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1.  ヤッターマン(2008) 《ネタバレ》 
三池崇史監督によるアニメの実写化作品は「忍たま乱太郎」を見ていて、アニメを小学生の頃に見ていたためか、思ったよりは楽しかったのだが、こちらはオリジナル、リメイクともにちゃんと見ておらず、正直どうかなと思っていたが、アニメを見ていなくてもアニメの雰囲気を実写で再現しようというのが伝わってきて、原作のアニメが大体こういう雰囲気というのは分かるし、「説明しよう」のナレーションは幼い頃に見ていた別のアニメでも使われていたので懐かしかったし、主役であるヤッターマン1号と2号が「ドラゴンボール」に出てくるグレートサイヤマンの元ネタであるというのも納得できる。全編内容はバカっぽく下ネタも全開なのだが、まあそれなりに楽しめた。ヤッターマンよりも三悪のキャラクターのほうが立っているのだが、これもアニメに忠実なのだろうと思うし、中でも公開当時話題になっていた深田恭子のドロンジョは女王様キャラのようでありながらどこか憎めない可愛さもあり、評判通りのはまり役だった。三悪のインチキ寿司屋のシーンでアニメで三悪を演じている小原乃梨子、たてかべ和也が笹川ひろし監督と一緒にカメオ出演しているのがなんかツボだった。(さっきも書いたようにアニメをちゃんと見た事がないので、このトリオで思い出すのは藤子アニメだったりするのだが。)ただ、この内容での90分超えはちょっと長く、とくにクライマックスの博士(阿部サダヲ)とドクロベエ(声:滝口順平)の対決は仕方ないにしろ、絵的には阿部サダヲの一人芝居のように見えてしまい、ちょっと退屈だった。でも、全体的な雰囲気は嫌いではなく、機会があればアニメも見てみたいと思った。
[DVD(邦画)] 5点(2022-10-15 23:01:38)
2.  危いことなら銭になる 《ネタバレ》 
中平康監督による犯罪コメディ映画。本作に登場する主要人物4人はそれぞれどことなく「ルパン三世」のレギュラーキャラ(宍戸錠=ルパン、長門裕之=次元、草薙幸二郎=五右衛門、浅丘ルリ子=不二子)に似通ったところがあり、作風も漫画チックな喜劇で、まさにアニメをそのまま実写にしたような荒唐無稽さのある映画だが、それがとても楽しい。脚本に加わっている山崎忠昭がのちに「ルパン三世」にも参加しているというので納得したが、にせ札をめぐるストーリーというのも「カリオストロの城」をつい連想してしまった。(「カリオストロの城」の脚本にはこの人は参加していないのだが。)「あいつと私」でも思ったのだが、中平監督は本作でも登場人物たちに早口でセリフを喋らせていて、展開もスピーディーなのだが、このテンポの良さがちょうどいい感じになっていて心地よい。ラストのオチまでもいかにもマンガ的なのが最後まで作風が一貫していて逆に良かった。宍戸錠の主演作を初めて見た気がするのだが、三枚目のコミカルな役どころが意外に合っていて面白いし、ショートヘアの浅丘ルリ子が明るくて可愛らしい。いつもはクールな印象が強くこういうイメージがあまりない女優だけにこれがまた新鮮に見えた。彼女が銃撃戦のあとに死体を見て嘔吐をするというシーンは確かに邦画では珍しい気がするが、これも中平監督のこだわりのひとつなのかもしれない。にせ札を作る贋作の名人を演じた左卜全とその妻を演じる武智豊子もいい味を出していて、とくに二人で西部劇ごっこに興じているシーンはお茶目で微笑ましい。映画としてはけっして傑作というわけではないのだけれども、肩の力を抜いて気楽に見られる娯楽映画で、個人的にはとても気に入った一本だった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-11 18:06:31)
3.  野獣死すべし(1959) 《ネタバレ》 
