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1.  ミュージック・フロム・アナザー・ルーム
無意識にしっかり者を演じ、家族に頼られることに「頼って」生きてきたグレッチェン・モルを本当の意味で自立させるというのは、ちょっと見、良い話に見えなくもないんですけど、どうにも引っかかる部分もある。本作のジュード・ロウに家族全体の責任を引き受ける気構えがあった様にも見受けられず、お節介でしつこいだけの男に見えなくもない。自分の部屋で好きな音楽を聴いてたのに、「別の部屋から聞こえてくる音楽」に無理矢理邪魔されることもある訳で、しかし、それが中々良い曲だったりしたら気にもなりますよね。ま、結局、男も女も「顔」ってことでしょうか…、5点献上。
[地上波(字幕)] 5点(2006-10-18 00:02:27)
2.  ミレニアム・マンボ
前半は低能の男女の自堕落な同棲生活をスケッチ。女が男の元を離れた後半は、紳士的なヤクザに囲われた女の無為な日常をスケッチ。どっちにしても恐ろしいほど退屈な作品です。固定カメラの長回しで延々と続く無意味な室内シーン。香港映画で見飽きた王家衛風の色彩設計。全くドラマの起きない映画の中で、ストーリーの進展はペシミスティックなナレーションで語られるのみ。侯孝賢作品は初体験でしたけど、とても私の耐えられる様な映画じゃありません。救いはカメラが手持ちじゃなかったことと、ずっとスー・チーが映ってたこと位。従って、スー・チー嬢に1点献上。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2006-10-08 00:02:33)
3.  M:i:III
チーム壊滅から始まった悲壮な印象の「Ⅰ」や、ジョン・ウー節炸裂の馬鹿映画だった「Ⅱ」と比べれば、手持ちカメラによる「流行の」カメラワークの鬱陶しさを除けば、極めて真っ当な「特殊部隊映画」(決して「スパイ映画」ではない!)になってると思います。始めの2回の「ミッション」は比較的じっくり描かれるので、本シリーズの醍醐味は満喫できます。以降は大掛かりな「戦闘」(「トゥルーライズ」からシチュエーションとセットを流用?)や、「ミッション」を省いた派手なアクションが続くので、充分満腹になるでしょう。存在感を振り撒くマギー・Q(美しい!)に対し、ヒロインのミシェル・モナハンに全然魅力が感じられないのと、序盤でラストの展開が読めてしまうのが玉に瑕ですけど、私はたっぷり2時間6分楽しめました、7点献上。
[試写会(字幕)] 7点(2006-06-23 00:04:41)(良:1票)
4.  みんな誰かの愛しい人
「ムッシュ・カステラの恋」とほとんど同じ雰囲気の、緩やかな恋愛群像劇。ちょっとした言葉の受け取り方一つで形を変えて行く人間関係が、丁寧に描かれていきます。その中で主人公に位置するのは、どこを取っても全くイケてないコンプレックスの塊・ロリータ。その最たるものがファーザー・コンプレックス。太った痩せたなんて、それに比べれば小さなコト。マザコン男も好きじゃないけど、20歳にもなったファザコン娘もかなり見苦しい。外も内も魅力の乏しい彼女の何処にセバスチャンは惹かれたんでしょうか? それが解らない私には、本作の魅力も解りませんでした、4点献上。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2006-05-29 00:26:47)
5.  ミュージック・オブ・ハート
はっきり言って本作で取り上げられた話は、確かに「心温まる出来事」ではありますが、全く大した問題じゃありません。情操教育等に貢献してるとは思うものの、ヴァイオリンのクラスが無くなったって大勢に影響はない。スポーツ・クラスでも美術クラスでも、他にいくらでも代替は利く(むしろ教育予算をカットしなければならないほど逼迫した市の財政状況の方が緊急の課題)。そんな題材をそこそこの感動作に仕上げてある脚本は、中々上手かったと思います。また最近の伝記映画らしく、本作の主人公も聖人君子ではなく、ヒステリックでかなりの強情っ張りとして描かれてます。この意固地さがあったからこそ、彼女はカーネギーホールまで辿り着けたのでしょう。それにしても、何でまたウェス・クレイヴンなんだ…? 6点献上。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2006-05-03 00:03:35)(良:1票)
6.  ミュンヘン
