1. ホーホケキョ となりの山田くん
《ネタバレ》 説教臭はあるし、人間像も老若男女問わず見事に類型的だけど、予想以上に好きになれる映画だった。個人的には宮崎駿監督作より数段新鮮で、外向きな姿勢を感じて好ましい。ラストの「ケ・セラ・セラ」の音楽にのって空を舞うシーンが好き(ふっと舞い上がるイマジネーションと力技…、テリー・ギリアムを連想したのは私だけか…)。こんな豊かなシーンをもっとたくさん観たかった。矢野顕子の音楽もいい。但し、全編にわたって生真面目に考え過ぎた感は否めず、素直に楽しませてくれなかったのが残念。深く考えて作るのは素晴らしいけれど、それが前面に見え過ぎるのは戴けない(これはジブリ映画の常だが)。せっかくの「みんなで軽やかに生きよう(…かな?)」といういい主題がストレートに伝わってこないで、リラックスする大切さを熱心に説明されているような、ヘンなジレンマがあった。なにより、こういうスタイルの映画が、バブル並みに過剰なジブリ・フィーバー真っ只中で制作・公開されたのが最大の不幸だったのでは。最後に、結婚式のスピーチでの、ミヤコ蝶々の投げ遣りな喋りはなんとかして欲しかった…。 [DVD(邦画)] 8点(2004-08-15 09:39:20)(良:1票) |