1. 壬生義士伝
中井貴一と佐藤浩市が中心の展開で進んでいき、けっこうシリアスな緊張感で引き締まったものになりかけた途端、まず、新撰組の3人が出てきてからは2時間ドラマ時代劇スペシャルみたいになり、気を取り直して集中しようと思ったのもつかの間、三宅裕司がホームドラマにまたまた方向転換してしまった。描きたかったことは、おそらく描ききった感じはするが、脇役の重要性を軽く考えたんじゃないかな。おしい。それと、泣く場面はいいが、それを引き出す前後のシーンに工夫が足りないもんだから、泣くタイミングがつかみにくい。料理で言うと同じ味の料理を延々と食べている感覚だ。口直しや違う味を所々入れないとね。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-12-04 00:00:29) |
2. 耳をすませば(1995)
50過ぎのオヤジが日本酒のみながら見るような映画じゃないのは十分に認識していたんだが、なにせ、あんた「セージ君」「セージ君」と言われるたびに胸がドキドキしたりして、つい。 [地上波(邦画)] 7点(2008-02-23 10:52:17) |
3. ミリオンダラー・ベイビー
《ネタバレ》 何ともやりきれないラストではあるのだが、感動も並ではない。しかも爽やかな余韻さえ感じられる。この矛盾したような感覚はなぜなのだろう。不幸な生い立ちの中、唯一尊敬できる人間にめぐり会え、そのボスの教えを守りボクシングに人生をかけるマギー。「自分を守れ」。努力は報われ、チャンピオンと人生の勝利に手が掛かりかけたが、不運が彼女を襲う。エディは失明した最後の試合にこだわりがあり、フランキーは娘や宗教との関係にこだわりがある。マギーは母親との確執とこのまま年齢を重ねることへの葛藤がある。それぞれが持つ苦悩は、人間としての尊厳をどう守るのかと言う、自分自身との戦いでもある。尊厳へのこだわりは、「自分を守る」ことなのだろう。マギーの最後の涙は、最後に人間としての尊厳を守ってくれたのが、最愛の人であった感動の涙なのかもしれない。 [映画館(字幕)] 10点(2005-06-04 10:01:15)(良:2票) |
4. ミスティック・リバー
俳優としての才能と監督の才能と言うのは、当然別な分野なんだが、イーストウッドの場合はそういう議論は無意味だな。彼の監督としての力量とセンスが感じられる作品だ。特に最後のパレードの場面。この蛇足とも思える何気ないシーンに、強烈な主張が感じられる。運がいい奴不運な奴、偶然に翻弄される者。弱い者は何かにすがり、理不尽でも力のある者が生き残っていく。正義は気まぐれだ。これが人生、これが人間社会というものだ、と。見事だね。所々、未熟な点も見受けられるが、敵ながらアッパレ。恐るべし、イーストウッド。(スコセッシ談) [DVD(字幕)] 8点(2005-05-25 11:58:18)(笑:2票) (良:3票) |
5. 道(1954)
《ネタバレ》 前半はジェルソミーナの純粋さと悲劇的な立場に誰もが涙する。金で売られ、主人は暴力で拘束する。それでも、妻であることを感じた時の喜びの表情が切ない感動を与えてくれる。自分が必要とされていると感じたら、どんな人でも、やはり、生きがいに結びつく。そして最後は、ザンパノの、愛を感じることが遅すぎた後悔の涙に、胸が締め付けられる。自分が死に追いやった女性が、最愛の女だったと気づいたとき、男は浜辺で泣くしかないだろう。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2005-04-09 01:42:46)(良:1票) |
6. ミッドナイト・ラン
みなさんおっしゃっていますが、別れた家族との再会シーンが素晴らしいです。妻がお金を取りに行った数分間、娘との無言の間が胸にジーンときて、別れ際の娘の差し出すお金で涙モードへ。途中、多少だらけ気味なのは、むしろ本作品のほのぼのした雰囲気を作り出す重要な布石ともとれます。お互いの生き方がわかって、友情を感じていく過程が、この展開じゃないといけないのかな。世間並みの幸せには縁が無い、この二人の生き方に、男の心意気を感じる。 9点(2004-12-16 23:35:58) |
7. 未知との遭遇
「ジョーズ」の監督がUFOの映画を撮っているという話と、断片的に聞こえてくる情報に、あれほど公開が待ち遠しかったことはない。そして予告編の緊迫感。私が劇場で観た予告編の最高かもしれない。固唾を呑んで見入った画面。UFOの美しさ。実際の事件を基にしている分、ストーリーは単純で、娯楽性が乏しいが、未知なるものへ対する科学的かつ歴史的な興味が一層膨らんでいった。有史以来、人類が体験した不思議な出来事への1つの答えを、当時、最高だったハリウッドの技術とアメリカの科学、そして、天才監督の夢で解釈を試みた作品である。夢だけは30年経っても決して色あせない。 9点(2004-06-28 19:18:21)(良:1票) |
8. ミスタア・ロバーツ
組織の中で働く者にとって、仕事の内容にも増して、人間関係が重要です。ましてや、四六時中顔をつき合わせて共同生活を送る船乗りにとってはそれが全てとも思われます。自分の出世しか頭にないトップと、この人ならと思える直属の上司。みえみえの設定でも、思いっきり笑えて、さわやかな涙をながせます。こういう人に巡り会いたいと思う以上に自分がこうなりたいと思うはず。三波さんありがとうございました。PS:映画から25年後、ある受賞セレモニーの際、海軍のコーラスに聴き入っていたヘンリー・フォンダに対して、歌い終えたメンバーの代表が敬礼し、「Thank You Mr.Roberts」と感謝の意を表すると、フォンダが感極まってか涙を流したとの事。映画の場面と重なり、熱いのもがこみ上げました。 9点(2004-03-31 00:15:02)(良:2票) |
9. ミザリー
原作では閉塞感とじわじわ追い詰められる恐怖が、映画では逃れられないあせりと視覚に訴える痛さが感じられ、どちらもキング・ワールドが堪能できる。人気作家と狂信的ファンという設定だけでもうこれは成功しています。人里離れたところで二人きりとしたところでもう完璧。ここで、女流作家と男性ファンとしなかったところは、さすがキング。か弱い女性としつこい野獣みたいな男性になったら、もう「キングコング」の世界だろうな。まあ、これはこれで、面白いかもしれないが。 8点(2004-02-18 00:49:02) |