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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  ぼく モグラ キツネ 馬 《ネタバレ》 
わずか34分の短編なのに傑作長編映画を見たときのような濃度と満足感。 原作絵本のタッチをそのまま活かしたラフの線を残したアニメーションに、 家までの旅路を静かに優しい眼差しで見守っている。 だからこそ、時折挟み込まれる哲学的で、下手すればあざとさも感じてしまう台詞の数々が、 スッと心に入ってくる。  「弱さを見せることは強さだ」。  「今まで言った中でいちばん勇敢な言葉は何?」。 「助けて」。  「助けを求めることは諦めるのとはちがう。諦めないためにそうするんだ」。  彼らは出会うまでどこか孤独だった。 モグラが罠にかかったキツネを助けた勇気、肉食のキツネが彼らと一緒にいる勇気、 馬が自らの秘密を明かした勇気、それが大きな力となって目的地の少年の家に導かれていく。 ところが少年は我が家ではなくて、二匹一頭の元に帰ることを選んだ。 目頭が熱くなる。  なぜ少年は雪原に迷い込んだのか、そして目的地だった我が家が本当の居場所なのか分からない。 そこを踏まえると、様々な隠喩と想像を掻き立てられる。 愛にあふれ、優しくて、温かくて、美しい映画だった。
[インターネット(字幕)] 9点(2024-11-18 21:13:58)《新規》
2.  ポトフ 美食家と料理人 《ネタバレ》 
小鳥のさえずり、葉が擦れる風の音、虫の鳴き声が外から聞こえ、 調理場には野菜が切られ、肉が焼かれ、鍋のスープが沸き立つ、自然と人工の音のアンサンブル。 全編にわたって長めのワンショットと少ない台詞によって調和が貫かれ、細やかな所作に適度な距離と緊張感が伝わる。  なぜ料理を作るのか?という問いかけ。 20年間、公私ともにパートナーだった美食家ドダンと女性料理人ウージェニー。 やがて結婚するも彼女が病で先立たれ、喪失感に打ちひしがれた彼が如何にして料理への情熱を取り戻していったか。 そこには哲学があり、愛情があり、物語がある。  調理場を滑らかに捉える、カメラの360度パンから回想シーンに移行していく。 ワンカットで時空を超越させるアンゲロプロスの演出を彷彿とさせる。 生前のウージェニーがドダンに問う。 「私はあなたの料理人? それとも妻?」 ドダンが導き出した答えは……もちろん分かっているだろう。  複雑なストーリーもない、意外な結末もない、伏線回収もない、さらには人物の背景や説明すらない。 まるで当たり前であるかのように、営みは誇張なしにただそこにあれば良い。 「映画にこれ以上の何がいるのか?」と本作は気付かせてくれる。 ただ無駄に豪華で贅沢な素材を使っただけの皇太子がもてなしたコースより、非常にシンプルなポトフにこそ真髄が宿る。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-10-05 23:48:22)
3.  ボーン・レガシー 《ネタバレ》 
ジェイソン・ボーン3部作は既に視聴済み(ただし中身は覚えていない)。 それを踏まえてのスピンオフなのに、その3部作の設定が全く活かされておらず、序盤はガチャガチャに煩雑にしただけ。 中盤から大きく話が動き出しても、重要機密を知る主人公が追手をかわしながらワクチンを手に入れて逃げるだけという。 ワクチンの在りかを知っているヒロインはおまけ程度で、 宿敵との対決もないまま終わりでは消化不良にも程がある(ヒット次第で続編も考えていたのだろう)。  アクションとしてはそれなりに楽しめるが、せめて単品として完結可能な作りにして欲しかった。 トニー・ギルロイが自分の脚本を即興で改変しまくるポール・グリーングラスとひと悶着あり、 監督も兼ねて本作が製作されたようで、むしろグリーングラスの手腕の確かさを証明してしまった。
[地上波(字幕)] 4点(2024-03-01 23:37:38)
4.  ホーム・アローン2 《ネタバレ》 