30年以上前の事件の映画化ではありますが、正に「今」を描いた作品であり、ユダヤ社会であるハリウッドで、ユダヤ系「アメリカ人」の中で地位も名声も確立されたスティーブン・スピルバーグこそが作るべき映画であったのは確か。イスラエル・パレスチナ双方から批判が上がってる様ですが、本作の意義は「シンドラーのリスト」よりも大きいと思う。シャロンもアラファトも倒れ、ハマスが自治区の政権を握り、緊迫度の増している現在の中東情勢よりも、むしろ9.11以後の泥沼に喘ぐアメリカ自身の痛い所を突いている。スピルバーグの勇気には私も拍手を送りたい。既に“Munich Massacre”自体が「報復」であり、それに対する報復が生むものも、また報復でしかない。終わりの無い報復の連鎖。こんな判りきったことを、未だに世界は繰り返しているのです、7点献上。
[映画館(字幕)] 7点(2006-02-11 00:04:47)(良:1票)
7.  ミシェル・ヴァイヨン
何でこうも立て続けに新作を発表できるんだ、リュック・ベッソン? 配給会社もベッソンの名前を見たら買わない位の気概を見せて欲しい。とにかく、恐ろしい程つまらない。コミックが原作だからって、ありえねー展開をありえねーまま持ってこられても困る。ありえねーことをあり得る様に見せることこそ、脚本と演出の腕の見せ所じゃないの。悪役チームはレースそっちのけで主人公チームの邪魔ばかりしてるけど、こんなんで優勝に絡めてしまうのが解らん。まるでル・マンには2チームしか出場してないみたい。いくら映画をやかましくしたって、誤魔化しはききませんよ、2点献上。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2006-01-02 00:03:38)
8.  ミスター・ルーキー 《ネタバレ》 
確かに出来の良い作品じゃない。既にミスター・ルーキーが活躍してる所から始まるので、覆面リリーフ登場のカタルシスや突き抜けた馬鹿馬鹿しさを映画から排除してしまってる。また、折角甲子園球場をエキストラで埋めたのに、試合シーンをテレビ中継と同じカメラ・ワークで表現するという勿体無さ。それでも、何故か私は楽しめました。そもそもがファンタジー映画ですから、バースの登場は大いに納得。阪神ファンでもないのに、私も劇中の田淵と一緒に応援してしまいました。ところで「東京ガリバーズ」というチーム名に、邦画界同様の日本野球機構の貧しさを感じずにはおれません(それもこれも渡辺何たらとかいう、老害を撒き散らすだけしか能が無く、経営に失敗したくせに偉そうな、棺桶に両足を突っ込んでる重度の認知症患者の所為か?)。大リーグを舞台にした映画で、例えば“New York Younkers”なんてチーム名はありえませんよ、6点献上。
[地上波(字幕)] 6点(2005-12-07 00:02:21)
9.  ミミック2
これ、(↑)TVムービーじゃなくて、本国ではお蔵入りしてビデオ・スルーになっちゃったんじゃないのかな、確か?(こういう場合はOVA扱いなのか?) ま、それも解らないでもない仕上がり。無理矢理作った感がミエミエで何から何まで凄く小ぢんまりしちゃってます。擬態の「進化」も全く意味の無いまま、いきなり終わっちゃいましたね。そんな作品を一々劇場公開した日本の配給元は、本作に需要があると思ったんですかね、2点献上。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2005-11-20 00:03:58)
10.  魅せられて(1996) 《ネタバレ》 
この原題は「眠れる森の美女」のパロディですよね。辺り構わずフェロモンを撒き散らし、男心を“steal”しまくる当時19歳のリヴ・タイラー演じる生娘は、つまり眠ったままな訳です。周りの軽薄な大人達が見当違いのちょっかいを出しても、目覚めることはありません。唯一この眠れる美女を目覚めさせることが出来るのは、王子様の接吻ではなく、ウブな童貞男との性交…って、こりゃかなり陳腐なロスト・ヴァージン・ストーリー。一体、彼女の父親探しはこの物語にどう関わったんだ? そういうことで、初体験から積極的に感じまくるリヴの片パイに+1点、4点献上。
[ビデオ(字幕)] 4点(2005-11-15 00:08:18)(笑:1票) (良:1票)
11.  MISTY(1997)
