1. モンゴル
《ネタバレ》 浅野がモンゴル人に見えないという意見も多いようですが、もうすこしよく考えてみましょう。少年のテムジンが突然「浅野」に切り替わったとき、あまりにも唐突で少しおかしいと思いませんでしたか?浅野は自分のことをテムジンだと名乗っていますが、そんなに簡単に信じていいのですか?子供のころのテムジンの面影がまったくありませんし、どう見ても日本人にみえます。常識で考えるならば、この日本人はテムジンに成りすましていたと見るのが妥当だと思いませんか?ここまで言えばもうわかった人がいるでしょう。そうです、この日本人こそが日本からモンゴル大陸に渡ったあの義経なんです! だから浅野がモンゴル人に見えないのは当然なのです。私の推測だとおそらく「五条霊戦記」で浅野が義経を熱演していたことから今回オファーが出たのだと思う。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-04-03 21:17:43)(笑:1票) |
2. 殯の森
《ネタバレ》 介護士のマチコさんと認知症のシゲキさんがずっと森のなかをさ迷い歩き続ける物語です。だからお世辞でもわくわくするような面白い映画だとは言えません。舞台になっている場所は美しい自然に囲まれており観光には最適ですが、住むとなったら厭世観を味わいそうです。すずむしの鳴き声が、いっそう寂しさに拍車をかけています。マチコさんはシゲキの暴走に付き添うような形で、森に入り込んでいくのでした。ドストエフスキーの小説に「白痴」という理想の人間を描こうとした野心作があります。人間は白痴になることによって、自意識や欲がなくなり、無垢な子供のように戻ります。映画「フォレストガンプ」然り。河瀬監督は、シゲキさんに理想の人間の姿を求めたのだと思います。ただ私のような未熟な人間ですと、怒りのあまりに老人の背中にとび蹴りを一発食らわせて、「川で溺れてくたばれクソジジイ」と罵りたくなります。すでに私はシゲキに対して殺意すら覚えていました。しかしマチコさんの彼に対する態度はまるで聖母です。しだいに私は自分の心の醜さが恥ずかしくなってきました。鬼ごっこのシーンでも分かるように、マチコさんはボケて子供返りした老人に、亡くなった我が子の姿を投影させていたのだと思います。彼女の演技には素晴らしい母性が感じられました。シゲキさんもまた、マチコさんに亡き妻の姿をだぶらせていました。2人はお互いの存在を通じ、亡くなった家族を想い偲んでいたのでしょう。それから言葉が聞き取りにくいという意見はもっともなのですが、この監督さんは「言葉」をさほど重要視していないのだと思います。わが国では、言葉のあふれかえった「テレビのような映画」が氾濫しています。しかし映画の原点とは、画を見て感じ取ることではないでしょうか。いずれはフランス人ではなく、日本人自身がこのような映画の価値を認めることができる日がくることを願っています。 [DVD(字幕)] 10点(2009-01-13 20:37:03)(良:1票) |
3. 萌の朱雀
《ネタバレ》 ひとことでいえば愚直で純粋な映画。フランスの慧眼によって表舞台に出てこなければ一生お目にかかることができなかった映画。観客のノスタルジーを刺激する映像がとても美しかった。私のように今でもこういう場所の近くで住んでいる人間にとっては、かなり痛い映像でもある。ちょうど文化大革命期の中国において、反革命分子の子が再教育のために、奥深い山村へ飛ばされる、そういう場所の映像を思い出してしまった。都会の人間にはさぞかし癒される光景だろうが、実際にそこに暮らす人々にとっては、吉幾三の歌ではないが切実な問題なのです。過疎化は過去の遺物ではない。スズムシの泣き声は都会暮らしの人間にはさぞかし風流だろう、しかし私の住む場所では、スズムシだけではなく、近くの田んぼでカエルまでがゲロゲロ鳴いている。ちょうど「カサブランカ」という映画において、兵士たちがドイツ国歌とフランス国歌を張り合うように歌う名シーンがあるが、それと同様にスズムシとカエルが競い合うようにハーモニーを奏でている。嫌になってくる。家族構成も新鮮だった。無職で無気力なダメオヤジと、すぐに逝ってしまいそうなバアさんがいる。これで老人がボケたら目も当てられない大惨事になるのは火を見るより明らかだ。都会ならば一瞬で家族崩壊であろうシュチエーションでも、田舎ではそう簡単には壊れない。俳優陣は9割が素人。まったく演技せず、素で喋っているので、もごもご何を言っているのかよく分からないけど、特に理解する必要もないとおもう。そういう映画じゃない。なにかを感じる映画です。鉛色の空色や、食卓の場面で開けた障子の合間に見える山々の頂が目線の位置にあること、充分に共感できた。久しぶりに見ごたえがある映画と出会えたと思っている。 [DVD(邦画)] 9点(2008-09-15 20:30:58)(良:1票) |
4. モーターサイクル・ダイアリーズ
