1. 無法松の一生(1943)
《ネタバレ》 これが戦時中に作られたところが物凄い。当然検閲でカットされたシーンも多いわけで、ぶつ切りになっているのは致し方ないところ。 坂東妻三郎演じる庶民の男っぷりが実に人の良い日本人が好きそうなストーリーで、高評価の理由であろう。 宮川一夫のカメラワークはやや凝りすぎの感あり。 園井恵子さんは知らなかったが、戦前にこんな美人がいたことにびっくり。広島原爆の後遺症で亡くなったのは本当に惜しい。 [CS・衛星(邦画)] 6点(2021-10-11 21:27:54) |
2. ムトゥ/踊るマハラジャ
《ネタバレ》 いやあ、これはのっけからやられたね。濃厚でテンポが良くて、何よりエネルギッシュ!これぞインドだ。 これを観た後に日本の映画なんてみたら、ウジウジじめじめ辛気臭くって仕方がないほど。 早口のタミル語のテンポ、人間くさい女性陣、何よりタオルを振り回すだけのおっさんのかっこいいこと!途中から出てくる聖者も交えてスピリチュアルな次元まで行っちゃっているのも良い。 尺が長すぎてダレるけど、物語も分かりやすくて面白い。この刺激にもっと浸りたいなら、迷わずインドへ行け!ってコロナで無理か。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-03-30 20:08:09) |
3. 息子(1991)
《ネタバレ》 もう30年も前の、まだ元気な日本に人びとが浮かれて躍らされていたころ、こんな丁寧でゆったりとみられる映画があったんだね。山田洋次監督はじつに人間が分かっている人だ。 三國連太郎と永瀬正敏がじつに平凡な日常を好演していて、いかにも誇張された最近の映画とは違って感情移入できる。まぁ田中邦衛演じる文句タレのダメ人間系もたくさん出てくるのでポジティブな気分にもなれないが、そこがまた違和感がない。 ただし、聾唖である和久井映見演じる女性(こんな可愛い子があんな無邪気な笑顔でいたら悪い男にさらわれかねない)との結婚生活は、思っているほどヤワなことではない。そこを差し引いてハッピーエンドで良かったメデタイ!などと浮かれてはいけない。雪が降る極寒のなか三國連太郎がひとり孤独に耐えなければならないように、現実は晴れの日ばかりではないのだから。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2018-11-30 20:48:59) |
4. 無伴奏
《ネタバレ》 原作未読。この監督作品は初めてでまったく期待しないで上映後のトークショー目当てで行った。 全体的な雰囲気は学園紛争期の昭和をイメージした、かなり抑え気味で叙情豊か。自分の中でドストライクに近いのに、肝心のストーリーがめちゃくちゃだった。もっとまともな脚本ならまだ良かったのに、原作があるから仕方ないのかね。 日本のメディアってどうして悲劇に向かって歩みを進めてしまうのか。かといって安易なバカ騒ぎ映画よりまだマシだけれど。 現実感のない事件を起こさなければ売れないでしょとか考えずに、日常風景のなかで丁寧に物語を紡いでほしいもんです。 そうじゃなかったら、演じる俳優も感情移入できずに苦しむことになる。長い目で見たら潰していくことになる。 主演男優2人の低く心地よい発声と、成海璃子の魅力を再発見したことは収穫。 (後談)トークショーでは成海璃子と矢崎監督が登場。かわいそうに裏表がない人などと監督から評されていた成海璃子は、強気なロボットなどではなく、表情がくるくる変わり、思い悩むひとりの若い女性だった。そういえばまだ20歳前半なんだよな。こんな稀有な人がこの国にいること自体が奇跡だと思った。 [映画館(邦画)] 5点(2016-04-17 09:19:46) |
5. ムーラン・ルージュ(2001)
まさに21世紀のミュージカル映画。序盤からハイテンションでめまぐるしいテンポと激しいカット割に圧倒され、ややついていけない部分もあったものの、後半になるにつれて評価を高めました。シンプルなストーリーと幕引きの良さはいいですね。有名な曲が多いので、ミュージカルが好きでない人も一度は見ておいて損はないと思います。 [ビデオ(字幕)] 4点(2006-02-14 17:11:50) |