1. 雪の華
《ネタバレ》 中島美嘉の『雪の華』は『FIND THE WAY』と共にプレイリスト「超よく聴く曲」の中に入っていて、超よく聴いてたりするのだけど、この映画はあの名曲からよくもまあこんなベタな凡庸な物語しか思いつかなかったモノね、って呆れるレベルね。 昭和の頃の『りぼん』か『なかよし』か、みたいな、小学生同士みたいな恋愛描写はまあまだいいとして(いや、二人とも成人してる設定なのだから相当にアレなんだけど)、限られた命のヒロインがこれまで果たせなかった願いを男にかなえて貰おうとする物語、一体どんだけあんのよ?っていう。過去にも複数あるし、本編前の予告編にも同じような内容の映画があったわ(ってさっき書いたレビューにも同じコト書いたけど)。必ずやりたい事をノートに書くのよね。 ご都合主義だらけの物語は不自然さのカタマリ。キャラを動きやすくするためにヒロインは一人暮らしで仕事を辞めてお金をそれなりに貯めていて。母親は物語上ジャマなので不治の病の娘を基本ほったらかし。主治医は個人情報を家族以外の人間に伝えてしまい(あのメモ手渡しただけでもアウトね)、100万の現金を捻出できないような兄ちゃんはさっくりフィンランド行きの飛行機に乗っちゃう。雪に閉ざされた世界に現地人から止められても無理して徒歩で突入するけれど、全く一切何事も無かったようにヒロインの前に登場。それでも酔えればいいじゃない、みたいな? その上で、寸止めのラストに困惑したわ。そこで終わり?なエンドロールスタート、の後に更にもう1エピソード描かれたと思ったらそこも寸止め。だったらもっとこの先は存在せず生も死も超越して永遠にここで終わりな映像で締めなさいよ、とか思っちゃったわよ。 『雪の華』も葉加瀬太郎のヴァイオリンのインストで二度聴かせるけれど、肝心のオリジナルの歌の使いどころは勿体ないとしか言い様がないし。 でも、中条あやみをたっぷり堪能できる映画、という点では99点!ってところね。 とにかく彼女をキレイに可愛く魅力的に撮るってことに関してはこだわりまくっていて、カメラさん、照明さん、メイクさん、ヘアメイクさん、衣装さんのウデが光りまくり。 そしてもちろん、中条あやみという存在そのものの魅力が輝きまくりで、その輝きを記録したという点では名画だと言えるわ。100点に1点足らないのは映画の中でも最も肝心な大切なシーンが夜の闇の中なので映画のワザが有効にならず、彼女の顔も闇の中に沈んでしまっていたこと。そこは残念。そこはどうせデジタル合成状態だったのだからウソでも輝かせて良かったんじゃない? ということで、これはひたすら中条あやみの魅力を堪能するためにある映画というカンジ、でも映画ってそれだけじゃあ、ねぇ。 [映画館(邦画)] 5点(2019-02-15 22:40:08) |
2. 許されざる者(2013)
《ネタバレ》 「こんなもんかぁ」って印象。もっとズッシリ重厚なドラマで見応えアリ、とかいう方向を期待していたのですが。 雄大な風景を捉えたダイナミックな映像はとても良いです。シネコンのハンパなサイズのスクリーンよりも昔の大劇場のような大スクリーンで見たかったな、ってくらい。 だけどドラマはどうも上滑りしているような感じがして。 謙さんの抱えた過去、殺しを重ねる事で背負った罪の自覚、それを変えた妻の存在、残された二人の子供への愛、そういったものがペラペラとしか伝わってこないんですよね。セリフで説明されはする、アイテムを提示したりもする、だけどそれが生々しい生の感覚に繋がって来ない感じがするんです。回想とか半端だからでしょうか? 回想シーンを入れるならちゃんと入れる、入れないなら一切入れない、なんか回想すべき事柄の取捨選択がイマイチ? で、佐藤浩市は作り過ぎです。こんな人いるわけ?って。もう娯楽エンターテイメント映画用のキャラ。 柄本明にしても國村隼にしても、いつものおっちゃんのいつもの演技なんですよね。その役の背景が透けて見えて来ない。 むしろ忽那汐里、小池栄子って女優の表情の方が印象に残ったかな。 映画として色々やろうとし過ぎていたのかもしれません。様々な人の感情を大量のセリフによって盛り込む事でやたら饒舌な映画となり、騒がしい混乱劇になってしまったようで。 もっとセリフもエピソードもキャラクターも削ぎ落として謙さんのストイックさを際立たせれば良かったんじゃないかと思います。 この監督の映画、どうしてもいつも饒舌ね。「雄弁な映像」ならばいいのだけれど。 [映画館(邦画)] 6点(2013-10-14 15:56:47)(良:2票) |