仲代達矢が主人公 伊達邦彦を演じる東宝の「野獣死すべし」。やはり以前に見た松田優作主演の角川映画とは印象がだいぶ違うのだが、本作のほうがシンプルなつくりで、分かりやすく、かつ当時は日本映画ではまだ珍しいハードボイルド映画の雰囲気も角川版よりもあり、こちらのほうが自分としては好み。本作の伊達邦彦は角川版以上にギラギラしていて、演じる仲代達矢の癖の強さもあって、何を考えているか分からない怖さがよく出ている。それをいちばん感じるのは花売りの老婆(三好栄子)とのやり取り。伊達から強要されて踊り続ける老婆を見つめるあの眼の演技は仲代達矢ならではで、これだけで伊達邦彦という男の怖さや冷酷さをすごく感じられた。それにこのシーンはこれが最後の出演作となる三好栄子も迫真の演技を見せていてとても見ごたえがある。予告編で20代スタッフを中心に制作というのを強調していたが、まだデビュー間もない須川栄三監督は白黒画面をフルに活かしていて、さきほど書いた映画のハードボイルドな雰囲気をうまく映えさせているのがうまい。それに、犯罪映画としてだけではなく、刑事映画としての面白さもあると思う。ただラストが尻切れトンボのような感じになってしまっているのはちょっと残念だった。
[DVD(邦画)] 8点(2014-05-15 18:36:39)
4.  やればやれるぜ全員集合!! 《ネタバレ》 
ドリフ映画第2作。ちょうど「8時だよ!全員集合」が放送を開始したころに作られていて、三木のり平ふんする駅長を主人公にしていた前作とはうってかわって本格的にドリフが主演をしている。冒頭で五人はそれぞれの成功を夢見てバラバラになり、前半はいかりや長介と加藤茶の絡みが中心に描かれている。このころから加藤茶はいかりや長介のいじられ役になっているのだが、このシリーズではずっとこのパターンなのだろう。ほかのメンバーは後半になってから合流するが、ドリフ全員のコントシーンは見ていて楽しい。しかしやはりテレビの彼らを知っている故か、映画だとなんかイマイチ物足りない。脚本にデビュー前の森崎東監督が参加しているが、彼らしい破壊的な笑いもなく至って平凡。ラスト近くでドリフのメンバーを逮捕する警官役が犬塚弘、安田伸、石橋エータローというナベプロの先輩グループであるクレージーキャッツのメンバーだったのが印象的。(彼らが画面に登場するとなぜかホッとする。でも、加藤茶を逮捕するのは殿山泰司だったりする。)それにワンシーン出てる田中邦衛が強烈だった。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-16 01:17:34)
5.  鑓の権三 《ネタバレ》 
篠田正浩監督の近松ものというと「心中天網島」が思い浮かぶが、斬新な演出を駆使していたあちらに比べ、かなりオーソドックスな作りで分かりやすい映画になっている。「心中天網島」が個人的にいまいちだったのであまり期待をしていなかったのだが、安心して見ていられた。宮川一夫の撮影や、美術協力としてクレジットされている西岡善信(美術は粟津潔)の仕事が素晴らしく、映像は美しいし、おさゐ(岩下志麻)の縁側でのシーンや、障子を背にした影だけで描かれるおさゐと権三(郷ひろみ)のやりとりが印象的。ただ「槍の権三」というタイトルのわりには権三の槍の名手というすごさがイマイチ伝わって来ない。郷ひろみはこういう映画の主役を演じるにはどうかと思っていたが、けっこう頑張っていると思う。同じ年に公開される「極道の妻たち」の姐さん役があたり役となる岩下志麻のほうはさすがに演技は安定しているが、既に貫ろくがついてしまっており、既に極妻のイメージにかなり近づいてしまっている。だから、成り行きとはいえ、郷ひろみのような男と駆け落ちするような女にはとてもではないが見えない。はっきり言ってこの役、岩下志麻にふるならもう少し彼女が若い頃にやっていたほうが良かったのではと少し思ってしまうのだが。
[DVD(邦画)] 6点(2012-08-09 23:22:19)
6.  やじきた道中 てれすこ 《ネタバレ》 
