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1.  星のない男 《ネタバレ》 
非常にシンプルで明快で爽快な話。  私は昔銃器マニアで西部劇関連であるムック本を読み、有刺鉄線が西部を開拓した、というような物を読んだことがあるが、本作を見るとやはりそう単純な話ではなく、こうやって無法に公地を我が物にしている事例もあったのかもと考え直した。  共有地を有刺鉄線で区切って隣接の牧場主と平和的に共存したい土着の牛飼いと、東部からやってきた資本主義者で法第一主義の女とぼ土地を巡る諍いに巻き込まれる男の話。  前述したとおり単純な話ではないのだが、牛にとっては迷惑な話だ。で、東部資本の女に対立することになった主人公は、最初嫌っていた有刺鉄線側につくが、最後にはそれをも捨てて放浪のたびに出る。カッコいい。 でも、欲を言うと主人公の実戦でのガンさばきをもうちょっと見たかったかも。
[DVD(字幕)] 7点(2020-03-10 16:41:07)
2.  ポンペイ 《ネタバレ》 
 ポンペイと言えば、灰に埋もれたまま遺体だけ朽ちた空洞から再現された、生々しい市民の石膏像。オープニングで出てきたときには、すぐにはそれとは分からなかった。何か舞っているなと思ったら火山灰的なものなんですね。そこから始まって、最後に二人の抱擁がそのまま灰の像になって終わるのは巧いと思った。  また、ヒロインの父親が、「新しい水道を作る」といったのを見て、昔ポンペイに行ったときにガイドが言った「ポンペイの水道管は鉛でできていて、市民は鉛中毒の症状を呈していた」というのを思い出した。その他、灰に埋もれていたために生活の様子や家具調度などかなり保存されていたというから、映像的にもかなり再現されているのかもしれない。その辺を理解・楽しめるだけの知識が自分にないのが残念だ。   復讐譚と恋愛もの、歴史ものに災害ムービー。ちょっと欲を張りすぎた感があって、それぞれ少しずつ物足りない感が無くもないが、火山の火砕流・飛翔溶岩の迫力はそれなりにすごい。そいつが最後に主人公と共に見ている我々を襲うのは怖悲しい。
[DVD(字幕)] 7点(2017-09-13 16:46:45)
3.  ホッタラケの島 遥と魔法の鏡 《ネタバレ》 
 我々日本人は、万物に霊が宿るなんて考えている、と言われている。霊とまでは言わずとも、モノには思いがこもっている、くらいは普通に考える。  だから、いつの間にかモノを忘れ去ってしまうもの、それはこもっている思いそのものを忘れてしまっていることだ。   そんな忘れてしまったモノを取り戻す、異世界での大冒険。主人公は、仕事ばかりで家庭をホッタラカシている父に、反抗心を持っている女子高生、遥。彼女が、一時期忘れてしまっていた母親の形見を取り戻す話だったのが、本当に無くしていたのは途中で出会った人形コットンをくれた父親への気持ちだった、という結末が良い。童話として実に望ましく好ましい物語だと思う。  ただし、若干文句をつけるとすれば、異世界での事件の内容が、狐の人間社会への進出などではなく、ホッタラカシの物というテーマに沿ったものだと、もっと良かったのだが。   また、失せ物にご利益がある稲荷、というだけの伝承から、実は失せ物の犯人が稲荷だったと発想したのはスゴイ。その物を異世界で活用するっていうのもオモシロイんだけど、ちょっと例の借りぐらししている人たちを思い出してしまう。  もうちょっと対象年齢を上げると、いつまでも昔の思いに引きづられていないで、前を向いて吹っ切る思い、なんていう展開もあるんだろうが、それは劇中でのお父さんの領分か。女子高生にはまだちょっと、だな。  っていうか、対象年齢的に主人公は、小学生か中学生あたりが良かった気もする。   全体的には、子供に見せたい童話アニメーションとして、大変に良作だと思う。アニメーションは第一義的には子供のものだ。
[DVD(邦画)] 8点(2014-09-16 19:07:12)
4.  ボディガード(1992) 《ネタバレ》 