3. ユア・マイ・サンシャイン
《ネタバレ》 全体的な構成が毎度お馴染み韓国ラブストーリーでございます、って状態で(コミカルな展開を続けた上で、ちょうど映画半分まで来たところでヒロインの過去の男が出てくるのね)、どんな題材でも定型フォーマットに収めるのはいい加減にやめてちょーだいよ!とつっこまざるを得ない訳でして。お笑い前半部分もストーカー男の気持ち悪さを役者の個性でなんとか楽しめる状態にしてるって感じだし(あれ、下手な人がやったらシャレにならないわ)、後半の怒涛の展開は、昼メロワールドにさも似たり。2005年製でこのセンスはなかなかツライわぁ。私自身が韓国映画に苦言を呈する時の毎度の事を書かねばならないのがアレなんですけど、HIVの問題も結局のところエッセンスって感じで最終的にはメイン二人に集約されておしまい、ってのがどうなんでしょうねぇ。韓国マスコミのあり方も、問題視しているように見えつつ、一要素に終わってしまっているし、家族や村の人々との確執も二人の愛の障害物みたいなもの。いや、ラブストーリーとして見る分にゃ、その波瀾に富んだ物語を充分に楽しめる訳ですけど。韓国映画にとっちゃ、難病も戦争も南北分断も泣かせるための手段なんですかい、と。愛は全てに勝利する、のか? [DVD(字幕)] 5点(2008-02-01 20:12:53) |
4. 夕凪の街 桜の国
《ネタバレ》 映画化して欲しくなかったマンガですが、映画になった以上は前向きに、なるべく多くの人に見て貰いたい物語だよね、と思っていたものの・・・実際に見たら、この映画を見るくらいなら原作買って読みなさい!と強く言いたい状態になってしまいました。この監督や脚本家や作曲家は、あの原作を読んで、そんなにもクサ~い感傷たっぷりのイメージしか湧いてこなかったんでしょうかねぇ? 原作が大切に大切に描いていた事を、この映画は無神経に破壊しまくります。反核をこんなにも声高に叫んだりはしてないでしょ? さりげなく描かれていた事柄をどうだ!と言わんばかりに大袈裟に取り上げてますし(髪飾りが最たるものですし、旭が打越に会うシーンなんて、読んでて気付かない人は気付かないままでいいという描き方だったのに)、あえて被爆者をシンボリックに描いていたのに、直接写真を見せてしまったり、重要な「空白」をスルーしてしまったりと散々。物語全体は明るい日常を描いていて、その中にふと闇が射したり人を振り返ってみたり、という原作の構造をまるっきり無視して最初から最後までああ悲しい、ああ感動したと大騒ぎな映画。いや、この監督に決定した時点で嫌な予感はしてたんですが(100人の映画監督がいたら、99番目に相応しい程度の人だし)、この人の余計な反戦意識だとか、どうにもならないクサさだとかがモロに出てしまっていて嫌な予感的中。1つだけ、これだけはどうしても言いたいのは、この物語の中のいちばん重要な部分って「確かにこの二人を選んで生まれて来ようと決めたのだ」のところだと思うんですが、違います? そこがこの映画ではちゃんと重要になってました? やっぱり映画化なんかしなければ良かったのに。 [映画館(邦画)] 3点(2007-07-28 21:14:49)(良:2票) |
5. 弓
《ネタバレ》 最後に船は絶対に沈まないといけないと思いました。そして「やっぱり!」って。だってこれは『悪い女』に続く裏『タイタニック』なのですから。水の上で孤立した空間と、外界を結ぶ舟は『春夏秋冬、そして春』、語らない二人は『うつせみ』、娘を失う事の恐怖を描いたように思えるあたりは『サマリア』と、キム・ギドク監督の総集編みたいな作品ではあります。水の上に漂う船を捉えた美しい映像と、胡弓の安らかな音色によるイメージとは裏腹な、愛憎の物語ですが、歪んだアブノーマルな愛に見えるけれど、男の欲望、女の愛は結局のところこんな感じなのではないですか?と。ひとつ言えるのは、ヒロインはあの後、家族の元で幸せに暮しました、でもなければ、彼と幸せになりました、でもないだろうな、って事。言わずもがなですか。それにしても私にはお爺ちゃんが仲代達矢に見えて仕方ありませんでした。船乗ってるから『男たちの大和』思い出しちゃった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-05-17 01:12:09) |
