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1.  メアリと魔女の花 《ネタバレ》 
先に点を言う。5点だ。5点というと自分の場合、賛と否が半々な訳だが、今回は長くなるので酷評が大半となります。褒めるべき所はあるが、他の方々のレビューにお任せしたい。 何とも平坦に感じてしまう作品である。全く可愛くない猫と延々と行動を共にする意味も分からない。魔女だからって黒猫と行動を共にしなきゃいけないという固定概念を押し付けられている様で、総合的にこの作品からは新しいものを作ろうという気概が伝わってこない。 世界観とは登場人物がその世界をどう感じているかという事…なんて話を、とある人が語っていた。その時はピンと来なかったが、この作品を見て少し分かった、というかすごく重要な事なんだなと気付いた。メアリはこの家に預けられているらしい。親兄弟は全く出て来ない。この老婆が誰かも分からない。とりあえずメアリは退屈らしい。そこから何となく猫や人に出会い、花を発見し、魔法を手にし、空を飛び、魔法の世界へ…一連のくだりを見ていると、メアリがそれら事象と遭遇するだにどんな感情をもって接しているのか伝わってこない。表情が一定、うわっとか言うけどどう思ってるかも口にしない。感情の変化が伝わってこないから、見ているこちらの感情も動かない。我々はメアリと共に淡々と変化する事象の中に置かれているのみである。これでは感情移入も感動も出来ない。ピーターはのちに重要な役割を担うキャラなのだが、メアリがピーターをどう思っているかすら伝わってこない。とりあえず口喧嘩をし、とりあえずピーターが巻き込まれ、とりあえず約束したから助けなきゃと奔走し、とりあえずピーターが手にしてしまった魔法を利用する。そんな行き当たりばったりのために用意されたキャラにしか感じられないのだ。ピーターがどんな人物かもまるで描かれず、最初の印象で感じの悪い人物のまま話が進行してしまう事に大きな問題点がある。見ているこちらは何が何でもピーターを助けて欲しいと本来思わなきゃいけないんだろうに、残念ながらそうはならない。この作品のテーマ・期待は「メアリが魔法をどう使うか」と「ピーターの救出」以外に無いのだ。魔法によって世界が滅亡してしまう訳でもなく、魔法を背景とした切っても切れない大切な縁がある様にも見受けられない。そんな大きなものは担っていない。ならば何としても主人公メアリはまず「メアリなりの魔法の使い方で解決」しなきゃいけない。それが使い古された魔法モノを描く上での重要な個性となるからだ。そして「絶対にピーターを救出しなければならない理由」が発生しなきゃいけない。単に一緒に帰ろうと約束したからなんて軽すぎる。好感の持てる人物になってもらわないと、見ているこちらが応援しきれないのだ。ではどうやって救出したかというと、あろう事かメアリは切り札である花と本を奪われ、魔法を失ってしまうのだ。卓越した身体能力がある訳でもなく、動物を操る能力がある訳でもない。メアリには魔法しかないはずだ。魔法を失ってからのダラダラした展開は見ていて退屈を通り越してイラつきを覚えた。救出すべきピーターが目の前で変異し始めているにもかかわらず、敵であるはずのマダムと肩を並べておたおたしていてどうする。いつ魔法を取り戻すのかと期待していたら、結局ピーター自身の力で解決させるという何ともあっけない幕切れ。魔法なんていらないと言いながら魔法のほうきで飛んで帰る二人。この物語は一体何を我々に伝えたかったのだろう。テーマは何だったのだろう。「とりあえず頑張れ、付き合いの浅い人との約束でもきちんと守れ」って事なんだろうか。せめて愛するピーターを何としても奪還するという決意、心の叫びを聞きたかった。ひたすら流れに乗って、とりあえず約束を守るために奔走し、助けて帰還…という残念なあっさり感。猫の恩返しを連想した。ジブリ作品に例えるのは失礼だと思って避けようと思ったが、なぜ宮さんの作品が人の心を動かすのか今一度研究してみて欲しい。主人公達の「世界観」が生き生きと伝わってくる事に気付くはず。同じ引っ越しからの導入にしても、さつきメイと千尋の気持ちの違いはどう描かれているか。ただ表情や動きだけでなく、広い空の下で大暴れしながら優しいお父さんの明るい声が聞こえてくるか、狭い車の中に押し込められ母親の小言を聞かされるか。ジブリ双璧の傑作2編を並べてもこれだけ見事なコントラスト。そしてのちに起きる出来事に対し、抱くのは「期待」なのか「不安」なのか。そこからどう世界観は変化していくのか。見ている我々もそこに同調して感動するのだ。酷評しまくったが、アニメーションはよく動くし綺麗だし頑張ってるのでそこは加点したい。そんな訳で、大まけにまけての5点。
[地上波(邦画)] 5点(2018-10-04 02:43:56)(良:1票)
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