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1.  万引き家族 《ネタバレ》 
種々の映画評でも前半があまり良くないのは、前半の主人公達の生活ぶりがあまりに普通の道徳観から離れていて共感できない、感情移入できないからだと思います。 これ多分監督の狙い通りで、前半はとにかく暗めの画面設定になっているのもそのせいでしょう。ところが一家で海に行く場面あたりから場面が急に明るくなって、さらに死んだ「ばあちゃん」を埋めちゃうあたりで「付いて行けないピーク」に達してから、その後警察に捕まってからの展開は普通の人達にも理解可能になり、病院や留置場での画面設定が明るめになっている。後半徐々に家族の謎が明らかにされて行く段階で、やっと観客が少し感情移入できる状況になって、前半の非道徳的ないろいろが「一方的な道徳や倫理観で仕切れない所もあるよね」と考えさせるという作り方なのでしょう。監督としても万引き家族的生き方を「良い」と推奨する気はさらさらなく、「決まりきった道徳観に一石投じる」という作りに映画の専門家達が好む要素を含んでいたのかもと思いました。私としてはあまり好きな映画ではないかな。
[DVD(邦画)] 5点(2019-11-01 23:47:56)
2.  マッカーサー 《ネタバレ》 
米陸軍の太平洋方面司令官で、戦後日本の占領政策を決定し、朝鮮戦争前半の国連軍の指揮をした大人物の半生を簡潔に描いた大作と思う。簡潔な大作というのは矛盾している評価だけれど、軍神と評しても良い軍人としての能力を持ちながら、パットンほどの癖のある人物ではないし、日本の占領政策で見せた優れた政治能力を持ちながらもアメリカ国内で政治家としての活躍がなかっただけに、どろどろした人間模様もなく人生が簡潔に描けてしまう所が映画としての見所を少なくしてしまったのかもしれない。それでも日本における天皇の立場を評した所、日本が軍隊を持たず、戦争放棄をうたった憲法を持つ過程(異論もあるけど)、ソ連代表に北海道に進駐することは絶対に許さないと言ったりした史実はそれなりに描かれていて、70年代後半のアメリカ人にとっては新鮮な部分も多くあったのではないかと思われる。朝鮮戦争において、台湾の蒋介石と個人的?に何らかの約束を交わして大統領に不評を買うところも描かれているが、70年代では、鴨緑江を超えて新生間もない中共に突入し、中華民国再興という野望まで視野に入っていた可能性にも触れるのは難しかったかもしれない。いずれにせよ米国内、米軍内での親共産主義勢力との確執やその後のレッドパージなどについてはあえて触れていないところが何か物足りなさを感ずる所以かも知れません。結局パットン同様できすぎて人気のありすぎる軍人は政府の力で現役から降ろされ「老兵は消え行くのみ」と語って表舞台を去るのですが、この辺が戦前の日本との大きな違いと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2008-05-05 17:51:09)
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