 特殊な状況下におけるラブストーリー。まあ良くあるっちゃあよくある感じ。  犯人は誰?的な要素が2段階になっていて、最初のやつは充分推測できるようになっているが、真犯人についてはその背景が全く描かれていない。 映画の目的がケヴィンとホイットニーのラブストーリーなのだから、それでイイという方針でもアリだけど、頭ひねった側としては何故そうなのか、気になるところである。   特に人を守る仕事をしていた人が何故なのか?彼の後ろに誰かいるのかいないのか?なんてあたりを描いてくれると、もっと「ボディガード」という映画になった気がする。  と同時に、その人異常に不自然な人物だから、登場後しばらくして怪しいと思えちゃうのも、イマイチ。
[DVD(字幕)] 5点(2013-08-05 14:10:04)
5.  螢川 《ネタバレ》 
なんだか、やたらと、両親の間に男と女的な関係の垣間見える、花街ならではの世界と、同様に自分や親友にも女の子が気になって仕方ない時期の、少年の話。   狂ったように相手を求めて、交尾して死んでいくホタルの大群は、少年たちには、これから体験する恋愛と性の象徴なのだろうし、夫に死に別れた女には、次の世代に命をつなぐ事の象徴だったのだろう。  それが最後に現れるシーンがとても美しく、観た当時にも「日本映画には珍しく美しい画面」と思ったものだ。当時の日本映画は、作家性の強い、独特のリアリズム傾向があり、こんなに映像的に美しいものは珍しかったのだ。が、25年ぶりに観返しても、やはりこのシーンは美しく胸を打つ。  なんといってもこのホタルのシーンはこの物語のキモであり、クライマックスなのだから、目一杯美しく盛り上げて正解なのだ。   そうそう、この頃か、ちょっと後に一般に認められる、篠崎正嗣の音楽も切なく美しい。この人はまた演奏家として活躍しているようだが、作曲者としてももっとその作品を聴きたい人である。  最後に、当時、自分もタツキチくんのように、「はあ~」されたいと思っていました。
[ビデオ(邦画)] 6点(2012-12-06 23:33:48)
6.  HOME 愛しの座敷わらし 《ネタバレ》 
 なんと美しい日本の田舎の風景。葉擦れの音の気持ちの落ち着き。古民家の黒光りする柱、床の安心感。そして、囲炉裏の火のやさしさ。昔の、日本の自然の気持ちよさを思い出す。そして、昔の自然には少しだけ、妖かしの世界へ通じているような部分も、あったりする。そんな、いろんな事を思い出す。   その大自然の中の古い民家に引っ越してきた、どこか上手く行っていなさ気な家族が、座敷わらしらしきモノによって、次第に結びつきと自信を取り戻す話。  座敷わらしは、悪さをしないとか、家運が上がるとか言われている。確かにこの家族がまとまり始めたのは、「なにか見える」という体験を共有し始めてからだ。座敷わらしは彼ら家族と、関係無い話だったのか?そんな事は考えるのも野暮なことだ。小さな子供の前で争う大人がいないように、座敷わらしの存在自体が、彼らを変えたのだろう。   最後にウエイトレスが、6人ですね?と確認した時の、彼ら家族の嬉しそうな笑顔が、見るものをも嬉しくさせる。心温まるいい映画だった。   ところで、渥美清が寅さんの他に、映画で見せる見事な芝居を観た時に思った感じを、久しぶりに思い出した。一つの役をずーっと演じるのも、それは意義ある事だろうけど、もっともっと、いろんな芝居を見せて欲しい。そう思わせるだけの役者に、いつの間にかなっていたんですね、水谷豊さん。
[DVD(邦画)] 8点(2012-10-10 00:18:24)
7.  ぼくの孫悟空 《ネタバレ》 
 手塚の方も西遊記の方も、原作は読んだことがないので、どの辺が誰版の脚色なのかはサッパリ判らないが、普通に面白い。  私の世代で『西遊記』というと、堺正章主演の連続TVドラマがまず浮かぶ。連続ドラマだから、旅の途中の魔物との戦いがメインのドラマだった。しかし今作は、悟空の誕生から修行の後、力をつけて天界での大騒動を経て、三蔵と旅を始めるあたりまでを描いている。西遊記は戦いの旅の物語ではなく、孫悟空の成長物語なのだと、思わせてくれる。  ところでいくつか、わからないことがある。冒頭、悟空の生まれる時に、崑崙仙人が「我が片割れ」と言った事情、火の化物になった生まれたばかりの悟空を鎮めるアイリンが、光ったこと。何か回収しきれなかった伏線だったのだろうか?
