3. 抱擁のかけら
《ネタバレ》 さすがアドモバル、本作も安心して見られる良質のドラマ作品でした。自動車事故で死別した恋人との思い出を回想する盲目の元映画監督の、彼女とのなれそめから始まり失明するまでの思い出話です。おなじみの劇中劇や未編集の映画フィルムを通じて恋人に触れたり、読唇術のシーンなど、映画ならではの表現が散りばめられていてアドモバルらしい凝った作りですが、やはり観るべきはペネロペでしょう。あるときは少女のように可憐であり、あるときは炎のような激しさを併せ持つ情熱的な女性が余すことなく表現されています。バルセロナでの喧騒から離れ、旅先のホテルの一室で、ソファで抱き合って映画を観るシーンが非常に印象に残っています。タランティーノのように趣味に走らず、アドモバルにはこれからも良質な映画を作り続けて欲しいです。 [DVD(字幕)] 7点(2010-12-11 14:04:00) |