前作同様、やってることは変わらないのでインパクトはそれほどでもない。  ただ、前作を覚えていると楽しめる要素はあるので、それなりに暇潰しにはなる。  そもそも色んな悪戯を仕掛けられるケビンの賢さなら行き違いで迷子になっても、 空港に留まって連絡すれば家族と再会する手もあっただろうに。 そんなことしたら映画として成立しないし、無理矢理作らされた感は否めないかな。 タイトル詐欺も良いところ(工事中の空き家を使っているからセーフ?)。  多くの人が指摘しているように泥棒コンビが前作以上にこれでもかと痛めつけられ、 笑えるかどうかというあたりレビュアーの時代の変化を感じさせる。 フィクションと言えばそれまでだけど、普通は死にます。
[地上波(字幕)] 6点(2022-12-23 23:35:17)
5.  ホワット・ライズ・ビニース 《ネタバレ》 
もしヒッチコックが生きていたら、コンピューターグラフィックスという道具を如何に駆使しただろうか。 そのコンセプトは上手く活かされず、無暗に複雑で、余計な贅肉が多く、 最後は非現実なオカルトホラーというお粗末なものに。 この杜撰な脚本では彼に撮ってもらうことも叶わぬだろう。 ハリソン・フォードが悪役というのは珍しいが、収穫らしい収穫はほとんどないと言っても良い。
[DVD(字幕)] 3点(2022-10-30 22:34:53)
6.  ボーン・コレクター 《ネタバレ》 
人生で初めて見たサイコサスペンスもの。 猟奇的な雰囲気はなかなかであるが、やっぱり犯人のインパクトがなさすぎる。 身体を動かせないデンゼル・ワシントンの危機はラストと発作くらいなので、 最後まで引っ張るには厳しい設定。 アンジェリーナ・ジョリーは頑張っていたが、双方とも無駄遣いとしか。  『羊たちの沈黙』と『セブン』が傑作なのは本編とは無関係な要素を排除したからで、 記憶に残らないのは思わせぶりな贅肉が多かったとも言える。
[ビデオ(字幕)] 4点(2022-10-09 22:43:55)
7.  ホテル ビーナス
遠い昔に視聴。 草彅剛が"チョナン・カン"を名乗る韓国人という設定のテレビ企画から始まり、 一本の映画にしたという記憶がある。 全編韓国語、ウラジオストクを中心とした撮影ロケ、モノクロに近い青みががった映像と 邦画らしかぬ無国籍感漂う雰囲気で奇を衒いたかったのだろう。 その証拠に、ストーリーが印象に残らず、全てのエピソードがとっちらかって終わってしまった印象。 ラストの演出も如何にもあざとく、これでは感動できません。
[DVD(邦画)] 4点(2022-06-27 21:42:31)
8.  ホーム・アローン
悪童vs泥棒コンビの仁義なき戦い。多くのことは既に語られているので割愛するとして、やりすぎとも言える泥棒への扱いはかなりギャグ漫画的で変にリアリティがないだけ許容範囲であり、ドタバタコメディのツボを的確に押さえる。また細やかなところでは、一人になってしまった設定の説得力や家族の向き合い方にハッとするものがあって、改めて映画の出来の良さに感心。それだけ30年前の映画なのに古臭さを感じられない普遍性があった。
[地上波(字幕)] 7点(2021-12-24 23:59:05)
9.  ボヘミアン・ラプソディ 《ネタバレ》 
クイーンはよく知らない。 フレディ・マーキュリーがペルシャ系がルーツであることも最近知ったばかりだ。 そのため純粋に映画として見ると、彼の栄光と挫折、愛と孤独という在り来たりなストーリーには何かしらの捻りがなく、 演出も予想通りの陳腐さである。 そのマイナスポイントを誰もが聴いたことのある有名な楽曲とラミ・マレックら俳優陣の頑張りで大幅にカバーする。 7割方はこれらとライブ・エイドの再現による勝利だろう。 もっとも本物の歌唱力までは真似できず口パクで、エンドロールに本人たちの映像を流すあたり、 トップクラスのモノマネ大会に終始している感は拭えず。 数十年後も残る名作になるかひとときの熱狂で終わるかはこれからだろう。 クイーンを大まかに知れる分には悪くないかもしれないけれど。
[映画館(字幕)] 6点(2019-04-23 00:30:36)(良:1票)
10.  ホワイトハウス・ダウン
