1. MINAMATA ミナマタ
《ネタバレ》 この作品は、あくまで水俣病の実態を世界に伝えた写真家ユージン・スミスの姿を描いたアメリカ映画なので、やや当時の状況描写については「?」とところもありますが、心に響く作品でした。まあ、当時の状況をあまり生々しく描いてしまうと当時の日本社会の闇の部分が全開となってしまうのでメジャーでの映画化は難しいかなとも思いました。 [DVD(字幕)] 6点(2023-02-26 12:05:22) |
2. 三島由紀夫VS東大全共闘 50年の真実
《ネタバレ》 右翼と左翼に分かれてはいても国家権力に対し変革を求めているという点で双方の目的は一緒であるということを三島由紀夫はわかっていたんだろううなと思いました。そして、学生側も三島のユーモアを交えた巧みなオルグに惹きこまれていくのが目に見えてわかりました。ただ、三島も全共闘も結局は目的は一緒だということを確認し合うだけで共闘を拒否し終わってしまったのが、今から見ると何だったんだろうかとおもいますね。双方の議論は面白かったですが、結局三島と相対することができる全共闘側のリーダー(芥氏はリーダーとはちょっと違う印象です)が不在で特別講師と学生の授業の枠を超えてなかった印象です。革命・クーデターという行動に際しては、純粋な知的エリートの甘さ・弱さは障害になるのだなと感じました。 [DVD(邦画)] 8点(2022-02-12 00:22:27) |
3. 未来を花束にして
《ネタバレ》 サフラジェットの活動、そしてその背景を知ることができ大変興味深かったです。そして、人類全体の問題である性差別の根深さを改めて感じましたね。 [DVD(字幕)] 7点(2020-08-01 12:18:57) |
4. 皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ
《ネタバレ》 「持てる者は持たざる者に分け与えよ。」こんな言葉が見終わった後思い浮かびました。 「持たざる者」が「持てる者」になる力を得た時に、「持てる者」となるのか「持たざる者」のままでいるのか・・・・。極論すればそこが人間社会にとっての善悪(犯罪かどうかではなく道徳的な意味で)の分岐点になるのかなと感じました。まあ、今の社会は「持てる者」が「私はまだまだ持たざる者です」と騙り、真の「持たざる者」を努力不足と切り捨てる傾向にありますから、そこを正してくれるのが、今のスーパーヒーローなんでしょうね。 主人公が同年代なので、なんとなく等身大に感じられ、心に沁みてくる作品でした。 [DVD(字幕)] 9点(2018-01-21 10:19:12) |
5. 未来を写した子どもたち
《ネタバレ》 なんと言うか、悲惨な状況が日常となっているが故に悲惨であることすら気づかないような本当に厳しい状況に慄然としました。そんな中で、子どもたちに人生を変えるチャンスを与えようとする監督の姿には感銘を受けました。 当然ながら、同じ境遇の全ての子どもたちにチャンスを与えることが出来た訳ではありません。ただ、こういう作品に触発されて活動をサポートする人や同様の活動を行おうとする人が増えれば、チャンスを与えられる子どもたちの数も増えていくことでしょう。そういう意味ではこの作品にアカデミー賞(長編ドキュメンタリー部門)が与えられたことは大きな意味を持つと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2011-08-20 15:52:41) |
6. 三池 終わらない炭鉱の物語
《ネタバレ》 囚人労働、植民地出身者や捕虜の強制労働、戦後の労働争議、そして炭塵爆発事故によるCO中毒の後遺症問題・・・・。非常に興味深いドキュメンタリーでした。関係者が高齢化していくなか、このような記録を後世に残せたことは素晴らしいことだと想います。 三池炭鉱はまさに日本の近現代の産業史を象徴するような存在であったのだなと感じました。 [インターネット(字幕)] 7点(2011-06-11 23:11:24) |
7. 水俣 患者さんとその世界