《ネタバレ》 「旅行もの」としても純粋に楽しめました。彼らの旅行はかなり無謀。それは猪突猛進的な旅行であり、若者特有の怖いもの知らずの行動であり、歳をとって過去を振り返れば「若気の至り」という言葉で笑ってすませることもできるような体験なのでしょう。少し呆れたのは何度もバイクで転ぶシーン。学習能力が足らないですね。彼らが旅行する道は、道とは言えないところばかりだったから、逆によかったのかもしれない。もし日本のかたいアスファルト道路であんなに転んでいたら即死です。無茶な運転ですが、あの様子からも、あふれ出るエネルギーをどうしていいか分からない若者らしさが出ていたようにおもいます。旅行中は、雪が降ってきたり、台風でテントが飛ばされたり、大雨が降ってきたり、灼熱の砂漠を歩いたりと、わざとらしいくらいに、ありとあらゆるシュチエーションが用意されていたのが笑えました。不安と期待が入り混じった本当の旅行の楽しさを味わうことができる映画だとおもいます。今の日本のように道路も整備されて、バスも電車も車も何でもあって、そのうえにカーナビまで揃っている現代では便利な旅行はできるでしょうが、便利であるがゆえに何か寂しい気もします。この映画をみて本当の旅行の楽しみを実感できました。 [DVD(字幕)] 7点(2007-03-09 23:35:06) |
5. モンスター(2003)
「世界でもっとも美しい50人の女性」にも選ばれたセロン。ただし美人がブスに変わったことだけが見所の映画では決してないと思う。 実話では、アイリーンの精神的な心の支えとなったセルビーはもっと悪人だった。この映画の宣伝文句「なぜ愛を知ってしまったのだろう?」という台詞からも分かるようにセロンの存在はこの映画に限っては、アイリーンの殺人動機の1つとして考えられて人物像が作られている。ここまで「飢えた愛」に焦点を当てられたのは、女性の監督だからかもしれない。アイリーンの過去は、精神障害の父親の自殺や、アル中の母親が育児放棄、それに近親相姦の繰り返しなど、たしかに不幸はあったが、だからといって 「生きるためには娼婦になり人を殺すしか方法がない」とは思わない。思わないのだけど、そんなつまらない常識を殺人犯のアイリーンにぶつけて「あなたの考えは間違っていますよ、同情の余地なんてないですよ」なんて言うつもりも、さらさらない。この映画を褒めたいのは、モンスターである主人公の行動を肯定もしていないし否定もしていないところ。 悪い家族環境が悪い人間を作ることはよくあるが、中にはそういう劣悪な環境から抜けだして光のある道に進める人も大勢いる。 アル中の父親から何度も殺されそうになったり、母親が父親を射殺するという経験をもつシャーリーズ・セロンがその1人ではないだろうか? もしかしたら彼女は、自分も一歩間違えればアイリーンと同じような売春婦の道、悪の道に突き進んでいたと思っていたのかもしれない。 そして頑張れば再生できたかもしれないのになぜアイリーンはモンスターになってしまったのだろうかという無念の思いもあったのでは?セロンの執念にも似た演技を見ていると、彼女が持っている重い過去がアイリーンを通して伝わってくる。美しさと心の強さを秘めたセロンが大切な勲章を手にした記念すべき作品を心から祝福したいです。 [DVD(字幕)] 9点(2005-06-11 20:41:33)(良:1票) |
6. モーヴァン
《ネタバレ》 最初はトンデモ女だと思っていたけど、モーヴァンという女性にはリアリティがあるかもしれない。 恋人が自殺したのに驚きもせず、悲しみもせず死体を放置したまま夜遊びに出かけていくところなどは「異邦人」のムルソーを思い出させてそこで興味を持った。 また恋人が葬儀代金として残したお金を通帳から引き出してスペイン旅行に行くなど、一貫してモーヴァンにはモラルがないが、だからといってこの女性が良心というものが欠けている悪党にも思えない。 異常者にも見えない。 自分の心のままに行動しているように見える。 しかし多くの人間は神さまを信じないまでも何か見えない力というものを信じていて、それを恐れそれが良心を形成したり欲望の抑止力となる場合があるがモーヴァンにはそれがない。 だから彼女を見て虚無主義者だと感じる人もいるのかもしれない。 モーヴァンという女性の見方はさまざまだと思う。 ハリウッド映画のように娯楽的要素のまったくない映画だけど、感性に訴えかけてくるような作品。 それと主人公のモーヴァン役の女性はクールでタフネス、目が強く抜群の存在感だった。 8点(2004-11-21 19:18:03) |
7. モンスターズ・インク
《ネタバレ》 ガーーン! びっくりした! こんなにも面白いなんてショック。シュレックのほうが有名俳優を声優に起用して話題を集め、実際に面白かったけど、それで満足していた情報不足の自分にショックを受けた。 まさかそのはるか上をいくアニメが存在したなんて知らなかった。 ピクサー? それもはじめて聞いた・・。 私の場合、CGにびっくりするよりもこの物語のストーリーの秀逸さにびっくりした モンスターの世界では子供は毒のような存在で触っただけでも危険だという思い込みで怖がる設定に引き込まれた。 背中に子供の靴下をくっつけていたモンスターが消毒されるところは久しぶりに大笑い。 そしていつの間にか子供を好きになってしまった主人公モンスターにほろりとさせられたし・・。 あのブーが死んだと思い込んでしまったときの気絶したようなモンスターの顔の表情が最高! 親友のギョロ目モンスターもいい味だしている。 あのひとりボケひとり突っ込みは面白すぎる(笑) 2人が人間世界に追いやられて仲たがいしたところの描写をもっと見たかったと思う。 誰かも言っていたけどこの映画はセリフが分からなくても充分にストーリーが分かるし、顔の表情やしぐさだけでも感動できる素晴らしい映画。 危うくこの映画を見落とさなくて良かったと思います。 9点(2004-09-18 09:21:41)(良:1票) |
8. 目撃(1997)
駄作を目撃してしまった!! [映画館(字幕)] 2点(2003-10-28 00:40:17)(笑:1票) |