[地上波(邦画)] 7点(2012-09-16 10:56:16)
8.  香港国際警察/NEW POLICE STORY 《ネタバレ》 
 刑事たちが若者犯罪集団に、コテンパンにやっつけられる所で、観る者の怒りを誘うようにできているのだが、あまりにやりすぎていて、逆に主人公たちに嫌悪感を抱かせる。(対象が犯罪とは限らないが)こういうやり方をする映画は、他にもいくつかあるが、度を越すと映画を見続けるのを拒絶する方向に働く。この映画の場合は「ギリ」だ。映画館では逃げられないが、家で見てる時には、まず席を立つ。トイレに行ったり、お茶など入れてみたりして、気持ちを落ち着かせて、今回は何とか戻ってくることができた。ところが、それだけ充分に沸き立たせた怒りが、気持よく収まるように出来ていないのが、この映画の困った所だ。  自体が進展してくると、あれだけ無敵な犯罪集団だった連中が、だんだん間抜けなワカモノになってくる。そして、廃人寸前にまで追い詰められた刑事も、なんだかやることが生ぬるい。彼の正義感というのは、正々堂々というか、スポーツでもしているのか、あるいはそう、"ゲーム"感なのだろうか?何人も警官が殺されているのに、それでも「素手で勝負」とか、組み立て勝負とかで相手の前で平気で銃を手放し、分解してしまう。そういうところが、先の怒りとの兼ね合いで、生ぬるく感じられ、遊んでるのか?と思わざるを得ないのである。  ロープでビルを駆け下りてるなら、そのロープを切ってしまえ!一人死ぬが、顔が分かれば正体がわかる。正体がわかったところで、公表して追い詰めろ!親をとっ捕まえてきて、取引の道具にしろ!小型拳銃を忍ばせておいて、相手が銃を手放したら、迷わず撃て!  そのくらいしないと、気持ちが収まらないのである。   ……いや、ジャッキー・シェンのアクションを見せたいのは、充分判っているんだけどね。 
[地上波(吹替)] 5点(2012-06-16 01:44:52)
9.  本陣殺人事件 《ネタバレ》 
推理小説の映像的解説としては、かなり良く出来ていると思う。事件の細かい要素もちゃんと描写している。だが映像的解説すぎて、人間のドラマの部分が若干、稀薄。一柳賢蔵の性格を納得できるかどうかで、この物語はアリかどうか別れるのだと思う。そういう意味でも、残念な映画。予算が無かったのかも知れないが、もうちょっと時間をとって、人間を描けていたらと思う。
[DVD(邦画)] 5点(2012-04-23 17:55:24)
10.  墓石と決闘 《ネタバレ》 
OKコラルの決闘のその後を描いているが、よく言われているような所謂『OK牧場の決斗』の続編というわけではない。 法律で裁くことのできない悪に対して、力で立ち向かうという方法に移行したアープだが、大事な部分が描かれない急展開で、若干不満が残る。懸賞金がなくなって去ってゆく仲間と同様に、金の力で多くの仲間を失ったアイク・クラントンの物語をもうちょっと掘り下げて見てみたかった。 「銃の時間」でもあるけど、同時に「金の時間」でもあった物語だ。 
[DVD(字幕)] 5点(2012-04-07 07:16:55)
11.  星守る犬 《ネタバレ》 
 それにしてもおじさんの物語は実に悲しい。40半ばで職を失った我が身なれば、その辛さはひとしお身に沁みる。そのおじさんとハッピーの物語だけで充分涙を誘うのだが…。かつて飼い犬を虐めてしまった青年は、達観したかのように「望んでも望んでも手に入らないものがある。だがそれでいい。人はみな生きている限り星守る犬だ」などというが、このおじさんの人生、これが「星守る犬」でいいとは悲しすぎる。  そして、一緒にいた少女。彼女は「星守る犬」に甘んじるつもりは無く、踏ん張りながら星を手に入れる努力をしている。映画的にはこれを切るか、もっと焦点をあてるかするべきなのでは?なんか、ここんところの違和感がどうにも気になる。   あっ、つまらんツッコミだが、骨壷って普通、人ひとりの骨くらい、余裕で入るように作られてると思うんだが。
[DVD(邦画)] 5点(2011-12-25 14:43:04)
12.  ポセイドン(2006)
バラストタンクに勝手に水入れちゃって、みるみる船が沈んちゃうけど、いいのか? ほかの生存者がいたりしたら、どうすんだよ? まあ、それはいいとして、やっぱりポセイドンアドベンチャーのリメイクというなら、神父さんの、最後のセリフに相当するものは、外しちゃいけなかったんじゃないかな? そこんとこの最後のクライマックスを期待しちゃうもんね、どうしても。 リメイクというか、り・イマジネーションってやつか… それと、最後のボートと沈みゆく船の合成が、チャチかったよ。
[地上波(吹替)] 3点(2010-07-31 18:28:40)
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