《ネタバレ》 のどかな漁村の風景の中で水俣病の患者たちとその暮らしが紹介され、それと並行して原因企業でありながら対応が鈍いチッソに対する怒りが徐々に盛り上がっていく姿を映し出した後世まで残すべき貴重なドキュメンタリーでしたね。 クライマックスのチッソ株主総会では、患者たちの激しい怒りと企業側の組織防衛本能(企業存続・補償金節減等)が激しくぶつかりあいフィクションでも中々作り出せないような凄まじい光景が記録されており圧巻としかいいようがありませんでした。この企業の組織防衛本能ってやつがまた厄介なものなんですよね。自営業では無い雇われ経営者は仕事として社員の生活・株主の利益等々を守っていかなければならないわけですからね。真面目に仕事をすればするほど患者にとって冷徹で頑なな存在になっていってしまうという状況になっていくわけです。 映像の力・ドキュメンタリーの力の強さを教えてくれる作品でした。 [映画館(邦画)] 8点(2011-06-05 10:11:52) |
8. ミリキタニの猫
《ネタバレ》 路上画家といえば聞こえはいいが、いわゆるホームレスの画家ミリキタニとリンダ・ハッテンドーフ 監督が「911」前のニューヨークで出会い、その後「911」を受けてアメリカ社会にアラブ系やイスラム教徒排斥の空気が流れる中、かつてアメリカ市民でありながら敵性国民として排斥され強制収容所へ送られたミリキタニが自分の過去を語るという、まるでフィクションのようなドキュメンタリー映画でした。 この2人が出会わなければ、ミリキタニはただの絵の上手いホームレスとして生涯を終え、世に知られることもなかったかもしれませんし、幼い頃生き別れた姉とも再会することもなかったでしょうし、かつて収容されていたツールレイク収容所を訪れて長い間背負っていた心の澱を洗い流せなかったかもしれない・・・と考えると、本当にこの出会いは素晴らしい奇跡なのだなと感じましたね。 本当に素晴らしいドキュメンタリーでした。 [DVD(字幕)] 8点(2010-11-18 23:52:32)(良:2票) |
9. 見わたすかぎり人生
《ネタバレ》 就職難や非正規雇用等々今のイタリア社会の厳しい側面を描いています。正直、日本の現在の状況とも相通ずる面があり目を背けたくなるようなテーマではありますが、そこをただ問題提起をするだけでなく、登場人物の魅力とコメディタッチの進行などの様々な手法で約2時間観客を惹き付け楽しませる作りになっているのは見事です。そして、ラストは決してハッピーではないのですが、「Que sera sera」な感じなのが何ともイタリアらしくていいですね。 [DVD(字幕)] 8点(2010-03-24 23:42:27) |
10. 緑の光線
《ネタバレ》 まるで、他人の日記を覗いているような感覚になりましたね。プライドは高いけど、自分に自身が無く奥手になってしまっている女性のバカンスの日常を、まるでドキュメンタリーのような手法で見せてくれています(ちょっとストーカー目線のような気もしますがw)。 しかし、ありのままのようでありながら、1本の映画作品としてきっちりと作りこまれているあたりはエリック・ロメール監督の技量の巧みさを感じましたね。 ラストはずーっと画面をガン見してしまいました。いつかは生で緑の光線を見たいですね。 [ビデオ(字幕)] 7点(2010-01-16 18:29:11) |
11. 水のないプール
まあ、内容は最低なんですが、内田裕也 がいちいち格好良すぎて素敵です。 「ジンジャーエールはジュースじゃねえ!」最高です。 [ビデオ(邦画)] 6点(2009-12-14 23:04:45) |
12. ミーシャ/ホロコーストと白い狼
《ネタバレ》 マチルド・ゴファールの熱演が光っています。ストーリーはやや現実離れしているように感じましたが、過酷な旅路の描写は中々生々しかったです。 [DVD(字幕)] 5点(2009-10-05 00:02:11) |
13. ミュージックボックス
《ネタバレ》 非常に難しいテーマを興味深い手法で描いています。 戦争犯罪、特に罪のない市民の虐殺は絶対に許すべきものではないということは当然の事ですし、その犯罪に携わった人間は厳しく罰せられるべきであるということも十分わかっています。ただ、自分がジェシカ・ラングの立場に立ったときに同じ行動を起こせるかというと、正直なところ難しいですね。 ただ、これはホロコーストの問題に限らず、自分が生き残っていくため、仕えている国家や企業、そして自分の家族を守るため嘘を貫き通し秘密を墓場まで持っていく人間というのは確実に存在しているということは良く理解できました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2009-08-30 13:34:54)(良:1票) |
