロンバイン
アメリカがこんな国だとは知らなかった。少し、落ちこんだ。 この作品からたくさんの事を学び、いろいろ考えさせられた。 8点(2004-04-25 16:45:09) |
15. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
船を裏返しにしただけで、こんなにも面白い映画ができあがるなんて・・・ 驚きです。「タワーリング・インフェルノ」と同じくらい緊張感があり 、先の展開が読めない展開。まさにこれぞパニックムービー! 8点(2004-03-27 23:48:36) |
16. ホーム・アローン
何回観たか忘れるほど観ました。小さい頃はTVで放送される度、 画面に釘付けになって観ていました。 大好きな映画でした。 7点(2003-10-16 13:29:57) |
17. ボディガード(1992)
結構面白い映画だと思いますが、なぜかあまり好きになれません。 面白いと思うんですが... 6点(2003-10-16 13:20:38) |
18. 星の王子ニューヨークへ行く
なっ!何ぃ~!サミュエル出てたの!?そんな使い方はつまらん! ダメだ! 5点(2003-10-16 13:12:23) |
19. ボーン・アイデンティティー
なんかやけに平均点低いね。俺けっこう面白いと思ったけどな~。ま~たしかにいろいろ中途半端だったけど、緊張感がなかなかあったから結構楽しめました。それにマット・デイモンがなかなか良い味出してたので俺的に8点。 8点(2003-02-15 21:29:59) |
20. ホーム・アローン2
俺は一作目と同じくらい好きです。ケビンのしかける罠、 一つ一つにヒヤヒヤさせられました。家族で観ると 家族の輪の中に暖かい会話が生まれます。 7点(2003-02-01 19:40:38) |