6. ユニコ
《ネタバレ》 ファンタジーの要素たっぷりな作品世界はとても魅力的なんですけれど、いかんせん2つのエピソードを1本の映画にしただけという感じで、ぶっつり途中で前後2つに分けられるような構成は映画としてツラく、「また、一人ぼっち・・・」とゆー、いちいち悲しいエピソードのシメを繰り返す構造では、どうにもやりきれない気持ちになります。杉野昭夫担当の絵がとても綺麗で、それだけでも十分価値のある映画ではあるのですが、絵が勿体ないなぁ、って。 [映画館(邦画)] 5点(2004-01-17 13:45:27) |
7. ユーズド・カー
すいません、当時ちっとも笑えなくて、スピルバーグって言っても、やっぱり監督作品じゃなきゃダメなんだねぇ、って思いました。ゼメキス&ゲイルの才能も当時はち~とも感じませんでしたし。クライマックスの自動車軍団大暴走だけが見せ場、って感じがしました。つーか、あの主役がカート・ラッセルだった、って今知りました・・・。 [映画館(字幕)] 3点(2004-01-17 13:39:59) |
8. U-571
宣伝で「本物の迫力!」なんて言ってたクセにワリとチープなCGを見せられるのはどーしてなんでしょう? それはともかく、サスペンスを結構楽しめる映画でした。頼りない男が指揮をせざるを得なくなってしまった、みんなの信頼を得ていないために・・・みたいなところのイライラ感は最低限に抑えられて(これを延々とやられてしまうと、見てる方がストレス溜まっちゃう)、一体どうやって危機から脱出するか、どうやって敵から逃れるかをメインに、サスペンス中心に徹底している点で、単純に楽しめました。ただ、深海じゃなくて、ワリと浅いところで展開する映画なので、閉鎖的な危機感は薄かったですね。 6点(2004-01-17 13:33:36) |
9. ユー・ガット・メール
《ネタバレ》 んんー、この映画は巨大資本の参入による個人経営の店の破滅を肯定してるんでしょうか? メグの店が潰れてしまう事に対するちゃんとしたフォローがされていない気がするんですけど。確かにこの映画の製作会社は大規模にシネコンを経営していて、隣接する古いスタイルの映画館が・・・とゆー背景がありますけどねぇ。考えすぎ? 映画は、トムが全編ひたすらイヤなヤツにしか思えなくて、そんなトムになびいてゆくメグが理解できなかったです。この監督さん、「まだ見ぬ人への無防備なロマンス趣味」が強過ぎなんでないでしょうかねぇ。 [映画館(字幕)] 4点(2004-01-17 13:25:18) |
10. 誘拐(1997)
《ネタバレ》 渡哲也が「むぐふっ!」って血を吐くところがあるでしょ。あそこが違うなぁ、って思いました。もうみんな「どうしました!」「大丈夫ですか!」って一拍も置かずに駆け寄る、でも、実際そういう場面に遭遇したら、まずヒキますね。5秒や10秒はヒキまくり。で、ある程度結果が出た時点で、初めて「大丈夫ですか!」と。まー、日本映画って、そういうの様式化されちゃってますね。リアリズム、ってのから遠いところにある古き日本映画の姿。それがいかんとは言わないけど、あんまりそういうのばっかりだと醒めてしまうのね。ところで、ゲリラロケですよ~、凄いですよ~、っていうの、クドかったです。苦労しました、っていうの、映画本編には関係のない事ですし。映画って出来上がったモノ、スクリーンに映るモノが全てなんですから。 [映画館(字幕)] 5点(2003-11-22 23:20:14) |
11. ユージュアル・サスペクツ
《ネタバレ》 これって、アンフェアな映画じゃないかなぁ。まるで、真剣勝負してる最中に後ろからハリセンで叩かれるドリフのコントのような。延々とウソの映像見せられて「わーい騙されてやんの」って言われてもねぇ。「ナイル殺人事件」みたいに、いろんな映像を見せて、さて、ウソはどれ?っていうのならともかくねぇ。面白かったけれど、なんか技法に釈然としないわだかまりが残っちゃいました。 6点(2003-11-21 23:25:26)(良:2票) |