1. ミケランジェロの暗号
《ネタバレ》 舞台は1938年のナチス勢力下のウィーン。主人公はユダヤ人画商の息子。この画商が行方不明のミケランジェロ作のデッサン画を所有していることを、ナチスが嗅ぎつけ、総統閣下からムッソリーニへのおみやげにちょうどよくね?と没収しようとします。画商一家は、永世中立国スイスになんとか亡命を図ろうとするも、出国は認められず、それぞれ別々の収容所に送られることに。移動時に主人公が乗った飛行機が墜落事故を起こし、主人公とナチス親衛隊員1人が生き残るという映画的な展開となり、主人公はいかに立ち回るのか?主人公の命運やいかに?!と言った内容です。話は史実を背景にした完全なフィクションで、二転三転して、サスペンスとしては面白いのですが、史実の重さとどうもうまく馴染まないような気がして、モヤモヤ感が残ります。バランスの取り方が本当に難しいと思うのですが、もうちょっと生きる死ぬの切実感があった方が、メリハリが効いたのかなと思いました。失敗するリスクも高いですが。 [DVD(字幕)] 5点(2023-10-03 18:25:37) |
2. ミザリー
《ネタバレ》 20年くらい前にテレビ放送で見て以来です。超売れっ子な作家が、雪山で自動車を道から転落させて大けがをし、大ファンの女に助けられ、幸い中の大不幸を体験するというような話です。ファンの女役の凄味もすごいのですが、作家役の細かい表情が素晴らしいです。ファンの女は飯野賢治並みの凄味はあるけど、ブスではないのがいいですね。ハンマーでやっちゃうシーンは、体がよじれました。とてもじっとしてられません。特に2回目に振り回す時の表情がいいですね。下唇の歪み具合が最高です。 [DVD(字幕)] 9点(2023-05-24 19:28:18)(笑:1票) |
3. ミツバチのささやき
《ネタバレ》 スペインというと温かいイメージがありますが、寒々とした乾いた枯れた内陸の村が舞台です。そんな寒村にも、娯楽として映画がやってきます。公民館風の石造りの建物に子供も大人も倚子を持ち寄り、映画が上映されます。そこで映画「フランケンシュタイン」を見た少女の物語です。特に日本の映画に顕著なのですが、往々にして子役が「子供」を演じてしまうことが多いところ、本作にはそれがまったく感じられません。子供たちの格好も、大人のミニチュア版といった風で、子供らしい服とか着てないんですよね。キャラクターがプリントされたシャツとか、ランドセルとか、黄色い帽子とかの子供を示す記号がない世界。そのことが、逆に、寒く、枯れて、乾いたシックな世界の中で、子供らしいちょこまかした体の動きを際立たせていて、心が少し温まる感じで、不思議な対比になっています。で、枯れ木、枯草ばかりで、花らしい花もない世界で、なぜか親父が養蜂をやっているというのが、また、何とも不思議な取り合わせで、不思議な雰囲気を醸し出しているのですよね。主人公は、最初は男の子かと思ったのですが、おとなしいけど秘めてるものがある、黒髪で黒目の大きいかわいい女の子です。姉は金髪で大味な感じ。アナかわいいよアナ。アネ(姉)そうでもないよアネ。 [DVD(字幕)] 8点(2023-04-05 20:46:40) |
4. ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
《ネタバレ》 原作既読です。かなりボリュームがある原作を2時間半におさめているので、全体的に原作に比べると薄味な印象がありますが、映画単体としては、バランス良くまとまっていると思います。映像の雰囲気は悪くないのですが、もう少しクローズドサークルのミステリを解くというワクワク感やゾクゾク感が感じられればなと思いました。原作そのものが、後半尻すぼみな印象があって、基本原作に忠実なので、その部分は致し方ないかなと。配役としては、リスベットにもう少し秘めた華が欲しいかなと思いました。 [DVD(字幕)] 5点(2023-03-02 20:11:56) |
5. ミミック
《ネタバレ》 いわゆる一般名詞の「バイオハザード」によるパニックもので、ストーリーや設定に新しいアイディアは殆ど見られません。そして、サバイバルホラービデオゲームの固有名詞でもある「バイオハザード」ライクな絵作りだなと。背景映像の作り込みはなかなかクオリティが高いと思いました。その一方で、モンスター化したグロテスクな生物を、必要以上に、ヌラヌラ、ギトギト、ベトベト、ネバネバに表現しすぎていて、リアリティが損なわれていると感じました。そのような表現自体「エイリアン」あたりの系譜の延長で新しさが感じられないし、落ち着いたリアリティのある背景に対して浮いてしまっているしで、ちょっともったいないなと思いました。で、一番スッキリしないのが、タイトルにもなっているミミック=擬態についてです。擬態をする意味がまったくないのですよ。こんな最強最悪生物が。完璧ならまだしも中途半端な擬態を行う必然性がまったくないのですよ。う~ん。中途半端な擬態の形態は、進化の過程としてはあり得るのですが、重要なのは、進化の過程の中途半端な擬態状態でも常に連続的に有利であるかどうかです。で、本作品の場合、中途半端に擬態対象に似ることが、有利になるどころか、不利になると考えられるのですよね。擬態対象が他の生物とはまったく異なり、似ているけど異なるものにやたら敏感という性質がありますので。不気味の谷じゃないですが。何故、他の生物や非生物が擬態対象にならなかったのかと言うことになってしまいます。強すぎて擬態する必要が無いと言うことをさておいても違和感があります。 [DVD(字幕)] 4点(2023-02-19 15:53:11) |
6. ミリオンダラー・ベイビー
クリント・イーストウッドがボクシングジムの老経営者役。ウエイトレスのバイトで身銭を稼ぐ30代の女ボクサーが、強引に弟子入りを請い、イーストウッドもついには折れるという流れ。おそらく、終盤の展開があった上で、逆算して、感情移入やリアリティのための前半という位置づけなのでしょうけど、あまりうまく機能していないように思いました。少なくとも私はあまり感情移入ができませんでした。ボクシングという、スポ根の中でも王道中の王道を扱った割には、薄味というか、熱さをあまり感じなかったのですよね。タイトル戦の白熱は伝わってきたのですが、逆に言えばそれ以外が鈍くさいというか。母親役の人は、ある意味ホラーかよっと思うくらいゾッとするところがあって良かったと思います。(なんか林眞須美的な狂気が見え隠れしてゾッとしました)ただ、バランスを考えると、女性ボクサーがあまり特徴がないのと対照的に、このバカ家族が、特徴的にバカすぎて、リアリティが感じられないというのもあるんですよね。 [DVD(字幕)] 5点(2023-02-13 19:41:09) |