先週見た同じ平山秀幸監督の「必死剣 鳥刺し」はシリアスな本格時代劇だったのに対し、それ以前に作られた本作は落語をベースにした道中もので肩の力を抜いて気楽に楽しめるコメディーに仕上がっている。冒頭から「近松物語」のパロディーに始まるのだが、そこからもう引き込まれ、一気に見てしまった。中村勘三郎、柄本明の弥次喜多コンビと小泉今日子演じるお喜乃のやりとりが見ていてなんとも楽しい。中でも柄本明のコメディアンぶり。この人は志村けんのコント番組でコントをやっていたことがあるのだが、この映画でも忠臣蔵の舞台で浅野をやっているシーンで松の廊下で吉良を刺してしまうなどコメディーリリーフとしての存在感はじゅうぶんで、大いに笑わせてくれる。お喜乃を演じる小泉今日子もハマリ役で、アイドル時代の主演映画「快盗ルビイ」(和田誠監督)で助監督だった平山監督が小泉今日子の見せ方を分かっているのか、既に40を超えているのにそれよりだいぶ若い役を演じていてもほとんど違和感をあまり感じないし、逆に魅力的だなと思った。ラスト近くで弥次さんが死んだ妻子の夢を見るシーンはほろりとさせられるが、「雨月物語」のパロディーのようでもあり、笑えるシーンでもある。とにかく本当に何も考えずに楽しむことができた映画だった。平山監督は「愛を乞うひと」や「必死剣 鳥刺し」のようなシリアスな映画もいいが、こういった肩の力を抜いて楽しめるコメディー映画のほうがより本領を発揮できる監督なのではないかと思う。
[DVD(邦画)] 8点(2012-07-12 11:28:52)
7.  夜叉 《ネタバレ》 
高倉健のヤクザ映画を見るのは「冬の華」に続いて2本目だと思うが、ひょっとしたら刺青を入れている健さんを見るのははじめてかもしれない。ヤクザ稼業から足を洗い、刺青を隠して妻のふるさとで漁師として生きる男を演じているのだが、なかなか味があってカッコイイし、ビートたけしとの共演は当時かなり話題になったんじゃないかな。この頃の健さんの妻役と言えばいしだあゆみという印象が強いが、本作でもやはりいしだあゆみで、それに飲み屋の女主人である田中裕子が絡むという微妙な三角関係が見ごたえあるし、包丁を振りかざして田中裕子を追いかけ回すたけしの演技もいかにもこの人のキャラに合っていて良かったし、なにより、音楽の使い方や美しい海の映像が見事にマッチしていて雰囲気的にはかなりいい。でもちょっと演出や脚本に難があるのが惜しいかな。とくに最後、田中裕子が妊娠したことをにおわすシーンはやや不要だった気がして後味が少し悪い。(このシーンの田中裕子の笑顔はなんかこわかった。)田中裕子はのちに「ホタル」で健さんと夫婦役を演じてるが、本作を見た上であの映画で夫婦役をやったことを思うと何か妙な気持ちになる。(それを考えれば本作で田中裕子がやっている飲み屋の名前が「蛍」というのが興味深く思えるけど。)いしだあゆみは抑えた演技でなかなか良く、とくに健さんが大阪へ旅立つ前の夜の健さんとのやりとりが印象的だった。
[DVD(邦画)] 6点(2010-09-21 14:34:14)(良:1票)
8.  野獣死すべし(1980/日本)
「蘇える金狼」に続く村川透監督、松田優作主演の角川映画で、村川監督の映画では最後の松田優作主演作になるのかな。原作(未読)とはだいぶ違う設定らしいが、このコンビの映画では雰囲気的にはいちばん良かった。しかし、前半部分は大して面白くもなく、2時間越えないのに少し冗長な印象があり、村川監督の演出も雑なので退屈に感じた部分も多い。クライマックスの深夜地下鉄の中で繰り広げられる松田優作と室田日出男のやりとりはかなりの緊迫感があり、ここがこの映画のいちばんのみどころのように思う。鹿賀丈史も若くておそらくまだあまり知られていないころなんじゃないかと思うが、存在感のある演技を見せていて印象的。(出演者のクレジットが彼がトメだったのには少々驚いた。)劇中に流れるクラシック音楽に雰囲気作りがだいぶ助けられているような印象もなくはないのだが、まあいいだろう。同じ原作はこれ以前にも東宝が仲代達矢主演で映画化しているが、そっちのほうも見てみたいと思った。たぶん本作とはだいぶ違うんだろうなあ。
[DVD(邦画)] 5点(2010-07-27 02:58:05)
9.  破れ太鼓
