2. マイ・ボディガード(2004)
《ネタバレ》 カッティングもめまぐるしく、タイムワープやら、アレはなんて言うんだ昔はダブルエクスポージャーつったんだが、やら今どき技法満載は確かにうざい。しかし、トニー・スコットはそんな今どきの意匠をまといながら、確実に大人の活劇を創る男だ。■例えば、かのハスミ先生に言われずとも、クライマックスの人質交換シーンは素晴らしい。敵方の車がやってくるのを大木越しに捉えたロングショット、さらに男たちが車から降りる望遠のフルショット、勾配のある橋を生かす演出。■さらに誘拐シーンではカーテンが揺れる窓、ピアノの音を用いたサスペンス。ダコタ・ファニングの部屋で、母親と会うシーンのフルショット。トニー・スコットは、やる時にはやる。ちゃんとしてるのだ、とにかく。いい加減、意匠だけの兄貴と比べるのは止めないか。「レオン」?ふざけないでいただきたい。■そしてトニー・スコットは役者たちをコントロールする術を知っている。デンゼル・ワシントンとクリストファー・ウォーケンの語らいの楽しさ、ヒーローに対する恋愛感情といった通俗ではなく、単に好意だけを表現するに止まるラダ・ミッチェル、レイチェル・ティコティンの妙な年増の色気、みるからに胡散臭いミッキー・ローク、「駄目兄貴」、ロケット砲を打つ部屋に住む老夫婦の顔。そして何よりジャンカルロ・ジャンニーニ!!記者会見に不意に現れ、軽口をたたく、その登場シーンにワクワクしない人間は映画を観ない方がよい。■今どきの意匠を目くらましに使いながら、スピルバーグ以降キャメロン経由の、いわゆるノンストップアクションなる退屈なメインストリームと一線を画す「映画」を創ること。ハリウッドで生き残る術をトニー・スコットに学ぼう。 10点(2005-01-21 20:19:13) |