何だこりゃ。どうすりゃ「羅生門」がここまでつまらなくなるんだ? その前に、どうすりゃ「羅生門」をリメイクしようと思える様な身の程知らずになれるんだ? これは挑戦とか無謀とか言う問題ではなく、本作を企画・製作した人間に映画人としての羞恥心が欠如してる証。原作の新解釈と言っても、それが許されるのは最低でも「羅生門」に勝るとも劣らない、映画としての面白さを見出せた時だけ。ダラダラした話をダラダラと演出し、チラチラした見づらいだけの照明効果で芸術振って、一体何をしたかったんだ? これに比べれば「デビルマン」の方がまともに見えますよ、1点献上。
[CS・衛星(字幕)] 1点(2005-09-03 00:05:49)
12.  ミッション・クレオパトラ
本国に於いて史上2番目の興収を記録したという宣伝文句の、古代エジプトを舞台にしたフランス製ドタバタ大作コメディ。しかし、配給元も日本ではウケそうもないことを解ってたのか、我が国ではやけにひっそりと公開して、直ぐに打ち切ってしまいました(だったら最初から買い付けてくるな)。元々こういうコメディは好みじゃないんですけど、そこそこは楽しめるアメリカ製と違って、フランス製は笑い所が良く解らない。今更感が漂う映画パロディも寒いだけです。それにしても、ジェラール・ドパルデューも良くこんな役をやりますね。日本で言えば、「キューティーハニー」の手塚とおるの役(執事)に役所広司を宛がう様なもんです。そういうことで、本作一番の見所、現代のイタリアの至宝・モニカ・ベルッチの尻の割れ目に、4点献上。
[CS・衛星(字幕)] 4点(2005-08-16 00:09:55)
13.  ミ・ファミリア
1920年代にカリフォルニアに渡って来たメキシコ移民の、二世代に亘る家族の物語。移民としての苦労や迫害、家族の死、それぞれの道を歩む兄弟達の反目や連帯等が、時にコミカルに、時にシリアスに描かれていきます。確かに個々の話は有りがちですけど、充分見応えのあるヒューマン・ドラマになっています。その中でも、嫌々ながら偽装結婚させられた末っ子のジミーと、強制送還を免れる為の偽装でも「結婚」を尊重するイザベルの、浅田次郎の「ラブ・レター」風エピソードは印象的。初めて二人がお互いを理解するシーンでは、流石に目が潤んでしまいました、6点献上。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2005-07-17 00:06:13)
14.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 
今回のアカデミー賞では、確かに他のノミネート作を圧倒する映画的完成度なのは間違いないし、万人にとって判り易い「名演技」を披露したジェイミー・フォックスがいなければ、主演男優賞も本作が獲得していたことでしょう(個人的には音楽賞もあげたい)。私は本作を「逃げ場所を失った人達」のドラマと見ました。マギーが何故フランキーの元に押しかけて来たのかは判りませんが、とにかくフランキーが彼女の最後の逃げ場所となった。失い続けの人生を送ってきたフランキーにとっても、彼女が最後の逃げ場所となる。二人とも逃げ続けて、行き着いた場所がお互いだったのです。しかし運命は、彼らからそれさえも奪い取ってしまう。地上に逃げ場所を失った彼らの向かう所は一つしかない。…それにしても、暗い話だ。こんな暗い話では、私はとても感動できません。たまには、他人を不幸にしてでも生にしがみつく様な人達のドラマが観たいです、7点献上。
[映画館(字幕)] 7点(2005-06-02 00:09:54)(良:1票)
15.  ミュリエルの結婚
ブリジット・ジョーンズが可愛く見える程、ミュリエル・ヘスロップのダメっぷりに容赦が無いのが凄い。何しろ、一家揃って痛いんです。そして、レニー・ゼルウィガーがスリムに見える程、トニ・コレットの太りっぷりが凄い。細面ながら元々体格の良い人ですけど、もうパツンパツン。で、映画のテーマはお馴染みの「変身願望」。最初のミュリエルは味噌っかすの芋虫。やがて自分の周りを嘘で塗り固めて、マリエルという名のサナギになる。最後にその殻を破って出てくるのは、華麗な蝶ではないですけど、少なくとも成熟した大人になったミュリエル。この辺が最後まで成長しないブリジットとは違う所。アバの楽曲も抜群のセンスで挿入され、物語を彩ります。これは負け犬予備軍の皆様方に、自信を持ってお薦めします、7点献上。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2005-06-02 00:06:16)
16.  みなさん、さようなら(2003)