木下恵介監督がバンツマを起用して手がけた喜劇。冒頭なかなかバンツマ演じる頑固親父を出さずに家族の彼に関する会話だけでどんな人物なのか見ている側に想像させる構成はなかなかうまく、いざバンツマが登場した時のインパクトも大きい。そのバンツマの雷親父ぶりもその存在感と相まってすごく、見ていてとても迫力のある演技をしていて、豪快さの中にコミカルさも漂わせていて、「無法松の一生」や「王将」とはまた違った印象がある(背広にネクタイ姿というのも新鮮だった。)が、やはりラスト近く、次男の弾くピアノを聴きながら昔を思い出して泣くシーン、いかにも木下監督らしい叙情的ないいシーンであるが、木下監督の演出に見事に応えて見せたバンツマの演技がとくに素晴らしく、とても感動し、あらためて名優と感じた。もちろん木下監督のコメディー・センスも発揮されていて、演劇の練習をしている次女(桂木洋子)や、大泉晃演じる三男もどこかコミカルで、また主題歌もこの主人公の性格をよく表していて面白い。これを作った音楽担当の木下忠司が俳優として次男役で出演しているのはビックリ。さっき書いた主人公が次男のピアノを聴くシーンで、自らの思いをぶちまけた父親に対してこの次男がかける言葉もまた感動的だった。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-04-01 18:44:06)(良:1票)
10.  野性の証明
たった一人や二人を殺すために戦車隊まで出すのはいくら映画といえども大袈裟すぎると思うし、全体的に見ても大味で散漫な印象が強く良くも悪くもいかにも角川映画らしい大作映画という感じ。しかし、確かに悪役のキャスティングは絶妙で三国連太郎は見事なハマリぶりで、やっぱりこういういかにもワルという役をやれば非常にうまい役者だと思う。それから、成田三樹夫の声の良さにもしびれた。松方弘樹のやくざみたいな自衛隊員もはまっていたが、この映画では自衛隊を徹底的に悪として描いているのでこれが原因で翌年の「戦国自衛隊」で自衛隊からの協力が得られなかったのかなと思ってしまった。主人公を演じる高倉健ももちろんカッコイイのだが、中野良子には対してあまり魅力を感じなかった。これがデビュー作となる薬師丸ひろ子は可愛く、この頃から既にアイドルとしての素質はじゅうぶんにあったと感じる。
[DVD(邦画)] 5点(2008-12-31 13:14:09)(良:2票)
11.  無宿
アラン・ドロン主演の「冒険者たち」を焼き直した勝新太郎と高倉健の共演作で監督は勝新が「旅の重さ」に惚れ込んで抜擢したという斎藤耕一。「旅の重さ」が瑞々しい青春映画だったのでちょっと心配だったが、大物スターの共演作で感じがちな大味感や冗長さが感じられず、逆に「冒険者たち」にもひけをとらないなかなか完成度の高い作品になっていると思う。勝新と健さんは二人並ぶとなにか異様な迫力を感じてやっぱり二人とも存在感のあるいい俳優だと思ってしまうが、やはりこの監督は「旅の重さ」でも思ったけど、今回も海や砂浜の映像が美しく、風景描写のうまい監督だとあらためて感じた。ヒロイン役の梶芽衣子は本作で初めて見た。聞くところによると、アクション映画で主役を演じていたり、東映のヤクザ映画に何本か出てるみたいだけど、この映画ではそんな感じは全くなく、全編に渡ってどこか儚げな感じでラストのあのやりきれない悲しげな表情が印象的ですごく良かったと思う。これも「旅の重さ」で高橋洋子の瑞々しさを見事に引き出していた斎藤監督の腕だろう。映画の全体的な雰囲気も「旅の重さ」同様良かった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2008-08-11 02:39:18)(良:1票)
12.  八つ墓村(1977) 《ネタバレ》 
横溝ブーム真っただ中に作られた野村芳太郎監督による「八つ墓村」。これまでに二度ほど見ているが、改めて久しぶりにDVDで再見。前回見たときはちょうど市川崑監督のシリーズを見ていた頃だったこともあって、作風や雰囲気の違いも含めて楽しめたのだが、久しぶりに見返すと面白いことは確かなのだが、大作映画にありがちな冗長さや粗が少し気になり、脚本的には微妙に感じてしまったのも事実。しかし、任田順好演じる濃茶の尼や、要蔵(山崎努)の32人殺しシーン、犯人と露見した後の美也子(小川真由美)が怪物のような顔に豹変して洞窟内で辰弥(萩原健一)をひたすら追いかけるクライマックスなどは今見てもじゅうぶんにインパクトがあり、オカルト・ホラー調の作風も相まってとにかく怖い。このインパクトの強さと怖さという点ではおそらく今まで見た横溝映画の中では群を抜いていて、やはり本作がいちばんだろう。