2. 水霊 ミズチ
《ネタバレ》 意味深なタイトル然り、伝奇的に美味しそうなキーワードが多数散りばめられいる割に、物語が進んでもほとんど調理されないままラストに。これは製作側が原作の怖い設定「だけ」を借りて別のホラーを製作しようとしたことによると思われる。まあ、製作側の意図は分からないでもない。自己の世界の絶対性が揺らぐことからこみ上げてくる恐怖。不安感。そういったものを強調し、表面上の恐怖感だけを強調する安易なホラーとは一線を画すモノを作ってやろうという気概は感じられる。しかし、それを試みるにあたってこの原作はミスマッチに過ぎた。恐怖感を煽るシーンは多々あり、単純にホラーが見たいだけの人にはそれなりに楽しめる作品だが、古事記や日本書紀をからめた壮大な謎解きやストーリー展開の面白さといった、多くの観客が期待する魅力はスポイルされている。 [映画館(邦画)] 4点(2007-07-21 17:16:09) |