前半は凄く面白かった。カナダの社会体制どころか、あらゆる主義主張、宗教、経済、国家に対する辛辣な視線。登場する時代遅れのインテリ馬鹿達も、たぶん監督の自分自身に対するアイロニーだと思う。これは確実に批評家(=インテリ)受けする内容なので、各国での受賞歴には非常に納得した次第(「たそがれ清兵衛」の良さは日本人にしか解らないと思う)。しかし後半は一転、やたら繰り返されるフェード・アウトでどんどんと物語がブツ切りにされ、いつの間にやらエロ親父も神妙になり、主題が何だったのか解らなくなってしまった。インテリ層には原題や9.11の意味する所が解るのかもしれませんけど、私の様な凡人にはイミフ。どうせなら、「死」そのものも茶化して終わらせるくらいして欲しかったと思います、5点献上。
[DVD(字幕)] 5点(2005-05-13 00:11:18)
17.  ミリオンダラー・ホテル
考えてみたら、私にとって初のヴィム・ヴェンダース作品。「ベルリン・天使の詩」は一度トライしたことがあるけど、未だ通しで観てない。この映画も大挙して有名どころが出てなかったら観てなかったと思う。で、変わり者の集団の中に敵意むき出しの異端者が入り込み、そこに笑えるドラマを紡ぎ出すってのは良くある手ですが、本作のメル・ギブソンは彼ら以上の変わり者。一体、彼の設定の意味は何だったんでしょう? 同様に、この物語で描きたかったことも良く解らない。人生は一夜の夢ってことかな。ま、美しい映像やハリウッド・スターを眺めて飽きはしなかったので、5点献上。
5点(2005-03-08 00:18:57)
18.  壬生義士伝
クライマックスで心の清い登場人物に独白させて観客の涙を搾り出そうとするのは、浅田次郎の一貫したポリシーなんでしょうか? 「天国までの百マイル」では私も泣かされてしまいましたが、本作では白けてしまった。これは作劇に問題があると思う。余り巧みな構成とは思えない二人称の回想形式。そして、たぶん世界一の名優が演じたとしても白々しくなってしまうであろう独白シーンを、「映画に」そのまま導入してしまう滝田洋二郎の相変わらずのセンスの無さ(ここはナレーションにすれば、まだ見られるものになったと思う)。これもダメな邦画演出の典型例でしょう、5点献上。
5点(2005-02-26 00:09:33)
19.  みんな元気(1990) 《ネタバレ》 
恥ずかしながら「ニュー・シネマ・パラダイス」の何十倍も感動してしまった。本作のマルチェロ・マストロヤンニが近視眼的な人物だとは思いません。息子の一人が「何でも直ぐに見抜く」と言っていた様に、子供達を愛してるが故に、わざと騙された振りをしてきたんだと思います。しかしそれ以上に、妻にも先立たれ、自分も先が長くないことを自覚している老人として、一生を捧げてきた子育てが失敗していたと認めたくない思いが強かったんだと思います。親にとっては子供が年老い、幸せに死ぬまでが子育て。「何をしたかも、刑務所の名前も言うな。いつ出てくるのかだけ教えてくれ」という台詞に、親の持つ無償の愛情を感じました。「子供達はみんな元気だ」とは、自分に言い聞かせる言葉だったのです、8点献上。
8点(2005-01-11 01:11:22)(良:1票)
20.  Mr.インクレディブル
あらゆる面に於いて、ピクサーがこれまで手掛けてきた作品の集大成と言って過言ではない完成度。映画全体は、演出やキャラ・デザイン、音楽等も徹底して、「X-メン」を始めとしたアメコミやカートゥーンの楽しいパロディになっている(「サイボーグ009」も意識してる?)。しかしそこで描かれるものは、「ファインディング・ニモ」から更に一歩進んだ、家族愛と家族の団結、そしてそこから生み出されるスーパー・パワー。一貫して人間社会をパロディにしてきた作風も、人間社会そのものを描くことで面白さが増している(いざという時は、実は「夫人」の方が「Mr.」より活躍するという所も、現実の味なパロディ)。個性を信じることの素晴らしさを謳い上げる、アメリカらしい楽天的テーマも気持ち良い。正月映画はこれで決まりですヨ、8点献上。
8点(2004-11-18 00:08:11)
040.17%
1351.46%
2793.30%
326911.24%
438015.87%
553122.18%
664126.78%
733814.12%
8823.43%
9241.00%
10110.46%

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