そんな中、金田一を演じているのが渥美清というのが一種のカンフル剤になっていて、彼が演じる金田一が出てくると、なにかホッとするし、下條正巳も出ているので、怖い映画なのにどこか寅さん的な雰囲気もあるという不思議な映画になっているし、もし、寅さんが旅先で殺人事件に遭遇したらというあり得ないシチュエーションもつい考えてしまい、それが楽しい。もちろん、この渥美清の金田一に否定的な意見も多いとは思うが、やはりこの不気味さや怖さが目立つ本作の金田一役にあえて渥美清をキャステイングしたというのは正解だっだだろう。それともう一つ、本作は吉岡秀隆のデビュー作でもあるのだが、落武者のひとりを田中邦衛が演じており、同じシーンに出てくることはないが、のちに「男はつらいよ」や「北の国から」で長く共演する二人の名優とデビュー作で既に同じ映画に出ているのはもう縁というものを感じずにはいられない。(2021年5月8日更新)
[DVD(邦画)] 7点(2005-04-12 23:35:04)
13.  柳生一族の陰謀
深作欣二監督が最も脂の乗り切っていた頃に手がけた時代劇大作。時代劇でありながらテイストは完全にヤクザ映画である。(ってよく考えたら自分あまりヤクザ映画見てないけど・・・・。)出ている役者がみな若い。とくに真田広之が一瞬誰だか分からなかったほどだった。そしてやはり柳生十兵衛といえば千葉真一だろう。まさしくハマリ役。公家の成田三樹夫もすごい印象に残った。でもこの映画の見所はやはりラストシーンだろう。「夢じゃあ、これは夢でござある。」と生首を持って叫ぶ錦之介の姿が脳裏に焼きつく。アクション映画の傑作。
[ビデオ(邦画)] 10点(2005-03-28 22:57:57)(良:1票)
14.  八つ墓村(1996) 《ネタバレ》 
実は市川崑監督の金田一で初めて見たのが本作だったのだが、その時以来の久々の再見。「八つ墓村」といえば野村芳太郎監督が松竹で手掛けた映画のインパクトがあまりにもすごくて印象も強いのだが、野村監督版が現代を舞台にしていたのに対し、この市川監督版は石坂金田一同様戦後すぐの時期を舞台にしていて、おそらく野村監督版よりもこちらのほうが原作(未読)に沿った内容なのだろうと思うし、市川監督の金田一らしさも少しは感じられる部分があり、そのあたりは見ていてなんとなく安心感がある。しかし、映画的なものはあまり感じることができずに、安っぽい2時間ドラマのような印象が強くなってしまったのははっきり言って残念で、野村監督版にあったスケールの大きさはもちろん、石坂金田一にあった大作感もなく非常に小粒で薄い。トヨエツの飄々とした軽い金田一はこれはこれでありだとは思うものの、市川監督の映画だと思うと、金田一の知的な部分が足りず、やっぱり市川監督の金田一は石坂浩二だよなあという感想を今見ると抱いてしまうのも事実。(監督本人もそういう思いがあったのか、この10年後にリメイクした「犬神家の一族」では金田一役に石坂浩二を譲らなかったという。)また、石坂金田一でレギュラー的に出演していた面々が一部を除いて出演していないのも今見るとなんかさびしい。(西村雅彦の役なんてつい三木のり平が演じていそうと思ってしまう。)その中で加藤武が本作でも刑事役で登場して、いつもの決め台詞を言っているのは嬉しいし、結果的に市川監督の金田一全作にこの役で出ていることになるのもすごさを感じるのだが、本作では、金田一役が石坂浩二ではないのに加藤武がいつものように刑事役というのは逆に何かチグハグな気もした。もっとも市川監督の作品で加藤武が刑事役で出ているときは金田一以外でも決まって同じ決め台詞を言うので、実はそんなに気にすることでもないかもしれないのだが。エンドロールにかかる主題歌が全然合っていないのとエンドクレジットが普通のサイズなのも石坂金田一のイメージで見てしまうとこれもけっこう残念に感じる。でも、初めて見た時もそうだったのだが、今見てもやはり岸田今日子が演じる小竹と小梅のインパクトがすごく、これだけは野村監督版を上回っているような気がして、この配役は良かった。(2024年12月26日更新)
[CS・衛星(邦画)] 5点(2005-02-28 10:38:37)★《更新》★
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