14. Mr.ディーズ
《ネタバレ》 「オペラハット」のリメイクとしては全然駄目ですが、「オペラハット」の設定を使ったアダム・サンドラーのコメディ映画として見ればまあまあ楽しめる作品でした。 [地上波(吹替)] 6点(2009-06-16 19:31:59) |
15. ミスター・ベースボール
《ネタバレ》 まあ、コメディ映画に誇張は付き物なんで日本の野球や社会の描写についてはツッコミを入れながら楽しむのがこの映画の正しい観方ではないでしょうか。高倉健の人情味のある鉄拳監督役も中々よかったです。 何といっても、この映画はプロ野球が国民的娯楽の王様であった時代の思い出を甦らせてくれる作品でもあります。ゴールデンタイムには当たり前のようにプロ野球中継が流れ、視聴率もとっていた時代。当然メジャーに行く日本人などおらず、プロ野球こそがまさに国内の最高峰の選手たちが集う舞台であった時代。この映画で映されるナゴヤ球場の熱気は作り物ではありますが、今の球場に漂う空気とは異なる「熱狂」をリアルに作り出しています。当時、各地の野球場に通ってた野球マニアであった者としては非常に懐かしく感じます(まあ、パリーグに関しては今の方が全然いいですけど)。 当時は隔絶していた日米野球界もかなり交流が深まり、すっかり日本野球もメジャーに取り込まれてしまいましたね。そういう意味では、この映画は現在の野球界の流れを読んでいたということになりますね。その代わり、日本プロ野球はメジャーのマイナーリーグ化しつつありますが・・・・・。 [地上波(字幕)] 8点(2009-05-30 22:23:34) |
16. みなさん、さようなら(2003)
《ネタバレ》 どっかの映画のタイトルではないですが「生きてるうちが花なのよ、死んだらそれまでよ」という言葉が思い浮かびましたね。人間にとって死とはすべての終わりなんだなと思いました。愛情や友情や楽しいことは勿論のこと、苦しみや憎しみ、対立さえも強制終了してしまう・・・・。だから、この父親のようにすべての完結をある程度見届けた上で死を迎えられるのは本当に幸せなことなんでしょうね。ユーモア(若干ブラックなのもありましたが)にあふれた温かい雰囲気が非常に心地よかったです。 人間誰しもいずれは受け入れなくてはならない問題ですから、いろいろ考えさせられました。 [DVD(吹替)] 7点(2009-02-21 19:58:48) |
17. ミスター・ロンリー
《ネタバレ》 人生は神の奇跡や他人に頼るのではなく自分で切り開いていくものだというメッセージを感じましたね。特に、マリリン・モンロー(のそっくりさん)とスカイダイビングを成功させた尼僧たちの運命がそれを象徴しているように感じました。 モノマネ芸人だけの集団生活というのも中々シュールで面白かったです。 [DVD(吹替)] 7点(2008-11-19 17:57:49) |
18. 路
《ネタバレ》 トルコの風景の美しさと、登場人物たちが抱える問題の重さが非常に対照的でしたね。家族制度の束縛の強烈さや、クルド問題などが生々しく描かれていて興味深かったです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2008-09-29 19:35:00) |
19. ミッシング(1982)
《ネタバレ》 ジャック・レモンのシリアスな名演技が光る、見応えのある社会派ドラマでした。 クーデターを成功させたチリ軍事独裁政権による残虐行為や国益のためには自国民の犠牲も厭わないアメリカの本音の姿をまざまざと我々に提示しています。 [DVD(吹替)] 8点(2008-06-23 18:44:47)(良:1票) |
20. ミスタア・ロバーツ
《ネタバレ》 軍隊を舞台にしてはいますが、中間管理職の悲哀等現代のサラリーマンにも当てはまるテーマですので非常に面白かったです。しかし、なかなか現実にはロバーツのようには振舞えないでしょうね・・・・。しかも、自分の希望が通ったからと言って、全てうまくいくわけではないですからね・・・。 [地上波(吹替)] 8点(2008-05-06 21:09:37) |