破壊王エメリッヒのフィルモグラフィの中では"控えめ"な方。過去にホワイトハウスが巨大UFOに破壊されたり、世界が凍結されたり、終末世界までやってきたので驚きはしない。なのでリアリティ無視の荒唐無稽な展開だろうが、脚本は意外と悪くないので比較的話に集中できる。ほとんど『ダイ・ハード』的テンプレートなのは目を瞑っておこう。個人的には未見の『エンド・オブ・ホワイトハウス』とセットで、ビッグサイズのファーストフード片手に、頭空っぽで最高の贅沢を楽しみたい。
[地上波(吹替)] 6点(2018-07-20 19:30:00)
11.  ホワイトアウト(2000)
ほぼリアルタイムで学校の上映会で鑑賞。何もかも中途半端で既視感づくしの劣化版『ダイ・ハード』。いくら邦画がハリウッド風の娯楽大作を撮っても、結局その程度のものしか作れないし、見たあと何も残らない。ネットの普及もあり、このあたりから先人たちの遺産を食い潰す現状が可視化していった。観客も馬鹿ではないが、ホワイトアウトの如くもう視界に入っていないのだろう。お偉いさんとスポンサーへの忖度しか作ってない自己満映画です。
[映画館(邦画)] 2点(2018-03-08 18:59:03)
12.  ぼくのエリ 200歳の少女 《ネタバレ》 
冒頭の無音の雪景色に一気に引き込まれる。 抒情的で静かな語り口ながらも、時として牙を向けるようなホラー演出にハッとさせられる。 少年と少女の儚さと、人間と吸血鬼の歪さ、 二つの要素は相反しながらも凍てつくストックホルムの街にお伽のように溶け込んでいる。 例のシーンを知っているかいないかで映画の印象は大きく変わるだろう。 それでもオスカーは個としてエリに尽くすことを選んだ。 自分の置かれている地獄から抜け出してくれる救世主。 ロマンチックな男の子がリアリストの"女"にただ利用されて捨てられることを知らずに。 ラストの微笑ましいモールス信号のやり取りに、ふたりぼっちの血みどろの未来が広がる。 切なくも残酷なのに、美しさすら感じさせる引き際だ。 説明過多にならず、想像力を膨らませる、その"たどたどしさ"が映画の質と余韻を一ランク上げているのである。
[DVD(字幕)] 8点(2017-12-11 20:21:51)(良:1票)
13.  ホテル・ルワンダ 《ネタバレ》 
ルワンダの大虐殺は、事件から10年後の『シンドラーのリスト』のドキュメンタリーで初めて知った。それほど日本にとって遠い対岸の火事に過ぎなかったのだろう。感動系よりはサスペンス寄りで、如何にして多くの人を救ったのか、決して綺麗事ではない強かさと駆け引きで切り抜ける。もし主人公夫婦がどちらか同じ部族だったらホテルマンにしてもこうはいかなかっただろう。植民地時代に白人によって分けられたツチ族とフツ族。外見が同じ黒人でも微妙に違う。そこに世界の無関心が集約されている。リアルタイムで知ったところで何もしてあげられないし、募金が着服されたり、下流のために中流のしわ寄せを恐れる日本人気質からすれば、どうでも良い問題なのではないのか。社会問題をかじっただけでそれ以上は踏み込まない。上映運動しようが、今更知ってももう手遅れだ。
[DVD(字幕)] 5点(2017-04-28 19:25:11)
14.  僕の村は戦場だった 《ネタバレ》 
水を多用した幻想的な映像美と戦争の残酷さが鮮烈なコントラストを生み出す。戦争で家族を奪われたイワンには失うものは何もなく、ナチスへの憎悪は知り合いの指揮官たちに邪険に扱われる。戦争は大人のものであり、将来を担う子供にそれをさせたくない裏返しであり、優しさだろう。医療に従事する娘のエピソードはイワンと繋がりがないため蛇足で、息抜き的な部分があるかもしれないが。戦争が終結し、映像には至るところに子供の死体、死体、死体・・・そしてイワンも。物質文明による大人の戦争に巻き込まれた子供の悲劇が、それとは無縁の黄泉の世界で遊ぶ笑顔のイワンたちを更に引き立てる。
[DVD(字幕)] 6点(2017-01-01 14:19:17)
15.  冒険者たち(1967) 《ネタバレ》 
遠い昔、テレビで見た。軽やかな口笛と臨場感を盛り上げるピアノの対比が利いたメインテーマが耳に残る。夢に破れ、宝探しに没頭するロマンと、友達以上恋人未満の三角関係が、男たちの青臭い夢を具現化していてよろしい。ヒロインに襲った悲劇で締めるかと思いきや、虚しさと喪失感をまとった男二人の物語はちょっと蛇足か。青春の終わりを告げる悲壮な結末がこれまた儚い。
[地上波(字幕)] 6点(2016-01-27 22:45:19)
16.  ボーイズ・ドント・クライ 《ネタバレ》 
冒頭から地味でつまらない映画だと思っていたが、後半・・・ごめんなさい、甘く見てましたとしか言いようがありません。「見なければ良かった」と思う一方で、こういう偏見と差別が今でもあるのだろう。製作年から6年前に起こったばかりの事件なのが衝撃。現在、トランスジェンダーや同性愛が大半に理解され、同性婚が認められた国が増え始めたのは救いだと思うが、行き過ぎれば逆差別になり、閉鎖的で保守的な地域とその人々とは永遠に相容れることはないだろう。従兄の警告を聞き入れ、サンフランシスコやニューヨークといった大都会に出ていれば、別の結末もあったかもしれない。ヒラリー・スワンクは男性的で命を燃やすような役柄が似合っているね。
[DVD(字幕)] 8点(2015-09-12 20:00:21)
17.  ボウリング・フォー・コロンバイン 《ネタバレ》 
堅苦しいドキュメンタリーを分かりやすくエンタメとして訴えかけたマイケル・ムーアの功績は大きい。悪く言えば、その巧みな編集でデメリットを写さず、日本のマスメディアみたいに偏った方向に誘導される危険性はあるが、銃社会アメリカの異常性を取り上げた点は支持したい。最後のチャールストン・ヘストンのアポなしインタビューに関してはやり過ぎな気はする。ニュースにならないくらい掃いて捨てるほどある悲劇を敵意剥き出しのまま問い詰めれば対応に困るし、銃を否定してもそれによる既得権益で支えられたアメリカが今更減産も規制もするはずがない。流通が行き渡った以上、強盗が銃を持って自宅に侵入したら、銃で対応せざるを得なくなる。世界の警察としてのメンツもあり、退くに退けないアメリカの泥沼っぷりが集約されていた、という意味では必要なシーンかもしれないが。いずれにしても、強力な武器も銃も民間レベルで流通されていない国は、まだマシと言えることくらいか。
[DVD(字幕)] 7点(2015-09-01 19:25:53)
18.  火垂るの墓(1988) 《ネタバレ》 
当初は「反戦映画ではない」とジブリ側からコメントがあったように、世間知らずの裕福だった兄妹が疎開先での愚かな行動によって破滅していく姿を、作者の実体験を基に描いているに過ぎないのだと思う。妹を見殺し同然にしたのに生き永らえ、それを飯のネタにした作者の疾しさと後ろめたさが中盤の清太の亡霊を通じて伝わってくる。親戚とは折り合いが悪かったが穀潰しだとしても、恥を忍んで働くことを選べば飯と寝床はある程度提供してくれるだろう。ただ、作者にあった強かさが清太にはなかった。誰もが我先にと生きることに必死だった。恐らく兄妹ともども生きて戦後を迎えても、逞しく乗り越えられる自信はあったのだろうか。戦争でなくてもこの物語は通用する。反戦に結びつけるにはちょっと極端だ。
[地上波(邦画)] 5点(2015-07-09 19:33:23)(良:2票)
19.  星を追う子ども
露骨なまでにジブリに影響を受けているのは別に構わない。ただ、動きに躍動感がなく、抜け殻のようにキャラが生きている感じがしない。相変わらず青臭いジュブナイルものの枠から抜け出せていない、ワクワク感皆無の退屈な冒険活劇。成長したと言えば、心理描写をナレーションで被せるような安易な演出がなかったことくらいか。もう短編とCMだけに専念した方が良いのではないか?
[DVD(邦画)] 3点(2015-07-09 19:19:18)
20.  ほしのこえ
ほとんど一人で制作してこのクオリティなら上出来。背景美術のディテール及び繊細な雰囲気は言うまでもなく、セカイ系にありがちな中途半端さや投げやり感も短編なら許容範囲。今後は個性を活かしながらも共同脚本で自己陶酔に逃げなければ、大人の鑑賞にも堪えられると思うんだけどね。誰に向けた映画なのか今でも分からない。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-09 19:03:57)
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